組織開発 ビジネス・経済・経営

【書評】ティール組織 入門[新訳イラスト版]――これからの人・組織・働き方の話をしよう

階層や管理を前提にした組織に違和感はあるけれど、自主経営やパーパスをどう捉えればよいか分からない。『ティール組織 入門[新訳イラスト版]』は、その手前にある「人を信頼する組織」という問いから、これからの働き方を考える入口になる本です。

この記事では、内容の流れ、印象に残った論点、実践への持ち帰り方、注意点までを整理します。本文を通じて、この本が自分の関心や課題に合うか、購入前に判断しやすくなるはずです。


同テーマのおすすめ本ランキングを見る

組織開発が学べるおすすめの本ランキング 11選!【2026年】

続きを見る



もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『ティール組織 入門[新訳イラスト版]』は、ティール組織の要点を短く理解するためだけの本ではなく、自分たちの組織を「管理」ではなく「信頼」と「対話」から見直すための入口になる本です。自主経営、全体性、進化する存在目的という3つの軸を通じて、組織の違和感を言語化し、これからの働き方について話し合う共通言語を得ることに効く一冊だと考えると分かりやすいです。


向いている人

向いているのは、今の職場やチームにどこか息苦しさを感じていて、それをどう捉えればよいのか探している人です。階層の重さ、現場と上層部の距離、部署間の分断、メンバーの主体性の出にくさなどに課題を感じているなら、本書の問題意識と接続しやすいはずです。

また、『ティール組織』本編に関心はあるけれど、分量の多さで手が止まっていた人にも合っています。イラストと短い本文で全体像をつかみやすく、読書会や社内対話の題材としても使いやすい構成です。人事、組織開発、チームづくりに関わる人にとっては、制度づくりの前に「そもそも、どんな組織を目指したいのか」を考える材料になります。


向いていない人

一方で、すぐ使える制度テンプレートや、明日からそのまま導入できるマネジメント手法を求めている人には、少し物足りない可能性があります。本書は、具体的な運用マニュアルを網羅する本ではなく、ティール組織の重要な考え方を絞って伝える入門書です。

また、「ティール組織になればすべて解決する」といった答えを期待して読む本でもありません。上司をなくす、ルールをなくす、自由にする、といった単純な話ではなく、自分たちの文脈で何を問い直すかを考える本です。短期的な成果を出すためのテクニック集を探している場合は、目的とずれるかもしれません。


先に結論(買う価値はある?)

組織のあり方を見直したい人や、『ティール組織』の全体像をまずつかみたい人には、読む価値があります。理由は、本書が単なる要約ではなく、「人を信頼する組織」という視点から、現代組織の違和感と新しい可能性をつなげてくれるからです。

特に良いのは、読みやすいイラスト版でありながら、問いそのものは軽くないところです。組織を変える前に、まず仲間と「いい組織とは何か」を話し始めたい人には、最初の一冊としてちょうどよい入口になります。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

第一に、本書は『ティール組織』の考え方を、短時間で全体把握できるように組み直した入門書です。大著の内容を単純に薄めた本ではなく、組織の未来について話し合うために必要な論点を、イラストと短い本文でつかみやすく整理しています。ティール組織に興味はあるけれど、本編の分量にハードルを感じていた人にとって、最初の入口になりやすい一冊です。

第二に、中心になるのは「自主経営」「全体性」「進化する存在目的」という3つのブレイクスルーです。これは単に新しい制度を導入する話ではなく、階層や管理に頼りすぎる組織の限界を見つめたうえで、人が自律的に動き、役割だけでなく一人の人間として関わり、組織の目的を固定された標語ではなく進化するものとして扱う考え方です。

第三に、本書は実践マニュアルというより、対話を始めるための本です。評価制度や予算管理、意思決定の詳細手順をすぐに教えてくれる本ではありません。むしろ、自分たちの組織では何が硬直しているのか、人を信頼する前提がどこまで置かれているのかを考えるための共通言語を渡してくれます。


