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【書評】「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践|要約

【書評】「学習する組織」入門――自分・チーム・会社が変わる 持続的成長の技術と実践|要約

チームを変えようとしても、同じ課題が繰り返される。『「学習する組織」入門』は、その原因を個人の努力不足だけでなく、前提・構造・関係性・共有ビジョンまで含めた「組織の学習能力」から見直す本です。

この記事では、本書の全体像、読みどころ、実践への使い方、向き不向きを整理します。400頁の入門書をどう読めばよいか、購入前に自分の課題と合うかを判断しやすくするための書評として読み進めてください。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『「学習する組織」入門』は、チームや会社が変わり続けるために必要な「組織の学習能力」を、実践に落とし込んで考えるための本です。単に知識を増やす、研修を増やすという話ではなく、目的に向かって集団としての意識と能力を高め続けるには何が必要かを扱っています。組織の問題を、個人の努力不足だけで片づけず、前提・構造・関係性・共有ビジョンまで含めて見直したい人に向いた一冊です。


向いている人

まず向いているのは、チームや部署の変革に関わっているマネジャーやリーダーです。PDCAや改善活動を続けているのに、なぜか同じ課題が繰り返される、変化が定着しない、メンバーの力を引き出しきれていないと感じている人には、かなり相性がよいと思います。

また、組織開発・人材育成・人事領域に関わる人にも向いています。本書は、自己マスタリー、システム思考、メンタル・モデル、チーム学習、共有ビジョンという5つのディシプリンを通じて、個人の成長と組織の成長を切り離さずに考えていきます。制度や施策だけではなく、組織の見方や学び方そのものを見直したい読者にとって、実践の土台を整理しやすい内容です。


向いていない人

反対に、すぐ使えるチェックリストや短時間で読めるノウハウ集を期待している人には、少し重く感じるかもしれません。400頁の本であり、扱うテーマも組織学習、システム思考、メンタル・モデル、共有ビジョンなど幅広いため、読む側にも自分の職場やチームに引き寄せて考える姿勢が求められます。

個人スキルを短期間で高めたい人や、組織の前提を問い直すことにあまり関心がない人にも、やや距離がある本です。即効性のある解決策を受け取るというより、変化し続ける組織になるための問いを持ち帰る本だと考えたほうが、期待値は合いやすいでしょう。


先に結論(買う価値はある?)

チームや組織を本気でよくしたい人には、読む価値があります。理由は、本書が「学習する組織」を抽象的な理念で終わらせず、5つのディシプリン、事例、演習、実践上の課題を通じて、どこから考え始めるかを示してくれるからです。

特に価値があるのは、組織を変える前に、自分たちの見方・関係性・学び方そのものを見直せる点です。成果が出ない原因を誰か一人の問題にせず、組織として何を学べていないのかに目を向けられるようになります。短く読んで終わる本ではありませんが、長く持ち続ける問いを得たい人には、手元に置いておく意味のある一冊です。


詳しくはコチラ



要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

1つ目のポイントは、本書が「学習」を研修や知識共有ではなく、組織が目的に向かって行動する力として捉えていることです。学習する組織とは、変化に対応するために、個人とチームと会社がそれぞれ別々に成長するのではなく、集団として意識と能力を高め続ける組織だと整理できます。

2つ目のポイントは、組織変革を5つのディシプリンから考えることです。自己マスタリー、システム思考、メンタル・モデル、チーム学習、共有ビジョンという流れを通じて、個人の内面、全体構造、前提の見直し、対話、共通の目的をつなげて扱います。単に「やる気を出す」「会議を改善する」といった話ではなく、組織の見方そのものを広げていく構成です。

3つ目のポイントは、実践上の難しさまで扱っていることです。後半では、変革の制約、不安や抵抗、深い学習サイクル、学習を支える仕組みにも触れられます。理想的な組織像を語るだけでなく、実際に始めるときにつまずきやすい部分まで視野に入っている点が、本書の実践的な特徴です。


