1on1ミーティング ビジネス・経済・経営

【書評】シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―|要約

【書評】シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―|要約

1on1をしているつもりでも、実際には評価面談や進捗確認に寄ってしまい、部下との関係づくりに手応えがない。『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』は、そのずれを「部下のための時間」という軸から立て直し、何を話し、どう始め、どう続けるかまで実務に落とし込む本です。

この記事では、この本が1on1の必要性をどう整理し、会話テーマと運用の型をどこまで具体化しているのかを見ていきます。あわせて、即効性を期待して読む本なのか、継続前提の実務書として読むべき本なのかも判断しやすくしていきます。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本を書いた背景
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

この本は、1on1をただの面談や雑談ではなく、部下の状態を把握し、信頼関係を築き、成長支援につなげるための実務として組み立て直す本です。何となく1on1をやるのではなく、「なぜ必要か」「何を話すか」「どう始めて続けるか」まで順番に整理されているので、管理職が現場で運用できる形まで落とし込みやすいのが役割です。


向いている人

まず合うのは、これから1on1を導入したい管理職や人事です。必要性は感じているのに、何を話せばいいのか、どこまで踏み込めばいいのか、どう継続すればいいのかが曖昧な人には、全体像をつかむ助けになります。

次に向いているのは、すでに面談はしているものの、それが評価や報告の場に寄りすぎていると感じている人です。本書は、信頼関係づくりと成長支援を分けて考え、健康状態、モチベーション、業務課題、評価、能力開発、方針伝達までをどう扱うかを整理しています。部下理解を深めたいが、雑談だけでは終わらせたくない人にも相性がいいはずです。


向いていない人

逆に、厳密な研究データや理論比較を中心に読みたい人には、やや実務寄りに映る可能性があります。制度設計や報酬設計そのものを深く学びたい人にとっても、本書の主眼はそこではありません。

また、短時間で劇的な変化を起こす即効性の高いメソッドを求める人は、少し期待がずれるかもしれません。この本が前提にしているのは、気合いよりも継続、センスよりも運用です。1on1を地道に定着させるつもりがあるかどうかで、受け取り方はかなり変わります。


先に結論(買う価値はある?)

結論から言えば、1on1を実務として回したい人には、買う価値があります。理由は明快で、必要性の説明だけでなく、会話テーマの設計、導入準備、時間配分、実施後のフォローまで、現場で迷いやすい部分が一通り整理されているからです。

とくに、部下との面談がなんとなく形だけになっている人や、評価の場と切り分けた対話を持ちたい人にとっては、読む意味がはっきりしています。1on1を流行語としてではなく、組織の空気を変えるための仕組みとして捉え直したいなら、手に取る理由は十分あります。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

第一に、この本は1on1を評価面談や雑談の延長としてではなく、部下との関係を築き、状態を把握し、成長を支えるための定期的な対話として捉え直しています。序盤では、なぜ今そのような対話が必要なのかを、働き方や組織の変化、従来の上司部下コミュニケーションの限界と結びつけて説明しており、まず必要性を腹落ちさせる構成です。

第二に、1on1で何を話すかがかなり具体的に整理されています。話題は大きく、信頼関係をつくるためのものと、成長支援につなげるためのものに分かれており、前者では相互理解や健康状態、モチベーション、後者では業務課題、評価、能力開発、方針共有へと広がっていきます。1対1の場で何を扱えばいいのか見えにくいという悩みに対して、対話の設計図を示してくれるのが本書の特徴です。

第三に、実施の前後まで含めて運用のしかたが書かれている点です。単に質問例を並べるのではなく、最初の合意形成、スケジューリング、場づくり、時間配分、面談後のアクションまで視野に入れているので、知識として理解して終わりにくい。属人的になりやすい1on1を、現場で再現しやすい形に整えようとしていることが全体から伝わってきます。


