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【書評】ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現|要約と感想

【書評】ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現|要約と感想

組織の管理や評価、会議、階層に違和感がありながらも、「組織とはそういうもの」と考えてきた人にとって、『ティール組織』はその前提を揺さぶる一冊です。上司や目標をなくす話ではなく、自主経営・全体性・存在目的を軸に、組織をどう見直せるかを問います。

この記事では、本書の要約、章の流れ、読後の印象、向いている人・合わない人を整理します。読み進めることで、この本が自分の関心や課題に合うか、購入前に判断しやすくなるはずです。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』は、組織をうまく管理するための本というより、そもそも「組織は管理しなければ動かない」という前提を問い直すための本です。階層型・管理型の組織に違和感がある人が、自主経営、全体性、存在目的という視点から、組織の見方を組み替えるのに向いています。


向いている人

この本が特に向いているのは、経営者、管理職、人事・組織開発担当者など、組織のあり方そのものに関わっている人です。評価制度、会議、上下関係、意思決定の遅さ、現場の疲弊に課題を感じているなら、単なる制度改善ではなく、組織を支える前提から考え直す材料になります。

また、自律型組織やセルフマネジメントに関心がある人にも向いています。自主経営、全体性、存在目的という三つの軸をもとに、組織構造だけでなく、意思決定、人事、報酬、戦略、統制まで扱われるため、「理想は分かるが実際どう運営するのか」という疑問を持つ人ほど読み応えがあります。


向いていない人

反対に、すぐ使えるチェックリストや短いノウハウだけを求めている人には、やや重く感じる可能性があります。本書は592頁の大著であり、前半では人類史や意識発達の話も扱われます。実践だけを急ぐ読者にとっては、回り道に見える部分もあるはずです。

また、「ティール組織=上司をなくすこと」「ティール組織=自由に任せること」といった分かりやすい答えを期待して読むと、少し違和感があるかもしれません。本書の中心は、上司や予算をなくす話そのものではなく、信頼、助言プロセス、役割、存在目的など、自律が成り立つための土台を考えることにあります。


先に結論(買う価値はある?)

組織のあり方に根本的な違和感を持っている人なら、読む価値はあります。理由は、本書が「新しいマネジメント手法」を紹介するだけでなく、現代組織が生んできた成果と限界の両方を踏まえたうえで、次の組織モデルを具体的な慣行まで掘り下げているからです。

特に、自主経営、全体性、存在目的という言葉に関心がある人にとっては、用語の雰囲気だけでなく、それが組織構造、意思決定、人事、戦略にどう関わるのかを考える入口になります。軽い実用書ではありませんが、組織を「もっと人間的で、自律的で、目的に根ざした場」として見直したい人には、長く参照できる一冊です。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

1つ目のポイントは、組織モデルは固定されたものではなく、人類の意識や世界観の変化に合わせて進化してきたものとして描かれていることです。本書は、ティール組織を突然現れた流行語としてではなく、衝動型、順応型、達成型、多元型と続いてきた組織の発達の流れの中に置いて説明しています。

2つ目のポイントは、現代の組織を一方的に否定していないことです。企業、医療、教育、非営利組織など、現代の組織が人類に大きな成果をもたらしたことを認めたうえで、それでも疲弊、目的喪失、政治的駆け引き、過剰な統制といった限界が生まれていると問題提起します。だからこそ本書の問いは、「組織は悪い」という単純な批判ではなく、「今の組織モデルが時代に合わなくなっているのではないか」という方向に向かいます。

3つ目のポイントは、進化型組織の核が「自主経営」「全体性」「存在目的」の三つに整理されていることです。ただし、これは単に上司をなくす、自由に任せる、フラットにするという話ではありません。助言プロセス、信頼と統制の関係、役割の決定、紛争の解決、会議、報酬、予算、戦略など、組織を実際に動かすための具体的な慣行まで扱われています。


著者が一番伝えたいこと

著者が本書全体を通して伝えようとしているのは、組織の問題は制度や仕組みだけではなく、私たちが組織をどう見ているかという前提に深く関わっている、ということです。組織をピラミッドや機械のように捉える限り、意思決定、評価、会議、役割、目的の扱い方も、その世界観に引っ張られます。本書はその前提をほどき、組織をより生命体に近いものとして見直す視点を提示します。

