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【書評】話し方で損する人 得する人|要約と感想、向いている人・類書との違い

【書評】話し方で損する人 得する人|要約と感想、向いている人・類書との違い

話し方を改善したいと思っても、「自分の何を直せばいいのか分からない」と感じることは少なくありません。『話し方で損する人 得する人』は、そんな曖昧な悩みを、日常から仕事までの具体的な言葉や反応に分けて見直せる本です。

特徴は、「損する話し方」と「得する話し方」を短い対比で示し、自分が無意識に繰り返している会話の癖を見つけやすいこと。話す技術だけでなく、聞き方や共感、相手への伝わり方まで扱っているため、単なる言い換え集とは少し違います。

この記事では、本書の要約と実際に読んで分かったことを整理し、向いている人や読む前の注意点、似た本との違いまで確認します。自分に合う一冊か判断する材料として、まずは本書が何を学べる本なのか見ていきます。


もくじ
  1. 要約|どんな本か・何が学べるか
  2. 感想|実際に読んで分かったこと
  3. 「損/得」で自分の話し方を点検できる
  4. 注意点|読む前に知っておきたいこと
  5. 向いている人・向いていない人
  6. 似た本との違い|選び分けのポイント
  7. 次に読む本|次の課題から選ぶ
  8. このテーマの本をもっと探す

要約|どんな本か・何が学べるか

要約|どんな本か・何が学べるか

『話し方で損する人 得する人』は、話をうまく組み立てる方法や、人前で上手に話す技術だけを学ぶ本ではありません。相手の話をどう聞くか、どんな反応を返すか、何をどのように伝えるかまで含め、普段のコミュニケーションを具体的な行動から見直していく実用書です。

家庭や友人との会話から、飲み会、デート、仕事での報告や依頼まで扱う範囲は広く、それぞれの場面で起こりやすい言葉や態度を「損する話し方」と「得する話し方」に分けて示しています。抽象的な理論を順番に学ぶというより、具体例を見ながら「自分はどちらの反応をしているだろう」と照らし合わせて読む構成が特徴です。


話す技術だけでなく「聞き方・反応・伝え方」まで扱う

タイトルだけを見ると、「どうすれば上手に話せるか」を教える本を想像するかもしれません。しかし、目次を見ると、本書が扱っているのは話す側の技術だけではないことが分かります。

たとえば家庭・友人編では、相手が話し始めたら聞き役に徹する、話を最後まで聞く、質問を急がない、沈黙を怖がらないといった「聞き方」が多く扱われています。相手の悩みをすぐに片づけず共有することや、理屈と共感を使い分けることなど、相手への反応も重要なテーマです。

一方、仕事・ビジネス編では、曖昧に話さず具体的に伝える、前置きを長くしすぎない、依頼する前に自分でイメージする、まず謝ってから理由を添えるなど、伝え方や仕事上のコミュニケーションにも範囲が広がります。

著者は「はじめに」で、カウンセリングを学ぶ中で、相手にすぐ質問や助言をするのではなく、まず寄り添うことの重要性を学んだと説明しています。本書でいう「話し方」は、自分が何を話すかだけではなく、聞くこと、待つこと、反応することまで含んだ対人コミュニケーション全体に近いものです。


家庭・友人から仕事まで幅広い場面を見直せる

本書は、特定の一場面だけに絞った会話術ではありません。

第1章では家庭や友人との会話を扱い、聞き方、共感、自己開示、ほめ方、決めつけなどを取り上げます。第2章では飲み会やデートへ移り、内輪だけで盛り上がらないこと、相手の言葉で話すこと、リアクションや人との距離の取り方などがテーマになります。

第3章では仕事・ビジネスに範囲が広がり、具体的な伝え方、指示の受け方、報告、依頼、謝罪、言葉の分かりやすさ、気づかいなどを扱います。さらに第4章では、より短い単位での「言い回し」が取り上げられています。

そのため、日常会話だけの本でも、仕事だけのビジネス会話本でもありません。家庭から職場まで幅広く見渡しながら、自分がどこで会話上の「損」をしているのか探しやすい構成です。

