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【書評】女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書|要約と感想

【書評】女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書|要約と感想

1on1を任されたのに、何をゴールにすべきか見えず、雑談や業務確認で終わってしまう。『女性部下や後輩をもつ人のための1on1の教科書』は、そんな迷いを、評価面談ではないキャリア対話としての1on1へ捉え直し、メンタリングの視点から考える本です。

この記事では、この本を会話ハウツーとして読むべきか、部下のキャリアにどう伴走するかを考える本として読むべきかを整理していきます。章立ての流れや実践性、後半で踏み込む女性リーダー育成の論点まで追いながら、自分に必要な一冊か判断しやすい形で見ていきます


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結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

本書は1on1を業務報告や評価面談の延長ではなく、部下や後輩の中長期のキャリアに伴走する「キャリア1on1」として設計し直したい人に向く実務書です。何を話せばいいのか、どこまで踏み込んでいいのか、助言は押しつけにならないかと迷う管理職にとって、対話の目的そのものを整理しながら進め方まで学べる本だといえます。


向いている人

いちばん相性がいいのは、会社で1on1を求められているのに、話題もゴールも曖昧なまま何となく続けてしまっている管理職やリーダーです。とくに、雑談や進捗確認で終わりがちで、相手のキャリアの話にどう入ればいいのか分からない人には、その整理から役立ちます。

また、女性部下や後輩との対話に難しさを感じている人にも向いています。昇進打診への反応に戸惑ったり、配慮のつもりがずれていないか不安だったりする場面で、本書は「女性だから」と決めつけずに向き合うことと、女性特有の組織課題を理解することの両方を扱っています。人事や育成担当、DE&Iの文脈で1on1の設計を考えたい人にも使いやすいはずです。


向いていない人

逆に、すぐ使える短いフレーズ集やチェックリストだけを求める人には、やや回りくどく感じるかもしれません。この本は会話例のある実務書ではありますが、話し方の小手先だけではなく、1on1の目的そのものを見直す比重が大きいからです。

もう一つ注意したいのは、一般的な1on1本としてだけ読むと後半の重心を見誤りやすいことです。女性部下との対話や女性リーダー育成に関わる組織課題まで踏み込むので、そこに関心が薄い人は読みどころを十分に受け取りにくい可能性があります。


先に結論(買う価値はある?)

結論から言うと、1on1を「面談のやり方」ではなく「キャリア伴走の場」として立て直したい人には、買う価値があります。理由は、必要性、役割、対話スキル、実践手順、失敗例、女性育成特有の論点までが一本の流れで整理されており、何を改善すべきかを立体的に考えやすいからです。

とくに、1on1に手応えがない、女性部下との対話に難しさがある、助言の仕方に迷いがあるという人には、読む意味がはっきりしています。反対に、即効性だけを求めるなら合う本はほかにもありますが、1on1の前提から見直したいなら、この本から入る意義は十分あります。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

第一に、本書は1on1を業務報告や評価面談の延長ではなく、部下や後輩の中長期的なキャリアを支える対話として捉え直しています。何を確認する場かではなく、相手の将来にどう伴走する場かを問い直しているのが出発点です。

第二に、その対話を成立させる方法として、コーチング一辺倒ではなく、メンタリングという立場を前面に出しています。信頼関係づくり、傾聴、深掘り、助言、クロージングまでを順序立てて扱っており、話を聞くだけで終わらない1on1の組み立てが見えてきます。

第三に、後半では女性部下との1on1に特有の論点へ進みます。個人の気質や意欲だけで片づけず、ジェンダーバイアスや組織の慣習、昇進をめぐる迷いまで視野に入れている点が、本書の特徴としてはっきりしています。


著者が一番伝えたいこと

本書全体を通して伝わってくるのは、上司や先輩は「正解を引き出す人」だけでなく、「経験をもとに視野を広げる人」にもなれるということです。冒頭では、部下育成に悩む管理職の戸惑いが並べられますが、その解決策として示されるのは、相手を評価したり指示したりする面談ではなく、キャリアに寄り添う1on1です。

