
目標を決めたはずなのに途中で方向がずれ、役割分担をすると仕事がバラバラになり、最後はリーダーが抱え込む。『チームワーキング』は、そんな状態をリーダー個人の力量だけで考えず、チームを「変化し続けるもの」と捉え、全員で目標・課題・フィードバックを更新していく視点を示す本です。
この記事では、本書の中心となる考え方や3つの行動原理、ケースから見える実践性、読んで感じた特徴や注意点まで整理します。内容だけでなく向き不向きも含めて確認することで、自分のチームの悩みに役立つ本なのか、購入して読む価値があるのかを判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方』は、うまく回らないチームを、リーダー任せにせず全員で動かし続けるための視点と行動を学ぶ本です。
目標を決めても形骸化する、役割分担したのに仕事がつながらない、必要なフィードバックが出てこない。そうした問題を個人の能力や相性だけで片づけず、目標・課題・フィードバックを継続的に見直す方法として整理しているのが特徴です。
向いている人
特に向いているのは、新しくリーダーや管理職になる人、プロジェクトを任されてチームの動かし方に悩んでいる人です。チーム運営を経験や感覚だけに頼らず、一定の考え方に沿って整理したい人には学びやすい内容でしょう。
また、「目標を決めたのに途中で方向がずれる」「役割分担したら各自の仕事がバラバラになる」「本音を言えず、表面的な仲の良さだけが残る」「結局リーダーが仕事を引き取ってしまう」といった問題を抱えているチームにも適しています。
管理職だけを対象にした本ではありません。自分の担当だけを見るのではなく、メンバーの立場からもチーム全体に働きかけたい人や、職場全体でチーム運営について共通認識を持ちたい場合にも使いやすい一冊です。
向いていない人
一方で、人事制度や組織構造の設計を専門的に学びたい人には、求めている内容と少しずれる可能性があります。チームビルディングのゲームやワークを数多く知りたい人にとっても、本書の中心はそこではありません。
また、「これさえ実践すれば必ず最強のチームができる」という即効性のある成功法則を探している人にも向きにくい本です。本書が重視しているのは、一度決めた正解を守ることではなく、変化する状況に合わせて目標や課題、関わり方を見直し続けることです。
先に結論(買う価値はある?)
チームの停滞に悩んでいる人や、これからチームを率いる人なら、読む価値は十分にあります。特に、目標設定や役割分担まではしているのに、なぜかチームが前に進まない人には、本書の3つの視点と3つの行動原理が問題を整理する共通言語になります。
「最強チーム」の完成形を教える本ではありません。むしろ、チームは常に変化するからこそ、全員で観察し、修正し、動かし続ける必要があると考える本です。リーダー一人で何とかしようとしている人ほど、チームの見方を切り替えるきっかけになりやすい一冊です。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、チームを固定された完成形ではなく、常に動き、変化するものとして捉えることです。本書では、チーム全体を見る「チーム視点」、一人ひとりが当事者として関わる「全員リーダー視点」、状況の変化を前提にする「動的視点」という3つの視点を示しています。特に重要なのは、役割分担や目標設定を一度行えばチームづくりが終わるわけではない、という考え方です。
2つ目は、チームを前に進める行動を、Goal Holding、Task Working、Feedbackingの3つに整理していることです。目標は決めて終わりではなく、状況に応じて確認し直す。課題も最初の設定に固執せず、行動と振り返りを通して見直す。そして、必要なフィードバックをメンバー同士で継続する。この3つすべてが「続ける行動」として設計されている点が、本書の特徴です。
3つ目は、チームの成果をリーダー一人の力量に任せないことです。メンバーが自分の担当だけに閉じるのではなく、チーム全体を見ながら働きかけることが求められます。本書は、目標の形骸化、役割の分断、フィードバック不足、最後にはリーダーが仕事を抱え込むといった問題を、個人の能力だけではなくチーム全体の動きとして捉え直していきます。
著者が一番伝えたいこと
本書を貫いているのは、チームを前に進める技術は、リーダーだけが身につければよいものではないという考えです。複雑で答えが決まっていない課題に向き合うほど、一人のリーダーだけで判断し、全員を引っ張り続けることには限界があります。そこで必要になるのが、メンバー全員がチーム全体を見ながら、目標・課題・関係性を調整し続ける「チームワーキング」です。