そのため、本書は「新しい組織形態の紹介」にとどまりません。人々の可能性をより引き出す組織はあり得るのか、階層型の構造に代わる仕組みはあるのか、組織の存在目的に沿って働くことは可能なのか。こうした問いに対して、理念だけでなく、実際に存在するパイオニア組織の構造や慣行を通じて答えようとしている本です。


読むと得られること

読むと得られるのは、ティール組織という言葉の表面的な理解ではなく、組織運営を人間観、信頼観、目的観から捉え直す視点です。特に、今の組織で会議、評価、報酬、意思決定、上下関係に違和感を持っている人にとっては、その違和感を個人の努力不足ではなく、組織モデルの問題として見直すきっかけになります。

また、自分の組織を点検する観点も得られます。意思決定は統制中心なのか信頼中心なのか、会議や評価は存在目的とつながっているのか、上司をなくす前に助言プロセスや情報共有の仕組みがあるのか。こうした問いを持てるようになるだけでも、本書を読む価値はあります。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり「ティール組織の作り方」に入る本ではありません。まず、組織モデルが人間の世界観や意識段階とともに変化してきたという大きな土台を置き、そのうえで、実際に新しい形で運営されている組織の構造や慣行を見ていきます。最後に、新しい組織を立ち上げる場合、既存組織を変える場合に何が条件になるのかを検討する流れです。

読みどころは、第二部に集中しています。自主経営、全体性、存在目的という三つの突破口が、理念だけでなく、意思決定、人事、報酬、会議、対立解決、戦略、マーケティングまで広げて語られるため、「新しい組織モデル」が日々の運営にどう関わるのかをつかみやすい構成です。


大見出し目次(短い目次)

  • ◆第I部 歴史と進化
    第1章 変化するパラダイム――過去と現在の組織モデル
    第2章 発達段階について
    第3章 進化型(ティール)

  • ◆第II部 進化型組織の構造、慣行、文化
    第1章 三つの突破口(ブレイクスルー)と比喩(メタファー)
    第2章 自主経営(セルフ・マネジメント)/組織構造
    第3章 自主経営(セルフ・マネジメント)/プロセス
    第4章 全体性(ホールネス)を取り戻すための努力/一般的な慣行
    第5章 全体性(ホールネス)を取り戻すための努力/人事プロセス
    第6章 存在目的に耳を傾ける
    第7章 共通の文化特性

  • ◆第III部 進化型(ティール)組織を創造する
    第1章 必要条件
    第2章 進化型(ティール)組織を立ち上げる
    第3章 組織を変革する
    第4章 成果
    第5章 進化型(ティール)組織と進化型(ティール)社会


各章の要点

第一部は、ティール組織を理解するための土台です。組織のあり方を、時代ごとの世界観や人間の意識発達と結びつけて整理し、進化型組織が突然の流行ではなく、長い組織進化の流れにあることを示します。

第二部第1章は、本書の中心に入る橋渡しです。組織を機械やピラミッドではなく、生命体のように捉える視点が示され、自主経営・全体性・存在目的という三つの突破口が提示されます。

第二部第2〜3章では、自主経営が具体的にどう成り立つのかが扱われます。上司やミドル・マネジメントの不在だけでなく、助言プロセス、役割の決定、紛争解決、報酬など、自由を支える運営ルールが重要になります。

第二部第4〜5章では、働く人が職場で人間性を切り離さずにいられるための慣行が整理されます。採用、オンボーディング、研修、フィードバックなど、人事領域まで踏み込むことで、全体性が理念ではなく日常の仕組みに関わることが分かります。

第二部第6〜7章では、組織の存在目的を軸に、戦略、マーケティング、予算、統制、文化のあり方が扱われます。ここまで読むと、ティール組織が「何でも自由」な組織ではなく、目的に沿って自律的に動く組織として描かれていることが見えてきます。

第三部は、実際に進化型組織をつくるための条件を扱うパートです。新しく立ち上げる場合、既存組織を変革する場合、トップやオーナーが果たす役割、成果や社会とのつながりまで検討され、理論から実装へつながっていきます。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部を一気に読む時間がない場合は、第二部から入ると本書の実務的な核をつかみやすいです。