著者が一番伝えたいこと

本書を通していちばん強く打ち出されているのは、上司と部下の1対1の時間を、評価や注意の場のまま放置していては、人材育成も定着も難しいという問題意識です。社会や働き方が変わっているのに、上司部下のコミュニケーションだけが古いままだと、真面目に働いている管理職ほど空回りしやすい。そうしたズレを埋める方法として、1on1を対話の習慣として組み直そうとしているのが本書の中心にあります。

そのとき大事にされているのは、1on1を上司の管理手段としてではなく、部下が自分の状況を整理し、納得感を持ち、次の行動へ進むための場にすることです。だからこそ本書は、話す内容だけでなく、どういう前提で向き合うのか、どう継続するのかまで丁寧に扱っています。全体としては、1on1のやり方を教える本であると同時に、上司が部下と向き合う時間の意味を見直す本でもあります。


読むと得られること

この本を読むことで得られるのは、1on1の意味が腑に落ちることと、実際にどう進めればよいかの見取り図です。面談が評価や報告に寄りすぎていないかを見直し、1on1の目的を定義し直し、毎回どんなテーマを扱うべきかを考えやすくなります。とくに、信頼構築と成長支援を分けて捉える視点は、場当たり的な面談を減らす助けになります。

もう一つ大きいのは、読後に行動へつなげやすいことです。実施頻度の考え方、事前準備、話題設計、実施後のアクションまで一連の流れで整理されているので、読んだあとに「まず何から始めるか」が見えやすい。1on1を流行語として理解するのではなく、部下との関係を育てるための仕組みとして扱えるようになる点が、本書の実用的な価値だと言えます。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書のつくりはかなり明快で、まず「なぜ必要か」を納得させ、その次に「何を話すか」を整理し、最後に「どう回すか」まで落とし込む順番になっています。いきなり会話例に入るのではなく、上司と部下の面談がなぜうまく機能しにくいのか、いまの職場で何がズレているのかを先に押さえるので、1on1を単なる流行の施策ではなく、組織のコミュニケーションを立て直すための手段として理解しやすい構成です。

そのうえで中盤では、信頼関係をつくるための話題と、成長を支えるための話題を分けて見せています。この切り分けがあるおかげで、1on1が雑談にも管理面談にも寄りすぎず、何のための対話なのかが見失いにくい。終盤では準備、当日の進め方、実施後のフォロー、継続の工夫まで扱うため、読後に「考え方は分かったが、実際には動けない」という状態で終わりにくいのが強みです。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1章 なぜ、今1 on 1ミーティングで人も会社も変わるのか
  • 第2章 1 on 1ミーティングで何を話すのか―部下と信頼を構築するために
  • 第3章 1 on 1ミーティングで何を話すのか―部下の成長を支援するために
  • 第4章 1 on 1ミーティングを始めてみよう
  • 1on 1ミーティング質問・伝え方一覧


各章の要点

第1章は、1on1を始める前の納得をつくる章です。なぜ必要なのか、なぜ現場でうまく行われていないのか、実施すると何が変わるのかを並べることで、忙しい管理職がまず立ち止まって考えられるようになっています。

第2章は、人間関係の土台づくりに焦点を当てた章です。ここでは、いきなり成果や評価の話に入るのではなく、相互理解、心身の状態、意欲といった基盤をどう扱うかが整理されており、第3章への橋渡しになっています。

第3章は、育成や実務に1on1をつなげる章です。業務課題、評価、能力開発、キャリア、方針共有といった話題を扱うことで、対話を単なる関係づくりで終わらせず、成長支援へ進めています。

第4章は、実装の章です。始める前の準備、当日の進め方、終わった後の行動、継続の工夫まで入っているので、ここを読むと本書全体が実務書として設計されていることがよくわかります。


忙しい人が先に読むならここ

最初に読むなら、第1章と第4章の組み合わせがおすすめです。前者で「なぜ1on1が必要なのか」を理解し、後者で「実際にどう始めるのか」を押さえると、この本の役割が短時間で見えてきます。必要性だけで終わらず、実務としてどう回すかまでつながるので、忙しい人でも読みの軸をつくりやすいはずです。

