![【書評】できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]|要約と感想](https://arasuji-book.com/wp-content/uploads/2026/06/image-11-698x1024.jpg)
部下との1on1が続かない、ついアドバイスや指示が多くなる、注意やフィードバックが一方通行になってしまう。『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』は、そんな上司の悩みに対して、「話す」よりも「聞く」「質問する」ことで部下の主体性を引き出す切り口で応える本です。
この記事では、本書の要約や印象に残った点、実践に移すときの使い方、似ている本との違いまで整理します。読むことで、自分の職場の悩みに合う本か、購入前にどこを判断材料にすればよいかがつかみやすくなります。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』は、部下との会話を「指示」「助言」「説得」だけで終わらせず、質問と対話によって相手の主体性を引き出すための管理職向け実践書です。特に、1on1やフィードバック、日常の声かけがうまくいかないと感じている人にとって、「どう話すか」より「どう聞くか」を見直すきっかけになる本です。
向いている人
この本が合うのは、部下とのコミュニケーションに課題を感じている上司です。具体的には、1on1が雑談や業務報告だけで終わってしまう人、部下が本音を話してくれないと感じている人、指示や助言をしているのに相手がなかなか動かないと悩んでいる人には、得るものが多いはずです。
また、忙しいプレイングマネジャーにも相性が良い本です。長時間じっくり向き合う余裕がない現場を前提に、短時間でも相手の本音や納得を引き出す質問の考え方が整理されています。部下のやる気、ミス、残業、退職相談、フィードバックなど、管理職が日常的に直面しやすい場面に接続しやすい点も特徴です。
向いていない人
一方で、組織制度や経営戦略を深く学びたい人には、少し目的がずれるかもしれません。この本の中心は、制度設計や評価制度の作り方ではなく、上司と部下の対話をどう変えるかにあります。
また、コーチングや心理学を理論から体系的に学びたい人にも、やや実践寄りに感じられる可能性があります。質問や対話の考え方は多く出てきますが、学術的な理論解説を深掘りする本というより、現場で使う声かけや問い方を整理する本として読むほうが合っています。
先に結論(買う価値はある?)
部下との対話に悩んでいる管理職なら、読む価値はあります。理由は、「部下をどう変えるか」ではなく、「上司が何をどう聞けば、部下が自分で動き出せるのか」という視点に切り替えられるからです。
ただし、「聞くだけで何でも解決する本」と期待しすぎると、少し違和感があるかもしれません。職場の問題には、制度や労務、メンタルヘルスなど別の対応が必要なものもあります。この本は万能マニュアルではなく、日常のマネジメントにおける対話の質を上げるための本として読むのがちょうどよいです。
部下が話さない、動かない、納得しないと感じたとき、すぐに指示や説得へ向かう前に、自分の聞き方を見直すきっかけになります。1on1やフィードバックを少しでも良くしたい人にとって、手元に置いておく意味のある一冊です。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
重要ポイントの1つ目は、これからのリーダーには「強く引っ張る力」だけでなく、部下の話を聞き、対話する力が求められるという点です。本書は冒頭で、職場の問題の多くは、上司が部下の考えや不安、望んでいることを十分に把握できていない状態から起こると位置づけています。会話はしていても、相手の本音や納得感に届いていなければ、対話としては不足しているという見方です。
2つ目は、「聞く」はただ黙って受け止めることではなく、相手の考えを引き出すために問いを設計する行為だという点です。本書で中心になるのは、上司が正解を与えることではなく、部下が自分で考え、自分で答えを見つけやすくする質問です。だからこそ、アドバイスや説得を増やすより、聞き方を変えることに重きが置かれています。