著者が一番伝えたいこと

本書全体を貫いているのは、組織を変えるには、制度や手順を変える前に、自分たちの学び方、ものの見方、前提を見直す必要があるという主張です。組織の問題を誰か一人の能力不足や、単一の制度不備だけに帰すのではなく、目的、関係性、構造、ビジョンがどう結びついているかを見ることが重視されています。

また、本書は「学習する組織」を完成形として提示していません。5つのディシプリンを継続的に実践しながら、変化の中で強く、しなやかに進化し続けることが大切だと考えています。その意味で、この本は正解を一度で与える本ではなく、組織が問い続けるための土台をつくる本だと言えます。


読むと得られること

読むと得られるのは、組織課題をより立体的に見る視点です。チームが前に進まないとき、単に「人が悪い」「仕組みが悪い」と判断するのではなく、どんな前提が働いているのか、どんな構造が同じ問題を繰り返しているのか、共有ビジョンは本当に機能しているのかを考えるきっかけになります。

さらに、読後には自分のチームや部署を点検するための問いが残ります。目的に向かって進めているか、必要な能力と意識を高めているか、対話の場が学習につながっているか、といった観点です。すぐに答えが出る本ではありませんが、組織変革やチームづくりに関わる人にとって、取り組みの出発点を整える一冊になります。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり実践手法に入るのではなく、まず「学習する組織とは何か」を確認し、その後に組織が学び続けるための力を分解していく構成です。序盤で全体像と学習能力の考え方を押さえ、中盤で5つのディシプリンを一つずつ学び、後半で実践時の壁とこれからの組織・リーダーシップへつなげていきます。

流れとしては、個人の意識や能力から始まり、システム全体の見方、前提の見直し、チームの対話、共有ビジョンへと広がります。組織変革を一つの施策として扱うのではなく、複数の力を育てながら進めるものとして理解できる設計です。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1章 学習する組織とは何か
  • 第2章 組織の学習能力 ― 学習サイクルと学習環境、そしてディシプリン
  • 第3章 自己マスタリー ― 自分の意識と能力を高め続ける
  • 第4章 システム思考 ― 全体像をとらえ、本質を見出す
  • 第5章 メンタル・モデル ― 前提を問い、認識を新たにする
  • 第6章 チーム学習 ― 場と関係性の質を高める
  • 第7章 共有ビジョン ―「どうありたいのか」に答える
  • 第8章 実践上の課題と対策
  • 第9章 組織の未来、リーダーシップの未来


各章の要点

第1章は、学習する組織の基本的な考え方をつかむ導入です。組織にとっての学習を、単なる知識獲得ではなく、目的に向けた意識と能力の向上として捉える土台になります。

第2章は、本書全体の橋渡しになる章です。組織がなぜ学べないのか、通常の改善を超えて前提を問い直す学習とは何かを押さえ、5つのディシプリンへ進む準備をします。

第3章は、個人の成長とリーダーとしての姿勢を扱います。組織の学習を語る前に、一人ひとりの意識や能力をどう高めるかを考える章です。

第4章は、問題を個人の責任に閉じず、構造や相互作用として見るための章です。組織で同じ問題が繰り返される理由を考えたい人には、特に重要なパートになります。

第5章は、発言や判断の奥にある思い込みや前提を扱います。組織変革が進まない背景にある認識のズレを見直す入口になります。

第6章は、チームとして学ぶための場と関係性に焦点を当てます。対話や関係性の質を高めたい人にとって、実務に結びつけやすい章です。

第7章は、組織が「どうありたいのか」を共有する章です。ビジョンを掲げるだけでなく、共通の目的として育てていく視点が得られます。

第8章は、実践時の壁を扱う章です。不安や抵抗、変革の制約に触れるため、理論を現場に持ち込む前に読んでおきたい内容です。

第9章は、ここまでの内容をこれからの組織やリーダーシップへ接続する締めの章です。学習する組織を一時的な手法ではなく、今後の組織観として捉え直す役割があります。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部を一気に読むのが難しい場合は、第1章・第2章で前提を押さえ、第4章・第5章・第8章を優先すると、本書の実践的な意味がつかみやすくなります。

