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【書評】増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法|要約と感想

【書評】増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法|要約と感想

1on1を続けても業務報告で終わってしまう、そもそも面談と何が違うのか腹落ちしない。『増補改訂版 ヤフーの1on1 部下を成長させるコミュニケーションの技法』は、そんな引っかかりを、1on1を部下の成長のために確保する時間として捉え直すところからほぐしていく本です。

この記事では、理念先行の入門書なのか、現場で運用を立て直す実務書なのかを見きわめながら、どこに強みがあり、どこは期待を調整して読むべきかを掘り下げます。読み終えるころには、自分の職場の1on1にこの本が本当に必要か判断しやすくなるはずです。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本を書いた背景
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

この本は、1on1を「なんとなくやる面談」から切り離し、部下の成長のための対話として設計し直したい人に向けた実務書です。単に話の聞き方を学ぶ本ではなく、なぜ1on1が必要なのか、どう始めるのか、どう続けるのか、どこでつまずきやすいのかまでを順を追って整理してくれます。とくに、進捗確認や評価面談と混ざってしまった1on1を立て直したいときに効くタイプの一冊です。


向いている人

いちばん相性がいいのは、初めて部下を持ち、1on1をどう位置づければいいのか迷っている管理職です。マンガと会話例から入り、基本原則、導入理由、進め方、FAQへと進むので、最初の一冊として入りやすさがあります。

次に向いているのは、すでに1on1を導入しているのに、実際には業務報告で終わっていたり、何を話せばいいのか毎回迷っていたりする人です。本書は、形だけ続いている1on1を見直したい読者にとって、かなり実用的です。頻度の確保、話題不足、年上の部下への対応、記録の扱いまで視野に入っているので、運用の詰まりどころに戻って確認しやすい構成になっています。


向いていない人

一方で、1on1そのものではなく、人事制度や評価制度の設計を中心に学びたい人には、少し焦点が違います。この本の重心は、制度全体の議論よりも、上司と部下の対話をどう成り立たせるかにあります。

また、短時間で使える会話テクニックだけを拾いたい人にも、やや合わない可能性があります。すぐ使える要素はありますが、その前に「そもそも1on1を何のために行うのか」という前提をかなり大事にしているからです。考え方を飛ばして小技だけ取りたい人には、少し回り道に感じられるかもしれません。


先に結論(買う価値はある?)

結論から言うと、1on1に悩みがある管理職には買う価値があります。理由ははっきりしていて、1on1を単なる流行や制度としてではなく、部下の成長のための業務として捉え直し、そのうえで始め方・続け方・つまずきへの対処まで一冊で押さえられるからです。

とくに価値があるのは、きれいごとだけで終わっていない点です。導入時の反発や、続ける中で起きる疑問まで見据えているので、実際の現場に引きつけて読みやすい。一方で、万能のマネジメント論を求めるなら方向は少し違います。1on1をきちんと機能させたい、その一点に課題意識があるなら、手に取る理由は十分あります。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

第一に、本書は1on1を進捗確認や評価面談の延長ではなく、部下の成長のために設計する対話として捉え直しています。冒頭から、上司と部下が定期的に向き合う時間の意味を問い直し、「なぜやるのか」を先に固めるつくりになっているのが特徴です。1on1を制度として導入していても、実際には業務報告で終わっている職場にとって、ここが最初の見直しポイントになります。

第二に、内容は理念説明だけで終わらず、始め方と運用のしかたまでかなり実務寄りに整理されています。序盤ではマンガや会話例で基本感覚をつかませ、その後に原則、導入理由、3ステップ、4つのモードへと進むため、初めて読む人でも理解の順番を追いやすい構成です。読んで終わりではなく、実際に1on1を始めたり立て直したりするための導線が明確です。

第三に、現場で起きやすい詰まりどころを、後半でまとめて扱っている点も大きいです。時間が取れない、何を話せばいいかわからない、毎日話しているのに必要なのか、内容を記録すべきかといった疑問が並んでいて、1on1がうまく回らない前提で組み立てられています。理想論だけで押し切らず、運用時の抵抗や迷いに応える実践書として読めます。