3つ目は、その聞き方を日常会話だけでなく、1on1、注意、相談対応、フィードバックまで広げている点です。序盤では聞き続ける技術や声かけを扱い、中盤ではやる気がない部下、要領が悪い部下、悩みを抱えた部下への関わり方へ進みます。終盤では1on1とフィードバックに焦点を当て、部下の納得と自己決定感をどう作るかに話がつながっていきます。
著者が一番伝えたいこと
著者が一番伝えたいのは、部下を動かすために上司がもっと話す必要はなく、むしろ聞き方を変えることが重要だということです。部下の主体性が低い、任せられない、本音が見えないといった悩みは、上司側の指示不足だけでなく、対話不足から生まれている可能性があります。
本書の主張は、「聞けば何もしなくていい」という意味ではありません。適切な質問を通じて、部下が自分の状況を整理し、納得して次の行動を選べるようにする。そのために、上司はアドバイス役や説得役に偏らず、相手の考えを引き出す役割を担う必要がある、というのが本書全体を貫く考え方です。
読むと得られること
この本を読むと、部下との会話を詰問や説教にしないための視点が得られます。特に、つい「こうしたほうがいい」と言いたくなる場面で、先に相手の考えを聞く、状況を整理する、次にどう動くかを本人に考えてもらう、という流れを意識しやすくなります。
また、1on1やフィードバックの使い方も見直せます。1on1を単なる雑談や進捗確認で終わらせず、部下の不安や意欲、考えていることを聞く場に変える。フィードバックでは、厳しいことを伝えるだけでなく、相手がどう受け止め、これからどう動くかまで聞く。そうした実務上の会話を、質問中心に組み立て直すヒントが得られます。
全体として、本書は「うまく話すリーダー」になるための本ではありません。部下が自分で考えられるように、上司がどう聞くかを整える本です。忙しい管理職にとっては、部下との関わり方を大きく変えるというより、日々の声かけや面談の中で少しずつ使える実践書として読みやすい内容です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなり質問フレーズを並べるのではなく、まず「なぜ今のリーダーに聞く力が必要なのか」を確認するところから始まります。強く引っ張る上司像から、部下の考えや不安を聞き取る上司像へと視点を移し、その後で聞き方の基本、声のかけ方、部下のタイプ別対応、1on1、フィードバックへ進む構成です。
全体としては、「聞く」を単なる傾聴ではなく、部下の納得感や自己決定感を引き出す実務スキルとして段階的に学ぶ流れになっています。前半で土台を作り、中盤で現場の困りごとに当てはめ、後半で面談や厳しい指摘の場面に応用する設計です。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 強いリーダーから「聞いてくれるリーダー」へ─理想の上司像は大きく変わった
- 第2章 誰からでも30分間「話を聞き続ける」テクニック
- 第3章 対話をスムーズに進める「魔法の声がけ術」
- 第4章 「やる気のない部下」をストレッチする質問
- 第5章 「要領の悪い部下」に効く質問
- 第6章 部下の悩みの9割は、「聞く」だけで解決する
- 第7章 1on1を「最高の気づきの場」にするテクニック
- 第8章 “上手なダメ出し”で納得してもらう「フィードバック」の技術
- [巻末付録]メンバーが自然と動き出す「パワークエスチョン」30
各章の要点
第1章は、現代の上司に求められる役割の変化を押さえる章です。部下を強く引っ張るより、相手の考えや不安を聞き取る姿勢が重要になるという、本書全体の前提を作っています。
第2章は、対話の基本動作を学ぶ章です。聞き役に徹すること、沈黙を怖がらないこと、質問の種類やクッション言葉を使うことなど、後の章で使う土台になります。
第3章は、部下が話しやすくなる入口を整える章です。忙しそうな部下、本音を話さない部下、話が長い部下など、会話を始める場面や整理する場面に焦点が当たります。
第4章は、意欲が低く見える部下への向き合い方を扱います。「できない」「納得できない」「やりたいことがない」といった反応に対して、上司がどう問いを返すかが中心です。
第5章は、仕事の進め方に課題がある部下への質問です。バタバタしている、残業が多い、目標達成が難しい、ミスを繰り返すといった実務上の問題を、本人の気づきにつなげる橋渡しの章です。
第6章は、悩みや本音を聞く章です。アドバイスを急ぐより、相手が自分の状態や考えに気づけるように聞くことが重視され、前半の基本技術がより深い対話に使われます。