もう一つ大きな問題意識としてあるのが、チーム運営を失敗経験だけから学ばなくてもよいようにすることです。チームを動かすスキルを研究データやケースから学び、共通の考え方として共有できれば、問題が起きたときにも「誰が悪いか」ではなく「どこを見直すべきか」を話し合いやすくなります。
読むと得られること
この本を読むことで、チームが停滞したときに確認すべきポイントが具体的になります。目標に立ち返れているか、現在取り組んでいる課題は本当に解くべきものか、分担した仕事をチーム全体で振り返れているか、必要なフィードバックを交わせているか、といった観点から状況を整理できるようになります。
特に大きいのは、チームの問題をリーダー一人で背負わず、3つの視点と3つの行動原理をメンバー間の共通言語として使えることです。「良いチームの完成形」を覚えるというより、変化するチームをその都度見直し、全員で動かし続けるための考え方を身につけられる本です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなりチーム運営のテクニックを並べるのではなく、まず「なぜ今のチームがうまく回らないのか」を整理し、そのあとでチームを見る視点と具体的な行動原理へ進む構成です。序盤で現場に起こりやすい失敗を示し、第2章で「チームワーキング」という考え方の土台をつくります。
そこから第3章〜第5章では、Goal Holding、Task Working、Feedbackingの3つを、それぞれ異なるケースを使って掘り下げていきます。最後の第6章で3つの視点と3つの行動原理をまとめ直し、リーダーだけでなくメンバー全員が使うチーム運営の考え方として着地させる流れです。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 なぜ、日本の職場がうまく回らなくってきたのか
- 第2章 チームワーキングとは
- 第3章 ケースとデータで学ぶGoal Holding
- 第4章 ケースとデータで学ぶTask working
- 第5章 ケースとデータで学ぶ Feedbacking
- 第6章 すべてのひとびとにチームワーキングのスキルを!
各章の要点
序章では、目標が形骸化する、仕事を分担したのに全体としてつながらない、仲の良さを優先して必要な意見を言えない、最後はリーダーが仕事を引き取る、といった典型的な問題から出発します。読者が自分のチームの状態を振り返る入口になっています。
第1章は、なぜ従来のチーム運営だけではうまくいきにくいのかを整理する章です。ここで問題の背景を押さえたうえで、第2章の「チームワーキング」という新しい見方へ橋渡しします。
第2章は、本書全体の土台です。チーム全体を見ること、メンバー全員が当事者として関わること、チームを変化するものとして捉えることを整理し、その先のGoal Holding、Task Working、Feedbackingへつなげます。
第3章では、目標設定そのものよりも、目標へ何度も立ち返ることに重点を置きます。目標の共有、情報の開示、状況に応じた見直しまで含めて考える章です。
第4章では、最初に決めた課題や計画を固定しないことを扱います。全員が実際に動き、その結果をチームで振り返りながら、解くべき課題そのものを更新していく流れが中心です。
第5章では、チームの関係を壊さないことと、必要な意見を伝えないことを切り分けます。目的の共有、フィードバックのルール、1対1で話す機会などを通して、相互に働きかける方法へ進みます。
第6章では、それまで学んだ3つの視点と3つの行動原理を再整理します。最終的には、リーダーだけのマネジメント技術ではなく、メンバー全員がチームを動かすための考え方としてまとめられています。
忙しい人が先に読むならここ
時間が限られているなら、まず第2章を優先すると全体像をつかみやすいです。ここにチームを見る3つの視点と、以降の実践編につながる3つの行動原理が集まっているため、本書の基本的な考え方を先に理解できます。
その次は、自分の悩みに近い第3章〜第5章を選ぶとよいでしょう。目標が形だけになっているなら第3章、仕事は進んでいるのに本当に解くべき課題が曖昧なら第4章、意見を言いにくい・必要なフィードバックが止まっているなら第5章が対応します。
余裕があれば、そのあと序章と第1章へ戻ると、「なぜチームを固定的に考えないのか」という背景までつながります。最後に第6章を読むことで、個別の方法論ではなく、チームを全員で動かし続けるという本書全体の狙いを整理しやすくなります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