著者が一番伝えたいこと

著者が一番伝えたいのは、組織は命令や管理、階層だけで動くものではなく、人を信頼するところから新しい可能性を開けるということだと思います。本書は、働く人を肩書や役割だけで見るのではなく、全体性を持った存在として捉え、どう共に働くかを考えるための対話を促しています。

そのため、読みどころは「ティール組織とは何か」を知ることだけではありません。現代組織の違和感を確認し、新しい組織の考え方を理解し、最後に実践や移行へ進む構成を通じて、読者自身が「自分たちの組織では何を変えられるのか」を考えられるように設計されています。


読むと得られること

読むと得られるのは、ティール組織の全体像だけではありません。自分たちの職場やチームを見直すための視点が得られます。たとえば、意思決定はどこで止まっているのか、情報はどのように流れているのか、人はどんな基準で評価されているのか、目標や予算は組織の活力を高めているのか。そうした問いを持てるようになることが、本書の大きな価値です。

また、読後には「ティール組織を導入するかどうか」よりも先に、「自分たちは人をどれくらい信頼して組織をつくっているのか」を考えたくなります。すぐに制度を変えるための本ではありませんが、読書会やチーム内の対話にはかなり使いやすい内容です。組織変革を大きなプロジェクトとして始める前に、まず共通の問題意識を持ちたい人に向いています。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなりティール組織の仕組みを説明するのではなく、まず「今の組織にある違和感」を読者と共有するところから始まります。そこから、新しい組織の見方を理解するための入口をつくり、自主経営・全体性・進化する存在目的という3つのブレイクスルーへ進み、最後に実践や移行、CEOの役割へと話をつなげていく構成です。

全体としては、問題提起から理論、そして実践への導線がはっきりしています。抽象的な組織論を一方的に説明するというより、「何がうまくいっていないのか」を言語化し、「では、どんな可能性があるのか」を考えられるように読者を導いていく流れです。


大見出し目次(短い目次)

  • Part 1 私たちは、まったく新しい方法を発明できるのでしょうか?
  • Part 2 それでは、この新しい組織は、どのように動くのでしょうか?
  • Part 3 どうすればそこにたどり着けるのでしょうか?


各章の要点

導入部では、この本が単なるマネジメント手法の解説ではなく、『ティール組織』の考え方を短く、直感的に共有するための入口であることが示されます。分厚い本編に入る前の案内役として、まず読む意味が分かる部分です。

第1章では、現代の組織が抱える課題を整理します。官僚主義、権力ゲーム、現場と上層部の断絶、サイロ化といった問題を通じて、「なぜ新しい組織のあり方を考える必要があるのか」が見えてきます。

第2章は、問題提起から新しい組織モデルの理解へ移る橋渡しです。いきなり概念を覚えるのではなく、物語を通じて新しい考え方に入っていく位置づけになっています。

第3章から第5章が、本書の中心です。第3章では自主経営、第4章では全体性、第5章では進化する存在目的が扱われ、ティール組織を理解するうえで欠かせない3つの柱が順番に整理されます。

第6章では、考え方を現場にどう接続するかに焦点が移ります。ティール組織を完成形として真似るのではなく、自分たちの組織で何を問い直すかを考える実践編です。

第7章では、新しい組織におけるCEOの役割が扱われます。自律や信頼を重視する組織であっても、リーダーの役割が消えるわけではないことを考える章として読めます。


忙しい人が先に読むならここ

時間が限られているなら、まずIntroductionと第1章を読むのがよさそうです。ここで、本書が何を目指している本なのか、そしてなぜ従来型の組織に限界があると考えるのかがつかめます。単にティール組織の用語を知る前に、問題意識を共有できるからです。

次に読むなら、第3章から第5章です。自主経営、全体性、進化する存在目的という3つのブレイクスルーが、本書の核になります。ここを押さえると、「ティール組織とは何か」を表面的な流行語ではなく、組織の前提を変える考え方として理解しやすくなります。

実践に関心がある人は、その後に第6章と第7章へ進むとよいでしょう。ただし、本書は細かな制度設計まで網羅する本ではありません。すぐに導入手順を探すというより、自分たちの組織で何を問い直すべきかを見つける読み方が合っています。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