一方で、一つのテーマを理論から専門的に掘り下げるタイプの本ではありません。幅広い場面を横断していること自体が特徴なので、「自分の課題がまだはっきり一つに絞れていない」という段階で、会話の癖を広く確認する使い方と相性があります。


「損する話し方/得する話し方」の対比で自分の癖を見つける

本書の分かりやすさを支えているのが、「損する話し方」と「得する話し方」を対にして見せる構成です。

出版社も、本書を各項目で「損」「得」の2つの話し方を紹介する本として位置づけています。たとえば、「相手の話をきっかけに自分の話をはじめる」と「聞き役に徹する」、「あいまいに話す」と「具体的に話す」といったように、普段の行動を比較できる形になっています。

この形式の利点は、難しい理論を覚えなくても、自分の普段の会話と照らし合わせやすいことです。特に、本人には悪気がなく、むしろ相手のためと思ってしている質問やアドバイス、丁寧に伝えようとして長くなる説明なども、相手からどう受け取られるかという視点で見直せます。

本書は「得する側をすべて暗記する」というより、具体的な項目を見ながら、自分では気づいていなかった話し方の癖を発見するための自己点検型の本として捉えると、その構造が分かりやすくなります。


目次|本書の構成を確認する

自分が知りたい内容が含まれているか、実際の目次から確認できます。気になる場面や項目があるかを、本選びの判断材料として見てみてください。


著者について

著者の五百田達成氏は、作家・心理カウンセラーとして「コミュニケーション×心理」を軸に活動しています。

東京大学教養学部を卒業後、角川書店で編集者、博報堂でプランナー、博報堂生活総合研究所で研究員を経験し、その後、五百田達成事務所を設立しています。米国CCE, Inc.認定のGCDFキャリアカウンセラーでもあり、編集、広告、研究、カウンセリングと、異なる立場から人と言葉に関わってきた経歴を持っています。

「はじめに」では、著者自身も以前から話し方が得意だったわけではなく、大学時代には強すぎるツッコミで周囲から怖いと思われた経験など、失敗を重ねてきたことが語られています。その後、コミュニケーションを意識的に学び、カウンセリングでは相手へすぐ助言するのではなく、まず寄り添うことの大切さを学んだと説明しています。

『話し方で損する人 得する人』は、そうした自身の失敗と、編集・広告・カウンセリングなどの経験を通して身につけてきた話し方の考え方を、身近な「損/得」の形に整理した一冊です。




感想|実際に読んで分かったこと

感想|実際に読んで分かったこと

『話し方で損する人 得する人』を読んで感じたのは、「話し方」という言葉から想像していた内容よりも、人との接し方そのものを振り返る部分が多いということでした。

読む前は、うまく説明する方法や気の利いた言葉の選び方を学ぶ本だと思っていました。しかし実際に読んでみると、印象に残ったのは「何を話すか」だけではありません。相手の話をどう聞くか、どんな反応を返すか、自分の言葉が相手にどう受け取られるかという視点が、読み進めるほど大きくなっていきました。


「話し上手になる本」だと思っていた印象が変わった

特に耳が痛かったのは、相手が話しているときに、自分の似た経験を話したり、すぐ質問やアドバイスをしたりすることです。

自分では相手の役に立とうとしているつもりでも、その結果として相手の話を途中で奪ってしまうことがあります。私自身も、何か役立つことを返そうとして、「それなら自分も……」と話したり、すぐ質問したりしそうだと感じました。

そのため、読み終えたときには「上手に話すための本」というより、「普段、自分が相手にどう接しているかを見直す本」という印象のほうが強く残りました。

話し方というと、自分が発する言葉ばかりに意識が向きます。しかし本書を読むと、話さないこと、待つこと、相手の話を受け止めることも、会話をつくる大切な要素なのだと気づかされます。


自分の話を急いで返さず聞いてみると、会話の見え方が変わった

実際の日常会話でも、相手が話し始めたときに、すぐ自分の似た経験を返さず、少し長めに聞くことを意識してみました。

これが思っていた以上に難しかったです。相手の話の途中で「それなら自分も」と言いたくなりますし、黙っていると会話が止まってしまうような気がして、何か返さなければと焦ることもありました。

