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【書評】頭のいい人が話す前に考えていること|要約と感想、向いている人を整理

【書評】頭のいい人が話す前に考えていること|要約と感想、向いている人を整理

自分なりに考えているのに、「考えが浅い」「何が言いたいのかわからない」と受け取られてしまう。『頭のいい人が話す前に考えていること』は、そんなズレを話し方の技術ではなく、発言する前の「思考の質」から見直していく本です。

本記事では、7つの基本姿勢と5つの思考法の内容、実際に読んで印象に残った点、注意点や実践方法まで整理します。タイトルから想像する内容との違いも含め、この本が自分に合うのか、購入して読む価値があるのかを判断しやすくなるように見ていきます。


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結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『頭のいい人が話す前に考えていること』は、うまく話すためのテクニックではなく、話す前の思考を整えることで、伝わり方と信頼の両方を改善するための本です。

考えているつもりなのに「話が浅い」「結局何が言いたいの?」と思われてしまう原因を、単なる話し方ではなく「思考の質」から見直します。客観視、整理、傾聴、質問、言語化まで扱うため、自分の考えをまとめるところから相手との対話まで、一連のコミュニケーションを整えたい人に向いています。


向いている人

特に合いやすいのは、自分では考えているのに、その考えが相手へうまく伝わらない人です。会議や相談の場ですぐ答えてしまう、説明すると話がまとまらない、相手の話を聞く前にアドバイスしてしまう、といった悩みがあるなら、本書の内容と結びつけやすいでしょう。

また、話し方だけでなく「何を根拠に考えるか」「事実と意見をどう分けるか」「相手の話をどう聞くか」「質問でどう深めるか」まで学びたい人にも向いています。反対意見や統計にも目を向ける、言葉の定義を確かめる、質問の前に仮説を持つなど、具体的な行動まで示されているため、思考法を仕事のコミュニケーションに落とし込みたい人にも使いやすい内容です。


向いていない人

一方、発声や滑舌、身振り、プレゼンの見せ方など、話し方そのものの技術を集中的に学びたい人には目的が少し違います。また、高度な論理思考のフレームワークだけを体系的に学びたい人にとっても、本書の範囲は広く感じるかもしれません。

タイトルから「頭の回転を速くする方法」や「賢く見える話し方」を期待する場合も注意が必要です。実際には、すぐ反応しない、論破しない、簡単にアドバイスしない、相手の話をきちんと聞くといった地道な姿勢が重要なテーマになっています。


先に結論(買う価値はある?)

結論として、「ちゃんと考えているつもりなのに、相手にはそう伝わらない」という悩みがあるなら、読む価値を見いだしやすい一冊です。 理由は、「思考の質」という抽象的なテーマを、客観視・整理・傾聴・質問・言語化といった具体的な行動まで落とし込んでいるからです。

読むだけで急に頭の回転が速くなる本ではありませんが、話す前に一度立ち止まり、「これは事実か意見か」「相手は何を知りたいのか」「自分は本当に相手の話を聞けているか」と考える習慣を身につけたい人には実践につなげやすい内容です。話し方を磨く前に、まずその土台となる考え方を整えたい人なら、検討する価値があります。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

1つ目のポイントは、「ちゃんと考える」とは、長く考えることではなく、思考の質を高めることです。本書は、自分なりに考えているのに「考えが浅い」と受け取られてしまう理由を、思考量ではなく質の違いから捉えます。そのために、感情のまま反応せず一度立ち止まることや、自分に都合のいい情報だけを信じず、反対意見や統計にも目を向けることが重視されています。

2つ目は、考えを整理するだけでなく、相手を理解するところまでを「頭のよさ」に含めていることです。事実と意見を分ける、言葉の意味を曖昧なまま使わない、相手が知りたいことを意識して結論を整理するといった思考法に加え、相手をすぐ評価しない、安易にアドバイスしない、質問の前に仮説を持つといった傾聴や質問の技術も扱われます。自分一人で正しい答えを出すことより、相手との対話の中で思考を深めることに重心があります。

3つ目は、考えたことを最後にきちんと言語化することです。「面白い」「すごい」といった大まかな言葉で終わらせず、言葉の定義やネーミングにこだわり、自分なりに対象を捉え直して言葉にすることが求められます。本書は、客観視、整理、傾聴、質問、言語化へと話を進めながら、考えるところから相手に伝わるところまでを具体的な行動へ落とし込んでいます。