すでに1on1をやっている人なら、第4章を先に読むのもありです。始め方、時間配分、実施後のフォロー、継続の工夫といった運用面がまとまっているため、今のやり方を見直す材料として使いやすいからです。そのうえで第2章と第3章に戻ると、話題設計の精度を上げやすくなります。

逆に、1on1で何を話せばよいかが一番の悩みなら、第2章と第3章を優先するとよいでしょう。信頼関係づくりと成長支援が分けて整理されているので、毎回の面談が曖昧になりにくい。全体としては、第1章で納得し、第2・3章で中身をつかみ、第4章で回し方を固める、という読み方がいちばん無理なく本書の価値を受け取りやすいです。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

いちばん印象に残ったのは、1on1を単なる面談の技法としてではなく、部下のための時間として捉え直していることでした。1on1の本というと、質問の仕方や会話の回し方を教える内容を想像しがちですが、この本はもっと手前にある上司と部下の関係のあり方から問い直してきます。だからこそ、読後に残ったのは「何を話すか」以上に、「そもそもこの時間を何のために持つのか」を考え直させられた感覚でした。

もう一つよかったのは、話がきれいごとに流れていないことです。冒頭では、部下が育たない、優秀な部下が辞める、言われたことしかやらないといった、現場の管理職が抱えがちな悩みから始まります。その問題意識があるから、中盤で整理される信頼構築のテーマと成長支援のテーマも、単なる分類ではなく実務に必要な整理として入ってきました。特に、1on1のテーマがかなり具体的に見える形で並んでいるので、「何を話せばいいのかわからない」という戸惑いを減らそうとしている本だと感じました。


すぐ試したくなったこと

すぐ試したくなったのは、今の面談が評価や報告に寄りすぎていないかをいったん棚卸ししてみることです。この本では、1on1を単なる会話の時間ではなく、信頼関係、健康状態、モチベーション、業務課題、評価、能力開発、方針伝達までを扱う場として設計しているので、普段の面談がなぜ手応えを欠くのかを見直すきっかけになります。

もう一つは、毎回の話題を少し意識的に分けて考えることでした。人間関係の土台をつくる話と、成長支援につなげる話が整理されているので、面談がその場しのぎになりにくい。さらに、時間配分や実施後の動きまで含めて書かれているため、読むだけで終わらず、小さくでも形にしてみようという気持ちになりやすい本です。


読んで気になった点

気になったのは、表紙まわりや打ち出し方から受ける印象と、実際の読み味に少し差があることです。月30分の対話で大きく変わるようなメッセージは目を引きますが、読後感としてはもっと地道で、継続と運用を前提にした内容でした。短時間で劇的な変化を起こす方法を求めている人には、少し期待とずれるかもしれません。

また、タイトルにあるシリコンバレーやGoogleの印象から、先進企業の華やかな事例集のように受け取る人もいそうですが、実際の重心は日本企業の現場でどう実装するかにあります。その意味では、理論や研究データを中心に読みたい人、制度設計や報酬設計そのものを深く知りたい人には、やや実務寄りに感じられるはずです。逆に言えば、現場で1on1をどう定着させるかに関心がある人には、こうした地に足のついた姿勢こそが強みになっていると感じました。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部やろうとしなくて大丈夫です。まずは1つ、1on1の意味づけを変えるだけでも、この本の使い方としては十分に価値があります。

本書は、読んで納得して終わるより、1対1の時間の持ち方を少しずつ変えていくことで効いてくる本です。今日からなら、次のような動きが現実的です。

  • 今の1対1が「進捗確認」「指導」「評価」に偏っていないかを書き出す
  • 次回の1対1を、評価の延長ではなく部下のための対話時間として捉え直す
  • 1回の面談で扱う話題を、信頼構築と成長支援に分けて考える
  • いきなり業績の話に入らず、相手の状態や関心事を確認する入口をつくる
  • 1on1の目的、頻度、時間の取り方について、相手と認識をそろえる
  • 面談の終わりに、次回までにやることを一つだけ決める
  • 話した内容を簡単でよいので記録し、次回につながる材料を残す
  • 自分の表情や話し方が、相手にとって話しやすい雰囲気になっているか振り返る

