
部下が育たない、メンバーが協力しない、自分がいないと仕事が回らない。『チームづくりの教科書』は、こうした問題を個人の能力や意欲だけに求めず、目標・関係性・主体性など「チームのつくり方」から見直していく実践的なマネジメント書です。
この記事では、本書の内容や著者の考え方、実際に読んで感じた強みと注意点、似た本との違いまで整理します。読み進めることで、自分の悩みに合う本なのか、購入して読む価値がありそうかを判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『チームづくりの教科書』は、部下やメンバー個人をどう変えるかではなく、職場の問題を「チーム全体の設計」から見直したい人に向く実践書です。目標、関係性、主体性、変化の定着、人材育成の仕組み、リーダーシップまでを一連の流れで扱うため、チームビルディングで何から手をつければいいのか分からないときに、全体像を整理する役割を果たしてくれます。
向いている人
特に向いているのは、初めて部下を持ち、マネジメントの進め方に迷っているリーダーです。「部下がなかなか育たない」「自分が指示し続けないと仕事が回らない」「メンバー同士が協力してくれない」といった悩みを抱えている人にも合います。
本書は、共通する目標を整えるところから始まり、メンバーとの関係性、主体性の引き出し方、変化を広げる方法、育成を仕組みにするところまで進みます。そのため、一つのテクニックだけを探している人よりも、チームがうまく機能しない原因を広い視点から整理したい管理職や経営者に向いています。チームの一員として、役割や関係性を見直したい人にも参考になる内容です。
向いていない人
一方で、組織行動や心理学について、研究成果や学術的なエビデンスを中心に深く学びたい人には、目的が少し異なります。また、評価制度や1on1、目標管理など、一つのテーマだけを専門的に掘り下げたい場合も、より特化した本のほうが合うでしょう。
タイトルには「すべて解決する」という強い表現がありますが、あらゆる職場問題に万能な答えを示す本として読むより、問題を個人の責任だけにせず、目標・関係性・役割・仕組みまで含めて見直すための本と考えたほうが内容に合っています。
先に結論(買う価値はある?)
部下育成やチーム運営に行き詰まり、「結局、自分でやったほうが早い」「誰をどう変えればいいのかわからない」と感じているなら、読む価値は十分にあります。問題を特定のメンバーの能力や意欲だけに求めず、目標、関係性、主体性、育成の仕組み、リーダー自身まで視野を広げて考えられるからです。
ただし、タイトルにある「すべて解決する」を、即効性のある万能な方法という意味で期待しすぎないほうがよいでしょう。むしろ、自分のチームのどこに課題があるのかを順番に点検し、マネジメントを立て直すための土台として読むと、本書の役割がより分かりやすくなります。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、職場で起きる問題を「誰が悪いのか」ではなく、「チームがどうつくられているか」から考えることです。部下が育たない、メンバー同士が協力しない、仕事を任せられないといった問題に対して、本書は個人の能力や性格だけに原因を求めません。まず共通の目標があるか、メンバー同士の関係性は整っているかという、チームの土台から見直していきます。
2つ目は、良いチームをつくるだけでなく、メンバーが主体的に動く状態まで段階的に考えていることです。目標と関係性を整えたあと、質問によって考える機会をつくり、強みや欲求にも目を向けながら主体性を引き出していきます。リーダーが常に指示を出さなければ動かない状態から、メンバー自身が考えて動けるチームへ移していくことが、本書の大きなテーマになっています。
3つ目は、一時的にチームを良くするだけで終わらず、その変化を組織に定着させようとしている点です。変化への抵抗が起きることも前提に置き、小さな変化を評価しながら周囲へ広げ、さらに人材育成をリーダー個人の力量だけに頼らない仕組みへつなげていきます。最後にはリーダー自身のマインドや人望まで扱われており、チームづくりを継続的な仕組みとして捉えているのが特徴です。
著者が一番伝えたいこと
本書全体を貫いているのは、仕事がうまくいかないときに、部下や上司、他部署など特定の誰かだけを問題視するのではなく、まずチームそのものを見直そうという考え方です。著者自身も、かつて部下育成がうまくいかなかった経験を振り返り、部下の問題として片づけるのではなく、自分のリーダーとしての未熟さやチーム運営の不足に目を向けています。
そのうえで本書は、チームを単に仲の良い集団とは考えません。共通の方向を持ち、それぞれが役割を担い、互いに補いながら成果を目指せる状態をつくる。そのために「目標」と「関係性」を土台にし、主体性、変化の定着、育成の仕組み、リーダー自身へと順番に話を進めています。
