
管理職になったばかりで、部下に任せるべきか、自分で決めるべきか、日々の判断に迷う。『新 管理職1年目の教科書』は、管理職の役割を「チームの成果の最大化」と置き、意思決定や権限委譲、部下育成を実務の行動に落とし込む本です。
この記事では、章の流れ、印象に残った論点、すぐ試せる行動、読む前に知っておきたい注意点を整理します。本文を通じて、この本が今の自分の課題に合うか、購入前に判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『新 管理職1年目の教科書』は、初めて管理職になった人が「チームの成果を最大化するために、明日から何を変えるか」を整理するための実務書です。管理職の役割を、個人として頑張ることではなく、意思決定、仕事の進め方、権限委譲、部下育成、チームづくりを通じて成果が出る状態をつくることとして捉え直せます。
向いている人
特に向いているのは、管理職になったばかりで、何を優先すればよいのか迷っている人です。部下を持ったものの、会議が長い、判断が遅れる、部下に任せきれない、チームの仕事が前に進まないと感じている人には、かなり実用的な判断材料になります。
また、プレイングマネジャーとして自分の仕事と部下育成の両立に悩んでいる人にも合います。本書は、抽象的なリーダー論よりも、「いつまでに決めるかを決める」「判断基準を共有する」「部下の頑張りますを具体化する」といった行動レベルの話が中心です。自分の職場で何を見直せばよいかを考えやすい構成になっています。
ジョブ型雇用、DX、AI時代の働き方変化を背景に、これまでの管理職像を見直したい人にも向いています。時代が変わっても必要なマネジメントの軸を押さえながら、管理職自身と部下の人材価値をどう高めるかまで扱っているためです。
向いていない人
一方で、マネジメント理論を学術的に深く学びたい人には、少し物足りない可能性があります。本書の強みは理論の体系化よりも、現場で使うための行動ルールにあります。研究書のような深掘りを期待して読む本ではありません。
また、外資系企業の成果責任を前提にした語り口や、やや強めの表現に抵抗がある人は、距離を置いて読む必要があります。ただし、それは部下を追い込むための本という意味ではなく、仕事の基準を曖昧にしないための警句として受け取ると読みやすくなります。
先に結論(買う価値はある?)
新任管理職や、管理職としての動き方を見直したい人には、読む価値があります。理由は、管理職がつまずきやすい「決められない」「任せられない」「育てられない」という課題に対して、抽象論ではなく具体的な行動で答えているからです。
特に、意思決定の遅れがチーム全体の停滞につながるという視点や、権限委譲を「できる人に渡すこと」ではなく「できるようにするプロセス」と捉える点は、管理職1年目の読者にとって実践につなげやすいはずです。外資系の仕事術をそのまま真似る本というより、成果を出すチームをつくるための基本動作を学ぶ本として読むと、得られるものが多い一冊です。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、管理職の仕事を「部下を管理すること」ではなく、チームが成果を出せる状態をつくることとして捉えている点です。本書では、管理職本人が成果を出すだけでなく、部下が自分で考え、動き、チーム全体として成果につながる状態を重視しています。そのため、会議、報告、返信、フィードバックといった日常業務も、すべてチームの成果につながる行動として扱われます。
2つ目は、成果を出すためにまず管理職自身の仕事の進め方を整える点です。序盤では、迅速な意思決定、仕事のスピード、生産性が扱われます。特に意思決定については、情報不足や判断基準の曖昧さだけでなく、失敗への恐れや反発への不安といった心理面も取り上げられており、決められない状態を現場の問題として捉えています。
3つ目は、部下を動かすのではなく、部下が自律的に動けるようにする点です。中盤以降では、権限委譲、判断基準の共有、即時フィードバック、部下への問いかけ、チームの行動原則などが扱われます。任せることを放置にせず、育成と成果につなげる設計が本書の大きな特徴です。
著者が一番伝えたいこと
本書全体を貫いているのは、管理職はチームの成果を最大化するために存在する、という考え方です。初めて管理職になると、自分がどれだけ頑張るか、部下をどう管理するかに意識が向きがちですが、本書はそこから一段引いて、チーム全体が成果を出すための判断軸を持つことを求めています。