それでも、相手が話し終わるまで待ち、必要以上に話題を自分へ引き寄せないようにしてみると、相手がこちらの予想よりもう少し先まで話してくれることがありました。

もちろん、それだけで人間関係が劇的に変わったわけではありません。それでも、「自分が話さなくても会話は続く」と実際に感じられたことは大きかったです。

それまでは話し上手になることばかり考えていましたが、話しすぎずに相手を待つことにも技術があるのだと思うようになりました。


仕事でも「知っている」と「できている」は別だと感じた

仕事に関する項目も、自分の行動を振り返りやすい内容でした。

「あいまいに話す/具体的に話す」「前置きが長い/すぐ用件に入る」「連絡が遅い/早くてマメ」といった対比は、一つひとつを見ると難しい内容ではありません。それだけに、「知っていること」と「実際にできていること」は別だと感じました。

私自身、背景を丁寧に説明しようとして、かえって何を頼みたいのか分かりにくくしてしまうことがあります。本書を読んでからは、話し始める前に「まず何を伝えたいのか」を意識するようになりました。

ただし、本書には「すぐ用件に入る」だけでなく、「いきなり『結論』だけを言う」のではなく「途中経過も説明する」という項目もあります。

つまり、何でも短く結論だけ伝えればよいわけではありません。相手や状況によって、どこまで説明する必要があるのかを考えることも大切です。この点でも、内容を理解することと、実際の場面で使い分けられることは別だと感じました。


読後に残ったのは「相手にどう受け取られるか」という視点

最終的に強く残ったのは、「得するフレーズをたくさん覚えた」という感覚ではありませんでした。

それよりも、「自分がどういうつもりで言ったか」と「相手にどう聞こえたか」は、必ずしも一致しないということです。

よかれと思ってしたアドバイスや、自分なりの気づかい、会話を続けようとして返した自分の経験も、相手から見れば違った受け取られ方をすることがあります。悪意がある言葉だけを直せばよいのではなく、善意から出ている反応まで振り返る必要があるのだと感じました。

本書を読んでからは、会話がうまくいかなかったときに、相手との相性だけで片づけるのではなく、「自分はどんな返し方をしただろう」と考える視点が増えました。

全部の「得する話し方」を守ろうとは思いません。それでも、自分では気づきにくい一言や反応を振り返る材料として、気になる場面があったときに必要なところを読み返したい本です。


「損/得」で自分の話し方を点検できる

「損/得」で自分の話し方を点検できる

『話し方で損する人 得する人』の大きな特徴は、話し方を抽象的な理論として学ぶのではなく、多数の「損する話し方/得する話し方」を見比べながら、自分の普段の言動と照らし合わせられることです。

すべての「得する話し方」を覚える必要はありません。むしろ、自分では気づいていなかった癖を見つけ、気になるものから一つずつ試していく使い方に向いています。


自分では気づきにくい「善意の損」を見つけやすい

本書で点検できるのは、明らかな失言や失礼な言葉だけではありません。本人としては相手のためを思ってしていることが、結果的に「損する話し方」になっている例も多く扱われています。

たとえば、会話を盛り上げようとして相手の話から自分の経験へ話題を移す、悩んでいる人を助けようとしてすぐに質問やアドバイスをする、仕事で丁寧に説明しようとして前置きが長くなる、といった行動です。どれも悪意から出るとは限らず、むしろ「よかれと思って」しているからこそ、自分では問題に気づきにくいものです。

そこで「損」と「得」が並べて示されると、自分が普段どちらの反応をしているかを照らし合わせやすくなります。大切なのは、自分の意図だけで判断するのではなく、その言葉や反応が相手にはどう届くのかという視点を持てることです。

本書の対比形式は、正しい話し方を暗記するためというより、無意識に繰り返している言葉や反応を見つけるためのチェック材料として役立ちます。


全部変えようとせず、一項目ずつ試す方が使いやすい

本書には家庭、友人、飲み会、仕事など幅広い場面の項目が収録されているため、すべてを一度に意識しようとすると、かえって会話中に考えることが増えてしまいます。

実際に読んで使いやすいと感じたのは、自分に当てはまる項目を一つ選び、まずそれだけを意識する方法でした。「今日は相手の話を最後まで聞く」「仕事では曖昧な言い方を減らす」といった具合に対象を絞れば、普段の行動と結びつけやすくなります。