いちばん印象に残ったのは、チームを「一度つくったら完成するもの」と考えず、状況に合わせて動かし続けるものとして捉えている点です。チームワークというと、役割を決めたり、人間関係を整えたり、目標を共有したりするところで一区切りついたように感じがちですが、本書はそこを終点にしていません。目標も課題もメンバー同士の関わり方も変わる以上、その都度チームの状態を見直す必要があるという考え方が、読み終えたあとにも強く残りました。
その考え方が、Goal Holding、Task Working、Feedbackingという3つの行動原理に落とし込まれているのも分かりやすかったです。目標を決める、課題を設定する、フィードバックを行う、という一回限りの行動ではなく、それぞれを継続して見直していくものとして扱っています。どれも特別に珍しいテーマではないのに、「一度やって終わりにしない」という共通した軸で整理されることで、チーム運営の見え方が変わるところに本書らしさを感じました。
また、チームの問題をリーダー個人の能力だけで説明しない点も印象的でした。メンバー一人ひとりが自分の担当だけに閉じず、チーム全体を見ながら当事者として関わるという考え方が一貫しています。序盤で身近なチームのつまずきを示し、その後に考え方を整理し、3つのケースで具体化していくため、理論だけが先行している感覚になりにくかったのも読みやすさにつながっていました。
すぐ試したくなったこと
読後にまず試したくなったのは、チームの目標を決めたあとも、定期的にそこへ立ち返る機会をつくることです。目標設定そのものは多くの職場で行われていても、活動が進むにつれて当初の目的とのズレが生まれることはあります。本書を読んで、重要なのは「よい目標を最初に決めること」だけではなく、状況に応じて確認し直すことまで含めて考えることだと受け取りました。
同じように、最初に決めた課題や計画を固定せず、実際に動いた結果をチーム全体で振り返ることも取り入れやすそうです。さらに、必要な意見を伝えやすくするためのルールをチームで決めたり、1対1で話す機会を設けたりする考え方にもつながります。どれか一つのテクニックを導入するというより、目標・課題・フィードバックを継続的に見直す習慣をつくることが、本書を実務につなげる第一歩になりそうだと感じました。
読んで気になった点
一方で、タイトルの「最強チーム」から、完成された理想のチームをつくるための手順書を想像すると、少し期待とのズレがあるかもしれません。本書が扱っているのは、決められた順序をこなせばチームづくりが完了するという方法ではありません。むしろ、目標に戻り、課題を見直し、フィードバックを続けるという終わりのない調整を重視しています。
また、「ケースとデータ」というタイトルから、個々の主張について研究条件や数値を細かく追いたい読者には、受け取り方に注意が必要です。本書は研究を背景にしながら、ケースを通じてチーム運営の考え方を実践につなげる構成ですが、ここで確認できる範囲では、各データの母集団や調査設計まで詳細に検討するタイプの本として捉えるのは適切ではありません。理論研究を網羅的に読むというより、研究を背景にした実践フレームとして読むほうが、本書の狙いには合っていると感じました。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書の考え方は、大きな改革を始めなくても試せます。まずは「目標」「解くべき課題」「フィードバック」の3点から、自分たちのチームでズレていそうなところを一つ確認してみるのが現実的です。
- 今のチーム目標を言葉にし、メンバー同士で同じ目的を共有できているか確認する。
- 目標を決めた当時と状況が変わっていないかを振り返り、必要なら認識をすり合わせる。
- 定例会議の中に、現在の目標へ立ち返る時間を短くても意識的に設ける。
- 今取り組んでいる問題が、本当に解くべき課題なのかを実践結果や情報から考え直す。
- 分担した仕事の進捗だけでなく、その行動が課題解決につながっているかを振り返る。
- 自分の担当だけでなく、チーム全体で何が起きているかを見る時間を持つ。
- フィードバックするときの基本的なルールをチーム内で話し合って決める。
- 全体の場で出にくい意見がある場合は、必要に応じて1対1で話す機会を設ける。
- 3つの視点と3つの行動原理を使い、チームの状態を言葉にして話し合う。
最初から全部を導入する必要はありません。目標が曖昧ならGoal Holding、動いているのに成果につながらないならTask Working、意見が出ないならFeedbackingというように、今の問題に近いところから始めると使いやすいでしょう。
1週間で試すならこうする
Day1は、現在のチーム目標をあらためて確認します。目標そのものより、今行っている仕事がそこにつながっているかを見るところから始めます。