読むと得られること
この本を読むことで、自分のチームのどこに問題があるのかを整理しやすくなります。共通目標が曖昧なのか、関係性に課題があるのか、主体性が育っていないのか、それとも育成が特定のリーダーに依存しているのか。漠然と「部下が動かない」と悩む状態から、見るべきポイントを分けて考えられるようになります。
また、目標を具体化する、メンバーが考える余地をつくる、小さな変化を評価する、育成を仕組みにするなど、実際の職場で見直せる観点も得られます。すぐ効く万能な方法というより、チーム運営を順番に点検し、リーダー一人の頑張りに依存しない状態へ近づけるための基準を持てる本です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなり「部下をどう育てるか」というテクニックから始まりません。まずチームとは何かを整理し、共通の目標を定め、メンバー同士の関係性をつくり、そのうえで主体性を引き出すという順番で進みます。
中盤以降は、できあがったチームをどう変化させ、維持するかがテーマです。変化への抵抗を踏まえながら改善を積み重ね、さらに人材育成をリーダー個人の頑張りから「仕組み」へ移していきます。最後にリーダー自身のマインドや人望へ戻るため、チームづくりの土台から自律的に育つ組織までを段階的にたどれる構成です。
大見出し目次(短い目次)
- 第0章 チームづくりがすべて
第1章 「目標」をかかげる
第2章 「関係性」をつくる
第3章 「主体性」を引き出す
第4章 「弾み車」を回す
第5章 「勝手に育つ」仕組みをつくる
第6章 「リーダーシップ」を磨く
各章の要点
第0章では、本書が考えるチームの基本像を押さえます。単に人間関係が良い集団ではなく、共通の目標に向かって協力する集団としてチームを捉えるため、以降の章を理解する前提になる部分です。
第1章と第2章では、チームの土台となる「目標」と「関係性」を扱います。目標を具体化して共有することと、愚痴や困りごとを受け止め、役割や期待を明確にすることを分けて考える構成です。
第3章は、土台を整えたチームをリーダー依存から抜け出させる橋渡しの章です。質問、本人の欲求や強みなどを通して、指示を待つ状態から自分で考える状態へつなげていきます。
第4章では、変化には時間や抵抗が伴うことを前提に、小さな改善を積み重ねる考え方へ進みます。そして第5章では、人材育成を特定のリーダーだけに依存させず、見える化や教育、仕組みという観点から組織として育つ状態を目指します。
第6章では再びリーダー自身に焦点を当てます。チームを整える方法だけで完結させず、リーダーのマインドや人望まで扱うことで、仕組みと人の両面から全体を締めくくっています。
忙しい人が先に読むならここ
時間が限られているなら、まず第1章と第2章から読むと、本書の軸をつかみやすいでしょう。目標と関係性は、その後の主体性や仕組みづくりの前提になっているためです。
次に読むなら第3章です。部下が受け身になっている、自分が指示し続けないと回らないという悩みがある人にとって、基礎から「メンバーが自分で動く状態」へつながる重要な章です。
すでに目標や関係性はある程度整っていて、育成をリーダー個人の頑張りから脱したい人は、第5章を優先するとよいでしょう。チームづくりを一時的な改善ではなく、継続する仕組みに変えるという本書後半の狙いがつかみやすくなります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んで最も印象に残ったのは、職場で問題が起きたときに、すぐ「誰が悪いのか」に向かわない考え方です。部下が育たない、メンバーが協力しない、他部署とうまく連携できないといった悩みは、それぞれ別の問題に見えます。しかし本書では、個人だけを見るのではなく、そもそもチームの目標や関係性、役割、仕組みに問題はないかと視点を広げていきます。
この考え方に説得力を感じたのは、著者自身が過去の部下育成の失敗を、自分以外の誰かの問題として片づけていないからです。初めて部下を持った当時、育成計画やチームの運営方針を持たず、うまくいかない原因を部下側に求めていたことを振り返っています。その失敗から出発しているため、「部下をどう動かすか」という一方的な話ではなく、リーダー自身も含めてチーム全体を見直すという本書の主張が自然につながっていました。
もう一つ印象的だったのは、チームづくりを「職場の雰囲気をよくすること」で終わらせていない点です。目標と関係性を整え、主体性を引き出し、変化を周囲へ広げ、さらに人が育つ仕組みへつなげていく。読み進めるほど、チームづくりは一度関係を改善して完成するものではなく、継続して機能する状態まで考えるものなのだと整理しやすくなりました。
すぐ試したくなったこと