著者が一番伝えたいこと

本書全体を通していちばん強く伝わってくるのは、1on1は上司のための管理手法ではなく、部下のために時間を確保する対話だということです。冒頭では、部下の仕事をどれだけ見ているか、最後に一対一で話したのはいつか、といった問いが置かれますが、これは単なる導入ではなく、上司と部下の関係そのものを見直すための問題提起になっています。

そのうえで本書は、1on1を特別な才能が必要なものとしてではなく、練習しながら身につけていく実務として描いています。しかも、最初からうまくいかなかったこと、働き方の変化のなかで考え方を更新してきたことも率直に示されているため、完成された理論を押しつける印象は強くありません。続けながら整えていくものとして1on1を捉えているところに、この本の芯があります。


読むと得られること

読み終えたあとに得られるのは、1on1の正しい答えを一つ覚えることよりも、自分の職場の1on1がどこでずれているかを見分ける視点です。進捗確認に寄りすぎていないか、上司が先に結論を言いすぎていないか、会話の終わりが次の行動につながっているかといった点を、かなり具体的に点検できるようになります。

あわせて、始める前の不安を減らしやすいのも本書の強みです。1on1をどう始めるか、どんな順番で整えるか、困ったときはどこに立ち返ればいいかが整理されているので、制度導入の初期段階にも、運用が形だけになっている段階にも対応しやすい。とくに、部下との対話を気の利いたコミュニケーション術ではなく、継続して設計すべき業務として捉え直せる点に、この本の実用的な価値があります。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり実践テクニックを並べるのではなく、まず1on1を何のためにやるのかという土台から整えていく構成です。冒頭では、上司と部下の対話が進捗確認や評価面談に吸い寄せられやすい現実を踏まえながら、1on1を「部下のための時間」として捉え直すところから始まります。そのうえで、基本の会話原則、導入の考え方、運用時のモード切り替え、現場で起こる詰まりどころへと進むので、読者は「理解する→始める→深める→困ったときに戻る」という順番で読み進められます。

この流れがうまいのは、最初に理念だけを語って終わらず、後半で現実的な悩みまで受け止めている点です。1on1を理想論として掲げるだけなら前半で完結しますが、本書はそこから先に重心があります。導入理由を整理したあとに、状況に応じた進め方を示し、最後は頻度・話題・記録・年上部下への対応といった具体的な疑問に戻ってくるため、実務で使う本としての設計がかなり明確です。


大見出し目次(短い目次)

  • はじめに
  • 第1章 マンガで学ぶ1on1の基本
  • 第2章 1on1を始めよう
  • 第3章 4つのモードと働きかけ
  • 第4章 困ったときのFAQ
  • 第5章 これからの1on1の話をしよう
  • おわりに


各章の要点

第1章は、1on1の入口にあたる章です。会話の良し悪しを具体的なやり取りで見せながら、上司が先に話しすぎないこと、部下に十分話してもらうことなど、土台になる型を固めてくれます。

第2章は、なぜ1on1をやるのかと、どう始めるのかをつなぐ章です。ここで導入の理由と3ステップが整理されるので、本書全体の橋渡しとしてかなり重要です。考え方を実務に落とす中心はこの章にあります。

第3章は、実際の運用に厚みを持たせる章です。1on1を単調な面談にしないための進め方や働きかけが扱われていて、第2章で整えた導入の土台を、継続可能な実践へ押し広げる役割を担っています。

第4章は、現場で最も役に立ちやすい章です。時間確保、話題不足、業務報告化、プライベート相談、記録の扱いなど、実施後に起きやすい問題が並んでおり、理屈より先に困りごとを解きたい読者にも入りやすくなっています。