そのため、本書の中心にあるのは会話術そのものより、向き合い方の転換です。著者は、コーチングだけでは届かない場面があることを自身の経験から語り、助言や経験共有が持つ意味を強調しています。だからこそ本書は、1on1をうまく回す技法集というより、上司や先輩がどういう立場で相手と話すのかを定義し直す本として読めます。


読むと得られること

読み終えるころには、1on1の目的設定がかなり変わるはずです。短期の業務確認に寄っていた面談を、中長期のキャリア対話として見直す視点が持てますし、何を話せばよいか分からない状態から、信頼構築、深掘り、助言という流れで整理して考えられるようになります。

加えて、うまくいかない1on1を振り返るための視点も得られます。本音が出ない、話が浅い、助言がずれる、決めつけてしまうといったつまずきを、単なる相性の問題で終わらせずに捉え直せるのは実務上の強みです。さらに、女性部下との対話では、本人の課題だけでなく組織側の構造にも目を向ける必要があると分かるため、1on1をより慎重かつ実践的に設計しやすくなります。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり会話テクニックや女性部下との接し方に入るのではなく、まず「1on1を何のためにやるのか」という土台から整えていく構成です。序盤では、業務報告や評価面談とは違うキャリア対話として1on1を位置づけ直し、そのうえで上司・先輩が担う役割をメンタリングとして整理します。

その基礎ができたあとに、信頼関係づくり、傾聴、深掘り、助言といった対話の中核へ進むため、読者は「考え方」と「やり方」を切り離さずに理解できます。さらに後半では、実践手順や失敗しやすい場面の対処を経て、女性リーダー育成に関わる構造的な課題と応用へ進むので、前半の汎用論が後半の個別論点を支える形になっています。全体としては、1on1の意味を定義し、対話の技術を学び、現場の課題へ落とし込む順番で読者を導く設計です。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1章 なぜ今、キャリア1on1が必要なのか?
  • 第2章 1on1の役割とルールを知っておこう
  • 第3章 深い1on1を実現する2つのスキル1 1on1が変わる!「ディープカンバセーション」
  • 第4章 深い1on1を実現する2つのスキル2 1on1が変わる!「アドバイス」
  • 第5章 実際に部下(後輩)と1on1をしてみよう 基礎編
  • 第6章 ケーススタディで考える うまくいかない1on1の解決法
  • 第7章 女性リーダー・管理職育成のための1on1の課題
  • 第8章 女性との1on1をより効果的に行うために 応用編


各章の要点

第1章は、この本の出発点です。なぜ今の職場でキャリアの話が必要なのか、従来の面談と何が違うのかを整理し、以後の議論の前提をそろえます。

第2章は、上司や先輩がどんな立場で1on1に入るのかを明確にする章です。ここでメンタリングの考え方が入ることで、後の対話技術が単なる会話術で終わらなくなります。

第3章は、全体の中でも中核に近いパートです。深い対話を成立させるために、関係づくり、聴き方、掘り下げ方をどう扱うかが整理され、実践編への橋渡しになっています。

第4章は、いちばん難しい助言をどう扱うかに踏み込みます。相手のためと思って言ったことが押しつけになりうる領域なので、ここは本書の独自色が強く出る部分です。

第5章は、実際に1on1を進めるための基礎整理です。ゴール設定や準備、流れの確認が中心で、ここから理論が運用に変わり始めます。

第6章は、うまくいかない場面を立て直すための章です。話が浅い、本音が出ない、助言がずれるといった悩みを扱うため、前章までの内容を現場に接続する役割があります。

第7章は、女性リーダー育成をめぐる組織課題を明確にするパートです。個人との対話だけでは解けない問題があることを示し、後半の応用編の前提を作っています。

第8章は、その課題認識を実際の1on1にどう落とすかを扱う締めの章です。仕事の意味づけ、フィードバック、背中の押し方など、応用的な関わり方へ着地していきます。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部を通して読むのが理想ですが、時間がないなら中盤と終盤から入ると、この本の強みがつかみやすいです。