また、短い項目に分かれているため、一度通読したあとも、会話で気になることがあったときに関連する部分へ戻りやすい構成です。内容そのものは理解しやすくても、長年の話し方の癖を一度で変えるのは簡単ではありません。その意味でも、最初から全部を身につけようとするより、「気づく→一つ試す→必要になったら読み返す」という使い方のほうが本書の特徴を生かせます。

自分の課題がまだはっきりしていない人でも、まず多数の「損/得」から気になる癖を探し、改善する入口を見つけやすいことが、本書ならではの使いやすさです。


注意点|読む前に知っておきたいこと

注意点|読む前に知っておきたいこと

『話し方で損する人 得する人』は、具体的な「損/得」の対比で読み進めやすい本です。ただし、その分かりやすさをそのまま「どんな場面でも通用する正解」と受け取ると、本書の使い方を狭めてしまいます。

また、内容を理解することと、実際の会話で行動を変えられることも別です。購入前には、本書が得意とする範囲と、専門的には扱わない範囲も含めて理解しておくと、自分の目的とのズレを減らせます。


「得する話し方」がいつでも正解とは限らない

本書では「損する話し方」と「得する話し方」が明確に対比されているため、何を見直せばよいのかつかみやすくなっています。一方で、「得」と書かれた行動を、すべての状況でそのまま使えばよいわけではありません。

たとえば、「なんでもいいとみんなに合わせる」「叱られてもケロッとしている」「大きな声で、ポジティブなことを言う」といった項目は、相手や場面、自分の立場によって適切さが変わります。

私自身も、得する側を絶対的な正解として覚えるより、「普段の自分とは違う反応の選択肢を知る」と考えた方が読みやすいと感じました。「損/得」は、自分の行動を振り返る入口として使い、実際には状況に合わせて調整する必要があります。


読みやすいが、話し方の癖は一度では変わらない

一つひとつの項目は身近で理解しやすいため、「これならできそう」と感じる内容も少なくありません。ただ、理解できたことと、会話の中で自然にできることは別でした。

相手の話を最後まで聞こうと思っていても途中で自分の話をしたくなったり、仕事で急いでいると曖昧な説明へ戻ったりします。長年の話し方の癖は、本を一度読んだからといってすぐ消えるものではありません。

そのため、読んだだけで急に会話が上手になることを期待するより、気になった一項目を実際の場面で少しずつ意識する本として考えた方が現実的です。内容が分かりやすいからこそ、「分かった」で終わらせないことが大切です。


理論やプレゼン技術を深く学ぶ本ではない

本書は、家庭や友人との会話から、飲み会、仕事、言い回しまで幅広く扱っています。この守備範囲の広さは大きな特徴ですが、一つの領域を専門的・体系的に掘り下げる本とは役割が異なります。

たとえば、コミュニケーションの心理的な理論を深く学ぶことや、プレゼンの構成、発声、声量、速度、間、身体表現などを体系的に練習することが主目的ではありません。話す前の情報整理や論理的思考、質問設計なども、本書だけで深く学ぶ領域ではありません。

まず日常の会話全体を広く点検したい人には使いやすい一方、すでに改善したい分野が明確なら、その分野を専門的に扱う本の方が目的に近い場合があります。


アンケート数値は「参考材料」として見る

本書では、各項目について「好印象度・悪印象度」のアンケート結果も掲載されています。自分では普通だと思っている話し方が、他の人にはどう受け取られやすいのかを考えるきっかけとしては参考になります。

本書の「はじめに」では全国の20代〜60代男女へのアンケートと説明され、刊行時の公式情報では20代〜60代の働く男女を対象としています。標本数や抽出方法などの詳細は確認できていません。

そのため、数値を「この話し方が科学的に正しいことの証明」と受け取るのではなく、他者の受け止め方を考えるための一材料として見るのが適切です。本書でもっと重要なのは、数字そのものより、自分の意図と相手の受け取り方が必ずしも一致しないと気づくことだと感じました。




