
職場の空気が重い、会話が少ない、制度や施策を変えても協働が生まれない。『マンガでやさしくわかる組織開発』は、そうした問題を「人と関係性」「対話」「適応課題」から捉え直す入門書です。
本記事では、マンガで追える職場変革の流れ、各章の読みどころ、実践に移すときの注意点まで整理します。読むことで、この本が自分の職場の悩みに合うか、購入前に判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『マンガでやさしくわかる組織開発』は、職場の空気の重さや会話の少なさ、協働のしにくさを、制度や個人の問題だけで片づけず、人と人の関係性・対話・協働の視点から捉え直すための組織開発入門です。
組織開発という言葉に難しさを感じる人でも、マンガのストーリーを通じて「職場がなぜ変わらないのか」「どこに働きかければよいのか」を考えやすい構成になっています。単なるノウハウ集というより、職場を見る視点を変えるための本です。
向いている人
向いているのは、職場の空気が重い、社員同士の会話が少ない、改善策を試してもなかなか変化が出ないと感じているマネジャーや人事・人材開発担当者です。組織開発を初めて学ぶ人にも合っています。マンガのストーリーで状況を追いながら、解説で「見える化」「ガチ対話」「未来づくり」といった基本の考え方を整理できるため、抽象的な言葉だけで置いていかれにくい構成です。
また、チームづくりや職場活性化に関心があるリーダーにも向いています。本書は、問題を個人の能力や意識だけに寄せず、話し合いのされ方、関わり方、協働のあり方から捉え直します。組織を変える前に、まず何を見落としているのかを考えたい人に役立つ本です。
向いていない人
一方で、具体的なワークショップ手順、制度設計、データ分析の方法などをすぐ知りたい人には、少し物足りなく感じる可能性があります。本書は、特定の組織開発手法を細かく実行するためのマニュアルではありません。
また、「この通りに進めれば職場が変わる」という即効性を期待して読む本でもありません。組織開発を、研修や施策の名前としてではなく、職場の人間的側面に働きかける考え方として理解したい人に向いた一冊です。
先に結論(買う価値はある?)
職場の人間関係や協働の問題を、もう少し構造的に考えたい人には読む価値があります。理由は、職場の問題を「人が悪い」「制度を変えればよい」と短絡せず、技術的問題と適応課題、人間的側面、対話、コアチーム、変化への抵抗といった視点から整理できるからです。
特に、現場で人を動かす立場にある人にとっては、「組織を変える」とは制度を整えるだけではなく、人の見方や関わり方を少しずつ変えていくことなのだと理解しやすい一冊です。専門書に入る前に、まず組織開発の考え方をつかみたいなら、手に取る意味は十分あります。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、組織開発を「特定の手法」ではなく、職場をよくするための考え方や進め方のまとまりとして捉えることです。本書は、制度や戦略といった目に見えやすい仕組みだけでなく、人と人の関係性、信頼、対話、協働といった見えにくい部分に働きかける必要性を扱っています。
2つ目のポイントは、職場の問題を「技術的問題」だけでなく「適応課題」として見る視点です。やり方を変えればすぐ解決する問題もあれば、人の認識や価値観、関係性の変化を伴わないと動かない問題もあります。本書では、職場が変わらない背景をこの視点から整理し、組織開発の入口として示しています。
3つ目のポイントは、組織を変えるプロセスを段階的に考えることです。本書は、問題を見えるようにし、対話を通じて認識のズレや関係性に向き合い、未来に向けた動きをつくる流れを中心にしています。さらに、コアチーム、支援者、変化への抵抗、個業から協働への移行、グループ間の対立と協働まで扱い、個人から組織全体へと視野を広げていきます。
著者が一番伝えたいこと
本書が一番伝えようとしているのは、職場をよくするには、制度や施策だけでは届きにくい「人間的側面」に目を向ける必要があるということです。職場の会話が少ない、助け合いが生まれにくい、仕事が個業化している、変化に抵抗が起きる。そうした問題を、誰かの能力不足ややる気の問題だけにせず、関係性や対話のあり方として捉え直すところに、本書の核があります。
本書は冒頭で、今の職場では信頼し合い、協働し、活き活き働くことが難しくなっているという問題意識を置いています。その背景として、個業の増加、ダイバーシティの高まり、話し合い時間の減少が挙げられています。だからこそ組織開発は、単なるイベントやカタカナ手法ではなく、職場のあり方、話し合い方、関わり方を少しずつ変えていく取り組みとして描かれています。