優先して読むなら、まず第二部第1章です。ここで三つの突破口が整理されるため、本書が単なるフラット組織論ではなく、自主経営・全体性・存在目的を軸にした組織論だと理解しやすくなります。

次に読むなら、第二部第2〜3章の自主経営のパートです。上司の不在という目を引く論点だけでなく、助言プロセス、信頼と統制、役割、報酬、紛争解決まで扱われるため、「自律型組織は本当に機能するのか」という疑問に対する具体的な手がかりが得られます。

組織の方向性や理念の形骸化に関心がある人は、第二部第6章を先に読む価値があります。存在目的をどう意思決定や戦略、予算、マーケティングに結びつけるのかが扱われるため、ティール組織を制度ではなく目的から理解しやすくなります。

時間に余裕があれば、第一部に戻ると理解が深まります。前半の発達段階や人類史の議論は抽象度が高い一方で、ティールを「最上位の正解」として単純化せず、組織モデルの変化として読むための大事な背景になります。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

読んでいちばん印象に残ったのは、『ティール組織』が単に新しいマネジメント手法を紹介する本ではなく、組織というものをどう見ているのか、その前提を問い直す本だったことです。タイトルや紹介文からは「上司がいない」「売上目標がない」「予算がない」といった特徴に目が向きますが、読み進めると、そこだけを切り取るとかなり浅い理解になってしまうと感じました。

特に良かったのは、著者が現代の組織を一方的に否定していない点です。企業、医療、教育、非営利組織など、現代の組織が社会に大きく貢献してきたことを認めたうえで、それでも人の情熱や目的意識を損なう場にもなっている、という問題意識から話が始まります。このバランスがあるため、反管理の主張ではなく、組織の限界をどう超えるかを考える本として読めました。

構成面でも、第一部で人間の世界観や意識段階と組織モデルの変化をたどり、第二部で自主経営、全体性、存在目的を具体的な慣行へ落とし込む流れが印象的でした。抽象的な話から入るので少し距離を感じる部分もありますが、後半で意思決定、人事、報酬、会議、対立解決、戦略などに話が広がることで、「新しい組織モデル」は雰囲気ではなく運営の仕組みに関わるものなのだと分かってきます。


すぐ試したくなったこと

読後にまず試したくなったのは、自分の組織やチームの中で「管理しなければ回らない」と思い込んでいる前提を洗い出すことです。本書では、上司の不在やミドル・マネジメントの不在、助言プロセス、信頼対統制といった論点が出てきますが、それらは単に役職や制度をなくす話ではありません。何を信頼し、どこで統制し、どんな仕組みで判断するのかを見直すきっかけになります。

もう一つ試したくなったのは、意思決定の場で「助言プロセス」に近い考え方を部分的に取り入れることです。誰か一人が決めるか、全員の合意を待つか、という二択ではなく、関係者や専門性を持つ人の助言を得ながら判断するという考え方は、日常の小さな意思決定にも接続しやすいと感じました。

また、会議や評価、報酬、役割配置といった普段の慣行が、信頼を土台にしているのか、統制を土台にしているのかを見直したくなりました。本書を読むと、組織の変革は大きな制度変更だけで起こるものではなく、日々の判断や対話の前提に表れるものだと受け取れます。だからこそ、いきなり「ティール化」を目指すよりも、まずは自分たちの当たり前を言語化することから始めたくなる本でした。


読んで気になった点

気になったのは、やはり構成の広さと抽象度です。592頁というボリュームがあり、第一部では歴史的・発達的な説明が続くため、すぐに使える組織改善のチェックリストを期待して読むと、遠回りに感じる場面はあると思います。特に「発達段階」と組織モデルを結びつける前半部分は、本書の土台ではありますが、実務上の答えを急ぐ読者には少し重く映るかもしれません。

ただ、その遠回りがあるからこそ、第二部以降の具体的な組織慣行が単なる事例紹介ではなく、組織の前提から組み直されたものとして読める面もあります。ここを飛ばして「上司をなくす」「予算をなくす」といった表面的な特徴だけを拾うと、本書が繰り返し扱っている信頼、目的、対立、意思決定の深い部分を取り逃がしそうです。