読んでいちばん印象に残ったのは、この本が『ティール組織』を短くまとめた要約本というより、組織を見る前提を変えるための入口として作られている点です。自主経営、全体性、進化する存在目的という言葉だけを見ると、マネジメントの専門概念を学ぶ本に見えますが、読み進めるうちに中心にあるのは「人をどう信頼するか」という問いだと感じました。

特に良かったのは、最初から理想的な組織モデルを示すのではなく、現代の組織にある違和感から話が始まるところです。官僚主義、権力ゲーム、現場と上層部の断絶、部署間の分断といった問題が入口に置かれているため、ティール組織という言葉に詳しくなくても、自分の職場やチームの感覚とつなげて読めます。そこから3つのブレイクスルーへ進む流れが自然で、「新しい組織論を学ぶ」というより、「自分たちの働き方を見直す」読書になっていました。

もう一つ残ったのは、イラスト版であることの意味です。単に読みやすくするためではなく、他の人に伝えやすくし、職場やチームで話し合いやすくするための形なのだと受け取りました。実際、重い問いを扱っているのに、入口はやわらかい。そのバランスが、この本の大きな特徴だと思います。


すぐ試したくなったこと

読んでまず試したくなったのは、チームの中で「自分たちの組織のどこに硬さや違和感があるのか」を話してみることです。本書は、すぐに制度を入れ替えるための本というより、対話を始めるための本として読めます。だからこそ、いきなり大きな改革に進む前に、普段は言葉にしにくい組織への違和感を共有するところから始めたくなります。

次に試したいと思ったのは、人を信頼する前提がどこまで置かれているかを確認することです。自主経営という言葉だけを見ると、上司をなくす、管理を減らす、といった話に寄りやすいかもしれません。しかし本書を読むと、その前に、そもそもメンバーを信頼に値する存在として見ているのかという問いが立ち上がります。

また、意思決定や情報共有、評価、予算、目標の扱いを、自分たちの組織に引き寄せて見直したくなりました。細かな実践手順が示されるというより、どこに注目すれば組織の前提が見えてくるのかを教えてくれる本です。読書会やチーム内の対話に使うと、単なる感想交換ではなく、組織のあり方を考える共通言語になりそうです。


読んで気になった点

気になった点を挙げるなら、具体的な制度設計や運用方法を細かく知りたい人には、期待値とのズレが出るかもしれないところです。本書は第6章で実践や移行にも進みますが、あくまで入門書であり、詳細な手順書やテンプレート集ではありません。ティール組織をどう導入するかを細かく知りたい人は、本編や関連書に進む前提で読んだほうがよさそうです。

また、読みやすいイラスト版ではありますが、扱っている問いは軽くありません。第3章から第5章で扱われる3つのブレイクスルーは、制度の話であると同時に、人間観や組織観を問い直す内容です。そのため、軽いビジネス書として読むと、思ったより深いところまで考えさせられるかもしれません。

ただ、その引っかかりは欠点というより、本書の性格でもあります。すぐに使えるノウハウを集める本ではなく、自分たちの組織の文脈で何を問い直すかを考える本です。そこを理解して読むと、読みやすさの奥にある問いの重さまで受け取れる一冊だと思います。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

本書は、読んですぐ大きな制度改革を始めるための本というより、組織の見方を変え、対話を始めるための本です。まずは自分のチームや職場を、管理・信頼・目的という観点で見直すところから始めるのが現実的です。

  • 今の組織で何がうまくいっていないのかを、1人で10分だけ書き出す
  • 官僚主義、権力ゲーム、現場不在、サイロ化のどれに近い違和感かを確認する
  • 自分のチームでは、誰がどこまで意思決定できているかを振り返る
  • 自主経営を、上司をなくす話ではなく意思決定のあり方として捉え直す
  • 全体性について、職場で役割以外の自分を出しにくい場面を探す
  • 進化する存在目的を、自社の理念ではなく日々の判断基準として見直す
  • 読書会や1on1で、管理より信頼を増やすには何が必要かを話題にする
  • すぐに制度化せず、自分たちの文脈で問い直すテーマを1つだけ選ぶ

