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【書評】世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」|要約と感想

【書評】世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」|要約と感想

1on1を続けていても、部下の本音が見えない。面談の時間は取っているのに、結局はその場しのぎで終わっている。『世界標準の1on1』は、そんなずれを上司の話し方ではなく、頻度や質問、アジェンダまで含めた設計の問題として捉え直す本です。

この記事では、本書が1on1をどんな仕事として扱い、現場の運用や見直しにどう役立つのかを整理します。読めば、自分の1on1に足りないのが会話の技術なのか、そもそもの設計なのかを見極めやすくなるはずです。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本を書いた背景
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

この本は、1on1を「上司の話し方」や「その場の空気」でなんとかするのではなく、頻度、質問、アジェンダ、実施後のフォロー、評価まで含めて設計し直すための実務ガイドです。面談のコツだけを拾う本ではなく、1on1をマネジメントの中核業務として捉え直し、運用の質を上げるための本と考えると位置づけがつかみやすいです。

特に重要なのは、1on1の問題を「やっていないこと」ではなく、「やっていても機能していないこと」として扱っている点です。本書は、世界中で大量に実施されている1on1のなかに、上司の自己評価と部下の受け止めのズレがあることを出発点にしています。そのうえで、準備、実践、終了後、組織文化化まで順に扱っているので、1回の面談をうまくこなすための本というより、1on1全体の仕組みを立て直す本として読むのが適しています。


向いている人

まず向いているのは、すでに1on1を実施しているのに、思ったほど機能していないと感じている管理職です。部下が本音を話してくれない、毎回進捗確認だけで終わる、質問が広がらない、面談を続けているわりに成長や関係改善につながっている実感が薄い。そうした悩みを持つ人には、本書の論点がかなり具体的に刺さるはずです。

次に合うのは、1on1を制度として導入した企業の人事・組織開発担当です。本書は、面談の場だけでなく、頻度やスケジュール、スキップレベル1on1、評価、組織全体の仕組みづくりまで扱っています。現場任せの導入で終わらせず、制度を成果につなげたい立場の人には、考えるべき論点をかなり整理して与えてくれます。

また、1on1のやり方を一から学びたい新任マネジャーにも向いています。理由は、質問やアジェンダのような基本項目から、感情への対応、実施後のフォロー、部下側の役割まで、順を追って設計されているからです。単に「傾聴が大事」といった抽象論で終わらず、どこを整えれば面談が安定するのかが見えやすい構成になっています。


向いていない人

反対に、すぐ使える雑談ネタや会話フレーズだけを求めている人には、やや重心が違います。本書が扱っているのは、1on1の雰囲気づくりだけではなく、設計、運用、評価まで含めた全体像です。軽い会話術の本を期待すると、想像していたよりも射程が広いと感じるかもしれません。

また、会話一般の技術書として読む場合も少しずれが出やすいです。内容の中心はあくまで上司と部下の1on1であり、組織のなかで継続的に行う面談をどう改善するかに重心があります。家族や友人との対話にも応用できる余地はあっても、主軸はマネジメントの場にあります。

もう一つ注意したいのは、「科学的に正しい」という言葉の受け取り方です。これを唯一の正解が書かれた本だと思って読むと、少し期待がずれる可能性があります。実際には、データや研究を土台にしながらも、現場に応じて調整しながら使う前提の本として読んだほうが納得しやすいです。


先に結論(買う価値はある?)

結論から言えば、1on1を本気で機能させたい人には買う価値があります。理由ははっきりしていて、この本は1on1の重要性を説くだけで終わらず、なぜうまくいかないのか、何を設計し直すべきか、どこまでを運用対象として見るべきかを整理してくれるからです。とくに、制度として導入したのに現場任せになっている状況には、かなり実務的な助けになります。

逆に、1on1を気合いや相性でなんとかするものだと思っているなら、その前提を崩される本でもあります。だからこそ、今のやり方に違和感がある人ほど、一度読んでおく意味は大きいです。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

第一に、本書は1on1の不調を「話し方のセンス不足」ではなく、「設計不足」の問題として捉えています。1on1は広く行われているのに、手応えが薄かったり、部下との認識にずれが出たりしやすい。その原因を、頻度、質問、アジェンダ、進め方といった設計要素までさかのぼって考え直すのが、本書の出発点です。

