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【書評】ゼロから教えて 電話応対|要約・感想・向いている人

会社の電話が鳴るだけで緊張する。普段の会話はできるのに、敬語や取り次ぎになると正解が分からない――そんな人に向けて、大部美知子さんの『ゼロから教えて 電話応対』は、電話の特徴から声・姿勢、敬語、受け方・かけ方、クレーム対応までを順に整理した入門書です。

この記事では、本書の要約に加え、姿勢や声、メモと復唱を実際に試して分かったこと、2011年刊として読む際の注意点、向いている人、類書との違いまで整理します。電話応対を一から学ぶ本として、自分の悩みに合う一冊か判断できるように見ていきます。


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もくじ
  1. 要約|どんな本か・何が学べるか
  2. 感想|実際に読んで分かったこと
  3. 電話応対を一つずつ練習できる「手元のマニュアル」として使う
  4. 注意点|読む前に知っておきたいこと
  5. 向いている人・向いていない人
  6. 似た本との違い|選び分けのポイント
  7. 次に読む本|次の課題から選ぶ
  8. このテーマの本をもっと探す

要約|どんな本か・何が学べるか

電話が苦手な理由から基本を整理する

『ゼロから教えて 電話応対』は、「普段の会話はできるのに、仕事の電話になるとうまく対応できない」という人に向けて、電話応対を基礎から整理した本です。著者は、電話そのもののコミュニケーションが苦手というより、ビジネスではどのように対応すればよいのか、敬語を含む言葉づかいや対応法が分からないことが不安につながっているのではないかと説明しています。

そのため本書は、受け答えの台詞だけを並べるのではなく、まず電話とメールの違いや電話応対の特徴から始めます。声だけで印象が伝わること、とっさの対応が必要なこと、やりとりが記録に残りにくいことなどを整理したうえで、姿勢、声、話し方、名乗りへ進む構成です。電話が苦手という大きな悩みを、練習できる小さな要素へ分けていけるのが特徴です。


受け方・かけ方から応用場面まで一冊で見渡す

PART 2以降では、尊敬語・謙譲語などの言葉づかい、電話の受け方とかけ方、不在時の伝言、聞き取れないときの対応、セールス電話、間違い電話、英語の電話、アポイント、催促やお断りの電話まで扱います。さらにクレーム電話への応対、携帯電話、電子メール、FAXのマナーも収録されています。

一冊の中で扱う範囲が広いため、最初からすべてを暗記するよりも、まず全体像をつかみ、実務で困ったときに必要な章へ戻る使い方が向いています。「電話に出る」「名乗る」「メモを取る」「取り次ぐ」といった基本を確認したい新人はもちろん、後輩へ教える立場で基本を再確認したい人にも使いやすい構成です。


目次|本書の構成を確認する


著者について

著者の大部美知子さんは、株式会社M'sコミュニケーション代表取締役で、コミュニケーションやマナー分野の研修を行っています。本書の「はじめに」では、航空会社へ入社した後、地上業務研修で国内予約課に配属され、電話予約の仕事で苦労した経験が語られています。その後の客室乗務員経験やビジネスマナー講師としての経験も、本書の背景になっています。




感想|実際に読んで分かったこと

「電話が苦手」を話し下手のせいにしなくなった

読んでいて最初に腑に落ちたのは、電話が苦手だからといって、会話そのものが苦手とは限らないということでした。普段の会話なら相手の反応を見ながら言い直せても、仕事の電話では、名乗り、敬語、取り次ぎ、メモ、保留などを短い時間で処理しなければなりません。

「自分は電話に向いていない」と考えると対策が曖昧ですが、「敬語で止まる」「名乗りが不安」「用件を記録しきれない」のように分けると、練習する場所が見えてきます。読後は、電話応対を話し上手かどうかで考えるより、仕事で必要な型を一つずつ身につける技能として考えたほうが取り組みやすいと感じました。


姿勢・声・話し方は一度に全部やらないほうが続けやすい

本書で印象に残ったのが、相手には姿が見えない電話だからこそ、姿勢や表情を意識するという説明です。実際に背筋を伸ばし、口元を少し笑顔にして話すことを意識してみると、内容そのものは同じでも、自分の声の出し方が変わる感覚がありました。姿勢は相手に見せるためではなく、自分の声を整える準備なのだと考えると納得しやすかったです。

