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【書評】静かなリーダーが心理的安全性をつくる|要約と感想、向いている人を整理

【書評】静かなリーダーが心理的安全性をつくる|要約と感想、向いている人を整理

心理的安全性の大切さは分かっていても、職場で何から始めればよいのか迷う人に向けて、『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』はTISの実践を軸に、見える化・対話・振り返りへ落とし込む本です。

この記事では、章の流れ、読んで残った論点、実践への使い方、注意点まで整理します。TISの事例や働きがい32%向上という成果をどう受け止めればよいかも含めて、購入前に自分の課題と合う本か判断しやすくします。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』は、心理的安全性を「大切な考え方」で終わらせず、チームの中で何を見える化し、どんな対話を重ねればよいのかまで落とし込む本です。TISでの実践を軸に、価値観の共有、もやもやや心配事の見える化、チームのありたい姿の言語化、振り返り、1on1やコーチングなど、現場で試しやすい行動に分けて整理されています。


向いている人

この本が向いているのは、心理的安全性の重要性は理解しているものの、実際に何から始めればよいかで止まっているリーダーやマネージャーです。部下が本音を話してくれない、1on1が形だけになっている、チームに活気や連帯感が足りないと感じている人には、読みながら自分の職場に引き寄せて考えやすい内容です。

また、組織風土を変えたいけれど、大きな制度改革や派手な施策から始めるのは難しいと感じている人にも合います。本書は、いきなり問題を解決するよりも、まずお互いの価値観や不安、チームの状態を見えるようにすることを重視しています。そのため、人材育成や組織開発に関わる人にとっても、チームづくりと個人の強み・軸の発見をつなげて考える材料になります。


向いていない人

一方で、心理的安全性の学術的な定義や海外研究を体系的に学びたい人には、少し実践寄りに感じられるかもしれません。理論を深く掘り下げる本というより、企業内での取り組みをもとに、現場でどう動くかを考える本だからです。

また、すぐに再現できる万能フレームワークだけを求める人にも、期待とずれる可能性があります。TISで働きがいが32%向上した成果は目を引きますが、それをどの組織にもそのまま当てはまる結果として読むのは慎重であるべきです。本書の価値は、成果の数字そのものより、そこに至るまでの見える化、対話、振り返りの積み重ねにあります。


先に結論(買う価値はある?)

心理的安全性を職場でどう育てればよいか悩んでいるなら、読む価値は十分あります。理由は、心理的安全性を「優しい雰囲気づくり」ではなく、本音やWILL・CANが表に出るための土台として扱い、チームと個人の両面から整理しているからです。

特に、強いカリスマ性で引っ張るリーダー像にしっくりこない人には、本書の「静かなリーダー」という視点は受け取りやすいはずです。完璧な施策を用意する前に、まずチームの状態を見える化し、小さな対話を始める。その第一歩を考えるための本として手に取りやすい一冊です。


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要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』の重要ポイントは、大きく3つに整理できます。1つ目は、心理的安全性を「よい雰囲気」や「話しやすさ」だけで終わらせず、チームの状態を見えるようにする実践として扱っている点です。本書では、価値観、もやもや、心配事、チーム状況、ありたい姿を言語化し、対話と振り返りを重ねることが、心理的安全性づくりの土台として示されています。

2つ目は、組織風土づくりにある「こうしなければならない」という思い込みを疑うことです。問題はすぐ解決しなければならない、全員の賛同を得なければならない、成果が出るには時間がかかる、といった前提に縛られると、動き出すまでのハードルが高くなります。本書は、完璧な施策を準備するよりも、まず小さく見える化し、対話を始める方向へ読者を促します。

3つ目は、心理的安全性をチームだけでなく、個人の開花にもつなげている点です。第Ⅰ部ではTISでのチームづくりの実践を扱い、第Ⅱ部では1on1、コーチング、マイパーパス、強みや軸の発見へと話が広がります。さらに第Ⅲ部では専門家の寄稿や対談を通じて、心理的安全性、キャリア、パーパス、コーチングなどの周辺テーマを補強する構成です。