試したくなる理由ははっきりしています。この本は、1on1の成否が話術より前に、場の意味づけと設計で決まると感じさせるからです。だからこそ、大きな制度変更より先に、1回の1対1の持ち方を変えるところから始めやすい本です。


1週間で試すならこうする

本書の内容を一週間で動かすなら、無理に完成形を目指すより、準備から振り返りまで一度通してみるのがよいと思います。

  • Day1:今の1対1の目的を書き出し、「部下のための時間」になっているか見直す
  • Day2:話題を「信頼構築」と「成長支援」に分けて、次回扱いたい内容を絞る
  • Day3:相手との1on1の頻度、時間、進め方をどうするか整理する
  • Day4:面談の場を整える。時間の取り方、場所、雰囲気づくりを確認する
  • Day5:実際に1on1を行う。全部を盛り込まず、まずは一つのテーマに集中する
  • Day6:面談後に記録を残し、次回までの行動を一つに絞って確認する
  • Day7:うまく話せた点と詰まった点を振り返り、次回の改善点を一つ決める

この進め方が合っているのは、本書がWhy、What、Howの順に組まれていて、導入の納得から運用まで一本でつながっているからです。読んだ内容を実務へ移すときも、その順番をなぞるほうが無理がありません。


つまずきやすい点と対策

いちばんつまずきやすいのは、1on1を始めても結局いつもの面談に戻ってしまうことです。進捗確認や評価の話は必要ですが、それだけになると、この本が大事にしている「部下と向き合う時間」という意味が薄れます。対策としては、最初から完璧な対話を目指すのではなく、毎回ひとつは信頼構築の話題を入れる、と決めておくと崩れにくくなります。

次に起こりやすいのは、出版社の打ち出しの強さもあって、短期間で大きな変化を期待しすぎることです。読後の印象としては、劇的な即効策というより、対話の質を地道に整えるための本でした。だからこそ、成果を急ぐより、1回ごとの面談の質と継続のしやすさを整えるほうが、この本の使い方としてはしっくりきます。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』との違い

比較軸は、テーマの置き方と実用性です。1on1をなぜやるのか、どんな時間として設計するのかから整理したいなら本書のほうが合います。一方で『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法は、別企業の実践を手がかりに、1on1運用のイメージをつかみたい人に向いています

本書の強みは、1on1を単なる会話術ではなく、評価や注意に偏りがちな1対1の場をどう組み替えるかという問題意識から始めていることです。そのうえで、信頼構築と成長支援という二つの軸に話題を分け、導入前の合意、進め方、継続のコツまで一冊でつなげています。対して『増補改訂版 ヤフーの1on1』は、1on1の入門と実践を別の企業事例から比較したいときに選びやすい一冊です。

向いている人も少し違います。1on1を始めたいが、そもそも何のための時間なのかが曖昧な管理職や人事には本書が向いています。すでに1on1という言葉は知っていて、他社のやり方から運用のヒントを得たい人には『増補改訂版 ヤフーの1on1』のほうが入りやすいはずです。


『世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」のすべて』との違い

比較軸は、深さと読者層です。現場ですぐ回せる1on1の型を知りたいなら本書、頻度や質問、アジェンダ設計を研究ベースで補強したいなら『世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」のすべて』が向いています。

本書は、社会や働き方が変わっているのに、上司と部下のコミュニケーションの取り方が古いままではないか、という問題意識が土台にあります。だから、読む側も「何を話すか」に入る前に、「この場をどう位置づけるか」を考え直しやすい構成です。対して『世界標準の1on1』は、1on1の頻度、質問、アジェンダ設計を研究ベースで固めたい人に向いていて、実務経験ベースの本書を読んだあとに補強として選ぶ流れが自然です。

読む目的で選ぶと迷いにくくなります。1on1が雑談や進捗確認で終わってしまう悩みがあり、まずは現場で形にしたいなら本書が先です。すでに1on1をある程度回していて、設計の妥当性をより客観的に確かめたいなら『世界標準の1on1』が役立ちます。


迷ったらどれを選ぶべき?