最初は、すべてを実践しようとしなくて大丈夫です。いちばん始めやすいのは、チームの違和感を言葉にすることです。


1週間で試すならこうする

Day1は、読み終えて印象に残った論点を3つだけ書き出します。特に「自主経営」「全体性」「進化する存在目的」のどれが自分の組織課題に近いかを確認します。

Day2は、職場で感じている違和感を整理します。官僚主義、現場と上層部のずれ、部署間の分断など、本書が扱う問題意識に近いものがないかを見ます。

Day3は、意思決定と情報共有に注目します。誰が何を決めているのか、必要な情報がどこで止まっているのかを、批判ではなく観察として書き出します。

Day4は、チームの中で「人を信頼する前提」がどこに表れているかを探します。逆に、信頼より管理が強く出ている場面も確認します。

Day5は、信頼できる同僚やメンバーと短く対話します。結論を急がず、「今の組織で変えたいこと」と「残したい良さ」を話す程度で十分です。

Day6は、3つのブレイクスルーのうち、自分たちが最初に深めたいテーマを1つ選びます。全部を同時に扱わず、いちばん切実な問いに絞ります。

Day7は、次に話し合う場を決めます。読書会、チームミーティング、1on1など、無理なく続けられる形にして、制度変更よりも対話の継続を優先します。


つまずきやすい点と対策

まず起こりやすいのは、自主経営を試そうとして「管理をなくせばよい」と受け取ってしまうことです。そうすると、誰が何を決めるのか、情報をどう共有するのかが曖昧になり、かえって混乱しやすくなります。小さく始めるなら、いきなり権限移譲を広げるのではなく、ひとつの会議やひとつの判断について「現場で決められる範囲」を確認するところからが現実的です。

次につまずきやすいのは、「人を信頼する」をきれいな理念として掲げるだけで終わってしまうことです。本書の核は、信頼を言葉にすることではなく、意思決定、情報共有、評価、目標といった日常の運営にどう表れるかを問う点にあります。対策としては、抽象的なスローガンにせず、「どの情報を共有すれば、メンバーが自律的に判断しやすくなるか」のように、具体的な場面へ落とし込むことです。

もうひとつは、ティール組織を正解モデルとしてそのまま導入しようとすることです。本書は、すべての組織が同じ形を目指すためのマニュアルではなく、自分たちの文脈で探求するための入口として読むほうが合っています。小さく始めるなら、「理想の組織像」を決め切る前に、今の組織で生命力や主体性を奪っているものは何かをチームで話し合うことから始めると、無理な導入になりにくいです。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理

この3冊は、どれも組織のあり方を考える本ですが、入り口と深める方向が違います。本書は、ティール組織の全体像を短くつかみ、チームで対話を始めるための入門書です。

重心 向いている人
『ティール組織 入門[新訳イラスト版]』 全体像と対話の入口 まず考え方をつかみたい人
『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』 理論・事例・実践の詳細 本格的に深掘りしたい人
『自主経営組織のはじめ方――現場で決めるチームをつくる』 自主経営の実践 現場で動かす方法を知りたい人


『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』との違い

本書は、『ティール組織』本編の中核を、イラストと短い本文で理解しやすく再構成した入門書です。自主経営、全体性、進化する存在目的という3つのブレイクスルーを押さえながらも、読者を細かな理論や事例の奥へ一気に連れていくというより、「まず何を問題としている本なのか」「自分たちの組織で何を話し合えばよいのか」をつかみやすくしています。

『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』は、理論・調査・事例・組織進化の枠組みをより深く知りたい人に合います。一方で本書は、分厚い本編に入る前に全体像をつかみたい人、社内で共通言語をつくりたい人、読書会やチーム学習の題材として使いたい人に向いています。最初の一冊としては、本書のほうが入りやすいです。


『自主経営組織のはじめ方――現場で決めるチームをつくる』との違い

本書は、ティール組織を構成する3つの考え方をまとめて扱い、組織を「管理する対象」ではなく、人を信頼し、目的に向かって進化する場として捉え直す本です。『自主経営組織のはじめ方』は、その中でもセルフ・マネジメントを、既存組織からの移行や現場運営の観点で補う本としてつながります。

すぐに現場での意思決定や役割設計を考えたい人には、『自主経営組織のはじめ方』が合います。ただし、自主経営だけを先に学ぶと、「ティール組織=上司がいない組織」「自律=放任」という誤解に寄る可能性もあります。全体性や進化する存在目的も含めて大枠をつかみたいなら、先に本書を読むほうが


迷ったらどれを選ぶべき?

