立場・レベルから選ぶ 本の選び方

営業職の話し方本は何から読む?経験と担当場面から入口を決める

営業職の話し方本は何から読む?経験と担当場面から入口を決める

営業で使う話し方を本から学ぼうとすると、営業トークに特化した本から、聞き方や質問、雑談、伝え方を扱う本まで、候補は幅広くあります。そのため、「営業経験が浅いから入門書」と決めるだけでは、自分に必要な一冊へたどり着けないことがあります。

本を選ぶときに確認したいのは、営業年数よりも、今の商談でどこまで会話を担っているかです。商談全体の話し方を見直したいのか、すでに苦手な場面が見えているのかによって、最初に読む本の範囲は変わります。

この記事では、営業での現在の担当場面を整理しながら、話し方を広く扱う本と特定の場面に絞った本のどちらから読むかを判断していきます。営業専用本だけに限定せず、今の自分に必要な話し方本の入口を見つけていきましょう。


営業年数より、商談でどこまで会話を担っているかを整理する

営業年数より、商談でどこまで会話を担っているかを整理する

営業の話し方本を選ぶとき、最初に「営業経験が何年あるか」で分ける必要はありません。経験年数は一つの参考になりますが、それだけでは、今の自分に必要な本の範囲までは決まらないからです。まず確認したいのは、現在の商談でどこまで会話を担い、今回どこまで見直したいのかです。

たとえば営業経験が浅くても、「顧客への説明や提案で話をうまく組み立てられない」と補いたい場面が見えているなら、その場面を中心に扱う本まで絞れます。反対に、営業経験が長くても、話し方を体系的に学んだことがなく、商談前の会話からヒアリング、説明までまとめて見直したいなら、扱う範囲が広い本が候補になります。

本選びの入口は、次のように整理すると分かりやすくなります。

今の状態次に考える本の範囲確認すること
商談の複数場面をまとめて見直したい話し方を広く扱う本話し方全体を一続きで扱っているか
困る担当場面が明確場面を絞った本必要な場面が本の中心になっているか
営業特有の会話例まで必要営業の文脈がある本も残す商談事例や想定読者が自分に合うか
営業そのものの流れがまだ分からない話し方本だけに限定しない営業全体の入門から必要ではないか

ここで分けているのは、営業としての能力の高低ではありません。今回、本で学ぶ必要がある範囲の違いです。「初心者だから広い本」「経験者だから狭い本」と決めるのではなく、自分が今担当している仕事と、補いたい範囲を対応させて考えます。

なお、営業の特定場面よりも、人と話すこと自体や日常会話から広く整理したい場合は、話し方を本で初めて学ぶ人の選び方から考えた方が現在地に合うこともあります。

自分が商談の複数場面をまとめて見直したいのか、それとも補いたい場面まで絞れているのか。ここが分かれば、次に探す話し方本の範囲も見えやすくなります。


複数の商談場面を見直すなら、話し方を広く扱う本から入る

複数の商談場面を見直すなら、話し方を広く扱う本から入る

商談前の会話からヒアリング、説明、提案まで複数の場面を担当していて、「どこから話し方を見直せばよいのか」がまだ絞れていないなら、一つの話法だけに特化した本より、仕事の話し方を広く扱う本から確認する方が現在地を整理しやすくなります。

ここで広い本を選ぶ理由は、営業経験が浅いからではありません。たとえば経験を重ねていても、話し方について体系的に学んだことがなく、商談のさまざまな場面で伝え方に迷っているなら、特定のトークだけを学んでも、ほかの場面とのつながりが見えにくいことがあります。

そのようなときは、話す目的や相手をどう捉えるか、何を言葉にするか、どう構成して伝えるかといった複数の要素を一度見渡せる本が候補になります。広く学ぶことで、すべてを一冊で解決するのではなく、「自分は質問より説明を深めた方がよさそうだ」「内容より話の組み立てを見直したい」と、次に絞るべき部分を見つけやすくなります。

この方向を具体化する一例が、『話し方の戦略 「結果を出せる人」が身につけている一生ものの思考と技術』です。話す目的や対象者、言語化、構成、音声・動作など幅広い要素を扱っており、商談も活用場面の一つとして示されています。扱う範囲は出版社公式の目次でも確認できます。

広い話し方本は、「初心者が最初に読むもの」ではなく、複数の商談場面をまとめて見直したいときの選択肢です。反対に、困っている場面がすでに明確なら、広い本を経由せず、その場面に絞った本から入っても構いません。