もう一つの注意点は、公式な打ち出し方との印象のズレです。「上下関係も、売上目標も、予算もない」という表現は入口として強い一方で、実際に読んで残るのは、制度をなくすことよりも、人間をどう信頼するか、存在目的をどう扱うか、組織の構造や慣行をどう整えるかという問いでした。刺激的なキーワードに惹かれて手に取るのは自然ですが、読みどころはむしろ、その奥にある慎重で具体的な組織観にあると感じます。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

『ティール組織』は、読後すぐに組織を大きく変えるための本というより、自分たちの職場にある「当たり前」を点検するための本です。まずは制度改革ではなく、日々の会議や判断、役割分担の中にある前提を見直すところから始めると使いやすいです。

  • 自分の職場で「管理しないと回らない」と思われている場面を3つ書き出す。
  • 会議や承認フローが、信頼ベースか統制ベースかを簡単に分類する。
  • 最近の意思決定を1つ選び、誰の助言があれば判断が良くなったか振り返る。
  • 役職や肩書ではなく、実際に誰がどんな役割を担っているかを見直す。
  • ミッションやパーパスが、日々の判断に使われているかを確認する。
  • 評価や報酬の仕組みが、協働より政治的駆け引きを生んでいないか点検する。
  • 職場で人間性や全体性が損なわれている場面を、責めずに言語化する。
  • 「上司をなくす」ではなく、自主経営を支える条件は何かを考える。
  • 組織変革を語る前に、経営トップやオーナーの前提がどこにあるかを見る。

最初に取り組むなら、「管理が必要」とされている場面の洗い出しが現実的です。そこから、何を本当に管理しているのか、何を信頼できていないのかが見えやすくなります。


1週間で試すならこうする

Day1は、職場の中で「これは当然」と思っている組織運営の前提をメモします。承認、会議、評価、目標設定など、日常的に繰り返しているものから見ると始めやすいです。

Day2は、その中から1つだけ選び、なぜその仕組みが必要とされているのかを考えます。効率のためなのか、責任回避のためなのか、信頼不足を補うためなのかを分けてみます。

Day3は、直近の意思決定を振り返り、助言プロセスに近づけられる余地を探します。関係者や専門性を持つ人の声を、判断前に聞けていたかを確認します。

Day4は、会議を1つ選んで、そこで本当に必要だった対話と、形式的に進んだ部分を分けて見ます。結論を急ぐ前に、参加者が率直に話せる場になっていたかを見るのがポイントです。

Day5は、組織の目的やミッションが、実際の判断とつながっているかを確認します。掲げられている言葉と、日々の優先順位がずれていないかを見直します。

Day6は、役割や責任の置き方を見ます。肩書ではなく、誰がどの判断を担い、誰と連携しているのかを整理すると、自主経営の入口が見えやすくなります。

Day7は、1週間で見えた違和感を1つに絞り、小さく試せる改善案にします。大きな組織改革ではなく、次の会議や次の意思決定で変えられることに落とし込むのが現実的です。


つまずきやすい点と対策

つまずきやすいのは、「ティール組織=上司や管理をなくすこと」と受け取って、いきなり制度の廃止に向かってしまうことです。そこで起こりやすいズレは、信頼や目的、意思決定の仕組みが整わないまま、責任の所在だけが曖昧になることです。小さく始めるなら、役職をなくす議論ではなく、まず1つの意思決定で誰に助言を求めるべきかを明確にするところからで十分です。

もう一つは、「自由に任せること」と「自主経営」を混同することです。本書で扱われる自主経営は、放任ではなく、役割、対立解決、報酬、情報共有などの具体的な慣行と結びついています。実践するなら、自由度を広げる前に、判断に必要な情報が共有されているか、困ったときの相談先があるかを確認したほうが安全です。

存在目的を扱う場面でも、つまずきは起こりやすいです。パーパスやミッションをきれいな言葉として掲げるだけで終わると、日々の意思決定にはつながりません。小さく始めるには、次の会議や企画判断で「これは組織の目的とどうつながるか」を一度だけ問いに入れてみると、形骸化を避けやすくなります。

最後に、組織変革を現場だけで進めようとする点にも注意が必要です。本書では、新しい組織づくりには経営トップやオーナーのあり方も関わるとされています。現場でできることは多い一方で、全社的な制度変更に踏み込む前には、上位の意思決定者がどの程度その前提を共有できるかを確認することが欠かせません。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理