ただし、受話器の持ち方、姿勢、笑顔、声のトーン、語尾まで最初から全部意識しようとすると、かえってぎこちなくなりました。そこで、一回の電話では「今日は語尾を伸ばさない」「次は結論から話す」のように一つだけ意識するほうが現実的でした。本書は項目が細かく分かれているので、一項目ずつ反復する練習に使いやすいと感じます。


メモと復唱で「覚える」より「記録する」に変わった

もう一つ実用的だったのが、メモと復唱です。電話のそばにメモがあっても、会社名、氏名、用件、折り返し先を頭の中だけで整理しようとすると、電話を切った直後に細部が曖昧になることがあります。聞きながら短く書き、最後に復唱するようにすると、記憶だけに頼る負担を減らせました。

5W2Hも同じで、毎回すべてを機械的に聞く台本にするより、「必要な情報が抜けていないか」を確認する枠として使うほうが自然です。上手に話すことばかり意識していましたが、正確な電話応対には、覚える力よりも記録して確認する仕組みを作ることが重要だと見方が変わりました。


電話応対を一つずつ練習できる「手元のマニュアル」として使う

困った場面に戻れる参照本として使う

本書は電話応対の基本からクレーム、携帯電話やメールまで範囲が広いため、最初に目次を見ると「これを全部覚えるのか」と身構えやすい一冊です。しかし、実際には通読して丸暗記するより、困った場面に戻って確認する手元のマニュアルとして使うほうが、その広さを生かせます。

困った場面が出たときに、目次から「名乗り」「不在時の対応」「伝言」「聞き取れない」「クレーム」など該当箇所へ戻れるのが、この本の使いやすさです。情報量の多さを一度に覚える負担にせず、「必要なときに戻る場所がある」という参照性として生かせます。


新人教育では「どこで詰まっているか」を分解する共通教材にできる

後輩へ教える場面でも、「電話が苦手」でまとめてしまうと改善点が曖昧です。本書のように、名乗り、声、敬語、受け方、取り次ぎ、伝言、クレーム対応などへ細かく分けられていると、「どこで止まっているのか」を一緒に確認しやすくなります。

できている・できていないを評価するためだけでなく、次に何を練習するかを話し合う共通の基準として使える点も、本書の実用性です。新人本人が読む場合と、指導する側が読む場合とで、同じページでも役立つ場所が変わる本だと思いました。


注意点|読む前に知っておきたいこと

2011年刊なので通信手段の比重は職場に合わせて読む

本書は2011年刊です。目次には固定電話、FAX、電子メールなどが並んでおり、現在の職場では使用頻度が下がっている項目もあります。逆に、電話が中心の職場では今でも重要な内容が多く、必要度は勤務環境によって変わります。

そのため、刊行年だけで古いと切り捨てるより、相手への配慮、正確に聞き取る、記録する、確認する、丁寧に伝えるといった基本原則と、通信手段ごとの環境依存部分を分けて読むのがよいでしょう。


敬語やクレーム対応だけを深掘りする本ではない

守備範囲の広さは本書の強みですが、裏返すと、一つのテーマだけを専門的に深掘りする本ではありません。敬語を大量の例文で反復したい、専門的なクレーム対応を体系的に学びたい、コールセンターの運用まで掘り下げたい、といった目的なら、該当分野に特化した本を追加したほうが合います。


一般的な型より職場独自のルールを優先する場面がある

電話応対には会社ごとの取り次ぎ手順や権限範囲、セキュリティ上の決まりがあります。本書の例は基本を学ぶ土台として使い、勤務先の正式なルールがある場合はそちらを優先する必要があります。また、本書内で紹介される心理学上の数値や法則は、本書が電話の特徴を説明するために用いている材料として捉え、現在の一般的な科学的結論としてそのまま広げないほうが安全です。




向いている人・向いていない人

向いている人

本書は、電話応対の全体像を一度つかみ、漠然とした苦手を具体的な技能へ分けて確認したい人に向いています。

  • 新人で、会社の電話に何をどう返せばよいか分からない人
  • 一応対応できるものの、基本が正しいか確認し直したい人
  • 敬語、名乗り、メモ、取り次ぎなど、どこで詰まるか整理したい人
  • 後輩指導で使える共通の基準が欲しい人
  • 困った場面で引き直せる参照本を手元に置きたい人