まず優先したいのは、第3章と第4章です。信頼関係づくり、傾聴、深掘り、助言という本書の中核がここにまとまっていて、1on1をどう深めるかの感覚を短時間でつかめます。

次に読むなら、第6章が有効です。本音が出ない、話が浅い、助言がずれる、決めつけてしまうといった失敗パターンが並ぶので、自分の1on1を振り返りながら読みやすい章です。実際の悩みに結びつきやすく、序盤の理論を読み返す動機にもなります。

そのうえで、この本の独自性を知りたいなら、第7章と第8章まで進むのがおすすめです。タイトルにある「女性部下や後輩をもつ人のための」という部分がどこで生きてくるのかが、ここでよく分かります。逆に、最初に全体の前提をきちんと押さえたい人は、第1章と第2章から入り、そのあと中盤へ進むと理解がぶれにくいです。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

いちばん印象に残ったのは、この本が1on1の進め方を教えるだけで終わらず、上司や先輩が部下・後輩のキャリアにどう向き合うかを根本から問い直していることでした。業務報告や評価面談とは別のものとして1on1を置き直しているので、会話の型を覚える本というより、1on1の意味そのものを組み替える本として読めます。

その印象が強く残ったのは、対話の技術だけでなく、そこに至る前提まで丁寧に積み上げているからです。序盤で必要性と役割を整理し、中盤で信頼関係構築、傾聴、深掘り、アドバイスへ進み、後半で女性リーダー育成の課題までつなげていく流れにはかなり納得感がありました。とくに、コーチングだけでは届かない場面があり、メンターとして経験を共有しながら相手の選択肢を広げていく、という考え方は、本書全体の軸として強く残りました。


すぐ試したくなったこと

まず試したくなったのは、今の1on1が何のための時間になっているのかを見直すことです。読んでいるうちに、業務確認や雑談で終わっている対話と、キャリアの見通しを一緒に考える対話は、似ているようでかなり違うと感じました。1on1が手応えのない時間になっているなら、話し方の問題というより、目的設定がずれているのかもしれないと思えたのは大きかったです。

もう一つは、アドバイスの出し方を変えることです。本書では、正しさを押しつけるのではなく、自分の経験をどう教訓化して渡すかが重視されています。その視点が入るだけで、相手の選択を狭める助言ではなく、視野を広げる助言に近づけそうだと感じました。さらに、うまくいかない1on1のケースが並んでいることで、自分の対話を失敗パターンごとに振り返ってみたくなったのも、この本の実務的な強さだと思います。


読んで気になった点

気になったのは、タイトルから受ける印象と、実際の重心にやや差があることです。女性部下との関わり方に特化した具体的なノウハウ集を想像すると、前半はかなり汎用的な1on1やメンタリングの基礎に紙幅が割かれているように感じるかもしれません。逆に、その基礎をしっかり置いてから後半の個別論点に入る構成だからこそ、内容に無理がないとも言えます。

もうひとつは、実用書としての親切さはありつつも、かなり骨太な本だという点です。会話例やケーススタディがあるので現場で使うイメージは持ちやすい一方で、すぐ使える質問集だけを求める人には少し遠回りに映る可能性があります。また、女性部下との1on1を扱う本でありながら、「女性だからこう接するべき」という単純な話ではなく、構造的な課題まで視野に入れているので、軽いコミュニケーション本として読むと想像よりも重みを感じるかもしれません。とはいえ、その慎重さがあるからこそ、読後には1on1をどう回すか以上に、上司の言葉や経験が相手の未来にどう作用するのかを考えさせられました。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部やる必要はありません。まずは「1on1の目的を分ける」だけでも、この本の使い方としては十分に意味があります。