まず外せないのは、第1章と第2章です。ここを読んでおくと、「学習する組織」が研修や勉強会の話ではなく、組織が目的に向かって変化し続ける力の話だと理解できます。第2章は、ダブル・ループ学習や深い学習サイクルを扱うため、後半の実践論を読む前の土台になります。

次に優先したいのは、第4章と第5章です。システム思考は、チームで起きる問題を個人の責任だけに閉じ込めず、構造として見るための視点を与えてくれます。メンタル・モデルは、自分たちが無意識に持っている前提や思い込みを見直す章で、組織を変える前に自分たちの見方を見直すという本書の核に近い部分です。

実際に職場で使うことを考えるなら、第8章も早めに読んでおきたい章です。学習する組織を目指す過程では、不安や抵抗、変革の制約が避けられません。理想論で終わらせず、実践上の壁まで見ておくことで、この本を自分のチームに引き寄せて読みやすくなります。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

読んでいて強く残ったのは、「学習する組織」を勉強会や研修の多さで測るのではなく、目的に向けて集団として意識と能力を高め続ける組織として捉えている点です。最初は組織変革の方法論を学ぶ本だと思って読み始めましたが、読み進めるうちに、自分たちがどう学び、どう前提を見直しているのかを問われる本だと感じるようになりました。

特に印象に残ったのは、成果が出ない理由を個人の努力不足だけにしない視点です。本書は、組織の問題を前提、関係性、構造、ビジョンといった複数の層から見ていきます。そのため、日々のチーム運営で起きる停滞やすれ違いも、表面的な対処だけでは足りないのだと受け止めやすくなりました。

構成面でも、理解が少しずつ積み上がる流れになっています。序盤で学習する組織の基本を押さえ、次に学習サイクルやダブル・ループ学習を整理し、その後に自己マスタリー、システム思考、メンタル・モデル、チーム学習、共有ビジョンへ進んでいく。5つのディシプリンが単なる項目ではなく、個人の意識から組織の関係性や目的へ広がっていく道筋として読めた点が、いちばん腑に落ちました。


すぐ試したくなったこと

読み終えてまず試したくなったのは、自分のチームが何のために動いているのかを改めて確認することです。成果や進捗だけを見るのではなく、目的に向かって必要な意識や能力が高まっているかを点検する視点は、日々の仕事にも持ち込みやすいと感じました。

もう一つ試したくなったのは、組織の問題をすぐに誰かの能力や制度のせいにせず、構造や前提から見直すことです。システム思考やメンタル・モデルの章があることで、同じ問題が繰り返される背景には、見えていない相互作用や思い込みがあるのではないかと考えやすくなります。会議や対話の場でも、発言の奥にある前提を少し丁寧に扱うだけで、話し合いの質が変わる可能性を感じました。

共有ビジョンについても、単に目標を掲げるだけでは足りないのだと受け取りました。組織がどうありたいのかを問い直すことは、抽象的に見えて、チームの判断や行動をそろえるための土台になるはずです。


読んで気になった点

気になった点は、「入門書」という言葉から受ける印象とのズレです。たしかに本書は、学習する組織の全体像を事例や演習を交えて学べる入口になっています。ただし、扱う範囲はかなり広く、ダブル・ループ学習、システム思考、メンタル・モデル、共有ビジョン、実践上の不安や抵抗まで含まれます。

そのため、短時間で使えるノウハウだけを探している人には、読み進めるうちに少し遠回りに感じられるかもしれません。特に第3章から第7章は、それぞれ独立した実践テーマとしても重さがあるため、ざっと読むだけでは十分に消化しにくい部分もあります。

一方で、その広さこそが本書の価値でもあります。組織を変えるには、個人の意識、チームの関係性、組織の構造、共有された目的を切り離して考えられない。そう受け取れる人にとっては、単なるノウハウ本では得にくい視点が残る一冊です。