向いている人・向いていない人

向いている人・向いていない人

『話し方で損する人 得する人』は、日常から仕事まで幅広い会話を「損/得」の具体例で見直せる本です。そのため、自分の課題がまだはっきりしていない人には使いやすい一方、求める学び方や目的によっては相性が合わない場合もあります。

ここでは、本書そのものとの相性と、そもそも学びたい方向が異なる場合を分けて整理します。


向いている人

特に相性がよいのは、「自分の話し方に何となく問題を感じているものの、どこを直せばよいのか分からない」という人です。

  • 自分の会話の癖がまだはっきり分からない人
    多数の「損/得」を見比べながら、自分に当てはまる言い方や反応を探せます。
  • 家庭から仕事まで幅広く話し方を見直したい人
    聞き方や共感だけでなく、友人との会話、飲み会、仕事上の伝え方などを横断して確認できます。
  • 難しい理論より具体例から学びたい人
    短い対比を中心に進むため、まず行動レベルで「何を変えればよいか」を考えたい人に向いています。
  • つい自分の話をしたり、すぐアドバイスしたりする人
    悪意のない言動も含めて、自分では気づきにくい反応を見直すきっかけになります。
  • 一度に全部変えず、一項目ずつ試したい人
    項目が細かく分かれているので、自分に当てはまるものを一つ選んで意識する読み方がしやすいです。
  • 「何を言うか」だけでなく「どう受け取られるか」を考えたい人
    自分の意図と相手の受け取り方のズレを振り返りたい人にも合っています。


向いていない人

一方、本書の形式や使い方そのものと相性が合いにくい人もいます。

  • どんな場面でも通用する絶対的な話し方の正解を求める人
    「得する話し方」も、相手や状況によって調整が必要です。
  • 本を読むだけで短期間に話し方が大きく変わることを期待する人
    内容は理解しやすくても、長年の会話の癖を変えるには実際に試す過程が必要です。
  • 短い「損/得」の対比より、理論を順序立てて学びたい人
    本書は理論体系を深く積み上げる構成ではありません。
  • 一つひとつの項目をそのままルールとして使いたい人
    本書は、機械的に正解を覚えるより、自分の反応を点検する材料として使う方が適しています。


別の本を検討した方がいい人

本書と相性が悪いわけではなく、すでに学びたいテーマが明確なら、より専門的な本を選んだ方が近道になる場合があります。

  • 雑談だけを集中的に学びたい人
  • プレゼンの構成や発声、声量、間、身体表現まで体系的に学びたい人
  • 話す前の情報整理や判断、質問、言語化など思考面を深めたい人
  • 具体的な会話例より、聞く姿勢や相手への向き合い方といった基本原則から学びたい人

『話し方で損する人 得する人』は、課題がまだ絞れていない段階で、まず自分の会話全体を広く点検したい人に特に使いやすい一冊です。


似た本との違い|選び分けのポイント

似た本との違い|選び分けのポイント

話し方の本は似たテーマを扱っていても、どこから改善するかによって学び方が変わります。『話し方で損する人 得する人』の特徴は、家庭から仕事まで幅広い場面を扱いながら、短い「損/得」の対比で自分の会話の癖を探せることです。

一方、会話への基本姿勢を見直す本、雑談へ集中する本、話し方全体を体系的に学ぶ本もあります。まず4冊の違いを整理すると、次のようになります。

 
書名主な目的学び方扱う範囲深さ/情報量特に向く人
『話し方で損する人 得する人』日常〜仕事の会話癖を広く自己点検短い「損/得」の具体例家庭・友人・飲み会・仕事・言い回し広く実践的。特定領域の専門深掘り型ではない自分の課題がまだ絞れていない人
『人は話し方が9割』会話への向き合い方を整える聞く・安心感・敬意などの原則と具体行動日常の人間関係を広く扱う会話の基本姿勢を中心に実践的会話の基本姿勢から見直したい人
『超雑談力』雑談の苦手を具体的に改善雑談場面のNG/OK初対面・知人・職場などの雑談雑談へ集中課題が雑談だと明確な人
『話し方の戦略』話し方全体を体系的に改善話し方を構成要素へ分解目的・言語化・構成・声・間・身体表現など情報量が多く体系的説明・プレゼンなどまで総合的に学びたい人


