
1on1や育成面談で、ただ話を聞いたり質問したりするだけになっていないか。『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』は、コーチングを目標達成と成長支援のための対話プロセスとして整理する本です。
この記事では、本書の要約、章の流れ、読んで印象に残った点、実践への活かし方まで整理します。質問フレーズ集ではなく基本書として読む価値があるか、購入前に自分の目的と合うかを判断しやすくなるように見ていきます。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』は、コーチングを「聞き方」や「質問の技術」ではなく、相手の目標達成と成長を支援するための体系として学ぶ本です。1on1や部下育成で何を見ればよいのか、どんな順番で対話を進めればよいのかを、定義・視点・原則・プロセス・スキル・事例の流れで整理できます。
向いている人
向いているのは、コーチングを初めて体系的に学びたいビジネスパーソンです。特に、1on1を始めたものの雑談や近況確認で終わってしまう人、部下の目標設定や成長支援に手応えを持てない管理職には、考え方の土台を作る本として役立ちます。
また、コーチングを単なる傾聴や質問の技術として理解していた人にも向いています。本書は、目標と目的の関係、現状把握、ギャップ分析、フィードバック、リクエストまで扱うため、対話を成果や行動につなげる視点を得やすい内容です。個人の育成だけでなく、組織開発やエグゼクティブ・コーチングの広がりを知りたい人にも合います。
向いていない人
一方で、すぐ使える質問フレーズ集や、短時間で読める軽い入門書を探している人には、少し重く感じるかもしれません。傾聴、質問、承認、フィードバックといったスキルは扱われますが、それだけを切り出して覚えるタイプの本ではありません。
PBP、オートクライン、システミック・コーチングなど、初めてコーチングを学ぶ人には少し専門的に感じる用語もあります。現場で明日すぐ使う会話例だけを求めている場合は、より実践フレーズ寄りの本を先に選んだほうが読みやすい可能性があります。
先に結論(買う価値はある?)
コーチングを一度きちんと学びたい人には、読む価値があります。理由は、コーチングを単なる会話術としてではなく、目標達成、行動、振り返り、成長実感まで含むプロセスとして整理できるからです。
特に良いのは、コーチングを万能視していない点です。相手の精神状態や成長段階、緊急性によっては向かない場面があることも含めて扱っているため、1on1やコーチング型マネジメントを導入すればすべて解決する、という浅い理解に流れにくくなります。
部下育成や1on1に悩んでいて、「聞く」「質問する」の前に、何のために対話するのかを整理したい人には有力な候補です。コーチングを面談スキルではなく、人や組織の可能性を開くための対話として捉え直したい人に合う一冊です。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目の重要ポイントは、コーチングを「質問」や「傾聴」の技術だけで捉えないことです。本書は、コーチングを相手の目標達成と成長支援を支える対話プロセスとして整理しています。話を聞くことや問いかけることは大切ですが、それ自体が目的ではなく、相手が必要な考え方や行動を身につけるための手段として位置づけられています。
2つ目は、コーチが相手の何を見るべきかを体系化している点です。相手に必要な知識やスキル、実際の行動、人としてのあり方を見分ける視点が示され、さらに双方向・継続性・個別対応という原則へ進みます。単に「よい質問をする」だけではなく、相手の状態や成長段階を見極めながら関わる必要があることが、本書全体を通して強調されています。
3つ目は、個人の成長支援から組織開発まで扱っていることです。前半ではコーチングの定義や原則を整理し、中盤では目標の明確化、現状把握、ギャップ分析といった実践プロセスに進みます。後半では基本スキルや事例を扱い、さらに組織内コミュニケーションや全社的なコーチング導入へと話が広がるため、1on1だけに閉じない視野で読めます。
著者が一番伝えたいこと
本書が一番伝えたいのは、コーチングは雰囲気のよい面談をするための会話術ではなく、相手が目標に向かって行動し、振り返り、成長を実感するところまで支えるものだということです。だからこそ、目標と目的、現状とのギャップ、行動の方向性、継続的な関わりが重視されています。
本書は冒頭で、コーチングの活用領域が人材開発だけでなく、エグゼクティブ・コーチング、組織開発、1対1面談、効果測定を前提とした取り組みへ広がっているという問題意識を置いています。そのため、個人のスキルアップを支援する本であると同時に、組織の対話文化やコミュニケーション改善にもつながる本として設計されています。
読むと得られること
読むと得られるのは、コーチングの全体像を整理する視点です。1on1で何を話せばよいか、部下の主体性をどう引き出せばよいかに悩んでいる人にとっては、「聞く」「質問する」の前に、何のために対話するのかを考えるきっかけになります。
また、実践面では、面談を目標・現状・ギャップ・行動・振り返りの流れで考えやすくなります。相手に必要なのが知識やスキルなのか、行動支援なのか、あり方への気づきなのかを分けて見る視点も得られます。承認やフィードバックも、単に褒めるためではなく、成長実感や軌道修正につなげるものとして理解しやすくなります。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、最初にコーチングの定義と目的を固め、そのあとにコーチが持つべき視点、関わり方の原則、実践プロセス、具体的なスキル、最後に組織への展開へ進む構成です。いきなり質問例や会話テクニックに入るのではなく、まず「何のためにコーチングをするのか」「相手の何を見るのか」を整理してから、実践に移る流れになっています。