まず試したくなったのは、自分のチームを「目標」と「関係性」の両面から見直すことです。仕事がうまく進まないと、つい個々の能力や仕事ぶりに目が向きますが、その前に、何を目指しているのかが共有されているか、役割や期待が伝わっているかを確認する。この見方なら、問題を誰か一人に押しつけずに整理できると感じました。
また、指示を増やすだけではなく、質問を通してメンバー自身が考える機会をつくるという方向性も試してみたくなります。さらに、チームを一気に変えようとするのではなく、小さな変化を評価していく考え方も実践につなげやすそうです。目標設定から主体性、育成の仕組みまでがつながっているため、自分の職場で不足している部分を一つずつ点検してみようと思える構成でした。
読んで気になった点
気になったのは、タイトルや一部の表現がかなり強いことです。マネジメント上の問題を広く解決できることを前面に出し、離職とリーダーの関係についても強い言葉で章を立てています。そのため、あらゆる職場問題がチームづくりだけで解消できる本だと期待すると、少し受け取り方がずれるかもしれません。
実際には、問題が起きたときに個人だけを責めず、目標・関係性・役割・主体性・仕組みまで視野を広げて考える本として読むほうがしっくりきました。また扱う範囲が広いため、組織行動や心理学の研究を中心に読みたい人や、特定の制度だけを専門的に掘り下げたい人とは目的が異なります。広い視点でチーム全体を立て直したい人ほど、本書の構成を活かしやすいでしょう。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書の内容は、最初からチーム全体を大きく変えようとするより、「目標」「関係性」「主体性」「仕組み」のどこに課題があるかを一つずつ確かめると実践しやすくなります。まずは、自分の働きかけで変えられる小さな部分から始めるのがよいでしょう。
- チームとして「何を目指しているのか」を、自分の言葉で一度書き出してみる。
- その目標がメンバーにも共有されているか、伝えたつもりになっていないかを振り返る。
- 目標だけでなく、メンバー同士の関係性に困りごとやすれ違いがないか確認する。
- 自分と各メンバーの役割や、相手に期待していることが曖昧になっていないか整理する。
- 指示する前に質問できる場面がないか考え、相手自身が考える時間を少し増やしてみる。
- チーム内で起きた小さな改善や変化を探し、できていない点だけを見る状態を避ける。
- 育成が自分一人の指導に依存していないか、見える化や教育の仕組みにできる部分を探す。
最初に手をつけるなら、「目標」と「関係性」の確認からで十分です。本書もこの2つをチームづくりの土台に置いているため、後の主体性や仕組みづくりへ進む前の点検になります。
1週間で試すならこうする
Day1:今のチームを整理する。
現在感じている問題を書き出し、それを特定の誰かの問題だけでなく、目標・関係性・役割・仕組みのどこから見直せるか考えます。
Day2:目標を言葉にする。
チームとして何を目指しているのかを整理し、メンバーにも分かる状態になっているかを確認します。
Day3:関係性と役割を振り返る。
困りごとを聞けているか、役割分担や期待が曖昧になっていないかを点検します。
Day4:指示の出し方を見直す。
すぐ答えを伝えるのではなく、質問によって本人が考えられる場面を一つだけつくってみます。
Day5:小さな変化を探す。
できていないことだけではなく、以前より良くなったことや前向きな変化にも目を向けます。
Day6:育成の属人化を確認する。
自分が毎回教えなければ回らない仕事がないかを探し、見える形や教育の仕組みにできる部分を考えます。
Day7:1週間を振り返る。
何が変わったかを大げさに評価せず、目標・関係性・主体性・仕組みのうち、次に見直す一つを決めます。
つまずきやすい点と対策
一つ目は、チームを良くしようとして一度に多くを変えようとすることです。本書では変化に抵抗する人が現れることや、チームづくりには時間がかかることも扱っています。最初から全員を変えようとせず、目標の確認や役割の明確化など、対象を一つに絞るほうが始めやすくなります。
二つ目は、主体性を高めようとして「本人に任せる」だけになってしまうことです。本書では、リーダーからの質問を通じてメンバー自身に考える機会をつくる方向が示されています。いきなり手を離すのではなく、まず一つの場面で答えを与える前に問いかけるところから始めるとよいでしょう。
三つ目は、改善できていない部分ばかりに目が向くことです。第4章では小さな変化を加点的に捉える考え方も扱われています。完成形と比べるのではなく、以前より少しでも変わった行動がないかを確認すると、変化を一気に求めすぎずに続けやすくなります。