『ティール組織』は、組織モデルそのものを歴史的な進化の流れから捉え直す本です。近いテーマの本と比べると、実践手順に絞るというより、組織を成り立たせている人間観・信頼観・目的観まで広く問い直すところに重心があります。

重心 向いている人
『ティール組織』 組織モデルの進化と三つの突破口 組織運営の前提から見直したい人
学習する組織――システム思考で未来を創造する 学習・システム・共有ビジョン 組織を学習する仕組みとして捉えたい人
『自主経営組織のはじめ方――現場で決めるチームをつくる』 自主経営の実践 現場で決めるチームづくりを深めたい人


『学習する組織――システム思考で未来を創造する』との違い

『ティール組織』は、衝動型、順応型、達成型、多元型、進化型という流れの中で、組織モデルがどう変わってきたかを大きく整理する本です。そこから自主経営、全体性、存在目的という三つの突破口に進み、意思決定や人事、会議、報酬、戦略まで扱います。一方で『学習する組織』は、組織を機械的に管理するのではなく、学習・システム・共有ビジョンの観点から捉える本として違いがあります。

組織の歴史的な発達や、ティールという概念の背景から理解したい人には『ティール組織』が合います。組織が変化し続けるための学習やシステム思考に関心がある人は、『学習する組織』を選ぶと、別の角度から組織変革を考えやすくなります。


『自主経営組織のはじめ方――現場で決めるチームをつくる』との違い

『ティール組織』は、自主経営だけでなく、全体性や存在目的まで含めて、進化型組織を幅広く扱います。実務領域にも踏み込んでいますが、前半には人類史や意識発達の議論もあり、組織運営の前提を深く考える構成です。一方で『自主経営組織のはじめ方』は、ティール組織の三要素のうち、自主経営を実践面に絞って深める本として使い分けられます。

「そもそもなぜ従来型の組織モデルに限界があるのか」から考えたい人には『ティール組織』が向いています。すでに自律型組織やセルフマネジメントに関心があり、現場で決めるチームの作り方に焦点を当てたい人には『自主経営組織のはじめ方』のほうが入りやすいでしょう。


迷ったらどれを選ぶべき?

『ティール組織』を選ぶべきなのは、単に新しい制度やフラットな組織の作り方を知りたい人ではなく、組織をどう見るかから考え直したい人です。上司の有無や予算の有無だけに注目するのではなく、信頼、助言プロセス、役割、存在目的といった土台まで含めて理解したいなら、本書から読む価値があります。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

フレデリック・ラルー氏は、マッキンゼーで10年以上にわたり組織変革プロジェクトに携わってきた人物です。その後、エグゼクティブ・アドバイザー、コーチ、ファシリテーターとして独立し、新しい組織モデルについて世界中の組織を数年にわたって調査しました。本書『ティール組織』は、その調査をもとにまとめられた組織論の著作です。


著者の経験が本書にどう活きているか

ラルー氏の経歴で本書に直結しているのは、組織変革の実務に長く関わってきた点です。『ティール組織』は、単に理想的な働き方を語る本ではなく、意思決定、人事、会議、報酬、役割、予算、統制といった組織運営の具体的な領域まで扱います。こうした実務的な論点に踏み込めている背景には、組織変革プロジェクトに携わってきた経験があります。

また、本書では世界各地の組織を調査し、進化型組織の構造や慣行を整理しています。ラルー氏は、特定の一社の成功例だけを語るのではなく、複数の組織に共通するパターンを見ようとしています。そのため本書の信頼性は、「有名企業の事例が載っているから」というより、組織モデルを歴史的な流れと実際の運営慣行の両面から捉えようとしている点にあります。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

大枠を知りたいだけなら、要約だけでも本書の位置づけはつかめます。『ティール組織』は、従来の階層型組織を超える進化型組織を、自主経営・全体性・存在目的という三つの視点から整理した本だと理解できれば、購入前の判断材料にはなります。

ただし、実際に組織づくりやマネジメントに活かしたいなら、本文まで読んだほうがよい本です。特に、助言プロセス、信頼と統制、会議、報酬、役割、予算策定などの具体的な慣行は、要約だけでは誤解しやすい部分です。「上司がいない組織」という表面的な理解で止めないためにも、実践を考える人は中身を確認する価値があります。


初心者でも読める?