本書は、読んで納得して終わるより、1on1の設計を少し変えてみることで効いてくる本です。今日から着手するなら、次のような動きが現実的です。

  • 次回の1on1が「業務確認」なのか「キャリア対話」なのかを先に決める
  • 面談の冒頭で、今日の目的を自分の中で一文にしてから臨む
  • 相手に何を聞くかより先に、どこまで話を広げる時間なのかを整理する
  • 自分が評価者として話しているのか、メンターとして話しているのかを切り分ける
  • 最近の1on1が雑談や進捗確認だけで終わっていないか振り返る
  • 自分の経験のうち、助言ではなく「教訓」として渡せそうなものを一つ書き出す
  • 会話が浅く終わる理由が、信頼関係・傾聴・深掘りのどこにあるか点検する
  • 女性部下との対話で迷いがある場合、個人の性格だけでなく組織の側の要因も考える
  • 次回の1on1で、相手の中長期の視点に触れる質問を一つだけ用意する


1週間で試すならこうする

無理なく試すなら、1週間で小さく回すのがちょうどいいと思います。いきなり完璧な1on1を目指すより、設計と振り返りを繰り返したほうが、本書の意図にも合っています。

  • Day1:直近の1on1を思い返し、業務確認・評価・キャリア対話が混ざっていなかったか整理する
  • Day2:次回の1on1の目的を決め、「今日は何の時間か」を自分の言葉で書く
  • Day3:自分の経験から、相手の選択肢を広げる助言になりそうな話を一つ準備する
  • Day4:信頼関係づくりを意識し、結論を急がず相手の話を聴くことを優先する
  • Day5:表面的な返答で終わらせず、もう一段だけ深掘りする問いを試す
  • Day6:面談後に、話が止まった場所が信頼関係・傾聴・深掘り・助言のどこだったか振り返る
  • Day7:女性部下との1on1で迷いがあった場合は、個人への配慮だけでなく組織の構造やバイアスの影響もメモに残す


つまずきやすい点と対策

いちばんつまずきやすいのは、1on1を変えようとしても、結局いつもの業務報告に戻ってしまうことです。ここは話し方の問題というより、面談の目的設定が曖昧なままだから起こりやすいので、まず「今日は何の時間か」を分けることが対策になります。

次に難しいのは、助言が押しつけになりそうで何も言えなくなることです。本書の実用的なところは、助言をやめるのではなく、自分の経験をどう教訓化して渡すかを考えさせる点にあります。正解を示すつもりで話すのではなく、相手の選択肢を少し増やすつもりで話すと、言葉の出し方は変わりやすくなります。

もう一つの難所は、女性部下との1on1を「女性向けの特別な対応」として考えすぎることです。本書はそこを単純化せず、決めつけを避けながらも、女性リーダー育成に関わる組織課題は見落とさない立場を取っています。個人への接し方だけで解決しようとせず、構造の問題も視野に入れることが、この本を実践に移すときの大事なポイントです。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』との違い

比較軸は「テーマ」「実用性」です。結論から言うと、本書は1on1をキャリア支援とメンタリングの場として捉え直したい人向けで、『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』はマネジャーの対話技術や現場運用の解像度を上げたい人向けです。

本書は、業務報告や評価面談とは別の「キャリア1on1」をどう設計するかを起点にして、信頼関係づくり、深い対話、助言の扱い方、さらに女性リーダー育成に関わる課題まで視野に入れています。一方で『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』は、部下育成とチーム運営の文脈で、1on1をどう実務に落とすかに重心があります。

1on1の意味そのものを立て直したいなら本書が合います。すでに1on1は実施していて、マネジャーとしての対話技術や現場での回し方をより具体的に磨きたいなら、『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』のほうが選びやすいです。


『1on1ミーティングの極意』との違い

比較軸は「読者層」「読みやすさ」です。結論から言うと、本書は1on1の目的や役割から整理したい人向けで、『1on1ミーティングの極意』は導入や実施の疑問を実務的に片づけたい人向けです。

本書は、なぜキャリアの話を職場で扱うのか、なぜコーチングだけでは足りない場面があるのかといった前提にかなり力を入れています。そのうえで、深い対話とアドバイスの難しさ、女性部下との1on1で気をつけたい構造的な論点へ進むので、射程は広めです。対して『1on1ミーティングの極意』は、1on1の導入や実施でぶつかる疑問を整理しながら進めたい人に向いています。

「何をどう話すか」以前に、「そもそも1on1は何の時間なのか」を明確にしたいなら本書が向いています。すぐに運用の迷いを減らしたい、実施上の悩みを整理したいという目的が強いなら、『1on1ミーティングの極意』のほうが入りやすいはずです。


迷ったらどれを選ぶべき?