著者が一番伝えたいこと

本書を貫いているのは、人は考えていないのではなく、「考えを質の高い形にする方法」を知らないことがあるという考え方です。そこで重要になるのが、発言する直前に一度立ち止まること。思いついたことをそのまま口にするのではなく、根拠は十分か、事実と意見が混ざっていないか、相手が本当に知りたいことは何かを確かめることで、思考の質を高めていきます。

その先にあるのも、単に賢く見られることではありません。論破や知識の誇示ではなく、相手の話を聞き、課題に目を向け、知識を相手のために使う。本書でいう「頭のよさ」は、知性と信頼が同時に生まれるようなコミュニケーションと深く結びついています。


読むと得られること

本書を読むと、話し方の型を覚える前に、発言の材料となる思考そのものを点検する視点が得られます。意見を求められてもすぐ反応せず、自分の根拠を確かめる。事実と意見を分ける。相手の話を聞くときは、次に自分が何を言うかではなく、相手が何を伝えようとしているのかを整理する。こうした行動にまで落とし込めるのが本書の実践的なところです。

また、質問するときに仮説を持つ、曖昧な感想を自分の言葉で再定義する、読書ノートやノウハウメモで言語化を習慣にするといった方法も扱われています。話がうまくなることだけを目指すのではなく、「考えているのに伝わらない」状態から抜け出し、相手にとって意味のある形で考えを届けるための土台を整えられる本です。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、まず「頭のいい人は何をしないのか、どう振る舞うのか」という基本姿勢を整え、そのあとで思考を深める具体的な方法へ進む二段構成です。前半では、感情のまま反応しない、論破を目的にしない、話し方だけを磨かない、知識や承認欲求の扱いを見直すなど、知性と信頼を損なわないための7つの原則を扱います。

後半では、思考を「客観視」「整理」「傾聴」「質問」「言語化」の5つに分けて具体化します。情報の受け取り方を整え、自分の考えを整理し、相手を理解し、質問で深め、最後に言葉として外へ出す流れです。「話す前に考える」を頭の中だけの作業にせず、相手との対話まで含めて扱っているのが本書の特徴です。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1部 頭のいい人が話す前に考えていること ―「知性」と「信頼」を同時にもたらす7つの黄金法則

     その1 頭が悪くなる瞬間、頭がよくなる時間
     その2 頭のよさを決めるのは「だれ」だ?
     その3 なぜ、コンサルは入社1年目でもその道30年の社長にアドバイスできるのか?
     その4 頭のいい人は、論破しない
     その5 「話し方」だけうまくなるな
     その6 知識が「知性」に変わるとき
     その7 承認欲求をコントロールできる者がコミュニケーションの強者になれる

  • 第2部 一気に頭のいい人になれる思考の深め方 ―「知性」と「信頼」を同時にもたらす5つの思考法

     第1章 まずは、バカな話し方をやめる ――客観視」の思考法
     第2章 なぜ、頭のいい人の話はわかりやすいのか? ――「整理」の思考法
     第3章 ちゃんと考える前に、ちゃんと聞こう ――「傾聴」の思考法
     第4章 深く聞く技術と教わる技術 ――「質問」の思考法
     第5章 最後に言葉にしてインパクトを残す ――「言語化」の思考法


各章の要点

第1部では、7つの基本法則を通して、思考の質を下げる行動を先に見直します。感情に任せて反応しない、賢さを誇示しない、論破を目的にしない、話術だけに頼らない、知識を相手のために使うといった姿勢が、後半の具体的な思考法へ進む土台になります。

第1章では「客観視」が中心です。少ない情報だけを信じ込まず、反対の意見やデータにも当たり、言葉の定義や成り立ちまで確かめることで、話の浅さを減らしていきます。

第2章は「整理」。相手が知りたいことを意識して結論を組み立て、事実と意見を分けることで、頭の中にある内容を伝わる形へ整えます。客観的に集めた情報を、自分の中で構造化する橋渡しの章です。

第3章では、思考の対象が自分から相手へ広がります。自分が次に話す内容を準備するのではなく、評価や安易な助言を控えながら、相手が本当に伝えたいことを理解するために聞く姿勢を扱います。