第二に、良い1on1は一つの正解に収まるものではなく、複数の要素のバランスで成り立つと整理されています。短期の課題と長期の成長、問題解決と関係づくり、手順の構造化と相手に応じた柔軟さをどう両立させるか。ここを丁寧に扱っているので、単なる進捗確認にも、逆に曖昧な雑談にも寄りすぎない見方が得られます。

第三に、本書の射程は面談のその場で終わりません。準備、実践、終了後のフォロー、成否の評価、さらにスキップレベル1on1や組織文化への接続まで視野に入っています。1on1を個人の会話技術としてではなく、継続的に運用し改善していくマネジメントの仕組みとして捉え直せるのが大きな特徴です。


著者が一番伝えたいこと

著者が一番伝えたいのは、1on1はマネジャーの善意や相性に委ねるものではなく、研究知見に基づいて意図的に設計すべき中核業務だということです。仕事の進捗確認だけに寄せてもいけないし、関係づくりだけに寄せても足りない。業務と人、短期の成果と長期の成長、構造化と柔軟性を両立させながら運用していく必要がある、という考え方が本書全体の軸になっています。

その意味で、本書は1on1を称賛するための本というより、うまく機能していない現実を直視し、どう改善するかを考える本です。制度として導入することと、実際に成果につながる運用をすることは別だという視点がはっきりしていて、読者に求めているのも「話す時間を取ること」ではなく「面談の質を設計し直すこと」だと分かります。


読むと得られること

この本を読むと、1on1をどう実施するかの前に、そもそも何を設計しなければいけないのかが整理できます。頻度や長さをどう考えるか、質問やアジェンダをどう組み立てるか、面談後に何を残すか、部下側にどんな役割を求めるかといった論点が、準備から実践、終了後、組織への展開まで流れでつながって見えてきます。

もうひとつ大きいのは、1on1に対する見方そのものが変わることです。雑談の延長でも、進捗確認の定例でもなく、信頼関係、成長支援、成果の両立を支える運用として捉え直せるようになります。すぐに使えるチェックリストやテンプレートの価値もありますが、それ以上に、「今の1on1は何が足りていないのか」を見抜く視点が手に入る本だと言えます。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、1on1をその場の会話術としてではなく、準備から実施後の振り返り、さらに組織への定着まで含めた仕事として組み立てています。冒頭では、1on1が広く行われている一方で質にばらつきがあり、上司と部下の認識にもずれがあることを示し、まず「なぜ改善が必要なのか」を納得させます。そのうえで、前半は事前設計、中盤は当日の運用、後半はフォローと評価、最後は組織文化への接続へと進むので、1on1の不全がどこで起きるのかを順番に追いやすい構成です。

この流れのおかげで、本書は質問集や会話テクニック集に留まりません。実際の読みどころは、面談の質が「話し方」だけでなく、頻度、場所、アジェンダ、感情対応、評価設計まで連動して決まると見せているところにあります。準備編の終盤から実践編に入る流れ、実践編のあとに評価と組織運用へ進む流れが自然で、1on1を個人技で終わらせない意図がよく出ています。


大見出し目次(短い目次)

  • 序章 本書のビジョン ──1on1を科学的に設計する
  • 第1部 1on1の準備
  • 第2部 1on1の実践
  • 第3部 1on1の終了後
  • 第4部 1on1を組織文化にする


各章の要点

序章は、1on1の規模や認識ギャップを示しながら、改善すべき対象として捉え直す入口です。ここで示される「業務と人」「構造化と柔軟性」の両立が、全体の土台になります。

第1章から第7章までは準備編です。必要性の再確認、導入時の伝え方、頻度とペース、スケジュール、場所、質問、アジェンダまでを順に整え、面談の失敗が実施前から始まっていることを浮かび上がらせます。とくに質問とアジェンダの章は、準備編と実践編をつなぐ橋渡しです。

第8章から第11章は実践編で、当日の基本姿勢、部下の個人的ニーズ、進行のしかた、そして部下側の役割まで扱います。上司だけが話す場ではなく、相手の参加の質も含めて1on1を成立させる流れがここで見えてきます。