詳しくはコチラ



実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

本書は、読んで理解するだけでなく、自分のチームや会社を見直すために使う本です。大きな改革を始める前に、まずは「自分たちはどう学んでいるか」を小さく確認するところから始めると、内容を実践につなげやすくなります。

  • 自分のチームが、目的に向けて意識と能力を高め続けているかを振り返る。
  • 最近の課題を、個人の努力不足ではなく構造・前提・関係性から見直す。
  • 会議や対話の中で、暗黙の思い込みが出ていないかを観察する。
  • うまくいかなかった施策について、行動だけでなく前提も問い直す。
  • 5つのディシプリンのうち、自分の組織で弱い要素を1つ選ぶ。
  • チーム内で、今のビジョンが形だけになっていないか話してみる。
  • 変革への不安や抵抗を、失敗ではなく学習途中のサインとして捉える。
  • 章末や演習で気になった問いを、チームの対話テーマとして使う。

最初から全部を実行しようとすると重くなります。まずは「個人の問題にしていたことを、組織の学習の問題として見直す」だけでも、本書の読み方はかなり変わってきます。


1週間で試すならこうする

Day1は、チームや部署の目的を確認します。何を達成するかだけでなく、何のために存在しているのかを一度言葉にしてみます。

Day2は、最近繰り返している課題を1つ選びます。その原因を個人のスキルややる気だけでなく、構造や関係性の面から眺め直します。

Day3は、その課題の背後にある前提を考えます。「当然そうだ」と思っている判断やルールが、本当に目的に合っているかを確認します。

Day4は、メンバーとの対話で、見えている問題と見えていない思い込みを分けて話してみます。結論を急がず、互いの見方を出すことを重視します。

Day5は、5つのディシプリンの中から今のチームに必要そうなテーマを1つ選びます。システム思考、メンタル・モデル、チーム学習など、弱さを感じる部分に絞ると扱いやすくなります。

Day6は、選んだテーマについて小さな演習や振り返りを行います。大きな成果を狙うより、チームで同じ問いを持つことを目的にします。

Day7は、1週間で見えた気づきを整理します。すぐに答えを出すのではなく、継続して問い続けたいテーマを1つ残すと、次の実践につながります。


つまずきやすい点と対策

まず起こりやすいのは、チームの問題を見直そうとして、結局は誰かの能力不足や意識不足の話に戻ってしまうことです。本書の考え方を使うなら、個人を責める前に、構造、前提、関係性、共有ビジョンのどこにズレがあるのかを見る必要があります。最初は、最近の課題を1つだけ選び、「人」ではなく「学習の仕組み」に原因を置き換えて考えるところから始めるとよいでしょう。

次につまずきやすいのは、ダブル・ループ学習を「反省を深くすること」だけで終わらせてしまうことです。行動の改善だけでなく、その行動を生んでいる前提やメンタル・モデルを問い直すところまで進まないと、本書の実践にはつながりにくくなります。まずは会議後に、何をしたかだけでなく、どんな前提で判断していたかを短く確認する場を作るのが現実的です。

もう一つは、共有ビジョンを掲げるだけで終わらせてしまうことです。スローガンとして整えることより、チームが「どうありたいのか」を自分たちの言葉で考えることが大切です。最初から大きなビジョンを作ろうとせず、今の仕事がどんな目的につながっているのかを話すところから始めると、対話にしやすくなります。

最後に、演習や問いを一人で抱え込むこともつまずきになりやすい点です。本書は、個人で読むだけでも学びがありますが、チーム学習や関係性の質を扱う以上、対話の材料として使ったほうが実践につながります。まずは気になった章や問いを1つだけ共有し、短い時間で話す場を作ることから始めるのが無理のない使い方です。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理

「学習する組織」を学ぶ本の中でも、本書は理論を深掘りする原典ではなく、日本の組織で実践するための入門書として読みやすい位置にあります。原典で思想の全体像を深く学ぶか、マンガ形式で入口をつかむか、その中間で事例・理論・演習を通じて実務に引き寄せるかで選ぶ本が変わります。