最後に注意したいのが、育成をリーダー自身の努力だけで抱え込むことです。本書の後半は、人を育てることを仕組みに移していく方向へ進みます。毎回同じ説明をしている仕事や、自分がいなければ止まる仕事がないかを探すだけでも、仕組み化を考える出発点になります。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『チームづくりの教科書』は、目標・関係性・主体性・変化の定着・育成の仕組み・リーダーシップまでを順番に扱い、職場を実際にどう立て直すかに重心を置いた本です。『THE TEAM 5つの法則』はチームを5つの法則から整理し、『チームが機能するとはどういうことか』はチーミングや学習など、より理論的な背景を深める方向に違いがあります。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『チームづくりの教科書』 | チームを段階的に立て直す実践 | 部下育成や非協力など現場の悩みを改善したい人 |
| 『THE TEAM 5つの法則』 | チームを5つの法則で整理 | チームの仕組みをフレームワークで捉えたい人 |
| 『チームが機能するとはどういうことか』 | チーミング・学習・実行 | チームが機能する背景を理論面から深めたい人 |
『THE TEAM 5つの法則』との違い
『チームづくりの教科書』は、職場で起きている問題を誰か個人の責任だけにせず、目標と関係性を整え、主体性を引き出し、変化を広げて育成の仕組みへつなげるという流れで扱います。一方、『THE TEAM 5つの法則』は、目標設定、人員選定、意思疎通、意思決定、共感創造という5つの法則からチームを整理する本です。
初めて部下を持った人や、部下が育たない、指示待ちが多い、メンバー同士が協力しないといった具体的な悩みから読み始めたいなら『チームづくりの教科書』が合います。チームというものを複数の要素に分け、別のフレームワークから整理したいなら『THE TEAM 5つの法則』を選びやすいでしょう。
『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』との違い
『チームづくりの教科書』は、目標設定や関係づくりから主体性、組織変化、育成の仕組みまで、リーダーが現場で取り組む順序をつかみやすいのが特徴です。対して『チームが機能するとはどういうことか』は、固定的なチームだけでなく、変化の中で人々が学習しながら協働するチーミングを扱い、学習・失敗・心理的安全性といった理論面まで深められます。
まず自分の職場をどこから見直すか整理し、行動につなげたい人には『チームづくりの教科書』が向いています。チームがなぜ学び、機能するのかという背景まで掘り下げたい人には、『チームが機能するとはどういうことか』のほうが目的に合います。
迷ったらどれを選ぶべき?
- 現場のチームを順番に立て直したい:『チームづくりの教科書』
- チームを5つの法則で整理したい:『THE TEAM 5つの法則』
- チーミングや学習の理論を深めたい:『チームが機能するとはどういうことか』
特に、部下の受け身や育成、メンバー間の非協力などに悩み、「人をどう変えるか」ではなく「チーム全体をどう整えるか」から考え直したいなら、『チームづくりの教科書』が選びやすい一冊です。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
高野俊一氏は、株式会社チームDの代表者です。2001年に日本LCAへ入社し、人事制度の構築や評価者研修などのコンサルティングに携わりました。その後は外食・小売・サービス業を対象に、組織風土の改善やチームづくりに従事し、2012年に株式会社チームDを発足しています。組織開発研修は累計2,000社超、指導したビジネスリーダーは累計2万人超とされています。
著者の経験が本書にどう活きているか
高野氏の経歴と本書のテーマは、組織開発やチームづくりという点で直接つながっています。人事制度や評価者研修から、組織風土の改善、チームづくりまで実務で扱ってきた経験があり、本書でも部下個人への働きかけだけに話を限定していません。
目標や関係性を整え、メンバーの主体性を引き出し、変化を組織に広げ、育成を仕組みにしていくところまで扱うのも特徴です。単なるリーダー個人の心構えではなく、チーム全体をどう設計し、動かしていくかを考える内容になっており、高野氏が取り組んできた組織開発の領域と重なっています。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
本書の大枠を知りたいだけなら、要約でも「個人を責める前にチーム全体を見直す」「目標→関係性→主体性→仕組み→リーダーという順で考える」といった中心テーマはつかめます。購入するか迷っている段階でも、まずはこの全体像を押さえれば判断材料になるでしょう。
一方、自分の職場で実践したいなら本文まで読む価値があります。目標設定ではBAF法やマイルストーン、主体性では質問やMUST↓CAN↓WANT、後半では育成の仕組み化など、実際のマネジメントにつながる論点が各章に配置されているためです。
初心者でも読める?