迷ったら、悩みの種類で選ぶのがいちばん分かりやすいです。1on1が雑談や業務確認で終わってしまう、評価面談と混ざっている気がする、女性部下のキャリア支援や昇進後押しに難しさがある。こうした悩みがあるなら、本書を選ぶ意味ははっきりしています。1on1をどう回すかより前に、何を支える時間なのかを定義し直せるからです。

一方で、すでに1on1の目的はある程度見えていて、現場での対話技術やマネジャーとしての実装を強めたいなら『部下が自ら成長し、チームが回り出す1on1戦術』が合います。導入や運用の疑問を手早く整理したいなら『1on1ミーティングの極意』のほうが選びやすいでしょう。

つまり本書は、1on1の意味そのものを立て直したい人、そして女性部下との対話を含めてキャリア支援として捉えたい人に向く一冊です。会話の技法だけでなく、上司の関わり方そのものを見直したいなら、この本から入るのが自然です。


著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

池原真佐子は、株式会社Mentor For代表取締役CEOであり、一般社団法人ビジネス・キャリアメンター協会代表理事です。早稲田大学大学院教育学研究科を修了後、PR会社、NPO、コンサルティング会社で勤務し、INSEADのExecutive Master in Changeで修士号を取得しています。現在は、社外メンターの企業マッチング、社内メンター制度の支援、DE&I関連研修などに取り組んでおり、女性リーダー育成やメンタリングの実務に継続的に関わってきた人物です。


このテーマを書く理由

この本が1on1一般論にとどまらず、キャリア支援とメンタリングに強く軸足を置いているのは、著者自身の経験と現在の活動がそのまま重なっているからです。本書は冒頭で、コーチングだけでは届かない場面があり、ロールモデルやメンターから経験を踏まえた助言を受けることで視野が広がったことを出発点にしています。

そのうえで著者は、メンタリングスキルを形にし、プロのメンターを育成する仕組みづくりや、ロールモデルに出会いにくい企業で働く女性と社外メンターをつなぐ事業へ発展させてきました。女性部下との1on1、女性リーダー育成、社内外のメンター活用といった本書のテーマは、著者が実際に向き合ってきた仕事と地続きです。


この本が信頼できる理由

この本を信頼しやすい理由は、理論だけで1on1を語っていないことです。著者はメンタリングを専門領域として実務にしており、企業向けの支援、研修、制度づくり、メンター育成まで一貫して扱っています。そのため、本書で語られる1on1は抽象的な理想論ではなく、現場で使う前提で整理されたものになっています。

もう一つ大きいのは、テーマの扱い方に無理がないことです。1on1の基本、深い対話、助言の難しさ、失敗しやすい場面、女性部下との対話で見落としやすい構造課題まで、著者の専門性と活動領域の範囲で自然につながっています。メンタリング、キャリア支援、女性育成という三つの軸を、同じ地平で語れる立場にあることが、本書の土台になっています。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、目的しだいです。この本が自分に合うか、1on1をどういう本として捉えているかを知りたいだけなら、要点整理だけでも大枠はつかめます。特に、本書が業務報告や評価面談ではなく、キャリア対話としての1on1を軸にしていることは、短く追っても十分伝わります。

ただし、実際に現場で使いたいなら、要約だけでは足りません。本書は、信頼関係づくり、深い対話、助言、失敗しやすい場面への対処までを順を追って組み立てているので、前提から読んだほうが腑に落ちやすい構成です。とくに「なぜそのやり方なのか」まで理解したい人は、本文まで読んだほうが得るものが大きいです。


初心者向け? 中級者向け?