また、AIやDX、ジョブ型雇用、テレワークなどで働き方が変わっても、管理職に必要な土台は変わらないという立場も明確です。その土台を、迅速な意思決定、スピード感、生産性、権限委譲、自律型人材の育成、チーム構築という6つの力に分け、36のルールとして実務に落とし込んでいます。理想論としてのマネジメントではなく、毎日の会議、返信、報告、任せ方、問いかけ方に反映できる形で示しているのが本書の中心です。
読むと得られること
読むと得られるのは、管理職として何を優先すべきかを判断するための基準です。仕事の期限だけでなく意思決定にも期限を置く、迷ったら情報を増やす前に目的や判断基準に戻る、部下に任せるときは裁量だけでなく判断基準も共有する。こうした行動レベルのルールが並んでいるため、読み終えたあとに自分の仕事の進め方を点検しやすくなります。
特に、会議が長い、判断が遅い、部下に任せきれない、部下が自分で考えて動かないと感じている人には、見直しのきっかけが多い本です。自分がすべてを抱えるのではなく、チームが前に進む状態をどう設計するか。その視点を持てることが、本書から得られる一番大きな収穫です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、管理職自身の仕事の進め方を整えるところから始まり、部下を通じて成果を出すマネジメントへ進んでいく構成です。最初に扱われるのは、チームを止めないための意思決定です。そこから、仕事のスピード、生産性、権限委譲、部下育成、チームづくりへと広がっていきます。
流れとしては、「まず自分がどう決め、どう動くか」を固めたうえで、「部下にどう任せ、どう育て、どうチーム全体を機能させるか」に移る設計です。初めて管理職になった人が、個人プレイヤーの延長ではなく、チームの成果を最大化する立場へ視点を切り替えるための順番になっています。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 迅速な意思決定のルール
- 第2章 スピード感を生む仕事のルール
- 第3章 生産性を高める仕事のルール
- 第4章 正しく権限委譲を機能させるルール
- 第5章 自律型人材を育成するルール
- 第6章 最強チームを構築するルール
各章の要点
第1章は、管理職がまず身につけるべき「決める力」を扱います。意思決定が遅れる理由を、情報不足や判断基準の曖昧さだけでなく、失敗への恐れや反発への不安にも分けているのが特徴です。ここが、本書全体の出発点になります。
第2章は、仕事を前へ進めるためのスピード感がテーマです。会議の進め方、次のアクションの決め方、返信、報告書の作り方など、日々の業務で停滞を生みやすい場面に踏み込んでいます。
第3章は、生産性を高めるための考え方を扱います。会議参加の見直し、質の捉え方、仮説検証、情報共有などを通じて、「忙しくしていること」と「成果につながること」を分けて考えさせる章です。
第4章は、自分で抱え込む管理職から、部下を通じて成果を出す管理職へ移る橋渡しの章です。権限委譲を単に任せることではなく、判断基準の共有や適切な介入、フィードバックまで含めて考える点が重要です。
第5章は、部下を自律型人材へ育てるための関わり方を扱います。結果だけを求めるのではなく、部下が状況を判断し、自分で行動を考えられるようにする問いかけが中心になります。
第6章は、個々の部下の育成を超えて、チーム全体をどう機能させるかに進みます。チームの存在意義、行動原則、心理的安全性と仕事の基準、メンバー全員のリーダーシップ発揮が主な論点です。
忙しい人が先に読むならここ
最初に読むなら、第1章がおすすめです。本書は管理職の役割を「チームの成果の最大化」と置いていますが、そのための起点が「決めること」だからです。仕事が止まる原因を、判断の遅れや迷いとして具体的に捉えられるので、管理職1年目の人ほど先に読んでおきたい章です。
次に読むなら、第4章です。管理職になると、自分でやったほうが早い仕事をどう任せるかで悩みやすくなります。この章では、任せることを放置にせず、判断基準の共有やフィードバックと結びつけているため、部下育成と成果を両立させるヒントになります。
会議や日々の仕事の停滞に悩んでいる人は、第2章と第3章を優先すると読みやすいです。返信、会議、報告、情報共有など、すぐ見直せる行動が多く含まれています。すでに部下との関わり方に課題を感じているなら、第5章から読み、最後に第6章でチーム全体の設計を確認する流れも合います。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んでいていちばん印象に残ったのは、管理職の仕事を「人を管理すること」ではなく、「チームが成果を出せる状態を設計すること」と捉えている点です。新任管理職向けの本ではありますが、単なる心構えではなく、意思決定、仕事のスピード、生産性、権限委譲、部下育成、チームづくりへと話が広がっていくので、管理職として何を優先すべきかが見えやすくなっています。