第7章は、1on1に特化した応用編です。アイスブレイク、心身の確認、褒め方、異動や退職の話題など、面談を形だけで終わらせないための流れが扱われます。
第8章は、フィードバックの章です。厳しいことを伝える場面でも、単なるダメ出しではなく、納得を作り、これからの行動につなげる聞き方がテーマになります。
忙しい人が先に読むならここ
忙しい人が先に読むなら、まず第2章をおすすめします。ここでは、ただ質問を増やすのではなく、聞き役に徹する難しさや、相手を追い詰めない聞き方が整理されています。本書全体の前提になるため、ここを押さえると後の章が読みやすくなります。
次に読むなら第7章です。1on1が雑談や業務報告で終わってしまう人にとって、面談を気づきの場に変える考え方を確認できます。心身の状態確認、聞き続ける方法、退職・異動の話題への向き合い方まで扱うため、日々のマネジメントに直結しやすい章です。
さらに、部下への厳しい指摘に悩む人は第8章を早めに読むとよいです。本書は、聞くことを単なる優しさで終わらせず、納得をつくるフィードバックへつなげています。注意やダメ出しが苦手な上司ほど、対話とフィードバックを分けずに読む価値があります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んで一番印象に残ったのは、この本の「聞く」が、ただ黙って相手の話を受け止めることではない点です。部下の話を聞くというと、優しく寄り添うイメージに寄りがちですが、本書ではそれをもう少し踏み込んで、部下が自分の状況を整理し、納得し、自分で次の行動を選ぶためのマネジメント技術として扱っています。
特に残ったのは、「部下をどう動かすか」ではなく、「部下が自分で動き出すために、上司は何を聞くべきか」という視点です。上司が正しい答えを持っていて、それを部下に伝えるという関係ではなく、部下自身が答えに近づくために、上司が問いの出し方を変える。この切り替えが、本書全体を通して一貫していました。
構成にも納得感がありました。最初に「強いリーダー」から「聞いてくれるリーダー」への変化を示し、そこから聞き続ける技術、声のかけ方、部下のタイプ別の質問、1on1、フィードバックへと進んでいきます。抽象的なリーダー論で終わらず、部下との会話が詰まりやすい場面に沿って話が進むので、実務に引き寄せて読みやすい本だと感じました。
すぐ試したくなったこと
まず試したくなったのは、部下と話す前に「自分が話す量を減らす」と意識することです。本書を読むと、上司は良い助言をしようとするほど、相手が自分で考える余地を狭めてしまうことがあると感じます。だからこそ、何かを伝える前に、相手がどう見ているのかを聞く姿勢を持つことから始めたくなりました。
次に試したいと思ったのは、1on1を進捗確認だけで終わらせないことです。第7章では、1on1を部下の気づきにつなげる場として扱っており、心身の状態や意欲、今後のことまで含めて聞く視点が出てきます。面談の時間をただ確保するだけでなく、そこで何を聞くかを変えなければ、形だけになってしまうのだと感じました。
フィードバックの場面でも、すぐに取り入れたい視点がありました。厳しいことを伝えるときほど、こちらが一方的に言い切って終わるのではなく、相手がどう受け止め、これからどう動くかを聞く必要があるという点です。フィードバックを「伝える技術」だけでなく、「納得を作る対話」として捉え直せるのは、本書の実践的な読みどころだと思います。
読んで気になった点
気になった点は、「聞くだけで問題が解決する」という打ち出し方がかなり強いことです。読み進めると、それは放任や受け身の傾聴ではなく、質問によって相手の本音や納得を引き出すという意味だと分かります。ただ、タイトルや説明だけで受け取ると、あらゆる職場の問題が質問だけで解決するように見えてしまう可能性はあります。
本書が扱う範囲は、1on1、フィードバック、退職相談、やる気のない部下、要領の悪い部下、悩みを抱える部下などかなり広めです。そのぶん、管理職の日常にはつながりやすい一方で、組織制度や評価、労務、メンタルヘルスのようなテーマを深く扱う本として読むと、期待とはズレるかもしれません。日常の対話の質を上げる本として読むと、いちばんしっくりきます。
また、理論を体系的に学びたい人よりも、現場での声かけや質問の引き出しを増やしたい人に向いた本だと感じました。コーチングや心理学の理論を深掘りするというより、上司が明日から部下との会話をどう変えるかに重心があります。そこを理解して読むと、本書の実践寄りの良さが見えやすくなります。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