第12章と第13章は終了後の整理です。面談後に何を残し、どうフィードバックし、どう成否を測るかを扱うので、1on1を「やって終わり」にしないための要所になります。ここが、個人の実践から継続的な改善へ移るもう一つの橋渡しです。

第14章から第16章は組織編です。スキップレベル1on1、会議全体の時間対効果、組織の価値観との接続へ広がり、個別面談を制度や文化の問題として考える終盤になっています。ここまで読むと、本書の射程が個人の面談術ではないことがはっきりします。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部を一気に読めないなら、序章で問題意識をつかみ、実務に直結する章から先に入ると全体像が崩れません。

優先して読むなら、まず序章です。ここを読むだけで、本書が1on1をなぜ改善対象として扱うのか、どんなバランス感覚を求めているのかがつかめます。会話術の本ではなく、設計の本だと理解できるので、その後の章が読みやすくなります。

次に読む価値が高いのは、頻度を扱う章、質問を扱う章、アジェンダを扱う章です。面談がうまくいかないとき、多くは当日の受け答えより前に原因があります。どのくらいのペースで行うか、何を聞くか、何を話題として持ち込むかを整えるだけでも、1on1の質はかなり変わるとわかります。

その次は、進め方を扱う章と、評価を扱う章です。前者で当日の運びをつかみ、後者で面談の手応えをどう検証するかを押さえると、実践と改善の両輪がそろいます。人事や組織開発の立場で読むなら、終盤のスキップレベル1on1と仕組みづくりの章まで先に見ておくと、本書の価値がよりはっきり見えてきます。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

読んでまず強く残ったのは、1on1を上司の人柄や会話の雰囲気の問題に還元せず、きちんと設計し、運用し、評価すべき仕事として扱っていることでした。1on1本というと、質問のコツや傾聴の型に重心があるものも多い印象ですが、この本はもっと手前の準備から始まり、終わった後の振り返りや組織への定着まで視野に入れています。だから、会話術の本というより、マネジメントの基盤を立て直す本として読めたのが印象的でした。

もう一つ印象に残ったのは、1on1を「業務」と「人」の両方を扱う場として捉えている点です。短期の問題解決だけでも、関係づくりだけでも足りず、成果と成長、構造と柔軟性をどう両立させるかが全体の中心に置かれています。この整理があることで、なぜ1on1が進捗確認だけで終わると物足りなくなり、逆に雑談だけでも機能しにくいのかが腑に落ちました。

構成の組み方もよくできています。話が「準備→実践→終了後→組織文化化」と流れていくので、1on1をその場の出来不出来だけで見ない姿勢がはっきり伝わってきます。特に、頻度、スケジュール、場所、質問、アジェンダが前半にしっかり置かれていることで、現場の不全は話し方以前の設計不足から起きているのではないか、という問題意識が自然に見えてきました。


すぐ試したくなったこと

読みながらすぐに見直したくなったのは、今やっている1on1の頻度や長さに、ちゃんと意図があるかどうかです。何となく週1回、何となく30分という決め方ではなく、相手や目的に応じて説明できる形にしたほうがよい、という方向性はすぐ実務に返しやすいと思いました。

もう一つは、質問とアジェンダの扱いです。本書はその場でうまく話すことより、始まる前の設計をかなり重く見ています。だからこそ、面談の中身が雑談や進捗確認だけで流れてしまう状況を変えるなら、まず質問の棚卸しとアジェンダの組み方から手をつけるのが自然だと感じました。さらに、部下側の役割や面談後のフォローまで視野に入っているので、1on1を片務的な場にしない発想もすぐ試したくなりました。


読んで気になった点

気になったのは、タイトルから受ける印象と、実際の読後感には少し差があることです。かなり強い言葉が使われていますが、内容としては唯一の正解を示す本というより、研究とデータを踏まえてよりよく設計するための考え方を渡す本として読むほうがしっくりきます。すぐ使える要素は多いものの、単純なレシピ本として受け取ると少し期待がずれるかもしれません。