特に第1章が、部下育成やチーム論ではなく、迅速な意思決定から始まるところが強く残りました。管理職の仕事は、まずチームを前に進めるために決めることなのだと受け取れます。意思決定が遅れる理由も、情報不足や判断基準の曖昧さだけでなく、失敗への恐れや反発への不安といった心理面にまで分けているため、現場で起きがちな迷いをかなり具体的に扱っている印象でした。
また、権限委譲と部下育成をつなげて考えている点も残りました。任せることを、できる人に仕事を渡すことではなく、できるようにしていくプロセスとして見ているため、管理職が手放すべきことと、関わり続けるべきことの境目が見えやすくなります。部下を放任するのでも、細かく管理し続けるのでもない距離感を考えるうえで、実務に近い本だと感じました。
すぐ試したくなったこと
すぐ試したくなったのは、仕事の締め切りだけでなく、途中の判断にも期限を置くことです。最終納期を決めていても、その前段階の判断が止まっていれば、結局チームの仕事は前に進みません。意思決定そのものに期限を設けるという考え方は、管理職の迷いを減らすだけでなく、部下にもスピード感を伝える行動になりそうです。
迷ったときに、情報を増やし続ける前に目的や判断基準へ戻るという考え方も実践しやすいと感じました。慎重に考えているつもりでも、実際には先延ばしになっている場面はあります。目的に戻る、判断基準を確認する、必要なら誰かと話して考えを収束させるという流れは、判断の質とスピードを両立させるための現実的な方法です。
部下との関わりで試したくなったのは、任せるときに判断基準まで共有することです。裁量を渡すだけでは、部下にとっては何を基準に決めればよいのかが見えません。また、部下の「頑張ります」をそのまま受け取らず、どう頑張るのかを問いかける姿勢も印象に残りました。励ますだけで終わらせず、行動を具体化することで、部下が自分で考えるきっかけになりそうです。
読んで気になった点
気になったのは、語り口がかなりはっきりしていることです。慎重すぎる管理職や、基準の低いチーム運営に対して厳しめの表現が出てくるため、読む人によっては少し圧を感じるかもしれません。特に外資系企業での経験を背景にした話が多いので、自分の職場にそのまま当てはめようとすると、少し距離を感じる場面もありそうです。
ただ、その強さは単に成果主義を押しつけるためではなく、仕事の基準を曖昧にしないための警句として読むと理解しやすくなります。心理的安全性についての言及も、心理的安全性そのものを否定しているというより、基準を下げる運用への注意として受け取るのが自然です。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書は、読んで終わるよりも、日々の判断や部下との関わりに落とし込んで使うほうが価値を感じやすい本です。今日から試すなら、まず次のような小さな行動に分けると始めやすいです。
- 仕事の最終期限だけでなく、「いつまでに決めるか」も一緒に決める
- 判断に迷ったら、情報を増やす前に「目的」と「判断基準」を確認する
- 会議では、最後に参加者自身に次のアクションを言ってもらう
- 返信を後回しにせず、判断できるものは早めに返して相手側へ仕事を渡す
- 報告書はゼロから書き始めず、先に論点や空欄を置いて半分だけ形にする
- 部下に仕事を任せるときは、やることだけでなく判断基準も共有する
- フィードバックは後日にまとめず、できるだけ時間を置かずに伝える
- 部下が「頑張ります」と言ったら、「どう頑張るか」まで一緒に具体化する
- チームで迷いやすい場面について、行動原則を言葉にしておく
この中でも、最初に取り組みやすいのは「決断の期限を決めること」です。管理職の仕事は、チームを前に進めるために決めることから始まると考えると、先延ばしになっている判断をひとつ減らすだけでも、本書の考え方を実感しやすくなります。
1週間で試すならこうする
1週間で試すなら、本書の6つの力を一気に身につけようとせず、「決める」「進める」「任せる」「育てる」の順で小さく試すのがよさそうです。管理職本人の行動から始めて、少しずつ部下やチームに広げていくと、無理なく実践できます。