本書を選ぶべきなのは、組織変革の正解モデルを探している人というより、自分たちの職場で「何がうまくいっていないのか」「どんな組織の可能性があるのか」を話し始めたい人です。ティール組織という言葉だけ知っている段階なら、まず本書で全体像をつかむのがいちばん自然です。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

フレデリック・ラルー氏は、『Reinventing Organizations』の著者です。長年マッキンゼーで働いた後、コーチ、ファシリテーターとして活動し、『ティール組織』などのプロジェクトに取り組むようになった人物です。

エティエンヌ・アペール氏は、本書原著イラスト版のイラストを担当しています。『ティール組織』の考え方を、文章だけでなく視覚的に伝えるうえで重要な役割を担っています。

鈴木立哉氏は、本書の訳者です。フリーランス金融翻訳者であり、『ティール組織』などの訳書がある人物として紹介されています。

嘉村賢州氏は、本書の監訳者です。NPO法人場とつながりラボhome's vi代表理事で、ティール組織をはじめとする進化型組織の研究・普及に主軸を移してきた人物です。


著者の経験が本書にどう活きているか

本書の中心にあるのは、組織を命令・管理・階層だけで捉えるのではなく、人を信頼し、目的に向かって進化する場として見直す視点です。ラルー氏は、組織と働き方をめぐる探究を『Reinventing Organizations』としてまとめた著者であり、その中核を入門書として再構成する役割を担っています。

アペール氏のイラストは、ティール組織の主要概念を視覚的に理解しやすくするうえで重要です。自主経営、全体性、進化する存在目的といった抽象度の高いテーマを、読者が対話に使いやすい形へ近づけています。

鈴木氏と嘉村氏の関与は、日本語読者に向けた理解のしやすさを支えています。特に嘉村氏は、進化型組織の研究・普及に関わってきた背景があり、本書の内容を日本の組織文脈に接続するうえで重要な位置にいます。全体として、本書は単なる海外組織論の紹介ではなく、日本語で「人を信じる組織」について話し合うための入口として読める一冊です。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

大枠を知りたいだけなら、要約でも大丈夫です。ティール組織の中心にある「自主経営」「全体性」「進化する存在目的」という3つの柱や、本書が実践マニュアルではなく対話の入口であることを押さえれば、購入前の判断材料にはなります。

ただし、チームで読書会をしたい、自分の組織に引き寄せて考えたい、現場の違和感を言語化したい場合は、本文にあたる価値があります。本書は結論だけを抜き出すより、既存組織への違和感から新しい可能性へ視点が移っていく流れを読むことで理解しやすい構成です。


初心者でも読める?

組織論やマネジメントの専門知識がなくても、読み始めやすい本です。イラスト版として構成されており、『ティール組織』本編の分量にハードルを感じる人でも、全体像をつかみやすくなっています。

ただし、内容は単なる入門用の軽い解説ではありません。自主経営、全体性、進化する存在目的といった考え方は、制度やノウハウだけで理解するよりも、「人をどう見るか」「組織をどう捉えるか」という前提に踏み込んで読む必要があります。チームの硬直感や現場の無力感に関心がある人ほど、読みやすく感じるはずです。


どこから読むべき?

基本は通読向きです。本書は、現代組織への違和感を共有し、新しい組織の考え方を理解し、最後に実践や移行へ進む構成になっています。途中から読むより、導入部から順に読むと、著者が読者をどのように対話へ招いているかが分かりやすくなります。

忙しい人は、まず導入部と第1章で問題意識をつかみ、その後に第3章〜第5章で3つのブレイクスルーを読むのがおすすめです。さらに自分の組織で何を問い直すかを考えたい場合は、第6章と第7章まで進むと、考え方から始め方へつながります。


読む前に注意点はある?