組織論やマネジメントに関心があれば、初心者でも読み始めることはできます。現代の組織が人を疲弊させる理由や、働き方の前提を問い直す問題意識から入っていくため、専門家だけに向けた本ではありません。

一方で、592頁の大著であり、前半には人類史や意識発達の話も出てきます。短時間で使えるノウハウだけを探している人には、やや遠回りに感じられるかもしれません。初心者の場合は、すべてを一度で理解しようとせず、「組織をどう見るか」を広げる本として読むと入りやすいです。


どこから読むべき?

基本的には通読向きです。本書は、前半で組織モデルの歴史的な流れを整理し、中盤で進化型組織の構造や慣行を具体化し、後半で立ち上げや変革の条件へ進む構成になっています。そのため、順番に読むと「なぜ必要か」から「どう運営されるのか」まで理解しやすくなります。

忙しい人が先に読むなら、第二部の三つの突破口、自主経営、全体性、存在目的に関する章が中心になります。特に、意思決定や人事、会議、報酬、戦略、統制といった実務に関わる部分は、自分の組織と照らし合わせやすいところです。そのうえで、背景を深めたい人は第一部へ戻る読み方もできます。


読む前に注意点はある?

一番注意したいのは、「ティール組織=上司をなくすこと」「自由にすればうまくいくこと」と受け取らないことです。本書が重視しているのは、単なるフラット化ではなく、信頼、助言プロセス、役割、情報共有、存在目的といった具体的な慣行です。

また、「進化型」という言葉を、すべての組織にとっての唯一の正解として読むのも避けたいところです。本書は過去と現在の組織モデルの共存も扱っており、既存の組織を一方的に否定する本ではありません。すぐに制度を真似る本というより、組織運営の前提を問い直す重厚な本として手に取ると、期待とのズレが少なくなります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、組織に対する見方そのものを変えられることです。『ティール組織』は、上司や階層、管理、目標設定を当然の前提として扱わず、人間の意識や世界観の変化と組織モデルを結びつけて考えます。そのため、いまの組織にある息苦しさや疲弊感を、個人の努力不足ではなく、組織の前提から見直す視点が得られます。

2つ目の価値は、理念だけで終わらず、組織運営の具体的な論点まで踏み込んでいることです。自主経営、全体性、存在目的という三つの軸は、意思決定、人事、報酬、会議、対立解決、戦略といった日々の運営にまで広げて扱われます。読者は「新しい組織がよさそう」という感覚だけでなく、どの制度や慣行を見直せるのかを考えやすくなります。

3つ目の価値は、「管理をなくす本」という誤解を避けながら読める深さです。上司の不在や売上目標・予算の不在といった言葉は目を引きますが、本書の中心は制度を表面的に取り払うことではありません。信頼、目的、助言プロセス、経営トップやオーナーのあり方まで含めて、新しい組織モデルが成立する条件を考えられる点に価値があります。


この本をおすすめできる人・合わない人

おすすめできるのは、経営者や管理職、人事・組織開発担当者、そして今の評価制度や会議、上下関係に違和感を持っている人です。自律型組織やセルフマネジメントに関心があり、単なる制度変更ではなく、組織の前提そのものを考えたい人には特に向いています。

一方で、短時間で読めるノウハウ本や、すぐに真似できるチェックリストだけを求める人には重たく感じられるかもしれません。592頁の大著であり、前半には人類史や意識発達の話も含まれます。「ティール化すればすべて解決する」といった即効性を期待して読むと、少しズレが出やすい本です。


読むならどう活かす?

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部を実践しようとしなくて大丈夫です。まずは、自分の職場で当たり前になっている前提を1つ見直すだけでも読み方が変わります。

読むなら、まず「自分の組織では何が管理されて当然になっているのか」を洗い出すところから始めるのが現実的です。会議、評価、報酬、役割配置、目標設定のどれか一つを選び、それが信頼ベースなのか統制ベースなのかを点検するだけでも、本書の視点を日常に持ち帰れます。

今日できる一歩としては、次の会議や意思決定のあとに5分だけ、「誰が決めたのか」「助言を求める余地はあったか」「組織の目的とつながっていたか」を書き出してみることです。制度を大きく変える前に、まず自分の中の組織観を言語化する読み方が、この本には合っています。


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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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