読むと得られること
読むと得られるのは、職場の問題を「人が悪い」「制度を変えればいい」と短絡せず、もう一段深く見る視点です。職場のハード面とソフト面を分けて考えたり、技術的に解ける問題と適応課題を区別したりすることで、何に働きかけるべきかを整理しやすくなります。
また、対話をただの雑談や会議ではなく、意味を共有し、関係性を変えていくプロセスとして捉え直せる点も大きいです。仕事の内容だけでなく、進め方や意図、互いに与えている影響まで扱う必要があることが見えてきます。
実践面では、職場の個業化を見直す、見えにくい問題を言語化する、変化への抵抗を単なる反対として処理しない、コアチームや支援者の役割を考える、といった行動につなげやすい内容です。ただし、本書は詳細なワークショップ手順書ではありません。読後すぐに使える万能マニュアルというより、組織を変える前に、職場を見る目と人との関わり方を整えるための入門書です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなり組織開発の理論を説明するのではなく、まず「問題が起きているのに職場が変わらない」という状態から始まります。そこから、職場の問題を制度や仕組みだけでなく、人間関係・対話・協働といった見えにくい側面から捉える視点へ読者を導いていく構成です。
前半では、組織開発とは何か、職場の「人間的側面」とは何か、技術的に解ける問題と適応課題はどう違うのかが整理されます。中盤では、変化を進めるコアチームや支援者の役割に話が移り、後半では、個業から協働へ、個人のマインドセットの変化、グループ間の対立と協働へと広がります。全体として、個人の気づきからチーム、部署間、組織全体へと視野が広がる流れです。
大見出し目次(短い目次)
- Prologue 問題が起こっているのに変われない職場
- Part1 組織開発とは
- Part2 チェンジエージェントとしてのコアチーム
- Part3 個業から協働へ
- Part4 個人のマインドセットの変化
- Part5 組織全体への広がりと深まり
各章の要点
Prologueは、職場の問題を「ハードな側面」だけでなく「ソフトな側面」から捉えるための入口です。技術的に処理できる問題と、関係性や価値観の変化を伴う問題を分けて考える土台になります。
Part 1は、組織開発の全体像をつかむ章です。組織開発を特定の技法として狭く捉えず、職場を見える化し、対話し、未来をつくる流れとして理解するための基礎が置かれます。
Part 2は、変化を進める人たちの役割に焦点を当てます。コアチーム、変革リーダー、支援者、スポンサーの関係が整理され、組織開発が一人の頑張りだけでは進まないことが見えてきます。
Part 3は、職場の「個業」を協働へ戻す橋渡しになる章です。仕事が個人に閉じることで起きる問題と、変化への抵抗をどう受け止めるかが扱われます。
Part 4は、個人の考え方や関わり方に踏み込みます。業績中心の見方だけではなく、相容れない人との対話を通じて協働関係をつくる視点が示されます。
Part 5は、変化を組織全体へ広げる章です。部署やグループ間の対立を越え、自己組織化や継続的な対話へと論点が広がります。
忙しい人が先に読むならここ
最初に読むなら、Part 1がおすすめです。ここで、組織開発が単なる手法名ではなく、見えにくい問題を捉え、対話を通じて変化をつくる考え方だと分かります。特に「見える化」「ガチ対話」「未来づくり」の流れは、後半を読むための基礎になります。
次に読むなら、Part 3です。本書の問題意識である「個業」から「協働」への転換が、現場の働き方に結びついて理解できます。職場の会話不足や、協力しにくい空気に悩んでいる人には、この章が具体的な入口になりやすいはずです。
余裕があれば、Part 2とPart 4も続けて読むと理解が深まります。Part 2では変化を支える人やチームの役割が分かり、Part 4では人のマインドセットや相容れない相手との対話へ進みます。組織開発を「正しい施策を入れること」ではなく、「関係性を変えていくプロセス」として読むためには、この中盤以降が重要です。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んでいちばん印象に残ったのは、組織開発を「何か新しい施策を入れること」としてではなく、職場で起きている問題の見方を変えるものとして扱っている点です。制度や戦略、業務フローのように目に見える部分だけではなく、人と人の関係性、対話の不足、協働のしにくさに目を向けるところに、この本の重心があります。
