立場・レベルから選ぶ 本の選び方

電話応対の本の選び方|クレーム対応は担当範囲に合わせて選ぶ

電話応対の本でクレーム対応を学ぼうとすると、一般的な電話応対本にもクレームの章があり、別にクレーム対応の専門書やカスタマーハラスメント対策本も見つかります。どれが自分に必要か迷うときは、難易度よりも「電話口で自分がどこまで判断し、どこから先を引き継ぐのか」を先に確認した方が選びやすくなります。

この記事では、クレーム対応を学ぶこと自体は決まっている人に向けて、担当範囲を「一次受けして引き継ぐ」「自分で状況を整理して解決まで進める」「管理者・責任者として組織の対応基準まで考える」の3つに分けます。電話応対本、クレーム対応専門書、カスハラ対策本をどう選び分けるかを整理します。


クレーム対応本は「一次受け・解決担当・管理者」で選び分ける

クレーム電話に関わる人すべてが、同じ深さの本を読む必要はありません。最初に見るべきなのは、怒っている相手への話し方より、自分がその電話でどこまで判断を任されているかです。

一次受けだけなら、必要な情報を聞き取り、正確に引き継ぐ力が中心です。解決まで担うなら、事実確認や要望整理、対応可能な範囲の提示まで必要になります。管理側なら、個々の応対に加えて、エスカレーションや記録、従業員保護など組織としての対応基準まで視野に入ります。

担当範囲選ぶ本の方向確認したい内容
一次受け・引き継ぎ電話応対全体を扱う本聞き取り、復唱、保留、取り次ぎ、伝言
状況整理・解決まで担当クレーム対応の専門書初動、事実確認、要望整理、解決案、難しい要求
管理者・責任者カスハラ・組織対応まで扱う本方針、相談体制、記録、エスカレーション、従業員保護


一次受けして担当者へ引き継ぐなら、電話応対全体を扱う本から入る

代表電話や受付でクレームを受けても、自分には返金・交換・契約変更などを決める権限がないなら、最優先は「解決の技術」ではありません。相手の話を遮らずに聞き、名前や連絡先、用件を確認し、必要な情報を崩さずに担当者へつなぐための土台です。

たとえば『電話応対、これができればOKです!』は、電話の受け方・かけ方や敬語からクレーム対応までを一冊で確認できます。通常の電話の延長で難しい電話も受ける人なら、クレームだけを切り出した専門書より、日常の受電から引き継ぎまで一連の流れを確認できる本の方が使いやすくなります。

自分に決裁権がないのに、その場で結論を出すための本を優先する必要はありません。謝罪表現の多さだけでなく、保留・復唱・伝言・取り次ぎまで十分に扱われているかを見てください。


自分で状況整理と解決まで担うなら、クレーム対応の専門書へ進む

お客様相談窓口やカスタマーサポートなどで、話を聞くだけでなく、事実を確認し、会社のルールに沿って解決策を提示するところまで担当するなら、電話マナー本の一章だけでは足りないことがあります。この立場では、相手の感情を受け止めることと、何が起きたのかを整理すること、どこまで対応できるかを伝えることを分けて学べる本が向いています。

『【改訂版】[ポイント図解]クレーム対応の基本がしっかり身につく本』は、クレーム対応の原則からケースに応じた対応、悪質なクレーム、メンタルヘルス対策などを扱う専門書です。通常の電話応対はできるものの、クレームになると「何を確認し、どこで解決へ移るか」が曖昧になる人は、こうした専門書の方が必要な範囲を深く学べます。

この段階では、例文の数よりも、相手の話を聞いた後に事実と要望をどう整理し、対応可能な範囲をどう伝え、解決へ進むかまで流れとして説明されているかが重要です。「怒っている人への言い方」だけでなく、解決までの判断手順がある本を選ぶと、実務で使う範囲と合わせやすくなります。


管理者・責任者なら、カスハラを含む組織対応まで扱う本を選ぶ

現場からエスカレーションを受ける立場や、対応を続けるか打ち切るか、誰に相談するか、記録をどう残すかといった仕組みづくりまで担う立場では、個人の電話スキルだけでは足りません。通常の苦情やクレームへの対応と、従業員を守るために組織として線引きすべき行為を分けて考える必要があります。

『カスハラ対策100の法則』は、2026年施行の法改正とカスハラの定義、体制構築、予防・防御、現場対応、事後ケア、教育・浸透までを扱います。人事・労務・総務や顧客対応の責任者など、個々の電話を収めるだけでなく、会社として対応基準を整える必要がある人向けの深さです。

厚生労働省によると、2026年10月1日からカスタマーハラスメント防止措置が事業主の義務になります。管理側が本を選ぶときは、会話例だけでなく、方針の明確化、相談体制、事後対応、従業員保護など組織で講じる対策まで扱っているかを見る意味が大きくなっています。