第5章は、1on1を続ける意味を考える締めの章です。ここまでの実践論を受けて、すぐに成果だけを求めず、それでもやめない理由を見直す位置づけになっています。


忙しい人が先に読むならここ

時間が限られているなら、まず第2章、その次に第4章、余裕があれば第1章と第3章に戻る読み方がいちばん実用的です。第2章で「なぜやるのか」と「どう始めるのか」をつかみ、第4章で実際に起こりやすい詰まりどころを押さえると、本書の実務的な価値が先に見えてきます。

1on1がすでにある程度走っている職場なら、第4章から入るのもありです。毎日話していれば不要ではないか、週1回30分を確保できない、何を話せばいいかわからない、といった疑問に先に触れることで、自分の職場のどこが引っかかっているのかを整理しやすくなります。

逆に、これから初めて1on1に触れる人は、第1章を飛ばさないほうがいいと思います。本書は、考え方だけでなく会話の基本姿勢まで含めて組み立てられているので、序盤の土台があると第2章以降の内容が入りやすくなります。全体を通して読むと、単なるノウハウ集ではなく、上司と部下の対話をどう成り立たせるかを順番に学ばせる本だとわかります。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

いちばん強く残ったのは、この本が1on1を気の利いた会話術としてではなく、管理職が引き受けるべき仕事としてかなり明確に位置づけていることでした。部下との対話を大切にしましょう、という柔らかい話にとどまらず、上司が部下より高い立場にいるなら、その役割の中に一対一で向き合う時間を持つ責任があるのではないか、という問いまで含んでいる。その視点があるからこそ、読み終えたあとに残るのがテクニックよりも姿勢の問題だったのだと思います。

もうひとつ印象的だったのは、1on1の「やり方」だけでなく、「なぜやるのか」を何度も問い直しているところです。1on1が進捗確認や仕事の相談に流れてしまうことへの違和感が本全体の出発点になっていて、その問題意識がぶれません。だからこそ、導入の章や4つのモードの章だけでなく、最初の導入部分そのものにかなり強い意味があると感じました。

構成面でも、その考え方が無理なく積み上がっていくのがよかったです。マンガと会話例で基本感覚をつかみ、そこから導入理由、進め方、つまずきやすい点へ進むので、理念だけが浮いていません。理解して終わるのではなく、始める、続ける、困ったときに戻るという流れがきちんと作られていて、実務書としての設計のうまさが印象に残りました。


すぐ試したくなったこと

すぐ試したいと思えたのは、まず自分たちの1on1が本当に部下のための時間になっているかを点検することです。1on1という名前をつけていても、実際には進捗確認や上司側の相談に寄ってしまうことは起こりやすいはずで、本書はそこをかなり厳しく見ています。その視点を持つだけでも、普段の面談やミーティングの見え方が変わりそうだと感じました。

あわせて、上司が先に自分の考えを言いすぎていないか、話の終わりが次の行動につながっているかを見直したくなりました。こうした点は一見細かいのですが、本書では会話の空気を決める前提として扱われています。単なる聞き方のコツではなく、部下が主体的に話せる場をどうつくるかという話として読めたので、すぐに試す意味が見えやすかったです。

後半のFAQも、試したくなった理由のひとつでした。時間が取れない、何を話せばいいかわからない、業務報告で終わるといった悩みは、理屈を理解したあとに必ず現場でぶつかりそうなものです。そこまで見越しているから、読んでいて「きれいごとでは終わらない本だな」と感じました。


読んで気になった点

よかった点が多い一方で、読む人を少し選ぶ本でもあると思います。内容はかなり実務的ですが、すぐ使える小さな会話テクニックだけを拾いたい人には、少し重く感じるかもしれません。この本は、やり方の前に1on1の位置づけそのものを問い直すので、そこに向き合う気持ちがないと、遠回りに見える可能性があります。

また、1on1の理念から運用までかなり丁寧に整理されているぶん、これ一冊で組織の問題が広く解決するように読むとズレそうです。部下育成や離職の文脈につながる本ではありますが、人事制度や評価制度そのものを深く掘り下げる本ではありません。そこを見誤らず、あくまで上司と部下の対話を立て直す本として読むほうが、納得感は高いはずです。