Day1は、自分が今抱えている仕事の中から、判断が止まっているものを1つ選びます。その仕事について、何を決めれば前に進むのか、いつまでに決めるのかを書き出します。
Day2は、その判断に必要な目的と基準を確認します。情報を増やす前に、何のために決めるのか、どの条件を満たせばよいのかを整理しておくと、迷いが減ります。
Day3は、会議や打ち合わせの終わり方を変えます。結論だけで終わらせず、誰が何をいつまでにやるのかを、参加者自身の言葉で確認します。
Day4は、部下に任せている仕事を1つ選び、判断基準が伝わっているかを見直します。単に「任せた」と言うだけでなく、どこを見て判断すればよいかまで共有します。
Day5は、フィードバックのタイミングを早めます。気づいたことを後回しにせず、成長機会を逃さないように、できるだけ時間差を小さくして伝えます。
Day6は、部下の返事や宣言を具体化します。「頑張ります」で終わったときは、どう進めるのか、何を最初にするのかを確認し、行動に変えます。
Day7は、チームの存在意義や行動原則を自分の言葉で整理します。業務目標だけでなく、なぜこのチームが必要なのか、どんな行動を大切にするのかを考える日にすると、第6章の内容につながります。
つまずきやすい点と対策
つまずきやすいのは、「早く決める」を雑な即決と混同してしまうことです。本書で扱われている迅速な意思決定は、勢いだけで決めることではありません。対策としては、急ぐ前に目的と判断基準を確認し、そのうえで決める期限を短く設定することです。
次につまずきやすいのは、権限委譲を「任せたら口を出さないこと」と考えてしまう点です。任せっぱなしにすると、部下は判断基準が分からないまま進めることになります。対策は、裁量と一緒に判断基準を共有し、必要な場面では早めにフィードバックすることです。
また、強い表現をそのまま職場で使おうとすると、反発を招く可能性もあります。本書には仕事の基準を曖昧にしないための厳しめの言葉がありますが、それをそのまま部下にぶつける必要はありません。大事なのは、言葉の強さを真似ることではなく、基準を下げずに成果へ向かう姿勢を、日々の問いかけや行動に置き換えることです。
最後に、外資系企業の文脈をそのまま自分の職場へ移そうとしすぎる点にも注意が必要です。組織文化や部下の状況はそれぞれ違います。まずは、会議の終わり方を変える、決める期限を置く、部下への問いを具体化するなど、小さく試せる行動から取り入れると、本書を実務に活かしやすくなります。
比較|似ている本とどう違う?

『新 管理職1年目の教科書〔リーダーシップ編〕』との違い
本書と『新 管理職1年目の教科書〔リーダーシップ編〕』の違いは、テーマの広さと深さにあります。本書は、管理職になったばかりの人がまず押さえたい基本行動を、意思決定、仕事のスピード、生産性、権限委譲、部下育成、チーム構築まで幅広く扱う一冊です。管理職の役割を「チームの成果の最大化」と捉え、そのために日々何を決め、どう任せ、どう育てるかを実務レベルに落とし込んでいます。
一方で『新 管理職1年目の教科書〔リーダーシップ編〕』は、同じ著者・同じシリーズの続編として、管理職に必要なリーダーシップやチーム運営をさらに深める本です。まず管理職としての基本動作を整えたいなら本書、リーダーシップそのものを掘り下げたいなら『リーダーシップ編』が合います。
特に、会議が進まない、判断が遅れる、任せ方がわからないといった具体的な悩みがある人は、本書から読むほうが入りやすいです。すでに本書の考え方を理解していて、次にチームをどう動かすかを深めたい人には『リーダーシップ編』が向いています。
『部下をもったらいちばん最初に読む本』との違い
『部下をもったらいちばん最初に読む本』との違いは、読者層と実用性の方向です。本書は、新任管理職やプレイングマネジャーが、管理職としての判断軸と仕事の進め方を身につけるための本です。部下育成だけでなく、意思決定、会議、報告、フィードバック、権限委譲、チームの行動原則まで扱うため、管理職の仕事全体を見直したい人に向いています。
一方で『部下をもったらいちばん最初に読む本』は、新任マネジャー向けに、部下との関わり方やマネジメント技術を扱う本です。部下育成や関係構築を、心理学をベースに補強したい人に合います。部下とのコミュニケーションや関係性のつくり方を重点的に学びたいなら、こちらのほうが目的に近いでしょう。
本書は、部下との関係だけに閉じず、「管理職としてチームの成果をどう最大化するか」に重心があります。部下への接し方を学びたい人には『部下をもったらいちばん最初に読む本』、管理職として仕事全体の型を整えたい人には本書が選びやすいです。
迷ったらどれを選ぶべき?