特に腑に落ちたのは、組織開発をひとつの手法として説明しないところでした。読んでいて、組織開発を研修やワークショップの名前として捉えるのではなく、職場をよくしていくための広いアプローチとして受け取るほうが自然だと感じました。この前提があるからこそ、「見える化」「ガチ対話」「未来づくり」という流れも、単なる手順ではなく、職場の状態を捉え直すプロセスとして読みやすくなっています。
もうひとつ印象的だったのは、職場の問題を個人の能力不足や意識の低さだけに寄せない姿勢です。個業化、ダイバーシティの高まり、話し合いの時間の減少によって、信頼や協働が難しくなっているという問題意識は、現場の息苦しさにかなり近いところから出ているように感じました。だからこそ、マンガのストーリーも単なる導入ではなく、数字だけでは見えない職場の課題を浮かび上がらせる役割を持っています。
すぐ試したくなったこと
まず試したくなったのは、職場の問題をすぐに「人の能力」や「制度の不備」に結びつけず、技術的に解ける問題なのか、適応課題を含む問題なのかを分けて見ることです。この視点があるだけで、表面的な対策に飛びつく前に、何に働きかけるべきかを考えやすくなります。
次に、仕事の内容だけでなく、仕事の進め方や意図、互いに与えている影響まで話し合う場を意識したくなりました。本書では、話し合いの時間が短くなり、仕事の内容だけが共有されると、進め方や思いのズレが生まれやすいことが示されています。職場の会話が少ない、助け合いが生まれにくいと感じる場面では、単に会議を増やすのではなく、対話の質を見直す必要があると受け取りました。
もう一つは、変化への抵抗をただの反対として処理しないことです。変化を進めようとすると否定的な反応が出ることがありますが、本書はそこも変化のプロセスとして扱っています。抵抗の背景にある不安や認識の違いを見る姿勢は、組織を無理に動かすのではなく、関係性から変えていくうえで大事だと感じました。
読んで気になった点
気になった点は、扱う範囲がかなり広いことです。組織開発の定義から、対話、コアチーム、プロセス・コンサルテーション、個業、変化への抵抗、マインドセット、グループ間の協働まで進むため、初めて読む人には「結局どこから手をつければよいのか」と感じる場面があるかもしれません。
また、マンガで入りやすい一方で、内容はすぐ使える手順書ではありません。「見える化」「ガチ対話」「未来づくり」といった流れは理解しやすいものの、具体的なワークショップ設計やファシリテーションの台本を求める人には、やや抽象的に感じられる可能性があります。
ただ、その点は弱点というより、本書の役割の違いだと思います。細かい実践マニュアルではなく、職場を見る視点や、人との関わり方を見直す入口として読む本です。だからこそ、読み終えてみると、組織を変えるとは制度を整えるだけでなく、人の見方や対話のあり方を少しずつ変えていくことなのだと残りました。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書は、読んだその日から大きな改革を始める本というより、職場の見方を少し変えるための本です。まずは、職場の問題を「人が悪い」「制度が悪い」とすぐ決めつけず、見えにくい関係性や対話の状態を観察するところから始めると使いやすくなります。
- いま困っている職場の問題を、技術的問題か適応課題を含む問題かに分けてみる。
- 職場の課題を、制度・仕組みなどのハード面と、人や関係性のソフト面に分けて書き出す。
- 個業化している仕事を洗い出し、誰が何を抱え込んでいるのかを見えるようにする。
- 会議や雑談で、仕事の内容だけでなく進め方や意図まで話せているか確認する。
- メンバー同士の会話が少ない場面を観察し、どこで情報や気持ちが途切れているかを見る。
- 変化への反応を、単なる反対ではなく、不安や認識の違いの表れとして受け止めてみる。
- 自分ひとりで抱えず、職場をよくしたい人が他にいないか小さく探してみる。
- 対話を、報告や説得ではなく、意味を共有する場として意識して使ってみる。
最初から全部やる必要はありません。まずは「この問題は適応課題を含んでいないか」と考えるだけでも、職場の見え方が変わります。
1週間で試すならこうする
Day1は、職場で気になっている問題を1つだけ選びます。会話が少ない、仕事が属人化している、変化に反発が出るなど、身近で観察しやすいものに絞るのがよいです。