個人的には、その限定のされ方も含めて誠実な本だと感じました。勢いで1on1を勧めるのではなく、うまくいかなかったことや、働き方の変化の中で考え方を更新してきたことがにじんでいるからです。だからこそ、万能感を求めるより、管理職としての土台を見直したいときに手に取る本として印象に残りました。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変えようとしなくて大丈夫です。まずは1on1を「部下のための時間」として見直すところからで十分です。

本書は、読んで納得して終わるより、実際の対話の場を少しずつ組み替えていくときに力を発揮する本です。今日から動くなら、まずは次のようなことから始めるのが現実的です。

  • いまの1on1が進捗確認や評価面談になっていないか点検する
  • 週1回30分を基準に、定期的な時間を先に押さえる
  • 1on1の目的を「部下のための対話」と言葉にして整理する
  • 上司が先に結論を言いすぎていないか振り返る
  • 部下が十分に話せる時間配分になっているか見直す
  • 話を途中で切らず、最後まで聞くことを意識する
  • 会話の終わりに、次の行動を確認して終える
  • 話題が出ない場合に備えて、困りごとや近況を拾う視点を持つ
  • 1つの進め方に固定せず、相手や状況で関わり方を変える意識を持つ
  • 「時間が取れない」「何を話すか分からない」といった詰まりどころを先に想定しておく


1週間で試すならこうする

本気で運用を変えたいなら、1週間だけでも小さく回してみると、本書の実用性が見えやすくなります。いきなり完璧を目指すより、まずは流れをつくることが大事です。

  • Day1:いまの1on1の現状を書き出す。進捗確認中心か、部下の話を聞く時間があるかを整理する
  • Day2:週1回30分の枠を仮で確保し、続けられる頻度と時間を決める
  • Day3:1on1で上司が確認したいことではなく、部下が話しやすい問いを考える
  • Day4:自分が先に話しすぎる癖がないかを点検し、聞く時間を長めに取る準備をする
  • Day5:1回分の1on1を実施し、最後に次の行動を短く確認する
  • Day6:うまくいかなかった点を振り返る。話題不足、時間不足、業務報告化のどれが起きたかを見る
  • Day7:次回に向けて1つだけ修正点を決める。全部直そうとせず、ひとつに絞る


つまずきやすい点と対策

いちばんつまずきやすいのは、1on1を結局いつもの面談に戻してしまうことです。進捗確認や評価の話に引っ張られると、本書が強く打ち出している「部下のための時間」という前提が崩れます。対策としては、最初にこの時間の目的を自分の中で明確にし、毎回そこへ戻ることです。

次に起きやすいのは、上司の側が話しすぎることです。話題を用意しようとするほど、上司が主導しすぎてしまい、結果として相手が話せないまま終わりやすくなります。対策はシンプルで、まずは最後まで聞くこと、先に結論を言わないことを優先することです。本書の基本がそのまま処方箋になります。

もうひとつは、最初から大きな成果を期待しすぎることです。この本自体、1on1を万能の解決策として扱っているわけではなく、うまくいかなさも含めて続け方を考える本です。だから、1回で何かを解決しようとするより、続けながら修正していく前提で読むほうが合っています。時間不足、話題不足、業務報告化のような詰まりが出たら、失敗と決めつけるより、FAQに戻って調整していく使い方が現実的です。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』との違い

結論から言うと、離職防止を入り口に1on1を考えたいなら離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』、1on1そのものを面談から切り離して導入・運用まで整理したいなら本書です。比較の軸は、テーマと読者の悩みの置きどころにあります。

本書は、1on1を「部下のための対話」として捉え直し、マンガによる基本、導入の3ステップ、4つのモード、FAQまで一続きで学べるのが強みです。一方で『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』は、タイトルどおり離職防止と現場マネジメントの文脈で手に取る人が多いはずで、「部下が辞めない」という悩みが先にある読者には入りやすいでしょう。