重心 向いている人
『「学習する組織」入門』 5つのディシプリンを実践に落とし込む チーム変革や組織開発に関わる人
学習する組織――システム思考で未来を創造する 原典的な理論理解 思想や背景を深く学びたい人
『マンガでやさしくわかる学習する組織』 初学者向けの入口 まず全体像を軽くつかみたい人


『学習する組織――システム思考で未来を創造する』との違い

本書は、ピーター・センゲらの「学習する組織」の考え方を、日本の組織で実践しやすい形に整理した入門書です。一方で『学習する組織――システム思考で未来を創造する』は、本書の背景にある原典的な本として、5つのディシプリンや組織学習の思想をより深く確認するための本です。

まず自分のチームや部署でどう活かすかを知りたい人には、本書のほうが入りやすいでしょう。理論の源流や思想の厚みまで追いたい人、システム思考を含めて本格的に学びたい人には、『学習する組織――システム思考で未来を創造する』が合います。


『マンガでやさしくわかる学習する組織』との違い

本書は400頁あり、学習サイクル、ダブル・ループ学習、5つのディシプリン、実践上の課題まで幅広く扱います。事例と演習も含まれているため、単に概要を知るだけでなく、自分の組織に引き寄せて考えるための本です。一方で『マンガでやさしくわかる学習する組織』は、同じ著者による、より初学者向け・マンガ形式の本として扱いやすい入口になります。

短時間で概念の雰囲気をつかみたい人や、チーム内で最初の共通理解を作りたい人には『マンガでやさしくわかる学習する組織』が向いています。ある程度腰を据えて、前提、構造、関係性、共有ビジョンまで含めて組織を見直したい人には、本書のほうが深く使えます。


迷ったらどれを選ぶべき?

本書を選ぶべきなのは、学習する組織を「知識として知る」だけでなく、チームや会社の変化にどうつなげるかを考えたい人です。PDCAや改善活動だけでは組織が変わらないと感じていて、前提や関係性、構造まで見直したいなら、最初の1冊として本書はちょうどよい選択になります。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

小田理一郎氏は、有限会社チェンジ・エージェント代表取締役社長兼CEOです。米国オレゴン大学経営大学院でMBAを修了し、米国多国籍企業で10年間、製品責任者・経営企画室長として営業、生産、サプライチェーン、開発などの業務・組織変革に取り組んできました。2005年にチェンジ・エージェントを共同設立し、システム思考、ダイアログ、学習する組織、チェンジ・マネジメント、組織開発などの研修・コンサルティング・ファシリテーション・執筆に従事しています。


著者の経験が本書にどう活きているか

本書の信頼性は、小田氏の活動領域と本書のテーマが重なっている点にあります。学習する組織は、単なる知識習得ではなく、個人・チーム・組織が目的に向けて意識と能力を高め続ける考え方です。小田氏が関わってきたシステム思考、ダイアログ、組織開発、チェンジ・マネジメントは、その実践を支える領域と近く、本書の内容にもその接点が反映されています。

また、小田氏は『学習する組織――システム思考で未来を創造する』の共訳者でもあります。そのため本書は、原典の考え方を踏まえながら、日本の実務者が学び始めやすい形に整理した入門書として読めます。理論の紹介だけでなく、事例や演習、実践上の課題まで扱っている点も、著者の実務・組織変革領域での経験とつながっています。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

大枠をつかむだけなら、要約だけでも本書の方向性は分かります。学習する組織が、研修や知識共有の話ではなく、目的に向けて集団の意識と能力を高め続ける考え方だと理解できれば、購入判断の入口としては十分です。

ただし、実践に移したい人は本文まで読んだほうがよいです。本書は5つのディシプリンを、事例・理論・演習を通じて理解していく構成なので、組織課題をどう見直すか、対話やビジョンをどう扱うかは、要約だけではつかみにくい部分があります。


初心者でも読める?