Day2は、その問題をハード面とソフト面に分けて整理します。制度やルールの問題なのか、人間関係、信頼、認識のズレが関わっているのかを分けて見るだけで、打ち手を急がずに済みます。
Day3は、技術的に解ける問題か、適応課題を含む問題かを考えます。やり方を教えれば済むのか、関係性や価値観の変化が必要なのかを見極める日です。
Day4は、関係する人のうち1人と短く話してみます。解決策を提示するより、「どう見えているか」「何がやりにくいか」を聞くことを優先します。
Day5は、仕事の内容だけでなく、進め方や意図について話す機会をつくります。小さな確認でもよいので、認識のズレがどこにあるかを見えるようにします。
Day6は、否定的な反応や抵抗が出た場面を振り返ります。反対意見として片づけず、その背景にある不安や納得できていない点を考えます。
Day7は、次に試す小さな一歩を決めます。大きな改革案ではなく、対話の場を少し変える、仕事の見える化を続ける、協力者を1人増やすといった現実的な行動に落とすのが合っています。
つまずきやすい点と対策
職場の問題を整理しようとすると、最初につまずきやすいのは、すぐに「誰が悪いか」「どの制度が悪いか」に戻ってしまうことです。本書の考え方を使うなら、まずは問題を人や制度だけに結びつけず、技術的問題と適応課題に分けるところから始めます。小さく始めるなら、気になる問題を1つ選び、「やり方の問題か、関係性や認識の問題も含むか」とメモするだけで十分です。
対話を始めようとすると、話し合いを増やすこと自体が目的になりやすい点にも注意が必要です。会議の回数を増やしても、仕事の内容だけを確認する場のままでは、進め方や意図のズレは残ります。小さく始めるなら、ひとつの仕事について「何をするか」だけでなく、「どう進めたいか」「どこで困っているか」まで聞く時間を少し加えるとよいです。
個業を減らそうとすると、いきなり全員で共有しようとして負担が大きくなることがあります。すべてをオープンにするのではなく、まずは誰かが抱え込んでいる仕事を1つだけ見える化し、他の人が状況を理解できる状態にすることから始めるほうが現実的です。
変化への抵抗に向き合う場面では、反対する人を説得しようとして関係が固くなることがあります。本書の視点では、抵抗は切り捨てるものではなく、変化のプロセスで扱う反応です。まずは反論する前に、何に不安を感じているのか、何が見えていないのかを確認するほうが、次の対話につながります。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『マンガでやさしくわかる組織開発』は、組織開発を初めて学ぶ人が、職場の物語と解説を通じて全体像をつかむための入口になる本です。近い本としては、同じ著者による文章中心の入門書『入門 組織開発』と、より専門的に理論・歴史・実践事例まで扱う『組織開発の探究』が比べやすいです。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『マンガでやさしくわかる組織開発』 | 物語で組織開発の基本をつかむ | 初学者・現場リーダー・人事初任者 |
| 『入門 組織開発』 | 文章で全体像を体系的に学ぶ | マンガ入門の次に整理したい人 |
| 『組織開発の探究』 | 理論・歴史・手法・企業事例を深める | 中級以上へ進みたい人 |
『入門 組織開発』との違い
本書は、職場で問題が起きているのに変わらない状態を物語で示しながら、人間的側面、適応課題、対話、コアチーム、個業から協働への流れをつかませる構成です。一方で『入門 組織開発』は、同じ中村和彦氏による文章中心の入門書として、本書でつかんだ組織開発の全体像をより体系的に補う本です。
組織開発という言葉にまだ距離があり、まず現場の悩みに引きつけて理解したい人には本書が合います。マンガとストーリーで大枠をつかんだあと、概念をもう少し文章で整理したい人には『入門 組織開発』が次の一冊になります。
『組織開発の探究』との違い
本書は、職場の人間関係や対話、協働の問題をどう捉え直すかに重心があります。実践の細かな手順書ではありませんが、管理職やリーダー、人事担当者が「組織開発とは何か」を現場感覚で理解する入口として使いやすい本です。一方で『組織開発の探究』は、組織開発の歴史、理論、手法、企業事例まで深掘りする本で、本書より専門的に学ぶ方向に向いています。
職場の空気が重い、会話が少ない、個業化が進んでいるといった悩みから読み始めるなら本書が入りやすいです。組織開発を研究・実践の両面からより深く理解したい人や、入門後に中級以上へ進みたい人には『組織開発の探究』が合います。
迷ったらどれを選ぶべき?