向いている人も少し違います。1on1を会社で始めることになったが、面談との違いから整理したい人、進め方に不安がある人には本書が合います。逆に、まず離職や定着の問題意識から入りたい人には、『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』のほうが目的に直結しやすいはずです。


『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1 on1ミーティング―』との違い

結論を先に言えば、1on1の源流や背景にあるマネジメント思想まで含めて見たいなら『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識―』、日本の現場で1on1をどう始めてどう続けるかを知りたいなら本書です。ここでの比較軸は、視点の広さと実用性です。

本書は、上司と部下の関係をどう設計し直すかという問題意識を土台にしながらも、重心はかなり実務にあります。読んでいて印象に残るのも、導入手順やFAQのような「現場でどこに詰まるか」を想定したつくりでした。一方で『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識―』は、タイトルからも分かるように、1on1を含む人材マネジメント全体の文脈で読みたい人に向く本です。

そのため、向いている読者もはっきり分かれます。今すぐ1on1を導入したい、評価面談とどう切り分けるか悩んでいる、現場で話題不足や業務報告化に困っている、という人には本書のほうが使いやすいでしょう。1on1をより大きなマネジメントの流れの中で理解したい人には、『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識―』が合います。


迷ったらどれを選ぶべき?

迷ったときは、自分の悩みが「1on1そのもの」なのか、「離職」なのか、「マネジメント全体」なのかで選ぶと判断しやすくなります。1on1を面談と混同してしまう、導入したいがどう始めるか分からない、続けるうえで何に詰まりやすいかまで見ておきたい、という悩みなら本書が最も合っています。

離職防止を主軸に考えるなら『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』、1on1の背景にある人材マネジメントの考え方まで広く押さえたいなら『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識―』が候補になります。そのうえで、本書の価値は、1on1を理想論でも小手先の会話術でもなく、現場で運用するための実務として整理しているところにあります。どれを読むか迷っていて、いちばん知りたいのが「結局、自分の現場でどう使うのか」なら、まず選びやすいのはこの本です。


著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

本間浩輔は、1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社し、2000年にはスポーツナビの創業に参画しました。その後はヤフー傘下で人事担当執行役員、取締役常務執行役員、Zホールディングス執行役員などを歴任し、2024年4月に独立。現在は企業の人材育成や1on1導入指導に携わっています。


このテーマを書く理由

この本のテーマと著者の経歴は、かなりまっすぐにつながっています。ヤフーの人事領域を担ってきた経験があり、その後も企業の人材育成や1on1導入支援に関わっているため、1on1を単なる理論ではなく、組織の中でどう定着させるかという視点で語れる立場にあります。さらに本書は、旧版の内容をそのまま再掲するのではなく、リモートワークや働き方改革以後の環境変化を踏まえて更新されています。著者自身がヤフー退職後も複数の企業や社会人向け教育の場で1on1を考え続けてきたことが、改訂の背景になっています。


この本が信頼できる理由

信頼できる理由は、1on1を現場で導入し、運用し、そこで起きる摩擦まで含めて扱っている点にあります。本書は、理想的な対話の重要性を語るだけでなく、導入理由、進め方、4つのモード、よくある疑問への対応までを一冊の中で整理しています。しかも、1on1を進捗確認や評価面談と切り分けて考える姿勢が一貫しており、制度として広がったあとに形骸化しやすい点まで見据えています。人事と育成の実務を長く担ってきた著者だからこそ、概念だけでなく運用上のつまずきまで含めて書ける本になっています。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、1on1の全体像をざっとつかみたいだけなら要約でも足ります。ただし、本書の価値は「1on1とは何か」を知ることより、進捗確認や評価面談とどう切り分けるか、どこでつまずきやすいかまで含めて理解できる点にあります。

実際に職場で使いたいなら、要約だけでは足りません。とくに、基本原則、3ステップ、4つのモード、FAQの流れはつながって読んだほうが機能しやすく、形だけの1on1を立て直したい人ほど本文に触れる意味があります。


初心者向け? 中級者向け?