注意したいのは、ティール組織を「フラットで自由な組織」と単純化しないことです。本書が扱う自主経営は、上司をなくすことやルールをなくすこととは違います。全体性も、ただ仲良く働くことではなく、進化する存在目的も、きれいな理念を掲げるだけではありません。

また、本書は具体的な制度設計や運用テンプレートを網羅する本ではありません。短期的な成果を出すためのマネジメント術や、すぐ導入できる制度パッケージを期待するとズレやすいです。むしろ、自分たちの職場で何を問い直すべきかを考え、仲間と「いい組織とは何か」を話し始めるための本として読むと、得られるものが大きくなります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、ティール組織の全体像をつかみやすいことです。自主経営、全体性、進化する存在目的という3つの柱を、細かな制度論に入る前に理解できるため、『ティール組織』本編の分量にハードルを感じていた人でも入口にしやすい一冊です。読者にとっては、「ティール組織とは何か」を短く説明できる共通言語が得られます。

2つ目の価値は、組織の問題を「仕組み」だけでなく「人をどう見るか」から考え直せることです。本書は、階層や管理を中心にした組織の限界から出発し、役割や肩書だけではなく、働く人を全体性のある存在として捉える方向へ話を進めます。組織の硬直感や現場の無力感に悩む読者にとって、議論の出発点を変えるきっかけになります。

3つ目の価値は、すぐ制度を導入する本ではなく、仲間と対話を始める本として使えることです。網羅的な実践マニュアルではないからこそ、読書会や社内対話の材料として扱いやすくなっています。自分たちの組織では何を信頼し、何を見直すべきかを話すための土台になります。


この本をおすすめできる人・合わない人

おすすめできるのは、今の組織やチームに息苦しさを感じている人、管理ではなく信頼を軸にした組織づくりを考えたい人、『ティール組織』本編の前に全体像をつかみたい人です。経営者やリーダー、人事・組織開発に関わる人だけでなく、職場のあり方について仲間と話したい人にも合います。

一方で、短期的な成果を出すためのマネジメント術や、すぐ導入できる制度テンプレートを期待するとズレやすいです。本書は網羅的な手法集ではなく、自分たちの文脈で問いを立てるための本です。答えを持ち帰るより、対話のきっかけを持ち帰る本として読むほうが向いています。


読むならどう活かす?

ガイドさん
ガイドさん
最初から組織全体を変えようとしなくて大丈夫です。まずは、自分のチームで感じている違和感を1つ言葉にするだけでも十分です。

読むなら、まず「自分の組織で何がうまくいっていないのか」を書き出すところから始めるのがよいです。今日の会議後に5分だけ、現場の声が届かなかった場面、部署間で分断を感じた場面、目的が見えにくかった場面をメモしてみると、本書の問いが自分ごとになります。

そのうえで、自主経営・全体性・進化する存在目的の3つを、自社やチームの現状に照らして眺めると読みっぱなしになりにくいです。導入パッケージとして扱うのではなく、仲間と「自分たちは何を信頼できていて、何を信頼できていないのか」を話す材料にするのが、本書らしい活かし方です。


次に読むならこの本




組織開発が学べるおすすめ書籍

組織開発が学べるおすすめ書籍

組織開発を学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。

  1. 組織開発が学べるおすすめの本ランキング
  2. だから僕たちは、組織を変えていける
  3. 自律型組織をつくるマネジメント変革
  4. 冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法
  5. 組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?
  6. 人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門
  7. 組織開発の探究――理論に学び、実践に活かす
  8. 入門 組織開発~活き活きと働ける職場をつくる~
  9. いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
  10. マンガでやさしくわかる組織開発
  11. 学習する組織 ― システム思考で未来を創造する
  12. ティール組織 入門[新訳イラスト版]――これからの人・組織・働き方の話をしよう


  • この記事を書いた人
  • 最新記事

兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

-組織開発, ビジネス・経済・経営
-, ,