第4章は、その理解を質問によってさらに深める段階です。仮説を持ちながら、状況・行動・結果へと問いを重ねていくため、傾聴から深い理解へ進む役割を担っています。

第5章では、最後に「言語化」へ進みます。自分の考えを未整理のまま相手に渡さず、自分で理解し、整理し、言葉にするところまで引き受ける。ここまで来て、客観視から始まった思考が相手に届くアウトプットになります。


忙しい人が先に読むならここ

時間が限られているなら、まず第1部で本書が考える「頭のよさ」と「信頼」の関係を押さえたうえで、第2部の第2章「整理」と第3章「傾聴」を優先すると、本書の特徴をつかみやすいでしょう。

第2章では、結論の捉え方や事実と意見の区別など、「考えているのに伝わらない」を改善する具体策がまとまっています。続く第3章を読むと、本書が単なる説明力の本ではなく、相手を理解することまで「考える力」に含めている理由が見えてきます。

さらに余裕があれば、第5章の「言語化」まで読むと全体がつながります。情報を受け取り、整理し、相手を理解し、最後に自分の言葉で相手へ渡すという、本書が描く思考の流れを一通り確認できます。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

読んで最も印象に残ったのは、本書が「頭のよさ」を、自分の中だけで完結する能力として扱っていないことです。タイトルからは、賢く見える話し方や気の利いた言い回しを学ぶ本を想像しやすいのですが、実際にはむしろ、感情的に反応しない、相手を論破しようとしない、知識をひけらかさない、相手の話をきちんと聞くといった姿勢に重心があります。

特に腑に落ちたのは、「一生懸命考えたこと」と「相手にとって意味のある考えになっていること」は別だという捉え方でした。自分では十分に考えたつもりでも、根拠が薄かったり、事実と意見が混ざっていたり、相手が知りたいことからずれていたりすれば、結果として「考えが浅い」と受け取られることがあります。本書はそこを単純な話術の問題にせず、話す前の思考そのものへ戻って考えさせてくれます。

また、「考えること」の中に傾聴や質問まで含めている点も印象的でした。反対意見や統計を確認する、言葉の定義を掘るといった自分の思考を整える方法だけでなく、相手をすぐ評価しない、安易に助言しない、質問する前に仮説を持つところまで扱われます。読み進めるほど、知性は知識量だけで表れるのではなく、相手を理解しようとする姿勢にも表れるのだと感じました。


すぐ試したくなったこと

まず試したくなったのは、話す前に一度立ち止まることです。本書には客観視、整理、傾聴、質問、言語化と多くの方法が出てきますが、その出発点には、反射的に答えないという姿勢があります。特別な道具や複雑なフレームを用意する前にできるため、本書の考え方を日常へ持ち帰る最初の一歩として取り入れやすく感じました。

もう一つは、発言する内容を「事実」と「自分の意見」に分けて考えることです。さらに、相手が話している間に自分の答えを準備するのではなく、相手が本当に伝えたいことを整理しながら聞くという考え方も試したくなりました。どちらも派手なテクニックではありませんが、「ちゃんと考える」という曖昧な言葉を具体的な行動へ変えているため、何を意識すればよいのかが分かりやすかったです。


読んで気になった点

気になったのは、やはりタイトルから受ける印象と実際の内容には少し距離があることです。「頭のいい人」「頭の悪い人」という強い言葉が使われているため、頭の回転を速くする方法や、賢く見える話術を期待する人もいるでしょう。しかし実際の中心にあるのは、論破を避けること、安易に助言しないこと、相手の話を聞くこと、知識を相手のために使うことなど、かなり対人的で地道なテーマです。

また、客観視から整理、傾聴、質問、言語化まで扱う範囲が広いため、高度なロジカルシンキングだけを深く学びたい人には方向性が違って見える可能性があります。一方で、この広さがあるからこそ、「考えること」を自分の頭の中だけで終わらせず、相手とのコミュニケーションまでつなげて捉えられるのが本書らしさでもあります。刺激的なタイトルよりも、実際は「口を開く前に一度立ち止まり、相手のために思考を整える」ことを丁寧に扱った本だと考えて読むほうが、内容とのズレは少ないでしょう。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