Day2は、目標と実際の活動とのズレを探します。状況が変わっているなら、当初の目標を見直す必要がないかも考えます。
Day3は、役割分担と実際の行動を照らし合わせます。一部のメンバーやリーダーだけに仕事が集中していないか、チーム全体を見る意識を持ちます。
Day4は、今解こうとしている課題を再確認します。最初に決めた問題を固定せず、実際の状況や得られた情報から捉え直します。
Day5は、それまでの行動を振り返ります。実施したことが本当に課題解決につながっていたのかを確認し、必要なら次の行動を修正します。
Day6は、フィードバックの仕方を見直します。必要なことを言わずに終わらないよう、目的や話し方についてチーム内で共通認識をつくります。
Day7は、1週間で見えた目標・課題・コミュニケーションのズレを整理します。そのうえで、次に継続する行動を一つ決め、チームのアクションにつなげます。
つまずきやすい点と対策
Goal Holdingを「決めた目標を絶対に変えないこと」にしてしまうと、本書の考え方とは逆方向になります。目標を確認するところから始め、状況とのズレが見えたら、見直す必要があるかをチームで話し合うくらいの小さな運用から始めるとよいでしょう。
Task Workingを「担当した仕事をきちんと終わらせること」だけにしてしまうと、課題そのものを問い直す視点が抜けます。進捗確認に加えて、「この行動は本当に課題解決につながったか」という問いを一つ加えるだけでも、チームリフレクションにつなげられます。
Feedbackingを「何でも率直に言い合うこと」と考えるのも注意したいところです。目的やルールが曖昧なまま意見交換だけを増やすのではなく、まず何のためにフィードバックするのかを共有し、必要なら1対1の場も使う。本書の3つの行動原理は、派手な改革よりも、こうした確認と修正を繰り返すところから実践しやすい考え方です。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『チームワーキング』の特徴は、チームを一度つくって完成するものではなく、変化する状態を全員で動かし続ける対象として扱うことです。『THE TEAM 5つの法則』はチームを構成する要素を5つの法則で整理し、『チームが機能するとはどういうことか』は変化する環境で学習と実行を同時に進める「チーミング」をより深く扱います。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『チームワーキング』 | 変化するチームを3つの視点・3つの行動原理で動かす | 現在のチームの停滞を具体的に見直したい人 |
| 『THE TEAM 5つの法則』 | 目標・人員・意思疎通などを5法則で整理 | チームづくりの要素を体系的に整理したい人 |
| 『チームが機能するとはどういうことか』 | 学習しながら実行するチーミング | 動的なチームの理論をさらに深めたい人 |
『THE TEAM 5つの法則』との違い
『チームワーキング』は、すでに動いているチームが途中で目標を見失ったり、仕事が分断されたり、フィードバックが止まったりしたときに、どう調整し続けるかに重心があります。Goal Holding、Task Working、Feedbackingという3つの行動原理を通じて、チームの変化そのものを前提にしているのが特徴です。一方、『THE TEAM 5つの法則』は、目標設定・人員選定・意思疎通・意思決定・共感創造という5つの法則からチームを整理しています。
そのため、チームづくりに必要な要素を広く整理したいなら『THE TEAM 5つの法則』、すでにあるチームを「どう動かし続けるか」を考えたいなら『チームワーキング』が選びやすいでしょう。後者はリーダーだけでなく、メンバー全員が当事者として関わる点も大きな特徴です。
『チームが機能するとはどういうことか』との違い
『チームワーキング』は、3つのビジネスケースを使い、失敗原因を考えたうえで具体的な行動ポイントへ進む構成です。目標への立ち返り、課題の更新、フィードバックの仕組みづくりなど、現在の職場に置き換えながら考えやすくなっています。一方、『チームが機能するとはどういうことか』は、固定的なチームではなく、流動的な環境で学習と実行を同時に進める「チーミング」を扱います。
まず自分たちのチームを見直すための共通言語や行動の手がかりが欲しいなら『チームワーキング』が入りやすいでしょう。そこからさらに、変化する環境でチームが学びながら機能する仕組みを理論面から深めたいなら、『チームが機能するとはどういうことか』につながります。
迷ったらどれを選ぶべき?