結論から言うと、評価面談中心の1対1を見直したい、1on1で何を話せばいいのか整理したい、導入から継続まで一通りつかみたいなら、この本から入るのがいちばんわかりやすいです。理由は、必要性、対話テーマ、始め方、続け方までを順番に押さえられるので、読むだけで全体像が崩れにくいからです。

企業事例から実践イメージを持ちたいなら『増補改訂版 ヤフーの1on1』、研究知見で設計を強めたいなら『世界標準の1on1』が合います。ただ、1on1をどういう時間として持つべきかを根本から整理したい人には、本書の入り方が最も使いやすいと思います。特に、部下との1対1が評価や注意に偏っていると感じているなら、この本を選ぶ意味ははっきりしています。


著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

世古詞一は、1973年生まれ、早稲田大学政治経済学部卒。VOYAGE GROUP(現CARTA HOLDINGS)の創業期から参画し、営業本部長・人事本部長などを歴任したのち、2008年に独立しています。現在は株式会社サーバントコーチ代表取締役、一般社団法人1on1コミュニケーション協会代表理事として活動し、1on1コミュニケーションやコーチング研修、組織人事コンサルティングの分野で仕事をしてきた人物です。


このテーマを書く理由

この本の主題が1on1に置かれているのは、著者の仕事の軸と重なっているからです。組織人事の支援を専門にし、企業の現場で人材育成やマネジメントに向き合ってきた経歴があるため、上司と部下の対話を単なる会話術ではなく、人材マネジメントの実務として捉えています。

本書は冒頭で、部下が育たない、優秀な人が辞める、チームに活気がないといった悩みを、個々の管理職の資質だけでなく、上司と部下のコミュニケーションの型そのものの問題として扱っています。そのうえで、評価面談とは別の1対1の対話をどう設計し、どう続けるかに話を進めていくため、著者の専門領域と本のテーマが無理なくつながっています。


この本が信頼できる理由

信頼しやすいのは、著者が1on1を理念だけで語っていない点です。組織人事コンサルタントとしての立場に加え、企業の営業・人事・経営にまたがる役割を経験しているため、現場の管理職が何に困るのかを実務の側から捉えています。そのため本書でも、必要性の説明だけで終わらず、何を話すか、どう始めるか、どう継続するかまで整理されています。

もう一つは、1on1を特別な技法として神格化していないことです。本書が置いているのは、社会や働き方が変わる中で、従来の面談のやり方だけでは部下理解や育成が追いつかないという問題意識です。だからこそ、信頼関係づくりから成長支援、さらに運用の細部まで一冊の中でつないでおり、このテーマを扱うだけの土台がある著者だと判断しやすい構成になっています。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、1on1とは何かをざっくり知りたいだけなら、要点だけでも入口としては十分です。この本は、評価面談との違いや、なぜ今1on1が必要なのかを整理してくれるので、まず全体像をつかむだけでも得るものはあります。

ただし、実際に導入したい、あるいは面談が評価寄りになっていて手応えがないと感じているなら、要約だけでは足りません。本書の価値は、必要性の説明よりも、何を話し、どう始め、どう続けるかまで具体化しているところにあるからです。


初心者向け? 中級者向け?