本書の内容は、特別な場面だけで使うものではありません。会議や相談、普段の会話などで「話す前に少し確認する」ことから始められます。

  • 意見を求められてもすぐに答えず、一度立ち止まってから話し始める。
  • 発言する前に、「確認できる事実」と「自分の判断や意見」を分けて考える。
  • 自分の考えを支持する情報だけでなく、反対意見や統計データにも目を向ける。
  • 相手に結論を伝える前に、「この人がいま一番知りたいことは何か」を考える。
  • 相談を受けてもすぐ助言せず、まず相手が何を言いたいのか整理しながら聞く。
  • 質問するときは思いつきで聞くのではなく、自分なりの仮説を持ってから尋ねる。
  • 「問題」「課題」など普段何気なく使う言葉ほど、意味の違いを一度考えてみる。
  • 「面白い」「すごい」で感想を終わらせず、何がどう違ったのか自分の言葉にする。
  • 読書や仕事で得た気づきをノートやメモに残し、言語化する機会を増やす。

全部を一度に取り入れる必要はありません。最初は「即答しない」と「事実と意見を分ける」の2つだけでも、話す前に考える時間をつくりやすくなります。

兼松 学
兼松 学
最初から7つの原則や5つの思考法をすべて習慣にしなくても大丈夫です。まず一つ、普段の会話で思い出せる行動から試すほうが取り入れやすいでしょう。


1週間で試すならこうする

Day1:まず「即答しない」を試す。
意見を求められたとき、すぐ返答する癖がないか意識し、短くても考える間をつくります。

Day2:自分の発言を事実と意見に分ける。
話す直前に、確認できる情報なのか、自分の判断なのかを区別することに集中します。

Day3:自分とは反対の情報を一つ確認する。
自分に都合のよい材料だけで結論を出していないかを確かめ、考えを客観視する練習にします。

Day4:相手が知りたいことから話す。
自分が言いたい順番ではなく、相手が最も聞きたい内容は何かを考えてから説明します。

Day5:相談されたら、まず聞く。
評価や助言を急がず、相手が伝えたいことを整理することに意識を向けます。

Day6:質問の前に仮説を持つ。
何となく質問を重ねるのではなく、自分は何を確かめたいのかを考えてから尋ねます。

Day7:一週間を言語化する。
「良かった」「難しかった」だけで終わらせず、どの行動で何に気づいたのかをノートやメモに残します。

この流れなら、客観視や整理だけでなく、傾聴・質問・言語化まで少しずつ試せます。成果を急ぐより、自分がどの場面で反射的に話しているのかに気づく一週間と考えると取り組みやすくなります。


つまずきやすい点と対策

一つ目は、「話す前に考える」を、長時間黙って完璧な答えを作ることだと捉えてしまうことです。本書が重視しているのは思考量を増やすことではありません。まずは即反応を避け、事実と意見を一度分けるなど、小さな確認から始めるほうが実践しやすいでしょう。

二つ目は、相手の話をよく聞こうとしているのに、結局は自分の助言を考えてしまうことです。傾聴を実践するときは、良い答えを返すことより、相手が何を言いたいのかを理解することに目的を絞ります。助言を急がず、まず状況を整理するだけでも、本書の考え方に近づけます。

三つ目は、質問の質を上げようとして、難しい質問を作ること自体が目的になることです。大切なのは質問を賢く見せることではなく、相手や状況をより深く理解すること。まず自分なりの仮説を持ち、そのうえで状況・行動・結果を確かめる意識を持つだけでも十分です。

最後に、言語化を意識しすぎて、うまい表現を作ることに偏ることにも注意したいところです。本書で重視されているのは言葉を飾ることではなく、自分が何を理解したのかを明確にすることです。読書ノートや仕事のメモでも、まずは一つの内容を自分の言葉で言い換えるところから始めると、日常の中で続けやすくなります。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理

『頭のいい人が話す前に考えていること』の特徴は、話し方そのものではなく、発言する前の思考からコミュニケーションを整えるところにあります。『コミュ力が高い人が話しながら意識していること』は会話中へ焦点を移し、『1分で話せ』は整理した考えを短く伝えるアウトプットに重心があります。