初心者でも読めますが、軽いノウハウ本として読むより、組織開発やチームづくりに関心がある人向けです。入門書として書かれており、学習する組織の全体像から5つの実践領域へ進む流れになっているため、初めて触れる人でも順番に理解しやすい構成です。

一方で、扱うテーマはダブル・ループ学習、システム思考、メンタル・モデル、共有ビジョンなど、読み手自身の前提やものの見方を問い直す内容を含みます。すぐ使えるテクニックだけを求めると、少し抽象的に感じる可能性があります。


どこから読むべき?

基本は最初から読むのが向いています。序盤で「学習する組織」とは何か、なぜ組織は学習しないのか、ダブル・ループ学習とは何かを押さえてから、5つのディシプリンへ進む流れになっているためです。

忙しい場合は、まず第1章・第2章で全体像をつかみ、その後は自分の課題に近い章を選ぶと読みやすくなります。問題の構造を見直したいならシステム思考、思い込みや前提を扱いたいならメンタル・モデル、チームの対話や関係性を見直したいならチーム学習、目的や方向性を揃えたいなら共有ビジョンの章が入口になります。


読む前に注意点はある?

注意したいのは、「入門書」という言葉を、短時間で答えだけを得られる本だと受け取らないことです。本書は400頁規模で、事例や演習も含めながら、個人・チーム・組織の見方を少しずつ変えていくタイプの本です。

また、学習する組織を「勉強会が多い会社」や「知識共有が活発な会社」とだけ捉えると、本書の射程は狭く見えてしまいます。読む前に、自分のチームや部署が目的に向けて前進できているか、前提や関係性を見直す余地があるかを考えておくと、内容を自分ごととして受け取りやすくなります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、「学習」を研修や知識共有ではなく、組織が目的に向かって変わり続ける力として捉え直せることです。チームや会社の問題を、誰か一人の能力不足や制度の不備だけで片づけず、目的、前提、関係性、構造、ビジョンのつながりとして見られるようになります。組織をよくしたい人にとって、まず見方を変える入口になります。

2つ目の価値は、5つのディシプリンを通じて、自分・チーム・会社を同時に見直せることです。自己マスタリー、システム思考、メンタル・モデル、チーム学習、共有ビジョンが順に扱われるため、個人の成長だけでも、組織の仕組みだけでもない視点が得られます。変革を一つの施策ではなく、複数の力を育てるプロセスとして考えやすくなります。

3つ目の価値は、理想論だけで終わらず、実践時の難しさまで視野に入れていることです。第8章では、不安や抵抗、変革の制約、学習を支える環境まで扱われます。読むだけで組織が変わる本ではありませんが、導入後につまずきやすい点をあらかじめ考える材料になります。


この本をおすすめできる人・合わない人

この本は、組織変革を進めたい経営者・管理職・チームリーダー、人材育成や組織開発に関わる人、会議や対話の質を高めたい人に向いています。特に、変革が続かない、ビジョンが形だけになっている、チームの学びが深まらないと感じている人には、自分たちの学び方を見直す手がかりになります。

一方で、短時間で使えるチェックリストや、すぐ真似できるマネジメント技術だけを求めている人には、少し遠回りに感じられるかもしれません。入門書ではありますが、400頁規模で、内省や視座の転換を求める内容も多い本です。答えを急ぐより、問いを持って読み進めるほうが合っています。


読むならどう活かす?

ガイドさん
ガイドさん
最初から5つのディシプリンを全部実践しようとしなくても大丈夫です。まずは、自分のチームに一番足りない視点を1つ見つけるところから始めれば十分です。

読むなら、まず「自分のチームは目的に向けて意識と能力を高め続けているか」を確認するところから始めるのが現実的です。会議後に5分だけ、うまくいかなかった場面を個人の努力不足ではなく、構造、前提、関係性、共有ビジョンのどこに原因がありそうか書き出してみると、本書の視点を日常に持ち込みやすくなります。

もう一つの活かし方は、章末の演習や問いを一人で終わらせず、チーム内の対話材料にすることです。本書の価値は、知識として理解するだけでなく、自分たちの思い込みや学び方を言語化するところにあります。


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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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