なお、営業活動そのものの流れがまだ分からない段階は別です。その場合は、話し方本だけに絞らず、営業全体の入門が必要かも確認します。


担当場面が明確なら、その場面に絞った本から入る

担当場面が明確なら、その場面に絞った本から入る

営業で補いたい場面がすでに見えているなら、話し方全般を扱う本から始めるとは限りません。商談前の関係づくり、相手の話を聞く場面、説明や提案など、自分が今担っている仕事まで絞れているなら、その場面を中心に扱う本から入る方が、必要な内容を学びやすくなります。

場面を絞ることは、基礎を飛ばすという意味ではありません。本の範囲を、現在の仕事で使う範囲に合わせるということです。同じ営業職でも、初対面の顧客との会話を任されている人と、ヒアリングや提案を主に担当している人では、最初に確認したい内容が変わります。


商談前の関係づくりを補うなら、仕事の雑談を扱う本

初回の訪問や商談前の短い会話など、顧客との距離を縮める場面を補いたいなら、雑談や関係づくりを扱う本が候補になります。

このとき確認したいのは、「雑談」という言葉が入っているかではなく、仕事上の相手との会話まで扱っているかです。友人との日常会話を中心にした本と、取引先や仕事上の関係づくりを想定した本では、扱う場面が異なります。

たとえば『世界の一流は「雑談」で何を話しているのか』は、ビジネス上の雑談や人間関係をテーマにした本です。出版社公式でも内容を確認できます。

商談前の会話を補いたいなら、雑談全般ではなく、「仕事上の関係づくりに使う会話がどこまで扱われているか」を見ると、本の範囲を絞りやすくなります。


ヒアリングを補うなら、聞き方・質問まで扱う本

顧客の話を十分に聞けない、質問をどう組み立てるか迷うという場面が見えているなら、「うまく話すこと」だけを中心にした本ではなく、聞き方や質問まで扱う本も候補になります。

ここでは営業成績が上がらない原因を「質問力不足」と決めつけるのではなく、自分が現在補いたい商談場面と本の中心内容を合わせます。相手の話を受け取り、必要な情報を整理し、次の質問につなげるところまで学びたいなら、その範囲が十分に含まれているかを見る必要があります。

頭のいい人が話す前に考えていること』は、話術だけでなく、整理、傾聴、質問、言語化といった内容を扱っています。出版社公式の目次を見ると、どこまで自分が求める範囲と重なるか確認できます。

営業専用のヒアリング本でなくても、今補いたいのが聞く・質問する力なら、一般的な会話や思考整理の本まで候補を広げられます。


説明・提案を補うなら、言語化や構成を扱う本

商品やサービスについて説明するときに話がまとまらない、提案内容を相手へうまく届けられないと感じているなら、言語化や話の構成、伝え方を扱う本へ範囲を絞る方法があります。

この場合も、「営業トーク」という言葉だけで本を探す必要はありません。自分が補いたいのが台本ではなく、話す内容を整理して相手に伝える部分なら、仕事全般の話し方を扱う本も候補になります。

具体例として、『人を「惹きつける」話し方――口下手でも人見知りでもあがり症でも人生が変わる』のように、相手へ届く話し方や伝え方を扱う本があります。出版社公式でも本の内容を確認できます。

ここで挙げた関係づくり、ヒアリング、説明・提案は、営業の会話をすべて分類するためのものではありません。自分が今補いたい場面を具体化するための代表例です。

もし複数の場面にまたがって迷っているなら、無理に一つへ絞る必要はありません。その場合は、話し方を広く扱う本へ戻って全体を見渡す選び方も残しておくと、自分に必要な本の範囲を決めやすくなります。


営業専用本か一般の話し方本かは、必要な営業文脈で決める

営業専用本か一般の話し方本かは、必要な営業文脈で決める

補いたい商談場面が見えてきたら、次に考えたいのが「営業向けの本に絞るべきか」です。営業職だからといって、営業専用本だけが候補になるわけではありません。判断したいのは、自分が今回学ぶ内容を理解するために、営業特有の状況や会話例がどこまで必要かです。

同じ「聞く」「質問する」「分かりやすく伝える」という課題でも、営業現場ならではの説明が必要な場合と、より一般的な会話の考え方を学べば十分な場合があります。本の対象読者や利用場面を見ながら、必要な営業文脈の量に合わせて候補を調整します。