著者が一番伝えたいこと

本書が一番伝えようとしているのは、心理的安全性は特別な大改革でつくるものではなく、日々の小さな見える化、言語化、対話、振り返りの積み重ねで育てられるということです。チームをよくしたいと思っても、最初から完璧な施策を用意する必要はありません。まず聞いてみる、言葉にしてみる、もやもやを出せる場をつくる。そうした静かな行動が、心理的安全性の入口として描かれています。

もう一つ大事なのは、心理的安全性が単なる仲の良さや優しい雰囲気ではないという点です。本書では、心理的安全性を、チームの成果や働きがい、個人の強みや軸が表れやすくなる土台として扱っています。だからこそ、リーダーには本音を語り、メンバーの声を引き出し、伝えてよかったと思える体験を増やす役割があると整理できます。


読むと得られること

この本を読むと、心理的安全性を抽象的な概念ではなく、現場で扱える行動に変換しやすくなります。お互いを知る機会をつくる、もやもやや心配事を見える化する、チームの目指す姿を言語化する、振り返りを続ける、1on1を進捗確認だけで終わらせない。そうした具体的な切り口を通じて、自分のチームで何から始めればよいかを考えやすくなります。

また、リーダー像についても見方が変わります。本書で描かれるリーダーは、強いカリスマ性で引っ張る人というより、本音を語り、相手の本音を引き出し、伝えてよかったと思える体験をつくる人です。心理的安全性を「仲良くすること」や「何でも許すこと」と誤解せず、チームの成果、働きがい、個人の強みの表出につなげて考えられる点が、本書から得られる大きな価値です。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、心理的安全性を「大切な考え方」として説明するだけでなく、現場でどう育てていくかへ段階的に進む構成です。最初に、組織風土づくりを妨げる思い込みをほどき、次にTISでの取り組み前の状態を確認し、そのうえで見える化・言語化・振り返りといった実践に入っていきます。

中盤以降は、チーム全体の話から、1人ひとりのWILL/CAN、1on1、コーチング、マイパーパスへ広がります。心理的安全性を、単なる職場の雰囲気づくりではなく、メンバーの本音や強み、軸が表に出る土台として扱っている点が特徴です。最後は専門家の寄稿や対談によって、心理的安全性、幸せ、キャリア、価値観、コーチング、パーパスなどを補強する流れになっています。


大見出し目次(短い目次)

  • I部 チームの心理的安全性のつくり方
  • II部 1人ひとりの開花
  • Ⅲ部 心理的安全性を深めるために


各章の要点

第Ⅰ部の前半では、組織を変えるときにリーダーが抱きやすい前提を問い直します。問題をすぐ解決しなければならない、全員の賛同を得なければならない、といった思い込みを外すことで、心理的安全性づくりの入口が見えやすくなります。

第Ⅰ部の中盤は、本書の実践面の中心です。価値観、もやもや、チーム状況、ありたい姿を見える化し、振り返りを重ねる流れが示されます。心理的安全性を「空気」だけでなく、チームが自分たちの状態を見つめ直す仕組みとして捉えられる部分です。

第Ⅰ部の後半では、連帯感づくり、成果、リーダーの関わり方へ進みます。働きがい32%向上という成果も扱われますが、そこだけを切り取るより、見える化や対話の積み重ねがどうリーダー像につながるかを読むと理解しやすい章です。

第Ⅱ部は、チームの話から個人の開花へ橋渡しする役割を持っています。1on1やコーチング、マイパーパス、強みと軸の発見が扱われ、心理的安全性が個人のWILLやCANを表に出すための土台として整理されます。

第Ⅲ部は、専門家の視点で本書のテーマを広げるパートです。心理的安全性だけでなく、仕事の幸せ、キャリア、価値観、コーチング、パーパス、コミュニケーションまでつながるため、実践をもう一段深く理解したい人向けの補強部分といえます。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部を一気に読めない場合は、まず「チームで何をすればよいか」が分かる実践パートから読むと、本書の価値をつかみやすいです。

忙しい人が先に読むなら、第Ⅰ部の中盤にあたるチームづくりの実践パートから入るのがよいでしょう。価値観やもやもやの見える化、チームのありたい姿の言語化、振り返りといった内容がまとまっており、心理的安全性を現場でどう扱うかがつかみやすいからです。