最初から全部を暗記するより、実際の電話で一項目ずつ試し、必要な章へ戻りながら使う読み方と相性がよい一冊です。


向いていない人

一方、学びたいテーマがすでに一領域へ絞れている人は、本書より専門書のほうが効率的な場合があります。

  • 専門的なコールセンター運用を深く学びたい人
  • 高度なクレーム対応だけを体系的に学びたい人
  • 敬語だけを集中的に反復したい人
  • 現在のチャットやオンラインコミュニケーションだけを中心に学びたい人

課題がはっきりしているなら、敬語、クレーム対応、最新のデジタルコミュニケーションなど、そのテーマに絞った本も比較すると選びやすくなります。


似た本との違い|選び分けのポイント

電話応対の入門書でも、全体像を広く学ぶ本と、すぐ使える会話例や定型フレーズを重視する本では使い方が違います。『ゼロから教えて 電話応対』と、方向性の近い2冊を比べます。

項目 ゼロから教えて 電話応対 電話応対 これができればOKです! どんなに苦手でもうまくいく電話応対
学び方 電話の特徴や理由から基本・応用まで広く整理する 場面別の会話例を参照しながら覚える 定型フレーズに慣れて言い回しを増やす
守備範囲 基本、敬語、受発信、応用、クレーム、携帯・メール・FAXまで広い 心がまえ、受発信、敬語、クレーム、緊張しやすい場面 さまざまな電話場面やクレーム時の言い回し
すぐ使える表現の探しやすさ 例を確認しつつ、全体理解と基本動作も重視する 場面別の会話例を引きやすい 定型フレーズを探しやすい
向いている読者 電話応対全体の地図を一冊で持ちたい人 場面ごとの会話例を先に確認したい人 とっさの言い回しを増やしたい人


『電話応対 これができればOKです!』は場面別の会話例を先に使いたい人向け

「まず失礼のない言い方を場面別に確認したい」という目的なら、『電話応対 これができればOKです!』が比較しやすい一冊です。会話例をそのまま参照しやすい設計なので、困っている場面がはっきりしている人は使い始めやすいでしょう。

一方、『ゼロから教えて 電話応対』は、会話例だけでなく、電話が難しい理由、声や姿勢、記録の取り方、周辺の通信マナーまで広く見たい人に向いています。会話例の即用性を優先するか、電話応対全体の地図を先に持つかで選ぶと分かりやすいです。


『どんなに苦手でもうまくいく電話応対』は定型フレーズを増やしたい人向け

電話が鳴ると「何と言えばいいか」が出てこない悩みを強く感じるなら、『どんなに苦手でもうまくいく電話応対』も候補になります。定型フレーズに慣れることへ重点を置いており、言い回しを手元に増やしたい人と相性があります。

『ゼロから教えて 電話応対』は、フレーズを覚える前後にある「なぜそう対応するのか」「声や姿勢をどう整えるか」まで含めて広く確認できます。言葉が出ないことだけが悩みなら比較本、電話全体への不安を分解したいなら本書、という選び分けができます。


次に読む本|次の課題から選ぶ

敬語を重点的に練習するなら『敬語サクッとノート』

本書を読んで「受け方やメモは分かったけれど、敬語だけはまだ迷う」と感じたら、次は『すぐに使えて、きちんと伝わる 敬語サクッとノート』へ進むと、課題を一つに絞れます。社内・社外、接客、電話対応などの場面別に敬語を確認できるため、電話全体を学んだあとに言葉づかいを集中して補強する役割です。


新しい時点の電話マナーを確認するなら[新版]『一生使える「電話のマナー」』

2011年刊の本書で基本を身につけたあと、「より新しい時点の電話マナーも確認したい」という課題が残ったなら、[新版]『一生使える「電話のマナー」』が次の候補です。基本から応用を別の整理で復習しながら、新版として更新された電話マナーを確認する方向へつなげられます。




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兼松 学

書評サイト「本のものさし」運営者。ビジネス書・実用書を中心に年間約80冊を読み、採用・面接・人材育成に約9年携わった実務経験も踏まえて執筆しています。実際に読んだ本の要点だけでなく、向いている人や類書との違いまで整理し、自分に合う一冊を選ぶための判断材料を届けることを大切にしています。

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