この本は、読み終えてから大きな制度改革を始める本ではなく、まず上司の聞き方を少し変えるための本です。最初は、部下との日常会話や1on1で使う言葉を一つだけ変えるくらいで十分です。
- 次の1on1では、最初から助言せず、相手の状況を聞く時間を先に取る。
- 「最近どう?」で始めず、相手が答えやすい具体的な問いに言い換える。
- 部下が沈黙してもすぐ話を埋めず、考えている時間として少し待つ。
- 部下が「無理です」と言ったら、説得の前に「何があればできそうか」を聞く。
- 話が長くなったときは、途中で結論を急がず、内容を整理する問いを挟む。
- フィードバックでは指摘だけで終えず、本人が次に何をするかを聞く。
- 退職や異動の話が出たときは、引き止める前に本人の望みを確認する。
- 部下が本音を話さないときは、直接迫らず、仮定形の問いで話しやすくする。
全部を一度にやろうとすると、かえって会話が不自然になります。まずは「助言の前に聞く」「沈黙を待つ」のどちらか一つから始めるのが現実的です。
1週間で試すならこうする
Day1は、普段の部下との会話を振り返ります。自分が話している時間が長いのか、相手が考えて話す時間を取れているのかを確認します。
Day2は、次に使う質問を一つだけ決めます。部下の状況を聞く問い、できない理由ではなく条件を聞く問いなど、使いやすいものを一つ選びます。
Day3は、短い会話でその質問を試します。いきなり重い面談で使うのではなく、日常のやり取りの中で相手の反応を見ます。
Day4は、沈黙をすぐ埋めない練習をします。相手が考えている間に自分が答えを出してしまわないよう、数秒だけ待つことを意識します。
Day5は、1on1で助言を後回しにします。先に相手の状況や考えを聞き、最後に必要な範囲でコメントする流れを試します。
Day6は、フィードバックの場面で「これから」を聞きます。厳しい指摘をしたあと、本人が次にどうするかを自分で言葉にできるようにします。
Day7は、1週間の会話を振り返ります。うまく聞けた場面、急いで助言してしまった場面を分けて、次に変える質問を一つだけ決めます。
つまずきやすい点と対策
まず起こりやすいのは、「聞く」を意識しすぎて、ただ黙ってしまうことです。本書の聞き方は、受け身で待つだけではなく、相手が考えを整理できるように問いを投げかけるものです。小さく始めるなら、沈黙を怖がって話し続けるのをやめ、相手の言葉を受けて一つだけ追加で聞くことから始めるとよいでしょう。
次につまずきやすいのは、質問が詰問のようになってしまうことです。部下の状況を知ろうとするほど、理由を問い詰める形になり、相手が本音を話しにくくなることがあります。最初は原因を深掘りするより、今の状況や必要な条件を確認する聞き方に絞ると、会話が重くなりすぎません。
また、1on1を変えようとして、一度に多くを聞きすぎることもあります。心身の状態、悩み、意欲、今後の希望まで一気に扱おうとすると、部下も上司も負担が大きくなります。まずは毎回一つだけ、進捗以外のテーマを聞くと決めるくらいが現実的です。
フィードバックでは、厳しいことをやわらげすぎて要点がぼやける場合があります。本書は、厳しいことを避けるのではなく、伝える順序や納得の作り方を重視しています。小さく始めるなら、改善点は簡潔に伝え、そのあとで相手の受け止め方と次の行動を聞く流れにすると実践しやすくなります。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』は、部下との対話、質問、1on1、フィードバックに焦点を当てた本です。前著『できるリーダーは、「これ」しかやらない』が「任せ方」やリーダーの仕事の抱え込みを扱う土台の本だとすると、この[聞き方・話し方編]は、上司と部下の会話をどう変えるかに絞った一冊です。『増補改訂版 ヤフーの1on1』は、1on1そのものの運用や定着を知りたい人に向いています。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』 | 部下の主体性を引き出す聞き方と質問 | 部下との会話や1on1に悩む管理職 |
| 前著『できるリーダーは、「これ」しかやらない』 | 任せ方とリーダーの仕事の抱え込み解消 | 仕事を抱え込みがちな上司 |