迷ったら、今の悩みが「管理職として何から手をつければいいかわからない」なら本書を選ぶのが自然です。本書は、決める、進める、任せる、育てる、チームにする、という管理職の基本動作をひと通り確認できます。特に、新任管理職や、プレイングマネジャーとして自分の仕事と部下育成の両立に悩んでいる人には合いやすい一冊です。
選び方を簡単に分けると、次のようになります。
| 悩み・目的 | 選びたい本 |
|---|---|
| 管理職1年目の基本行動を知りたい | 本書 |
| リーダーシップをさらに深めたい | 『新 管理職1年目の教科書〔リーダーシップ編〕』 |
| 部下との関係づくりや育成技術を補強したい | 『部下をもったらいちばん最初に読む本』 |
本書は、外資系マネジャーの仕事術をそのまま真似る本というより、成果責任が明確な環境で磨かれた考え方を、新任管理職にも使える形に整理した本です。まず管理職としての土台を作りたい人は本書から始め、その後にリーダーシップや部下育成へ読み広げると、学びの順番として無理がありません。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
櫻田毅氏は、九州大学大学院工学研究科を修了後、三井造船で深海調査船の開発に従事した人物です。その後、日興證券で投資開発課長、投資技術研究室長などを経験し、米系資産運用会社ラッセル・インベストメントでは資産運用コンサルティング部長を務めました。同社では執行役COOとして米国人CEOとともに経営に携わり、2010年の独立後はアークス&コーチング代表、人材活性ビジネスコーチとして、研修・講演などを通じてビジネスパーソンの成長支援に関わっています。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書の信頼性は、櫻田氏が日本企業と外資系企業の両方で管理職・経営に関わってきた点にあります。三井造船、日興證券、ラッセル・インベストメントという異なる環境で働いてきた経歴があり、特に米系資産運用会社での部門運営やCOO経験は、本書で扱われる意思決定、スピード感、生産性、権限委譲といったテーマと接点があります。
また、本書は単なる理念や精神論ではなく、会議、報告、フィードバック、部下への問いかけなど、日常業務に近い粒度で管理職の行動を整理しています。これは、著者が実務の現場でマネジメントに携わってきただけでなく、独立後に研修・講演を通じて多くのビジネスパーソンの成長支援を行ってきたことともつながります。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
大枠をつかむだけなら、要約でもある程度は足ります。管理職の役割を「チームの成果の最大化」と置き、意思決定、仕事のスピード、生産性、権限委譲、部下育成、チームづくりへ展開する本だと分かれば、購入判断の材料にはなります。
ただし、実践に移したい人は本文まで読んだほうがよいです。本書の価値は、考え方だけでなく「会議で次のアクションを宣言してもらう」「判断に迷ったら目的に戻る」「部下に任せるときは判断基準も共有する」といった日々の行動に落とし込まれている点にあります。自分の仕事のどこを変えるかまで考えたいなら、要約だけでは少し足りません。
初心者でも読める?
初めて管理職になった人、これから部下を持つ人でも読みやすい本です。専門理論を深く掘るというより、会議、返信、報告、フィードバック、部下への問いかけなど、現場で起きやすい場面に沿って話が進みます。
一方で、語り口はやや厳しめです。やさしく励ましてくれる入門書を期待すると、意思決定の遅さや任せっぱなしへの指摘が強く感じられるかもしれません。マネジメントを体系的な理論として学びたい人よりも、管理職としての行動を見直したい人に向いています。
どこから読むべき?