- チームの停滞を具体的に見直したい:『チームワーキング』
- チームづくりの要素を5法則で整理したい:『THE TEAM 5つの法則』
- 動的なチームの理論をさらに深めたい:『チームが機能するとはどういうことか』
特に、目標を決めても形骸化する、役割分担した仕事がつながらない、本音が出ず、最後はリーダーに負担が集中するといった悩みがあるなら、『チームワーキング』が合います。完成された理想のチーム像を探すというより、今あるチームを全員で観察し、目標・課題・フィードバックを調整し続ける方法を学びたい人向けの一冊です。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
中原淳氏は、立教大学経営学部教授。東京大学教育学部を卒業後、大阪大学大学院人間科学研究科で修士・博士課程を修了し、博士(人間科学)を取得しています。専門は人材開発、組織開発、リーダーシップ開発、チーム開発、人材マネジメントです。
田中聡氏は、立教大学経営学部准教授で、東京大学博士(学際情報学)。人材マネジメント論、組織行動論、チームワーク論を専門とし、人やチームに関する実務的な課題を実証的に研究しています。なお、本書刊行時は立教大学経営学部助教でした。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書のテーマと両氏の専門領域には、明確なつながりがあります。中原氏は人材開発・組織開発に加えて、リーダーシップ開発やチーム開発を専門としており、「人や組織をどう育て、チームをどう動かすか」という本書の中心テーマと重なります。
田中氏も、組織行動やチームワークを専門領域としており、チーム内で人がどのように行動し、協働するのかを研究対象としています。本書がリーダー個人の経験談だけに頼らず、チームを研究対象として捉え、ケースやデータを交えながら「チームを動かすスキル」を整理している背景には、こうした両氏の専門性があります。チームマネジメントを経験則だけではなく、人材・組織・チーム研究の観点から学びたい読者にとって、テーマとの接点が分かりやすい著者陣です。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
本書の大枠や「チームワーキングとは何か」を知りたいだけなら、要約でも中心的な考え方はつかめます。購入するかどうかを判断する場合も、「チームを変化し続けるものとして捉えること」「メンバー全員が当事者として関わること」「目標・課題・フィードバックを更新し続けること」が自分の関心に合うかを確認すればよいでしょう。
一方、実際の仕事に活かしたいなら本文まで読んだほうがよいでしょう。第3〜5章では、チームがつまずくケースから原因を考え、具体的な行動へつなげる流れになっています。特に「自分のチームならどうか」まで考えたい人は、要約だけでは得にくい部分です。
初心者でも読める?
チームマネジメントを初めて学ぶ人でも読み進められる構成です。チームがうまく回らない具体的な状況から話が始まり、その後に考え方を整理し、ケースを使って掘り下げていくため、専門知識を前提にした内容ではありません。
一方で、Goal Holding、Task Working、Feedbackingなど本書独自の言葉が登場します。最初は少し構えるかもしれませんが、「目標」「課題」「フィードバックをどう扱うか」と置き換えて読むと、内容を追いやすくなります。
どこから読むべき?
初めて読むなら、第2章から第5章を順番に読むと、本書の核をつかみやすいです。第2章で「チーム視点」「全員リーダー視点」「動的視点」と3つの行動原理を押さえ、その後の3章で具体的なケースを読むと、理論と実践のつながりが分かりやすくなります。
時間が限られているなら、まず第2章を読み、その後は自分の悩みに近い章へ進む方法もあります。目標が形骸化しているなら第3章、課題設定や役割分担に問題があるなら第4章、本音を伝えにくいなら第5章が直接つながります。
読む前に注意点はある?