| 『増補改訂版 ヤフーの1on1』 | 1on1の制度・運用・進め方 | 1on1を職場に定着させたい人 |
『できるリーダーは、「これ」しかやらない』との違い
前著『できるリーダーは、「これ」しかやらない』は、同じ伊庭正康さんのシリーズ本で、忙しいリーダーや仕事を抱え込んでしまう上司に向けた「任せ方」の土台を扱う本です。今回扱っている[聞き方・話し方編]は、その中でも読者ニーズが高かった上司と部下の対話に焦点を絞り、質問や声かけ、1on1、フィードバックへ深掘りしています。
リーダーとして何を手放し、どう任せるかを見直したいなら、前著『できるリーダーは、「これ」しかやらない』が合います。部下との会話が続かない、本音を引き出せない、注意やフィードバックの伝え方に迷うなら、[聞き方・話し方編]のほうが目的に近いです。
『増補改訂版 ヤフーの1on1』との違い
『増補改訂版 ヤフーの1on1』は、1on1を制度や運用、コミュニケーション技法として学びたい人に向く本です。[聞き方・話し方編]にも1on1の章はありますが、1on1だけの本ではありません。日常の声かけ、部下のタイプ別対応、相談対応、フィードバックまで含めて、上司がどう聞くかを広く扱っています。
1on1を職場にどう定着させるか、運用面から整理したいなら『増補改訂版 ヤフーの1on1』が合います。1on1も含めて、普段の会話や注意、フィードバックまで使える聞き方を知りたいなら、[聞き方・話し方編]のほうが入りやすいです。
迷ったらどれを選ぶべき?
- 部下との会話や質問を見直したい人:『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』
- 仕事を抱え込まず任せる力を整えたい人:前著『できるリーダーは、「これ」しかやらない』
- 1on1の運用や定着を重点的に学びたい人:『増補改訂版 ヤフーの1on1』
今回の[聞き方・話し方編]を選ぶべきなのは、部下を動かすためにもっと話すのではなく、聞き方を変えたい人です。1on1が形だけになっている、アドバイスや説教が多くなりがち、フィードバックで納得を作れない。そうした悩みがあるなら、前著や1on1専門書の前に、この本で「対話の土台」を整える読み方がしやすいでしょう。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
伊庭正康氏は、株式会社らしさラボ代表。1969年京都府生まれで、1991年にリクルートグループへ入社。営業部長、株式会社フロムエーキャリア代表取締役などを歴任し、2011年に研修会社らしさラボを設立しています。リクルート社では、プレイヤー部門とマネージャー部門の両方で年間全国トップ表彰を受けた実績もあります。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書のテーマである「聞き方・話し方」は、伊庭氏の営業現場での経験と、管理職としての経験の両方に接点があります。プレイヤーとして成果を出すだけでなく、マネージャーとして部下や組織に関わってきた経歴があるため、上司が一方的に指示するのではなく、部下が自分で動き出すための対話に焦点を当てている点に自然なつながりがあります。
また、伊庭氏はらしさラボ設立後、多数の研修・講演・コーチングを行ってきた人物です。本書で扱われる1on1、フィードバック、部下の本音を引き出す質問、忙しい管理職の対話といったテーマは、現場の管理職が直面しやすい課題と結びついています。だからこそ本書は、理論だけを整理する本ではなく、上司と部下の会話を実務の場面に落とし込む内容になっています。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
大枠を知りたいだけなら、要約だけでも十分です。本書の中心は、上司が話す量を増やすのではなく、聞き方と質問を変えることで、部下の本音や納得を引き出すという考え方にあります。購入判断をしたい人も、まずは要約と目次の流れを押さえれば、自分に合う本かは見えてきます。
ただし、実際に1on1やフィードバックで使いたい人は、本文まで読んだほうがよいです。特に第2章以降は、沈黙への向き合い方、声のかけ方、部下の状態別の質問などが具体的に展開されます。実践に移すなら、要約だけで済ませるより、気になる章を拾い読みするほうが役立ちます。
初心者でも読める?