また、向く読者は比較的はっきりしています。すでに1on1を導入しているのに手応えが薄い管理職や、人事・組織開発の立場で制度と現場のずれに悩んでいる人にはかなり響きそうです。一方で、雑談ネタ集やコーチングのフレーズ集のような軽い実用書を求めている人には、やや重心が違うと感じました。

全体としては、1on1を上手にこなすための本というより、1on1をどういう仕事として扱うべきかを組み替える本として残りました。その分、読者にも「自分の現場にどう落とすか」を考えながら読む姿勢が求められますが、そこまで含めて価値のある一冊だと思います。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変えなくて大丈夫です。まずは設計を1つ見直すだけでも、1on1の手応えはかなり変わります。


今日からできること

本書を読んだあとに一番やりやすいのは、1on1を「会話の出来不出来」ではなく「設計された業務」として見直すことです。特に次の行動は、今日からそのまま着手しやすいと思います。

  • 直近の1on1を振り返り、頻度・長さ・キャンセル頻度を書き出す
  • 毎回の1on1が進捗確認だけで終わっていないか点検する
  • 面談でよく使う質問を3つ挙げ、曖昧すぎるものを見直す
  • 次回の1on1用に、短いアジェンダを1本だけ作る
  • アジェンダに「短期課題」と「中長期の成長」の両方を1項目ずつ入れる
  • 面談後に何を残すかを決め、次回までの確認事項を1つに絞る
  • 自分が話しすぎていないか、一方通行になっていないかを意識する
  • 部下からの反応やフィードバックを受け取る余白をつくる
  • 今の1on1が「続けやすい設計」になっているか、予定の入れ方から見直す

大事なのは、話し方の小技だけを足すことではありません。設計、実施、振り返りまで含めて少しずつ整えることが、この本の使い方に合っています。


1週間で試すならこうする

無理なく試すなら、1週間で一気に完成を目指すより、1on1の土台を順番に整えるのが現実的です。

  • Day1:今の1on1の実態を棚卸しする。頻度、時間、直近の実施状況をメモする
  • Day2:これまでの1on1でよく話していた内容を振り返り、進捗確認に偏っていないかを見る
  • Day3:次回のための質問を3〜5個だけ準備する。抽象的すぎる聞き方は避ける
  • Day4:短いアジェンダを作る。業務課題と成長支援の両方を入れる
  • Day5:面談後のフォロー方法を決める。次回までの確認項目を1つ書き残す
  • Day6:1on1の成否を何で見るか考える。手応え、継続率、話題の偏りなど測る観点を置く
  • Day7:1週間の見直しをして、次に変えるのは何かを1つだけ決める

この流れなら、制度としての1on1をそのまま続けるのではなく、現場で機能する形に少しずつ寄せていけます。


つまずきやすい点と対策

この本を実際に使うときに引っかかりやすいのは、つい会話のテクニックだけで改善しようとしてしまうことです。本書が重視しているのは、質問のうまさだけではなく、頻度、スケジュール、アジェンダ、実施後のフォロー、評価まで含めた全体設計です。対策としては、まず「質問」より先に「今の運用」を見える化するのが近道です。

次に起こりやすいのは、「科学的に正しい」という言葉から、すぐ使える万能の正解を探してしまうことです。けれど本書の読みどころは、単一の型を押しつけるところではなく、基本の手順を持ちながら相手に合わせて調整する発想にあります。だから対策は、完璧な正解を探すことではなく、自分のチームで意図を説明できる運用に近づけることです。

最後に、1on1をその場だけで完結させてしまうのもつまずきやすい点です。終わったあとに何も残らなければ、次回も同じところから始まりやすいからです。対策はシンプルで、面談後に「次回までに確認すること」を一つだけ決めること。これだけでも、1on1が雑談や単発の相談ではなく、継続する仕事として回り始めます。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』との違い

結論から言うと、制度としての1on1をどう設計し、どう運用し、どう評価するかまで詰めたいなら本書が向いています。1on1が根づく背景や、人材マネジメントの文化面から理解したいなら『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』が合います。