担当範囲が曖昧なら、役職ではなく「電話口で自分が決めてよいこと」を確認する

同じ「電話応対担当」でも、会社によって任される範囲は違います。新人でも一次受けだけとは限らず、ベテランでも重要案件は上司へ引き継ぐ場合があります。そのため、「新人だから入門書」「リーダーだから専門書」と肩書だけで決めると、本の深さが実務とずれることがあります。

本を買う前に、最近受けた難しい電話を思い出し、「自分で何を決めてよかったのか」「どこから先は上司や別部署へ渡す必要があったのか」を確認してください。聞き取りと引き継ぎまでなら電話応対全体の本、事実確認と解決案の提示までならクレーム対応専門書、対応基準やエスカレーションの設計まで担うなら組織対応を含む本、という分け方ができます。

ここで確認するのは、電話が得意か苦手かではありません。自分の役割の中で、何を判断する責任があるかです。この軸を決めておくと、一般的な電話応対本と専門書のどちらへ進むかを迷いにくくなります。


会社の判断が必要な領域は、本より社内ルールを優先する

返金・補償・契約変更、対応の打ち切り、警察や外部専門家への相談などは、本を読んだ個人が自由に決める話ではありません。専門書は考え方を学ぶ助けになりますが、実際の対応では勤務先の権限、規程、マニュアル、上司への報告経路を優先して確認する必要があります。

本の内容を、そのまま自社の判断基準として使わないことも大切です。管理側向けの本も、「自分一人で難しい相手を説得する方法」を探すためではなく、誰が判断し、どこで交代し、どう記録・相談するかという仕組みを考える材料として使う方が実務に合います。


カスハラ対策本は、通常のクレーム対応本とは役割が違う

クレーム対応を学んでいると、カスタマーハラスメントという言葉も目に入りますが、両者を同じものとして扱う必要はありません。厚生労働省のQ&Aでも、顧客などからの苦情のすべてがカスタマーハラスメントに該当するわけではなく、社会通念上許容される範囲の申入れはカスハラには当たらないと説明されています。

そのため、通常のクレームに対して事実確認や解決まで行う担当者が、最初からカスハラ対策本だけを選ぶ必要はありません。まずは自分の担当範囲で必要なクレーム対応を学び、そのうえで、過度な要求への線引きや従業員保護、会社としての対策まで任されているならカスハラ対策本へ進む、という順序で考えられます。

逆に管理者・責任者の場合は、現場の言い回しだけでなく、方針、相談窓口、記録、エスカレーション、事後の対応まで扱う本を選ぶ必要があります。カスハラ対策本は「クレーム対応の上級版」ではなく、組織として対応するための本と考えると、役割の違いを整理しやすくなります。


購入前は、担当範囲に必要な項目が「まとまっているか」を見る

候補本の目次を見るときは、必要な言葉が一度出てくるだけで決めない方が安全です。一次受けなら聞き取りから引き継ぎまで、解決担当なら初動から解決案の提示まで、管理側なら方針づくりから相談・記録・事後対応まで、自分の担当範囲に必要な内容が一連のまとまりとして扱われているかを確認します。

  • 一次受けなら、聞き取り・復唱・保留・取り次ぎ・伝言がつながっているか
  • 解決担当なら、事実確認・要望整理・対応可能範囲の提示・難しい要求への対応まであるか
  • 管理側なら、方針・相談体制・記録・エスカレーション・従業員保護まであるか

同じ「クレーム対応」という見出しがあっても、数ページの補足と、一章を使って判断の流れまで説明する本では深さが違います。必要なテーマが載っているかではなく、自分が任されているところまで連続して学べるかを見ると、買った後のずれを減らせます。


迷ったら、担当範囲を決めてから候補本を比較する

クレーム電話の本選びでは、先に書籍の評判や情報量を比べるより、「一次受けまで」「自分で解決まで」「組織判断まで」のどこが今の仕事に必要かを決める方が、候補を絞りやすくなります。

  • 一次受けして引き継ぐなら、電話応対全体を扱う本
  • 事実確認と解決まで担うなら、クレーム対応の専門書
  • 対応基準や従業員保護まで担うなら、カスハラ・組織対応まで扱う本

役割が複数ある場合は、最も詳しい本を一冊選べばよいとは限りません。普段の受電で使う本と、解決判断や組織対応を学ぶ本を分けて持つ方が、必要な情報へ早くたどり着けることもあります。

最も詳しい本ではなく、自分が実際に任されている判断まで載っている本を選ぶことが、このテーマでの基本です。

具体的な電話応対本を横並びで比べたい段階になったら、電話応対について学べるおすすめの本ランキングから候補を確認できます。順位をそのまま答えにせず、先に担当範囲を決めてから見ると、自分に必要な一冊を選びやすくなります。


電話応対について学べるおすすめの本ランキング 10選【2026年】

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兼松 学

書評サイト「本のものさし」運営者。ビジネス書・実用書を中心に年間約80冊を読み、採用・面接・人材育成に約9年携わった実務経験も踏まえて執筆しています。実際に読んだ本の要点だけでなく、向いている人や類書との違いまで整理し、自分に合う一冊を選ぶための判断材料を届けることを大切にしています。

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