基本的には通読しやすい構成です。前半で管理職自身の判断力、仕事のスピード、生産性を整え、後半で権限委譲、部下育成、チームづくりへ進むため、順番に読むと「自分が頑張る管理職」から「部下を通じて成果を出す管理職」へ視点が移っていきます。
忙しい場合は、まず第1章から読むのがよいです。本書は最初に意思決定を扱っており、管理職の仕事を「決めて前に進めること」として捉え直せます。会議や返信が遅れがちな人は第2章、任せ方に悩む人は第4章、部下が自分で考えて動かないと感じる人は第5章から読むと、自分の課題に直結しやすいです。
読む前に注意点はある?
「外資系マネジャー」という言葉を、外資系企業のやり方がすべて正しいという意味で受け取らないほうがよいです。本書は、外資系の仕事術をそのまま礼賛するというより、成果を出すための仕事の型を日本の管理職にも使える形で整理した本です。
また、「ユルい心理的安全性」への指摘は、心理的安全性そのものの否定ではありません。基準を下げたまま安心感だけを優先することへの注意として読むと、内容を受け取りやすくなります。柔らかい励ましを求めるより、少し厳しめの実務チェックとして読むほうが、本書の良さを活かしやすいです。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、管理職の仕事を「人を管理すること」ではなく、「チームが成果を出せる状態をつくること」と捉え直せる点です。管理職の役割をチーム成果の最大化に置くため、会議、意思決定、部下育成、権限委譲がバラバラの悩みではなく、同じ軸で整理しやすくなります。
2つ目の価値は、日々の行動に落とし込みやすいことです。たとえば、意思決定に期限を設ける、迷ったら目的と判断基準に戻る、任せるときは裁量だけでなく判断基準も共有する、といった形で、明日から試せる単位まで具体化されています。
3つ目の価値は、管理職1年目が陥りやすい迷いを先回りして整理してくれる点です。決められない、任せきれない、部下が自分で考えて動かない、会議が長いといった悩みを、個人の性格ではなく仕事の進め方として見直せます。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、初めて管理職になった人、プレイングマネジャーとして自分の仕事と部下育成の間で悩んでいる人、部下に任せきれない人です。会議で結論が出ない、フィードバックが遅れる、チームが自走しないといった課題がある人にも向いています。
一方で、マネジメント理論を体系的に深く学びたい人や、外資系的な成果責任の語り口に抵抗が強い人は、少し距離を感じるかもしれません。読むなら、自分の職場にそのまま当てはめるのではなく、考え方をどう応用するかを意識するとズレが少なくなります。
読むならどう活かす?
読むなら、まず「決める場面」を1つ見直すのが現実的です。今日の仕事で迷っている案件について、情報を増やす前に「何のために決めるのか」「いつまでに決めるのか」を短く書き出すだけでも、本書の考え方を試せます。
次に、部下へ任せている仕事があるなら、裁量だけでなく判断基準を共有できているか確認したいところです。さらに、部下の「頑張ります」をそのまま受け取らず、「どう動くか」まで具体化する問いかけに変えると、読んだ内容を現場に持ち帰りやすくなります。
次に読むならこの本
- 『新 管理職1年目の教科書〔リーダーシップ編〕』:本書で扱われるチーム構築やリーダーシップの論点を、同シリーズでさらに深めたい人向けです。
- 『部下をもったらいちばん最初に読む本』:部下育成やマネジメントの初歩を、別の観点から補いたい人に合います。
- 『管理職3年目の教科書』:管理職1年目の基本を押さえたあと、自分自身の成長や人材価値を考えたい人に向いています。
管理職になった人が読むべきおすすめ書籍

初めて管理職になった人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
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- 部下をもったらいちばん最初に読む伝え方の本
- 部下をもったらいちばん最初に読む本
- リーダーの仮面
- Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項
- 冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法
- コンサル時代に教わった 仕事ができる上司の当たり前
- 新 管理職1年目の教科書〔リーダーシップ編〕
- 新 管理職1年目の教科書:外資系マネジャーが必ず成果を上げる36のルール