結論としては、1on1初心者にも入りやすい一方で、すでに実施している人ほど効いてくる本です。序盤で必要性や基本ルールから整理しているので、1on1を任されたばかりで何を話せばいいか定まっていない人でも入りやすくなっています。

その一方で、内容は会話フレーズ集だけではなく、メンタリングとして1on1をどう成立させるかという前提まで扱います。本音が出ない、話が浅い、助言がずれるといった悩みに踏み込んでいるので、運用していて壁に当たっている中級者のほうが、より深く使える一冊でもあります。


どこから読むべき?

最初の一冊として読むなら、まず序盤の第1章と第2章から入るのが自然です。ここで1on1の目的と役割が整理されるので、そもそもの認識がずれていないかを確認できます。業務報告や評価と切り分けて考える視点は、ここを読んでおくと後半までぶれません。

そのうえで実務に直結しやすいのは、第3章と第4章です。信頼関係、傾聴、深掘り、助言という難所がまとまっているので、会話の質を上げたい人はここを優先すると読みやすいです。女性部下との1on1に悩みがはっきりあるなら、第7章と第8章まで続けて読むと、本書の固有性が見えやすくなります。


忙しくても実践できる?

結論として、全部を一気にやろうとしなければ十分実践できます。本書は考え方の比重もあるので、軽いハウツー本のように数分で使い切るタイプではありませんが、行動に落とす単位はそこまで大きくありません。1on1の目的を見直す、質問の順番を点検する、自分の経験をどう助言に変えるかを考える、といった形で小さく使えます。

むしろ忙しい人ほど、業務確認だけで終わっている1on1を見直すきっかけになりやすい本です。短時間で即効性のある言い回しだけを求める人にはやや重く感じるかもしれませんが、相手のキャリアにどう関わるかを考え直したい人には、忙しい中でも拾える示唆が多いはずです。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

第一に、1on1を「何となくやる面談」から、中長期のキャリアを支える対話へと定義し直せることです。業務報告や評価と混ざりやすい場を、そもそも何のために持つのかから整え直せるので、1on1の前提が曖昧な人ほど効きます。

第二に、ただ聞くのではなく、信頼関係づくり、深掘り、助言まで含めて実務に落とし込もうとしていることです。会話術の小手先ではなく、上司や先輩の経験をどう渡せば相手の選択肢を広げられるかまで踏み込んでいる点に、この本の厚みがあります。

第三に、女性部下との1on1を、気遣いの話だけで終わらせず、組織の構造的な課題まで含めて考えられることです。タイトルだけ見ると特化本に見えますが、前半はかなり汎用性が高く、後半で女性リーダー育成の難しさへ絞り込んでいく構成も使いやすいです。


この本をおすすめできる人

おすすめできるのは、1on1を任されたものの、何を話せばよいのか、どこまで踏み込んでよいのか、助言が押しつけにならないかで止まっている人です。とくに、女性部下や後輩との対話、昇進支援、キャリア支援に難しさを感じている管理職や先輩社員には相性がいいです。

逆に、質問例だけをすぐ拾いたい人や、女性活躍を制度論だけで把握したい人には、やや回り道に感じるかもしれません。この本は即効性のあるフレーズ集というより、1on1の目的そのものを立て直したい人向けです。


今すぐやること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変えなくて大丈夫です。まずは1回分の1on1を見直すだけでも、この本の使い方としては十分です。

今日やることは一つで十分です。次の1on1の前に15分だけ取り、自分が普段の面談で何を中心に話しているかを「業務確認」「評価」「雑談」「キャリア対話」の4つに分けて書き出してみてください。

そのうえで、「次回は中長期のキャリアに関する話題を一つ入れる」と決めれば、読みっぱなしで終わりにくくなります。本書の強みは、1on1の目的そのものをずらしてくれるところにあるので、最初の一歩も目的の棚卸しから入るのがいちばん自然です。


次に読むならこの本




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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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