営業特有の流れや会話例まで必要なら営業専用本を残す

商談の進み方に沿った会話や、顧客との具体的なやり取りまで知りたいなら、営業を主な対象にした本を候補に残す意味があります。

たとえば、一般的な質問の考え方だけではなく、「商談のどの場面で何を確認するのか」といった営業固有の状況まで理解したい人です。実際の営業場面に沿った会話例が多ければ、自分の仕事へ置き換えるときのイメージを持ちやすくなります。

ここで見るのは「営業本」というラベルそのものではありません。営業向けと書かれていても、中心が営業戦略やマインド、組織運営などであれば、今回探している話し方本とは範囲がずれることがあります。

自分が担当する商談場面と、その本が扱う営業上の状況が重なっているかまで確認して候補に残します。


聞く・整理する・伝える力を補うなら一般的な本も候補になる

今回補いたい内容が、聞く、質問する、考えを整理する、分かりやすく伝えるといった幅広い場面で使える力なら、一般的な話し方本や聞き方本まで候補を広げられます。

営業専用ではないからといって、仕事で使えないわけではありません。一般的な話し方や聞き方を扱う本でも、商談や取引先との会話につなげて考えられる内容があります。

反対に、一般的な話し方本の中に商談の例が一つ載っているだけで、自分の用途に十分とは限りません。自分が学びたい内容が本の中心に近いかどうかを見る必要があります。

営業専用本と一般的な話し方本は、基礎と応用の関係ではありません。どちらを選ぶかは、自分が今回必要としている内容を理解するために、営業特有の場面説明や会話例が必要かどうかで考えると整理しやすくなります。


候補本は目次と対象読者で、自分の担当場面が中心か確認する

候補本は目次と対象読者で、自分の担当場面が中心か確認する

ここまでで探す本の方向が決まったら、最後は実際の候補本に当てはめます。書名や帯に「営業」「商談」「話し方」と書かれているだけでは、自分に必要な内容が十分に扱われているとは限りません。候補本の出版社紹介や目次、対象読者を確認し、自分が使う場面との重なりを見ていきます。


場面が載っているだけでなく、十分に扱われているかを見る

まず確認したいのは、自分が必要としている商談場面が、その本の中心にどれくらい近いかです。

たとえば説明・提案を見直したいなら、目次に「提案」という言葉が一度出てくるだけでは判断しにくいでしょう。説明の組み立てや言語化、相手に合わせた伝え方など、自分が補いたい範囲についてまとまった説明があるかを確認します。

広く話し方を扱う本を選ぶ場合も同じです。扱うテーマが多いだけでなく、その中に自分が必要としている場面が十分含まれているかを見る必要があります。逆に、質問や雑談など一つのテーマへ絞った本なら、その内容が自分の実際の商談場面とずれていないかを確認します。

そのとき役立つのが、出版社の紹介文や目次、対象読者です。目次だけでは説明の厚みまで分からないこともあるため、試し読みや個別書評も組み合わせると判断しやすくなります。

見るべきなのは「営業向けかどうか」という表示そのものではなく、自分が今必要としている場面と、本が実際に多く扱っている内容が合っているかです。


方向が決まったら具体的な候補本を比較する

自分が「商談全体の話し方を見直したい」「ヒアリングを中心に学びたい」「営業特有の会話例が必要」といった形で、探す方向を一言で説明できるようになれば、具体的な本を探す段階へ進めます。

同じ方向の話し方本が複数残り、一冊へ絞る基準が必要なら、話し方の本を比べる基準を確認できます。

雑談や聞き方、伝え方など、決めた方向に合う書評を探したい場合は、会話の書評を目的別に探すと候補を見つけやすくなります。具体的な本を横並びで確認したいなら、会話の本を具体的に比較するという進み方もあります。

最終的に目指したいのは、「営業だから営業本を探す」という状態ではありません。「今の自分は○○を扱う本を探し、目次や対象読者を見て、自分が使う商談場面が中心に扱われているか確認する」と説明できる状態です。そこまで整理できれば、数多くある営業の話し方本から、自分に合う候補を絞りやすくなります。


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兼松 学

書評サイト「本のものさし」運営者。ビジネス書・実用書を中心に年間約80冊を読み、採用・面接・人材育成に約9年携わった実務経験も踏まえて執筆しています。実際に読んだ本の要点だけでなく、向いている人や類書との違いまで整理し、自分に合う一冊を選ぶための判断材料を届けることを大切にしています。

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