タイトルの「最強チーム」から、理想のチームを一度で完成させる手順を期待すると、内容とのズレが生まれやすいです。本書の中心にあるのは完成形ではなく、目標に立ち返り、課題を見直し、フィードバックを重ねながらチームを動かし続ける考え方です。
また、「全員リーダー視点」は、全員が管理職のように指示を出すという意味ではありません。各メンバーが自分の担当だけに閉じず、チーム全体を見ながら当事者として関わる考え方として読むと、本書の意図をつかみやすくなります。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、チームを「一度つくれば完成するもの」ではなく、変化し続けるものとして捉え直せることです。目標設定や役割分担だけで終わらず、その後も状態を見ながら調整していく必要があると分かります。チームが停滞したときに、誰かの能力や性格だけを原因にせず、チーム全体の動きを見直しやすくなります。
2つ目の価値は、チームの問題をGoal Holding、Task Working、Feedbackingという3つの行動原理で整理できることです。目標に立ち返れているか、本当に解くべき課題に取り組めているか、必要なフィードバックを交わせているかという形で考えられるため、自分たちの状態を話し合うための共通言語として使えます。
3つ目の価値は、リーダーだけではなく、メンバー全員をチームを動かす主体として捉えていることです。第3〜5章ではケースを通して失敗原因を考え、自分ならどうするかまで問い直します。知識として覚えるだけでなく、自分の職場やプロジェクトに置き換えて考えやすい構成です。
この本をおすすめできる人・合わない人
特におすすめできるのは、新任リーダーや管理職、プロジェクトリーダーだけでなく、目標のずれ、役割の分断、本音を言いにくい雰囲気、リーダーへの負担集中に悩んでいる人です。チームワークを経験や個人のセンスだけに頼らず、共通の考え方として整理したい職場にも向いています。
一方、交流ゲームやレクリエーションを中心としたチームビルディング手法を知りたい人や、心理的安全性など一つのテーマだけを専門的に深掘りしたい人には、期待する内容と少し違うかもしれません。また、タイトルの「最強チーム」から完成済みの成功手順を期待するより、チームを継続的に調整するための実践フレームとして読むほうが本書の価値をつかみやすいでしょう。
読むならどう活かす?
読み終えたら、まず自分のチームを3つの行動原理で振り返るのがおすすめです。今の目標に全員で立ち返れているか、取り組んでいる課題は本当に解くべきものか、必要なフィードバックを交わせているかを確認するだけでも、本書の考え方を仕事へつなげられます。
さらに、リーダーだけで答えを出そうとせず、メンバー同士で3つの視点と3つの行動原理を共有すると、本書が目指す「共通言語」として使いやすくなります。全部を一度に変えるより、現在のチームで最も気になる部分から見直す使い方が合っています。
次に読むならこの本
- 『チームが機能するとはどういうことか――「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ』:チームが変化し続けるという視点を、チーミングや組織学習の側面からさらに深めたい人向けです。
- 『心理的安全性のつくりかた』:Feedbackingや、必要なことを言い合えるチームづくりをより集中的に掘り下げたい人に向いています。
- 『「僕たちのチーム」のつくりかた』:全員参加型のチームという考え方を、1on1や会議、ゴール設定など日常の場面へつなげたい場合に読みやすい一冊です。
チームビルディングについて学べるおすすめ書籍

チームビルディングについて学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
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- THE TEAM 5つの法則
- 宇宙兄弟「制約主導」のチームワークで、仕事が面白くなる! チームの話
- チームが機能するとはどういうことか ― 「学習力」と「実行力」を高める実践アプローチ
- THE CULTURE CODE 最強チームをつくる方法
- チーム・ビルディング[新版] 人と人を「つなぐ」技法
- THE CULTURE PLAYBOOK 最強チームをつくる方法 実践編
- 「僕たちのチーム」のつくりかた
- チームづくりの教科書 マネジメントのめんどくさいをすべて解決する
- 世界最高のチーム グーグル流「最少の人数」で「最大の成果」を生み出す方法
- チームワーキング ケースとデータで学ぶ「最強チーム」のつくり方
- 最高のチームはみんな使っている 心理的安全性をつくる言葉55
- 成功するチームは「遊び」でつくる 新感覚チームビルディング