本書を選ぶべきなのは、組織開発をいきなり専門理論として学ぶよりも、職場で起きている会話の少なさ、個業化、関係性のズレから理解したい人です。読むだけで職場がすぐ変わる本ではありませんが、制度や施策だけでは届きにくい問題を、人と関係性から見直す入口として使えます。
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著者プロフィール
中村和彦氏は、南山大学人文学部心理学科教授で、同大学人間関係研究センター長です。専門分野は、組織開発、人間関係トレーニング、ラボラトリー方式の体験学習、グループ・ダイナミクス。名古屋大学大学院教育学研究科教育心理学専攻後期博士課程満期退学、教育学修士、米国NTL Institute組織開発Certificate Program修了という経歴を持っています。関連著書として『入門 組織開発』『組織開発の探究』があります。
松尾陽子氏は、本書のマンガを担当しています。日本能率協会マネジメントセンターの「マンガでやさしくわかる」シリーズ関連書籍にも関わっており、本書でも組織開発の考え方をストーリーとして読みやすく伝える役割を担っています。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書の信頼性は、中村氏の専門領域と本書のテーマが直接つながっている点にあります。組織開発、人間関係トレーニング、体験学習、グループ・ダイナミクスはいずれも、職場の人間関係や対話、協働を考えるうえで本書の中心になる領域です。だからこそ本書では、組織開発を単なる施策や流行語としてではなく、人と関係性に働きかけるアプローチとして整理しています。
また、松尾氏がマンガを担当していることで、抽象的になりやすい組織開発の考え方が、職場の物語として入りやすくなっています。中村氏の専門的な知見を、マンガと解説の組み合わせで読者に届ける構成になっているため、初めて組織開発を学ぶ人でも、概念だけでなく職場で起きる変化のイメージを持ちやすい一冊です。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
大枠だけ知りたい人や、購入するかどうかを判断したい人なら、要約だけでも本書の方向性はつかめます。組織開発を「単なる手法」ではなく、人と関係性に働きかける考え方として扱う本だと分かれば、合う・合わないの判断はしやすくなります。
ただし、実際に職場で活かしたい人は本文まで読んだほうがよいです。本書は、職場で問題が起きているのに変わらない状況から始まり、見えにくい関係性、対話、協働、変化への抵抗へと段階的に話が進みます。要約だけでは、この「職場の見え方が少しずつ変わる流れ」は伝わりにくいです。
初心者でも読める?
組織開発を初めて学ぶ人でも読みやすい部類です。マンガのストーリーと解説を組み合わせているため、最初から理論だけを読まされる構成ではありません。職場の空気が重い、会話が少ない、施策を打っても変化が出ないといった悩みがある人なら、入り口はつかみやすいはずです。
一方で、扱っているテーマは浅くありません。適応課題、対話、コアチーム、プロセス・コンサルテーション、自己組織化など、組織開発の基礎概念が幅広く出てきます。完全なノウハウ集を期待すると、少し抽象的に感じる場面はあります。
どこから読むべき?