初心者でも読みやすい部類の本です。リーダーシップ理論を体系的に学ぶ専門書というより、部下との会話、1on1、フィードバックといった職場の身近な場面から入っていくため、管理職になったばかりの人でも読み始めやすい内容です。
特に、部下との面談が続かない、ついアドバイスが多くなる、若手やZ世代との距離感に悩んでいる、といった具体的な悩みがある人には入りやすいはずです。一方で、コーチングや1on1をすでに深く学んでいる人には、基本的に感じる部分もあるかもしれません。
どこから読むべき?
基本的には、第1章から読むと流れをつかみやすいです。最初に、従来型の「強い上司」から、部下の話を聞き引き出すリーダー像へと視点を切り替え、その後に聞く技術、声かけ、1on1、フィードバックへ進む構成になっています。
忙しい人は、第2章、第7章、第8章を先に読むのもありです。第2章で聞き方の土台を押さえ、第7章で1on1への使い方を確認し、第8章で厳しいフィードバックをどう納得につなげるかを見る流れです。部下が本音を話さない、やる気が見えない、ミスや残業が多いといった悩みがある場合は、第3章から第6章の該当する章を拾い読みすると使いやすいです。
読む前に注意点はある?
注意したいのは、「聞くだけで問題が解決する」という言葉を、何も指導しない、注意しない、放任するという意味で受け取らないことです。本書の「聞く」は、部下が自分の状況を整理し、納得し、次の行動を選べるようにする質問の技術として扱われています。
また、職場の問題すべてが質問だけで解決するわけではありません。制度、評価、労務、メンタルヘルス、ハラスメントなどは、別の対応が必要になる場合があります。本書は万能マニュアルとしてではなく、日常のマネジメントにおける対話の質を上げる本として読むと、期待とのズレが少なくなります。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、「部下をどう動かすか」ではなく「部下が自分で動き出すために、上司は何を聞くか」へ視点を変えられることです。指示や助言を増やす前に、相手が何を考え、何に不安を感じ、何を望んでいるのかを聞く。この切り替えによって、部下との会話を上司主導の説明から、相手の自己整理の場へ変えやすくなります。
2つ目の価値は、1on1やフィードバックなど、管理職の日常に持ち帰りやすいことです。本書は抽象的なリーダー論だけで終わらず、沈黙への向き合い方、雑な声かけの見直し、やる気が見えない部下への質問、厳しい指摘の伝え方まで扱います。読後に、次の面談や日常会話で試す入口を持てるのが強みです。
3つ目の価値は、「聞く」を放任ではなくマネジメント技術として整理していることです。聞くだけで何でも解決するというより、部下が納得し、次の行動を自分で選べるように問いを設計する本です。傾聴だけでは物足りないけれど、指示や説得だけでもうまくいかない人にとって、間を埋める一冊になります。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、部下との1on1が雑談や業務報告で終わりがちな人、アドバイスしているのに部下が動かないと感じている人、忙しい中でも部下の本音や納得を引き出したいプレイングマネジャーです。若手やZ世代との接し方、退職相談、厳しいフィードバックに悩む上司にも使いやすい内容です。
一方で、組織制度や経営戦略を深く学びたい人、心理学やコーチング理論を体系的に掘り下げたい人は、期待とズレる可能性があります。本書は、あらゆる組織課題を質問だけで解決する万能マニュアルではなく、日常のマネジメントにおける対話の質を上げる実践書として読むのが合っています。
読むならどう活かす?
読むなら、最初の一歩は「上司が答えを出す前に、部下が考える時間をつくること」です。次の1on1では、冒頭の5分だけでも助言を急がず、相手の状況や考えを聞く時間にしてみると、本書の価値を体感しやすくなります。
もう一つ持ち帰りたいのは、部下が「無理です」「納得できません」「辞めたいです」と言ったときに、すぐ説得へ進まない視点です。反論や指示の前に、何があれば進めるのか、本人は何を望んでいるのかを聞く。そこから、対話の質を少しずつ変えていく読み方が向いています。
次に読むならこの本
- 『できるリーダーは、「これ」しかやらない』:本書の前提にある「任せ方」やリーダーの頑張りどころを補える一冊
- 『増補改訂版 ヤフーの1on1』:1on1を実務に定着させる観点を深めたいときに読みたい一冊
- 『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』:質問・傾聴・承認をより体系的に学びたい人向けの補強本
部下育成について学べるおすすめ書籍

部下育成について学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
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