次に読むなら、リーダーの関わり方を扱う第Ⅰ部後半です。本書は、強いカリスマ性で引っ張るリーダー像ではなく、本音を語り、相手の本音を引き出し、伝えてよかったと思える体験をつくるリーダー像を重視しています。ここを読むと、タイトルにある「静かなリーダー」の意味が見えやすくなります。

その後に第Ⅱ部へ進むと、チームづくりと個人の開花がどうつながるかが分かります。1on1やコーチングをすでに実施している人、部下の強みや軸を引き出したい人は、第Ⅱ部を先に読んでも得るものが多いはずです。第Ⅲ部は、実践をより広い視点で整理したいときに読むと、心理的安全性をキャリアやパーパスまで含めて捉え直せます。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

いちばん印象に残ったのは、心理的安全性を「話しやすい雰囲気をつくること」だけで終わらせていない点です。本書では、価値観やもやもや、心配事、チームの状態、ありたい姿を見える化し、それをもとに対話と振り返りを重ねていく流れが描かれます。読んでいて、心理的安全性は空気のように自然に生まれるものではなく、チームが自分たちの状態を見つめ直すための仕組みでもあるのだと感じました。

もうひとつ残ったのは、チームづくりの話が個人のWILLやCAN、マイパーパスへつながっていく構成です。前半はTISでの実践をもとにした組織づくりの話として読めますが、中盤以降は、メンバーやリーダー自身が自分の強みや軸に気づく話へ広がっていきます。心理的安全性があるから本音が出せる、本音が出せるから個人のやりたいことや強みも表に出やすくなる、というつながりが腑に落ちました。

著者自身が長く「やりたいことがない」と感じていた経験を語っていることも、本書の印象をやわらかくしています。上から理想論を語るのではなく、自分自身も迷いながら、チームやメンバーの開花に向き合ってきた本として読めました。そのため、心理的安全性を制度や研修の話だけでなく、日々の対話や関係性の中で考え直せるところに実読感がありました。


すぐ試したくなったこと

読んでまず試したくなったのは、チームの中にある「もやもや」や「心配事」を、すぐ解決しようとする前に見える化することです。問題を片づけることばかりに意識が向くと、そもそも何に不安があり、何を大切にしたいのかが置き去りになりやすい。本書を読むと、解決策を急ぐよりも、まず言葉にして出せる場をつくることが心理的安全性の入口になると感じます。

また、1on1を単なる進捗確認で終わらせない、という視点も試したくなりました。本書では、1on1やコーチングが、メンバーの力を引き出す流れの中で扱われています。相手のWILLやCAN、強みを見つけるためには、リーダー側が聞き方を変え、安心して話せる関係をつくる必要がある。そう考えると、1on1の時間は「報告を受ける場」ではなく、相手の内側にあるものを一緒に見つける場として見直せそうです。

さらに、リーダー自身が本音を語ることの重要性も残りました。強く引っ張るよりも、まず自分が完璧でない状態を見せ、相手が話してよかったと思える体験をつくる。その積み重ねが「静かなリーダー」のあり方につながっているように受け取りました。


読んで気になった点

気になった点を挙げるなら、TISの事例が中心にあるため、自分の職場にそのまま置き換えられるとは限らないところです。働きがいが32%向上したという成果は目を引きますが、その数字だけを切り取って「同じことをすれば同じ結果が出る」と読むのは少し危ういと感じました。本書の価値は成果の再現性を保証することではなく、そこに至るまでの見える化、対話、振り返りの積み重ねをどう自分の現場に引き寄せるかにあります。

また、心理的安全性の理論や研究を体系的に学びたい人には、やや実践寄りに感じられる可能性があります。第Ⅲ部で専門家の寄稿や対談はありますが、全体の軸はあくまでTISでの取り組みと、著者自身の経験にあります。理論を深く掘り下げる本というより、現場で小さく動き出すための本として読むほうが、期待とのズレは少ないと思います。


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実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

本書は、心理的安全性を大きな制度改革ではなく、日々の見える化や対話から育てるものとして扱っています。読後にまず試すなら、チーム全体を一気に変えようとするより、話しやすさの土台になる小さな行動から始めるのが現実的です。