重心 向いている人
『頭のいい人が話す前に考えていること』 話す前の思考・傾聴・質問・言語化 考え方からコミュニケーションを見直したい人
『コミュ力が高い人が話しながら意識していること』 実際に話している最中のコミュニケーション 会話中の振る舞いを改善したい人
『1分で話せ』 考えを短く整理して伝える技術 簡潔なアウトプットを身につけたい人


『コミュ力が高い人が話しながら意識していること』との違い

『頭のいい人が話す前に考えていること』は、発言する前に一度立ち止まり、情報を客観視し、事実と意見を整理し、相手を理解したうえで言葉にするところまで扱います。一方、『コミュ力が高い人が話しながら意識していること』は、同じ安達裕哉の本でも焦点が「話す前」から「話している最中」へ移っています。

そのため、自分では考えているのに話が浅く受け取られる、すぐ反応やアドバイスをしてしまう、考えをうまく言語化できないという人には『頭のいい人が話す前に考えていること』が合います。すでに話す前の考え方よりも、実際の会話中に何を意識するかを知りたい人なら、『コミュ力が高い人が話しながら意識していること』のほうが目的に近いでしょう。


『1分で話せ』との違い

『1分で話せ』は、整理した内容を短時間で簡潔に相手へ届ける「アウトプット側」の技術を扱う本です。それに対して『頭のいい人が話す前に考えていること』は、結論の伝え方だけでなく、その前段階にある客観視、事実と意見の区別、傾聴、質問、言語化まで範囲を広げています。

すぐに役立てたい課題が「長く話してしまう」「短く伝えられない」という点なら、『1分で話せ』のほうが目的が明確です。反対に、「そもそも何を考えてから話せばいいのか」「なぜ自分の話が浅く受け取られるのか」まで掘り下げたいなら、『頭のいい人が話す前に考えていること』のほうが広い範囲から考え直せます。


迷ったらどれを選ぶべき?

『頭のいい人が話す前に考えていること』を選ぶべきなのは、単に話し方の型を増やすより、反射的に答える癖や聞き方、質問の仕方、言葉にするまでの考え方をまとめて見直したい人です。伝える技術の一歩手前から改善したいなら、3冊の中でも本書の役割が最もはっきりしています。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

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著者プロフィール

安達裕哉氏は1975年生まれ。筑波大学大学院環境科学研究科を修了後、デロイト トーマツ コンサルティングに入社し、品質マネジメントや人事などのコンサルティングに従事しました。監査法人トーマツでは中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げに参画し、大阪支社長・東京支社長を歴任。現在はティネクト株式会社の代表取締役を務め、『Books&Apps』の運営・情報発信にも関わっています。


著者の経験が本書にどう活きているか

本書のテーマである「話す前にどう考えるか」は、安達氏のコンサルティング経験と接点の深い内容です。コンサルティングでは、相手の話を聞き、情報を整理し、課題を捉えたうえで、自分の考えを相手に伝えることが求められます。安達氏はDeloitteで12年以上コンサルティングに従事しており、本書で扱われる客観視・整理・傾聴・質問・言語化といったテーマには、こうした実務経験が背景にあります。

また、安達氏は品質マネジメントや人事のコンサルティングだけでなく、中小企業向けコンサルティング部門の立ち上げや支社長も経験しています。そのため本書は、単なる話し方のテクニックではなく、相手を理解し、情報を整理し、信頼につながる形で考えを伝えるところまで扱っています。著者の経歴と本書のテーマが自然につながっている点は、内容を読むうえで押さえておきたい背景です。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

本の大枠を知りたい人や、自分に合う本かを判断したい人なら、要約だけでも「話し方より、話す前の思考の質を重視する本」という特徴はつかめます。7つの基本姿勢と、客観視・整理・傾聴・質問・言語化という5つの思考法を扱う本だと分かれば、購入判断には十分役立つでしょう。

一方、実際の仕事や会話で使いたいなら、本文まで読む価値があります。反対意見を調べる、事実と意見を分ける、すぐに助言せず相手の話を整理するなど、「具体的にどう考えればよいか」まで踏み込んでいるためです。


初心者でも読める?