比較軸は、テーマの重心深さです。本書は、頻度、質問、アジェンダ、終了後の対応、評価、さらに組織全体への広げ方まで扱っています。1on1をその場の面談で終わらせず、仕組みとして立て直す方向に重心があります。一方で『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』は、シリコンバレー型の人材マネジメント文化を土台に1on1を捉える本です。導入の背景や文化的な意味づけを知りたい人には、こちらの視点が強みになります。

向いている人も少し違います。本書は、すでに1on1をやっているのに手応えが薄い管理職や、制度導入後の運用品質を上げたい人事・組織開発担当に向いています。反対に、1on1がなぜ重要視されるのかをマネジメント文化の流れから理解したい人には、『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』のほうが入りやすいはずです。


『増補改訂版 ヤフーの1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法』との違い

結論は、研究知見を土台に、1on1の運用全体を見直したいなら本書です。日本企業での実践知をベースに、まず1on1の基本をつかみたいなら『増補改訂版 ヤフーの1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法』が合います。

比較軸は、読者層実用性の出し方です。本書は、世界的に大量に実施されている1on1の質に問題があるというところから出発し、準備、実践、終了後、組織文化化までを一冊でつなげています。単なる対話のコツではなく、1on1をどう機能させるかに焦点があります。一方で『増補改訂版 ヤフーの1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法』は、日本企業の実践知をベースにした定番入門です。国内での導入や定着の感覚をつかみやすいところが魅力です。

向いている人も明確です。本書は、1on1を制度として回しているのに現場でズレが出ている人、頻度や質問やアジェンダまで含めて見直したい人に向いています。『増補改訂版 ヤフーの1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法』は、まず日本の職場での実践イメージを持ちたい人、国内の文脈で1on1を学び始めたい人に向いています。


迷ったらどれを選ぶべき?

迷ったときは、いま自分が困っているのが「文化の理解」なのか、「現場運用の改善」なのかで選ぶのがいちばん分かりやすいです。

1on1をすでに導入しているのに、部下が本音を話さない、進捗確認だけで終わる、やっているのに成長支援や関係構築につながらない。そんな悩みがあるなら、この本を選ぶ価値は高いです。頻度、質問、アジェンダ、終了後のフォロー、評価までを一続きで見直せるからです。

一方で、1on1を支えるマネジメント文化そのものを知りたいなら『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』が合います。日本企業での実践感から入りたいなら『増補改訂版 ヤフーの1on1――部下を成長させるコミュニケーションの技法』のほうが選びやすいでしょう。

要するに、1on1を「会話の工夫」ではなく「設計と運用の問題」として捉え直したい人には、この本がいちばん刺さりやすいです。


著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

スティーヴン・G・ロゲルバーグは、ノースカロライナ大学シャーロット校でChancellor’s Professor(特別栄誉教授)を務め、組織科学・経営・心理学を専門とする研究者です。会議研究で高く評価され、ドイツ・アレクサンダー・フォン・フンボルト財団のフンボルト賞を受賞。米国産業・組織心理学会(SIOP)の会長を務め、200本を超える著作・論文があり、Journal of Business and Psychology の編集者でもあります。

本多明生は心理学者で、静岡理工科大学情報学部教授です。本書は1on1を人間関係の雰囲気だけでなく、対話の設計や受け止め方まで含めて考える内容なので、心理学の知見に通じた訳者が入っている点も、このテーマと相性のよい組み合わせです。


このテーマを書く理由

本書が1on1を扱うのは、著者がもともとミーティングそのものを研究対象としてきたからです。本書は、会議一般の研究を土台にしながら、その中でも上司と部下の1on1に焦点を絞って展開されています。序盤では、1on1が世界中で大量に行われている一方で、運用品質に大きな課題があることを問題として据えています。

そのうえで著者は、長年の研究成果を1on1に集約しています。従業員調査や大手企業幹部へのインタビューをもとに、頻度、質問、アジェンダ、終了後の対応、評価、組織への広げ方までを扱っています。単に1on1の必要性を語るのではなく、なぜうまくいかないのか、どう設計し直すべきかまで踏み込めるのは、この研究背景があるからです。