  • チーム内で、各自が大切にしている価値観や働き方のこだわりを言葉にする時間をつくる。
  • メンバーが抱えているもやもやや心配事を、解決前提ではなく共有前提で出してもらう。
  • チームの状態について、今うまくいっていることと停滞していることを分けて整理する。
  • チームとして目指したい姿を、リーダーだけで決めず、メンバーの言葉も入れて言語化する。
  • 振り返りの場では、反省点だけでなく、気づきや次に試したいことまで確認する。
  • 1on1を進捗確認だけで終わらせず、本人のWILLやCANに関わる問いを少し入れる。
  • リーダー自身が、完璧な答えではなく今感じていることを率直に共有する。
  • メンバーが話したあとに、伝えてよかったと思える反応を返すことを意識する。
  • 組織づくりで自分が抱えている「こうしなければならない」を一度書き出す。

特に始めやすいのは、もやもやや心配事を見える化することです。すぐに解決策を出そうとせず、まずチームの中に何があるのかを共有するだけでも、本書の考え方を試す入口になります。


1週間で試すならこうする

Day1は、今のチームで心理的安全性を高めたい理由を自分の言葉で整理します。部下が本音を話しにくいのか、1on1が形だけになっているのか、課題をひとつに絞ると動きやすくなります。

Day2は、自分が無意識に持っている「こうしなければならない」を書き出します。問題はすぐ解決すべき、全員の賛同が必要、といった前提に気づくことが、行動を小さくする第一歩になります。

Day3は、チームの状態を見える化します。活気がある部分、停滞している部分、話しにくそうなテーマを分けて眺めるだけでも、対話の入口が見えます。

Day4は、短い時間で価値観や大切にしたいことを共有する場をつくります。大きなワークにせず、仕事で大切にしていることを一人ずつ言葉にする程度から始めると負担が少なくなります。

Day5は、1on1の聞き方を少し変えます。進捗や課題の確認だけでなく、本人がやりたいこと、得意だと感じていること、最近気になっていることにも触れてみます。

Day6は、メンバーが話してくれたことに対して、受け止め方を意識します。評価や解決を急ぐより、話してよかったと思える反応を返すことを優先します。

Day7は、1週間で見えた変化や気づきを振り返ります。成果を急いで判断するのではなく、何が話しやすくなったか、次にどんな対話を増やせそうかを確認します。


つまずきやすい点と対策

まずつまずきやすいのは、もやもやや心配事を見える化しようとして、すぐに解決策まで求めてしまうことです。これをやると、メンバーは「話したらすぐ対処を迫られる」と感じ、本音を出しにくくなります。最初は、解決する場ではなく、状態を共有する場だと位置づけると小さく始められます。

次に起こりやすいのは、チームのありたい姿をリーダーだけでまとめてしまうことです。方向性を早く決めたくなるほど、メンバーの言葉が入りにくくなります。まずは一人ひとりが大切にしたいことを出し、その共通点を拾うところから始めると、押しつけになりにくくなります。

1on1でも、進捗確認の延長で終わってしまうことがあります。本書の流れで考えるなら、1on1はメンバーのWILLやCAN、強みに気づくための対話でもあります。いきなり深い話を引き出そうとせず、最近やりがいを感じたことや、少し気になっていることを聞く程度から始めると自然です。

もうひとつのつまずきは、働きがい32%向上のような成果を急いで追いかけてしまうことです。数字は魅力的ですが、本書の実践価値は、見える化、対話、振り返りを積み重ねる過程にあります。最初の段階では、大きな成果よりも、メンバーが少し話しやすくなったか、チームの状態が前より見えるようになったかを確認すると続けやすくなります。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理

心理的安全性を扱う本でも、何を知りたいかで選ぶ本は変わります。『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』は、TISの実践事例を通じて、見える化・言語化・振り返り・1on1をどうチーム運営に落とし込むかに重心があります。基礎理解を固めたいのか、日常の言葉に落としたいのかで、相性のよい本は変わります。

重心 向いている人
『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』 企業事例を通じた実践と組織づくり 職場で何から始めるか迷うリーダー
心理的安全性のつくりかた 基礎理解と再現アプローチ 心理的安全性の考え方を整理したい人
最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55 日常の言葉・声かけ すぐ使える表現を増やしたい人