思考法やコミュニケーションの本を初めて読む人でも取り組みやすい内容です。専門的な論理学を学ぶ本ではなく、会議で即答してしまう、考えをうまくまとめられない、相手の話を聞く前に意見を言ってしまうといった身近な場面から考え方を整理していきます。

特に、話し方だけではなく「なぜ伝わらないのか」「どうすれば考えを深められるのか」に関心がある人には入りやすいでしょう。ただし、認知心理学や論理学を専門的に掘り下げたい人には、求める深さとは方向が異なります。


どこから読むべき?

本書の考え方をきちんと理解したいなら、第1部から順番に読むのが分かりやすいです。最初に、すぐ反応しない、論破に走らない、知識を見せることを目的にしないといった基本姿勢を押さえ、そのあと第2部で具体的な思考法へ進む構成になっています。

時間がない場合は、第2部から自分の悩みに近いところを読む方法もあります。話をまとめるのが苦手なら「整理」、人の話を聞くことに課題を感じるなら「傾聴」、考えをうまく言葉にできないなら「言語化」から入ると、実際の場面と結びつけやすいでしょう。


読む前に注意点はある?

いちばん注意したいのは、タイトルから受ける印象と実際の内容の違いです。頭の回転を速くする方法や、賢く見せる受け答えを学ぶ本ではなく、反応の仕方、相手の話の聞き方、情報整理、質問、言語化まで含めて思考の質を見直す本です。

また、「頭のいい人」「頭の悪い人」といった強い表現が出てきますが、IQや学歴で人を分類する内容ではありません。話術そのものを磨きたい人より、自分なりに考えているのに考えが浅く見られる、相手にうまく伝わらないと感じている人のほうが、本書の狙いと合いやすいでしょう。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、「頭のよさ」を話し方ではなく、話す前の思考から見直せることです。自分なりには考えているのに「考えが浅い」と見られる理由を、単なる知識不足や話術不足で終わらせず、思考の質という問題として整理しています。素早く答えることより、何を確かめ、どう整理してから話すかへ意識を向けられるのが大きな収穫です。

2つ目の価値は、「ちゃんと考える」という曖昧な言葉を、実際に取れる行動まで分解していることです。根拠を確かめる、事実と意見を分ける、相手の意図を考えながら聞く、仮説を持って質問する、自分の理解を言葉にするなど、仕事や日常へ持ち帰りやすい形になっています。考え方だけを学んで終わりにせず、自分の会話や報告を振り返る基準として使えます。

3つ目の価値は、知性とコミュニケーションを別々に扱っていないことです。知識を持っているだけでなく、それを相手のためにどう使うか、未整理の考えを相手に押しつけずどう伝えるかまで含めて考えます。読み終えて残るのは、「賢く見せる」よりも「相手に届くところまで考える」という、対人的で実践しやすい視点です。


この本をおすすめできる人・合わない人

特におすすめできるのは、自分なりに考えているのに「考えが浅い」「何が言いたいのかわからない」と受け取られやすい人です。会議や相談で反射的に答えてしまう人、相手の話を聞く前にアドバイスしてしまう人、考えをうまく言葉にできない人にも合いやすいでしょう。

一方、「頭のいい人」というタイトルから、知能そのものを高める方法や、すぐに賢く見せる会話術を期待するとズレが生じます。発声・滑舌・雑談フレーズ・プレゼン技術を直接学びたい人や、認知心理学・論理学を専門的に掘り下げたい人は、別の目的を持つ本として考えたほうがよいでしょう。


読むならどう活かす?

兼松 学
兼松 学
全部を一度に変えようとせず、まず1つだけ意識するくらいで十分です。

最初の一歩として取り入れやすいのは、「すぐ答えない」ことです。今日の会議や相談で意見を求められたら、反射的に返す前に一度立ち止まり、自分が話そうとしている内容を事実と意見に分けてみる。それだけでも、本書が扱う「話す前に考える」を実際の場面へつなげられます。

さらに慣れてきたら、相手の話をすぐ評価せずに聞くことや、自分の考えを支持する情報だけでなく反対意見にも目を向けることへ広げると、本書の内容を読んで終わらせにくくなります。


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書評サイト「本のものさし」運営者。ビジネス書・実用書を中心に年間約80冊を読み、採用・面接・人材育成に約9年携わった実務経験も踏まえて執筆しています。実際に読んだ本の要点だけでなく、向いている人や類書との違いまで整理し、自分に合う一冊を選ぶための判断材料を届けることを大切にしています。

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