この本が信頼できる理由

信頼できる理由は、大きく3つあります。第一に、著者の専門が組織科学、マネジメント、心理学にまたがっており、1on1を人間関係だけでなく、組織運営や成果の問題としても扱えることです。第二に、議論の土台が経験談ではなく、長年の研究、従業員データ、経営幹部への聞き取りに置かれていることです。第三に、科学的な知見を示しながらも、個人の選択や相手に応じた調整の余地を残していることです。

そのため本書は、理論だけに寄りすぎず、逆に現場の勘だけにも寄りません。1on1を場当たり的な面談ではなく、設計し、運用し、評価するマネジメント実務として捉え直したい人にとって、任せやすい書き手だと言えます。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、1on1の全体像をつかみたいだけなら要約でも足ります。これは、1on1を感覚的な面談ではなく、準備・実践・終了後・組織化まで含めて設計し直す本だからです。

ただし、実際に運用を変えたいなら要約だけでは足りません。頻度、質問、アジェンダ、終了後の対応、評価までがつながっているので、自分の現場でどこが詰まっているのかを見極めながら読むほうが、本書の価値は出やすいです。


初心者向け? 中級者向け?

結論としては、初心者でも読めますが、より強く刺さるのは中級者以上です。章立ては疑問に答える形で進み、チェックリストやテンプレートもあるため、読み進めやすさはあります。

一方で、内容はかなり実装寄りです。雑談のコツや会話フレーズ集ではなく、1on1をどう設計し、どう運用し、どう評価するかまで扱うので、すでに1on1をしていて手応えがない人や、制度導入後の運用品質を見直したい人のほうが、得るものは大きいでしょう。


どこから読むべき?

最初に読むなら、まず序章です。本書は冒頭で、1on1の規模の大きさ、うまくいっていない実態、上司と部下の認識ギャップを示し、なぜ見直しが必要かをはっきりさせています。

そのうえで、実務に直結しやすいのは前半の準備パートです。特に、頻度とペース、質問、アジェンダの章は、いまの1on1をすぐ点検しやすい入口になります。余裕があれば、その次に終了後の対応と評価の章まで読むと、「やっている」で終わらせない視点がつかめます。


忙しくても実践できる?

結論として、忙しくても実践はできます。ただし、一気に全部変える本ではなく、まずは今の1on1の頻度、長さ、質問、アジェンダ、終了後のフォローを一つずつ見直す使い方が向いています。

本書は重たい理論書というより、運用を少しずつ整えていくための本です。最初の一歩としては、開催間隔の理由を言えるようにする、質問を固定化しすぎない、面談後の対応を単発で終わらせない、といった見直しからでも十分に活かせます。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

第一に、1on1を「話し方」ではなく「設計・運用・評価する仕事」として捉え直せることです。本書は、頻度、質問、アジェンダ、実施後のフォロー、評価までを一つながりで考えさせます。

第二に、制度導入と現場運用のあいだにあるズレを埋める判断材料が得られることです。すでに1on1をしているのに手応えが薄い場面で、どこを見直すべきかがかなり具体的になります。

第三に、タイトルほど「唯一の正解」を押しつける本ではないことです。データと研究を土台にしつつ、現場で自分たちなりに運用へ落とし込む余地があるので、単純なレシピ本では終わりません。


この本をおすすめできる人

向いているのは、部下との1on1に手応えがない管理職、制度として導入したのに現場で機能していないと感じる人事・組織開発担当、面談の頻度や進め方や評価方法を見直したいマネジャーです。

逆に、雑談のネタ集や、すぐ使えるフレーズ集のような軽い実用書を求めている人には少し重心が違います。この本は、1on1をマネジメントの基盤として組み替えたい人に合います。


今すぐやること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変えなくて大丈夫です。まずは1回分の1on1を見直すだけでも、この本の使い方としては十分です。

今日やることは一つで十分です。次の1on1の前に15分だけ取り、いまの面談の「頻度・長さ・最初の質問・終了後のフォロー」を紙に書き出してください。そして、それぞれに「なぜこの形なのか」を一言で説明できるか確認します。

説明できない項目があれば、そこが見直しどころです。本書の価値は、1on1が大事だと再確認することより、いまの運用の甘さを具体的に見つけられることにあります。


次に読むならこの本




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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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