初めて部下を持った人や、マネジメントを体系的に学んだことがない人も対象に含まれている本です。特に「部下が育たない」「結局自分でやったほうが早い」「チームがうまくまとまらない」といった悩みがある人なら、問題意識を自分の職場と結びつけながら読み進めやすいでしょう。
BAF法や人ザイ・マトリクスなど独自の名称は登場しますが、全体は目標、関係性、主体性、育成と段階を追って進みます。そのため、最初から専門知識があることを前提に構える必要はありません。
どこから読むべき?
基本的には、第0章から第3章までを順番に読むと、本書の考え方をつかみやすくなります。チームとは何かを押さえたうえで、目標、関係性、主体性へ進むため、「なぜこの順番でチームを整えるのか」が見えやすい構成だからです。
忙しい人は、自分の悩みに合わせて後半へ進んでもよいでしょう。リーダーが育成を抱え込んでいるなら第5章、チームを変えようとしても長続きしないなら第4章、リーダー自身のあり方を見直したいなら第6章が候補になります。
読む前に注意点はある?
注意したいのは、タイトルや本書の打ち出しから「チームづくりだけで、職場のあらゆる問題がすぐ解決する本」と期待しすぎないことです。実際の内容は、目標、関係性、主体性、変化の継続、育成の仕組み、リーダー自身まで幅広く見直していく構成になっています。
そのため、一つの即効テクニックを求めるより、職場の問題をどこから見直すべきか整理するための総合的な枠組みとして読むほうが内容と合います。また、心理的安全性や1on1など特定テーマだけを専門的に深掘りしたい人は、扱う範囲の広さをあらかじめ理解しておくとよいでしょう。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、職場の問題を見る視点を「人」から「チーム全体」へ広げられることです。部下が育たない、協力が進まないといった問題を誰かの能力や性格だけで捉えず、目標・関係性・役割・仕組みにも目を向けます。マネジメントで行き詰まったとき、何を見直せばよいのかを考える土台になります。
2つ目の価値は、チームづくりを順序立てて整理できることです。目標と関係性を整え、主体性を引き出し、変化を広げ、育成を仕組みにしていくという流れで進みます。BAF法やMUST↓CAN↓WANT、加点主義、人ザイ・マトリクスなども登場し、自分のチームではどこが弱いのかを考えやすくなっています。
3つ目の価値は、部下だけでなくリーダー自身も見直す対象に含めていることです。著者自身の部下育成の失敗から始まり、最終的にはリーダーの姿勢へ話が戻ります。「相手をどう変えるか」だけを考えるのではなく、自分を含めてチームのつくり方を見直せる点が、本書を読む大きな意味です。
この本をおすすめできる人・合わない人
特におすすめしやすいのは、初めて部下を持った人や、部下が受け身で自分が指示し続けている人、育成や離職、メンバー同士の非協力に悩んでいるリーダーです。個別の問題を一つずつ処理するより、チーム全体をどう整えるかを一度整理したい人に合っています。
一方、組織行動や心理学の研究を中心に学びたい人や、一つの制度・手法だけを専門的に掘り下げたい人は、期待と少しずれる可能性があります。また、タイトルや本の訴求にはかなり強い表現があるため、「あらゆる問題をチームづくりだけで解決する本」と受け取るより、問題を見る範囲を広げる実践書として読むほうが内容を活かしやすいでしょう。
読むならどう活かす?
最初に持ち帰りたいのは、問題が起きたときにすぐ誰かの能力や性格のせいにせず、「共通の目標は明確か」「関係性はどうなっているか」と問い直す視点です。今日できることとして、自分のチームが何を目指しているのかを一度言葉にし、メンバーと共有できる状態になっているか確認してみるとよいでしょう。
そのうえで、指示ばかりになっていないか、人材育成が自分一人に依存していないかなど、自分のマネジメントも振り返っていく。本書は全部を一度に実践するより、自分のチームで最も弱い部分を見つけ、そこから読み返して使うほうが活かしやすい一冊です。
次に読むならこの本
- 『THE TEAM 5つの法則』:チームづくりの全体像を、5つの法則という別の整理方法から捉え直したいときに。
- 『「僕たちのチーム」のつくりかた』:聴くこと、会議、フラットな場、メンバーの強みといった日常のチーム運営へ理解を広げたいときに。
- 『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』:チーミングや心理的安全性、失敗からの学習など、理論的な背景まで深めたいときに。
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- チーム・ビルディング[新版] 人と人を「つなぐ」技法
- THE CULTURE PLAYBOOK 最強チームをつくる方法 実践編
- 「僕たちのチーム」のつくりかた
- チームづくりの教科書 マネジメントのめんどくさいをすべて解決する