結論としては、初心者にかなり向いています。理由は、なぜ1on1が必要かという背景から入り、何を話すか、どう進めるかへと段階的に進む構成になっていて、いきなり高度な理論や制度論に飛ばないからです。

一方で、すでに1on1を実施している中級者にも使い道はあります。とくに、話題が雑談か進捗確認に偏っている人、面談が属人的になっている人には、対話テーマの整理や継続の仕組み化が見直しの軸になります。逆に、研究レビューや制度設計の深掘りを主目的にする人には、やや実務寄りに感じやすいはずです。


どこから読むべき?

初めて読むなら、素直に序盤から読むのがいちばん入りやすいです。最初の章で「なぜ今1on1が必要なのか」を押さえてから、信頼構築の話題、成長支援の話題、実施と継続の方法へ進む流れなので、納得しながら実践に入れます。

ただし、すでに1on1を始めていて、すぐ改善したい人は読み方を変えても大丈夫です。何を話せばよいかに困っているなら中盤、始め方や続け方でつまずいているなら終盤から入ると使いやすいです。全体としては、WhyからWhat、そしてHowへ進む設計がこの本の強みです。


忙しくても実践できる?

結論として、忙しくても実践しやすい本です。理由は、大がかりな制度変更を前提にせず、1on1の定義を見直す、話題を分ける、最初に目的と頻度の合意を取る、最後に次の行動を一つ決める、といった小さな実務単位に落とし込まれているからです。

もちろん、一冊読んだだけで劇的に変わるタイプではありません。本書は、月30分の対話をどう設計し、どう継続するかを地道に整えるための本です。その意味では、忙しい人ほど「全部やる」より、まずは評価や注意の場と切り分けて、1回の面談の終わりに次の一歩を一つ決めるところから始めると使いやすいです。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

この本の価値は、まず1on1を単なる面談技法ではなく、部下のための時間として捉え直せることです。評価や注意の延長になりがちな1対1を、信頼構築と成長支援の場へ切り替える視点が、本書の土台になっています。

次に、何を話せばいいのかが具体化されていることです。信頼関係をつくる話題と、成長を支える話題が整理されているので、1on1の中身がブラックボックスのまま終わりません。質問例や進め方まで含めて、実務に移しやすい形になっています。

最後に、始め方と続け方まで一冊で見渡せることです。必要性の説明だけで終わらず、準備、時間配分、終了時のアクション、継続のコツまでつながっているので、読み終えたあとに動きやすいです。反対に、組織文化や研究レビューを広く深く学ぶ本ではないので、1on1実務の型を得る本として読むのがいちばん合います。


この本をおすすめできる人

おすすめできるのは、1on1をこれから始める管理職、人事、そしてすでに面談はしているのに評価の場に寄りすぎて手応えがない人です。特に、部下理解や信頼構築、離職予防、育成支援を1on1にどう結びつければよいか迷っているなら、読む価値は十分あります。

逆に、研究データの厳密な比較や制度設計・報酬設計を主に求める人には、やや実務寄りに感じやすいはずです。この本は理論書というより、運用を前に進めるための土台をつくる本です。


今すぐやること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変えなくて大丈夫です。まずは次の1回の1on1の意味づけを変えるだけでも、この本の価値はかなり生きます。

今日の終業前に15分だけ取り、次回の1on1の目的を1行で書き換えてください。内容は「評価や注意の時間ではなく、部下の状態と関心事を把握し、次の行動につなげる時間」とするのがよいです。

そのうえで、話す内容を二つだけメモします。ひとつは信頼構築の話題、もうひとつは成長支援の話題です。最後に「次回までにやることを一つ決める」と書き足せば、次の1回から本書の核をそのまま試せます。


次に読むならこの本

増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』:国内企業での運用実践やFAQ、上司の働きかけをもう少し具体的に補いたい人に向いています。

『世界標準の1on1 科学的に正しい「対話の技術」のすべて』:頻度や質問、アジェンダ設計をエビデンスベースで補強したい人に合います。

『対話型マネジャー 部下のポテンシャルを引き出す最強育成術』:1on1の枠を超えて、対話型マネジメント全体へ理解を広げたい人におすすめです。




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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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