『心理的安全性のつくりかた』との違い

『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』は、TISの「kaika」という取り組みを軸に、心理的安全性をチームづくりの現場行動へ落とし込む本です。価値観やもやもやの見える化、チームのありたい姿の言語化、1on1やコーチングなど、実際に組織の中でどう動かすかに焦点があります。一方で『心理的安全性のつくりかた』は、心理的安全性の基礎理解や、職場で高めるための再現アプローチを学ぶ本として整理できます。

心理的安全性についてこれから体系的に理解したい人には、『心理的安全性のつくりかた』が入り口になりやすいです。すでに重要性は理解していて、「自分のチームでは何を見える化し、どう話し始めればよいか」を考えたい人には、『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』のほうが具体的に使いやすいでしょう。


『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』との違い

『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』は、言葉づかいだけでなく、チームの状態を見える化し、振り返りを続け、個人のWILL/CANやパーパスまでつなげて考える本です。TISの取り組み、働きがい向上の事例、専門家の寄稿・対談も含まれているため、心理的安全性を組織づくり全体の中で捉えたい人に向いています。一方で『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』は、日常の言葉や声かけに落とす実践書として比較しやすい本です。

すぐに会議や1on1で使う表現を増やしたい人には、『最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55』が合います。対して、言葉だけでなく、チームのありたい姿、もやもやの扱い方、振り返りの継続まで含めて考えたい人には、『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』が向いています。


迷ったらどれを選ぶべき?

『静かなリーダーが心理的安全性をつくる』を選ぶべきなのは、心理的安全性を知識で終わらせず、自分のチームでどう育てるかを考えたい人です。派手な改革よりも、まず聞く、見えるようにする、言葉にする、振り返るという小さな実践から始めたいリーダーには、この本がもっとも合いやすいでしょう。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

川野いずみ氏は、TIS株式会社に所属する著者です。1994年に名古屋大学経済学部を卒業後、現TIS株式会社に入社し、金融系システム開発の開発チームリーダーとして長く勤務してきました。2018年からは所属事業部の育成や働きがい向上施策の企画推進を担当し、2022年4月からは品質革新本部で、TISインテックグループの社員やビジネスパートナーを対象に、チームとメンバーの開花を目指す取り組みを進めています。

また、川野氏は心理的安全性、1on1、コーチング、CAN/WILLの言語化を専門領域として掲げています。保有資格として、情報処理技術試験プロジェクトマネージャ、心理的安全性認定マネジメント、国家資格キャリアコンサルタント、メンタルヘルス・マネジメント1種、ビジネスコーチ社認定ビジネスコーチなどがあります。


著者の経験が本書にどう活きているか

本書の信頼性は、心理的安全性を外から解説するだけでなく、著者自身がチーム運営、育成、働きがい向上施策に関わってきた経験を土台にしている点にあります。とくに、長くシステム開発チームのリーダーを務めてきた経歴は、チームで成果を出す難しさや、メンバー一人ひとりの状態に目を向ける必要性とつながっています。

本書では、TISでの「kaika」を軸に、価値観の見える化、もやもやや心配事の見える化、1on1、コーチング、強みや軸の発見が扱われます。川野氏のキャリアコンサルタントやビジネスコーチとしての資格、メンタルヘルスに関する知識は、チームづくりだけでなく、個人のWILLやCANを引き出すという本書のテーマにもつながっています。単なる理論紹介ではなく、組織の中で心理的安全性をどう育てるかを考える背景がある著者だといえます。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

大枠を知りたいだけなら、要約だけでも本書の方向性はつかめます。心理的安全性を、見える化・対話・振り返り・1on1などの行動に落とし込む本だと分かれば、購入判断の材料にはなります。

ただし、実際にチームで試したい人は本文まで読んだほうがよいです。本書の価値は、TISでの取り組みを通じて、どのようにチームの状態を見える化し、対話を積み重ねていくかを追える点にあります。結果だけでなく、そこに至る流れを読むことで、自分の職場に引き寄せやすくなります。


初心者でも読める?