基本的には初心者向けです。1on1を初めて学ぶ人でも入りやすいように、序盤はマンガやケースから始まり、聞き方や関わり方の基本を具体的に押さえる構成になっています。前提知識がなくても、何が1on1の土台なのかを理解しやすい本です。

一方で、内容は入門だけで終わりません。導入手順の体系化や、実施後につまずきやすい論点まで扱っているので、形骸化した1on1を立て直したい中級者にも役立ちます。抽象論に寄りすぎず、現場でどう回すかまで見えるので、実践しやすさは高い部類です。


どこから読むべき?

これから1on1を始めるなら、第2章から読むのがいちばん分かりやすいです。なぜ取り組むのか、どう始めるのかが整理されていて、本書全体の軸をつかみやすいからです。そのあとで第1章に戻ると、会話の基本動作が具体的に入りやすくなります。

すでに1on1をやっていて悩みがある人は、第4章から入っても問題ありません。時間が取れない、話題が続かない、業務報告ばかりになるといった悩みに直結するので、自分の詰まりに近い項目から読むほうが実用的です。余裕があれば、第3章で進め方の幅を補うと全体がつながります。


忙しくても実践できる?

結論として、忙しくても実践はできますが、読むだけで自然に回るタイプの本ではありません。本書自体が、週1回30分という単位や、時間が取れない場合の悩みを正面から扱っているので、忙しい現場を前提にした本ではあります。

ただし、最初から完璧にやろうとすると重く感じるはずです。まずは、いまの1on1が進捗確認に寄っていないかを見直す、上司が先に話しすぎていないかを点検する、といった小さな修正から入ると使いやすくなります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

一つ目は、1on1を気の利いた対話術ではなく、部下育成のための業務として捉え直せることです。本書は、進捗確認や評価面談と混ざりやすい1on1を切り分け、その時間の意味から考え直させてくれます。

二つ目は、わかった気になるだけで終わらせず、実際に始めて続ける導線があることです。基本原則、導入理由、3ステップ、4つのモード、FAQという流れが組まれているので、制度を入れる人にも、すでに回しているけれどうまく機能していない人にも使いやすい構成です。

三つ目は、万能のマネジメント論ではないぶん、何に効く本かがはっきりしていることです。上司と部下の定期対話をどう設計し、どう運用するかに焦点が絞られているので、読み終えたあとに行動へつなげやすい強さがあります。


この本をおすすめできる人

いちばん合うのは、初めて部下を持った管理職、1on1をやる必要性は感じているのにまだ腹落ちしていない上司、そして形だけの1on1を立て直したい現場リーダーです。人事や組織開発の立場で、現場にどう定着させるかを考えたい人にも使いやすい本です。

逆に、評価制度や人事制度の設計そのものを深く学びたい人、本格的なコーチング理論を中心に読みたい人には、少し目的がずれるかもしれません。この本は、制度論の本というより、上司と部下の対話をどう実務として回すかに重心があります。


今すぐやること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変えなくて大丈夫です。まずは1回の1on1の目的を整えるだけでも、本書の価値はかなり実感しやすくなります。

今日やることは一つで十分です。次に予定している1on1の前に10分だけ取り、「これは進捗確認の場ではなく、部下が話すための時間になっているか」を紙かメモで見直してください。

見るポイントは三つだけです。自分が先に結論を言っていないか、部下に十分話してもらえているか、最後が次の行動確認で終わっているか。この10分の準備だけでも、1on1が形だけの面談から外れ始めます。


次に読むならこの本

『1 on 1 ミーティング 「対話の質」が組織の強さを決める』:導入編として本書を読んだあとに、対話の質そのものをもう一段深く考えたい人向けです。

『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識―』:1on1の源流側の文脈を押さえ、本書の国内実践との違いを見たい人に向いています。

『部下の強みを引き出す 経験学習リーダーシップ』:1on1の先にある「育成」を、経験学習の理論から補強したい人に合います。




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カネマツ

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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