基本的には最初から読むのが向いています。本書は、職場や組織の人間的側面を捉え直すところから始まり、組織開発の基本、変化を進めるチーム、個業から協働への転換、マインドセット、組織全体への広がりへと進む構成です。順番に読むことで、個人からチーム、組織全体へ視野が広がっていきます。
忙しい人は、まず序盤の「人間的側面」や「適応課題」を扱う部分と、組織開発の基本ステップを説明する前半を押さえるとよいです。そのうえで、現場で孤立した仕事が増えているなら個業から協働へのパート、変化に抵抗が出ているなら変化への抵抗を扱うパートへ進むと、目的に合わせて読みやすくなります。
読む前に注意点はある?
注意したいのは、即効性のある実践マニュアルを期待しすぎないことです。本書は「この手順どおりにやれば職場が変わる」と示す本ではなく、組織開発の基本的な見方や姿勢をつかむ入門書です。具体的な制度設計やデータ分析、細かなツールを求める人には、期待とずれる可能性があります。
また、「マンガでやさしく」と聞くと浅い内容を想像するかもしれませんが、実際には人間関係、対話、変化への抵抗、部署間の対立など、組織を変える難しさも扱っています。読みやすさを入口にしつつ、自分の職場の関わり方や話し合いのされ方を見直す本として読むと、内容を受け取りやすいです。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、組織開発を「特定の手法」ではなく、人と関係性に働きかける広いアプローチとして理解できることです。研修名やワークショップ名として捉えるのではなく、職場で起きている問題をどう見直すかという視点から入れるため、組織開発が初めての人でも全体像をつかみやすくなります。
2つ目の価値は、職場の問題を制度や業務フローだけでなく、人間関係・対話・協働の面から見直せることです。個業化、ダイバーシティ、話し合いの時間の減少といった背景を踏まえながら、なぜ職場が重くなるのか、なぜ施策だけでは変わらないのかを考えられます。
3つ目の価値は、マンガのストーリーと解説を行き来しながら、抽象的な概念を現場の場面に引き寄せて読めることです。業績はよく見えるのに休職者や退職者が増えている職場を舞台にしているため、「数字だけでは見えない問題」に目を向けやすくなります。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、職場の雰囲気の重さ、会話の少なさ、助け合いの生まれにくさに課題を感じている管理職・リーダー、人事・人材開発・組織開発の初任担当者です。組織開発という言葉は聞いたことがあるけれど、何をするものなのか具体像がつかめていない人にも合います。
一方で、具体的なファシリテーション台本やワークショップ設計だけを求めている人には、期待とズレる可能性があります。本書は万能マニュアルではなく、職場を見る視点や、人との関わり方を見直すための入門書として読むほうが向いています。
読むならどう活かす?
読むなら、まず自分の職場で「見えていないこと」を探すところから始めるのがよいです。制度や業務の問題に見える出来事の裏に、会話不足、意図のズレ、関係性のこわばりがないかを観察してみると、本書の視点を持ち帰りやすくなります。
今日できる行動としては、会議や打ち合わせのあとに5分だけ、発言しにくそうだった場面、話がかみ合わなかった場面、誰かに負荷が偏っていそうな場面を書き出すことです。大きな変革を始める前に、まず職場の人間的側面に目を向けることが、この本の使い方として自然です。
次に読むならこの本
- 『入門 組織開発』:本書でつかんだ組織開発の全体像を、文章中心でもう少し体系的に補いたい人へ
- 『組織開発の探究』:歴史、理論、手法、企業事例まで踏み込み、中級以上へ進みたい人へ
- 『対話型組織開発』:本書で重要になる対話や関係性への働きかけを、専門領域として深めたい人へ
組織開発が学べるおすすめ書籍

組織開発を学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
- 組織開発が学べるおすすめの本ランキング
- だから僕たちは、組織を変えていける
- 自律型組織をつくるマネジメント変革
- 冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法
- 組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?
- 人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門
- 組織開発の探究――理論に学び、実践に活かす
- 入門 組織開発~活き活きと働ける職場をつくる~
- いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
- マンガでやさしくわかる組織開発