心理的安全性の専門知識が深くなくても読みやすい本です。中心にあるのは、TISでの取り組みをもとに「職場で何から始めるか」を考えることなので、理論だけを追う本よりも現場の悩みに近い形で読めます。1on1、コーチング、チームの関係性、働きがいに関心がある人なら入りやすいでしょう。

一方で、内容はチームづくりだけに閉じていません。後半では、個人のWILL/CAN、マイパーパス、強みや軸の気づき方にも広がります。心理的安全性を「話しやすい雰囲気づくり」だけの本だと思って読むと、扱う範囲が少し広く感じられるかもしれません。


どこから読むべき?

基本的には通読しやすい構成です。前半でチームの心理的安全性づくりを扱い、中盤で一人ひとりの開花や1on1、マイパーパスへ広がり、後半で専門家の視点を加える流れになっています。

忙しい人は、まずチームの心理的安全性づくりを扱う第Ⅰ部の実践パートから読むとよいです。価値観の見える化、もやもや・心配事の見える化、ありたい姿の言語化、振り返りといった、本書の中心になる考え方をつかめます。1on1やコーチングに関心がある人は、第Ⅱ部も早めに読むと役立ちます。


読む前に注意点はある?

注意したいのは、TISの事例をそのまま自分の職場に移せば同じ成果が出る、と受け取らないことです。働きがい32%向上という数字は目を引きますが、本書で見るべきなのは、見える化・対話・振り返りをどう積み重ねたかという過程です。

また、「静かなリーダー」という言葉を、内向的な人だけのリーダー論として読むと狭くなります。本書で扱われるのは、強いカリスマ性で引っ張るより、安心して本音を出せる場をつくるリーダーシップです。心理的安全性を「優しい雰囲気づくり」や「何でも許す職場」と単純化せず、成果や学びにつながる土台として読むと理解しやすくなります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、心理的安全性を「良い雰囲気づくり」ではなく、現場で積み重ねる行動として捉え直せることです。価値観の見える化、もやもやや心配事の見える化、ありたい姿の言語化、振り返りといった流れを通じて、チームの状態をどう扱うかが具体的になります。心理的安全性という言葉は知っているけれど、何から始めればよいか分からない人にとって、最初の一歩を考えやすくなる本です。

2つ目の価値は、チームづくりと個人のWILL・CANをつなげて考えられることです。本書は、チームの心理的安全性づくりだけでなく、一人ひとりの開花、1on1、コーチング、マイパーパス、強みや軸の発見へと話を広げています。部下に本音を話してほしい、メンバーの強みを引き出したいと感じているリーダーにとって、対話の目的を見直すきっかけになります。

3つ目の価値は、TISでの実践を通じて、成果数字よりも取り組みの過程を追えることです。働きがい32%向上という成果は目を引きますが、本書を読む価値は、そこへ至るまでの見える化・対話・振り返りの積み重ねにあります。自分の職場で同じ結果を急いで再現する本というより、自分のチームで何を観察し、どこから働きかけるかを考える本として役立ちます。


この本をおすすめできる人・合わない人

おすすめできるのは、心理的安全性の重要性は分かっているものの、現場で何をすればよいか迷っているリーダーやマネージャーです。1on1を形だけで終わらせたくない人、メンバーの本音や強みを引き出したい人、チームの関係性や働きがいを少しずつ整えたい人にも向いています。

一方で、心理的安全性の学術的な定義や研究史を深く学びたい人には、期待とずれる可能性があります。本書の中心は理論の網羅ではなく、TISの実践事例を通して「どう始めるか」を考えることにあります。また、個人のWILL/CANやパーパスの話に関心が薄い人は、後半を少し遠回りに感じるかもしれません。


読むならどう活かす?

ガイドさん
ガイドさん
全部を一度に実践しようとしなくて大丈夫です。まずは、自分のチームで話しにくくなっていることを1つ見つけるだけでも読み始める価値があります。

読むなら、最初に持ち帰りたいのは「すぐ解決する前に見える化する」という姿勢です。今日の会議後や1on1の前に5分だけ、チーム内のもやもや、言いにくい心配事、共有されていない前提を書き出してみると、本書の考え方を小さく試せます。

もう一つは、1on1を進捗確認だけで終わらせないことです。メンバーのWILL・CANや強みに気づく対話の場として捉え直すと、心理的安全性が単なる空気づくりではなく、個人の力を引き出す土台として見えてきます。


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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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