『人は話し方が9割』との違い

『話し方で損する人 得する人』と『人は話し方が9割』は、どちらも流暢に話す技術だけを扱うのではなく、聞き方や相手との関わり方を重視している点では近い本です。ただし、改善への入り口が異なります。

『話し方で損する人 得する人』は、多数の具体的な「損/得」を見ながら、「自分はこれをしていないか」と会話の癖を一つずつ探していく構成です。それに対して『人は話し方が9割』は、聞くことや相手が安心して話せること、敬意を持って接することなど、会話への基本姿勢から整えていく方向が中心です。

そのため、何が問題なのかを具体例から発見したいなら『話し方で損する人 得する人』、会話そのものへの向き合い方から見直したいなら『人は話し方が9割』が選びやすいでしょう。


『超雑談力』との違い

超雑談力』は、『話し方で損する人 得する人』と同じ五百田達成氏の本で、具体的なNG/OKを通して改善点をつかむ学び方にも共通点があります。大きく違うのは、扱う範囲です。

『話し方で損する人 得する人』は、家庭や友人との会話から飲み会、仕事、言い回しまで広く扱います。一方の『超雑談力』は、初対面、知人、職場などで交わす雑談に焦点を絞り、質問や自己開示、共感、リアクション、話題転換などを具体的に扱います。

「話し方のどこに問題があるのか、まだ分からない」という段階なら前者が使いやすく、「雑談が続かない」「初対面で何を話せばよいか困る」など課題が雑談に絞れているなら『超雑談力』の方が目的に合いやすくなります。


『話し方の戦略』との違い

『話し方で損する人 得する人』と『話し方の戦略』は、どちらも自分の話し方を見直す本ですが、学ぶ深さと方法にはかなり違いがあります。

『話し方で損する人 得する人』は、日常で起こりやすい言葉や反応、振る舞いを短い対比で確認するため、気になる行動を手早く見直しやすい構成です。対して『話し方の戦略』は、目的や相手、言語化、構成、ストーリー、ファクトだけでなく、発声、沈黙、身体表現まで話し方を構成要素に分けて学んでいきます。

まず身近な会話の癖を見つけて一つずつ直したいなら『話し方で損する人 得する人』、説明やプレゼンまで含めて話し方全体を構造的・体系的に学びたいなら『話し方の戦略』という選び分けがしやすいです。


次に読む本|次の課題から選ぶ

次に読む本|次の課題から選ぶ

『話し方で損する人 得する人』で、実際に口に出す言葉や反応を見直したあと、その一段前にある「話す前の考え方」まで整えたくなることがあります。次の課題をそこに置くなら、思考の整理へ進める本がつながりやすいです。


話す前の思考を深めるなら『頭のいい人が話す前に考えていること』

次の一冊として考えやすいのが、『頭のいい人が話す前に考えていること』です。この本では、客観視、整理、傾聴、質問、言語化など、実際に発言する前の思考に焦点を当てています。

『話し方で損する人 得する人』は、「どんな言葉や反応が相手にどう受け取られるか」を具体的な行動から見直す本です。一方、次の段階では、なぜその言葉を選ぶのか、何を伝えるべきか、相手の話から何を捉えるのかといった上流の部分も課題になります。

私自身、本書を読んだあと、仕事では話し始める前に「まず何を伝えたいのか」を意識するようになりました。また、会話がうまくいかなかったときに、自分がどんな返し方をしたか振り返る視点も残りました。そこからさらに、判断や情報整理、質問の仕方まで含めてコミュニケーションを深めたい人には、自然につながる一冊です。




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兼松 学

書評サイト「本のものさし」運営者。ビジネス書・実用書を中心に年間約80冊を読み、採用・面接・人材育成に約9年携わった実務経験も踏まえて執筆しています。実際に読んだ本の要点だけでなく、向いている人や類書との違いまで整理し、自分に合う一冊を選ぶための判断材料を届けることを大切にしています。

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