そのため、全体としてはコーチングを会話術として覚える本というより、目標達成と成長支援の仕組みとして理解する本です。特に中盤の目標設定や現状把握のパートが、前半の考え方と後半のスキルをつなぐ橋渡しになっています。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 コーチングとは何か
- 第2章 コーチのもつべき視点
- 第3章 コーチングの3原則
- 第4章 コーチング・プロセス
- 第5章 コーチングのスキルと実践例
- 第6章 組織へのコーチング
各章の要点
第1章では、コーチングを目標達成と成長支援のプロセスとして捉えるための土台を作ります。目標と目的の関係、相手の状態の見極め、可能性や成長への着目が扱われるため、ここを読むと本書全体の前提がつかみやすくなります。
第2章では、コーチが相手を見るための視点が整理されます。知識やスキル、行動、人としてのあり方という複数の角度から相手を理解する流れで、前章の基本理解を実践につなげる準備の章です。
第3章では、対話を機能させるための原則が扱われます。双方向のやり取り、継続的な関わり、相手に合わせた対応が中心で、単発の面談ではなく、成長を支える関係づくりを考える章になっています。
第4章は、実践プロセスの中核です。目標の明確化、現状把握、ギャップ分析へ進むため、ここが本書の山場といえます。特に、目標を単なる業績や数値で終わらせず、本人の納得や成長目標まで含めて考える点が重要です。
第5章では、傾聴、質問、承認、フィードバックなどのスキルと実践例が扱われます。ここまでの考え方を、実際の対話でどう使うのかを確認する章です。
第6章では、コーチングを個人の成長支援から組織全体の変化へ広げています。組織開発、リサーチ、効果測定といった視点も入り、1対1の対話を組織の対話文化や風土づくりに接続する章です。
忙しい人が先に読むならここ
最初に読むなら、第1章です。本書はコーチングを単なる聞き方や質問法としてではなく、目標達成と成長支援のプロセスとして説明しているため、ここを飛ばすと後半のスキルの意味が薄くなります。1on1を雑談で終わらせたくない人ほど、まずこの章で目的と前提を押さえるとよいでしょう。
次に読むなら、第4章です。目標の明確化、現状の明確化、ギャップの原因分析が扱われており、実際の面談や部下育成に落とし込みやすい内容です。特に、Want to型の目標や成長目標の考え方は、目標設定を表面的に終わらせないための手がかりになります。
そのうえで、対話の関わり方を深めたい人は第3章、具体的なスキルを確認したい人は第5章へ進むと読みやすいです。組織開発やエグゼクティブ・コーチングまで視野に入れたい場合は、第6章を読むことで新版ならではの広がりが見えてきます。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んでいて特に印象に残ったのは、コーチングを「聞き方」や「質問の仕方」だけに閉じていないところです。傾聴、質問、承認、フィードバックといったスキルは出てきますが、本書ではそれらを目的ではなく、相手の目標達成と成長を支えるための手段として位置づけています。この整理があることで、コーチングを単なる会話テクニックとしてではなく、相手の行動や成長に継続的に関わるものとして捉え直せました。
もうひとつ印象に残ったのは、章の進み方がかなり段階的なことです。最初にコーチングの定義や目標の重要性を確認し、そこからPBPの視点、双方向・継続性・個別対応の原則へ進み、そのあとで具体的なプロセスやスキルに入っていきます。いきなり使える質問例に飛びつくのではなく、コーチが何を見て、どんな前提で関わるのかを先に整える構成になっている点に、実践書としての丁寧さを感じました。
特に第4章の目標を明確にするパートは、本書の中でも読みどころだと思います。Want to型の目標、Have toの目標、Hope toの目標、目的の視点、成長目標などが扱われており、目標設定を単なる数値や業績の話で終わらせていません。相手が本当に達成したいものは簡単には見えない、という前提に立っているため、1on1や面談で「目標を聞く」こと自体の難しさを改めて意識させられました。
すぐ試したくなったこと
読後にまず試したくなったのは、1on1や面談をただの近況確認で終わらせず、目標・目的・現状・ギャップを確認する場として設計することです。本書を読むと、対話の中身以前に、何のために話すのかを置かないとコーチングとして機能しにくいことが分かります。部下の話を聞くときも、話を受け止めるだけでなく、どの目標に向かっているのか、今どこにいるのかを一緒に整理する意識を持ちたくなりました。
また、目標設定の場面では、Have to型の目標だけでなく、Want to型の目標や成長目標も確認したくなります。業務上やるべきことだけを確認すると、面談は管理寄りになりやすいですが、本書はそこに目的や本人の成長の視点を入れることを促しています。目標を押しつけるのではなく、相手がどう意味づけているのかを見ることが、コーチング型の関わり方につながるのだと感じました。
さらに、傾聴や質問だけでなく、承認、フィードバック、リクエストを意図的に使い分けることも試したくなりました。本書ではスキルが単独で並んでいるのではなく、目標達成までの流れの中で使われます。そのため、「どの言葉を使うか」よりも、「今の相手には何が必要か」を考えて関わることが大切だと受け取りました。
読んで気になった点
気になった点を挙げるなら、かなり幅広く扱う本なので、読む目的によっては重く感じる可能性があることです。定義、視点、原則、プロセス、スキル、個人事例、組織導入事例まで進むため、すぐに使える質問フレーズだけを探している人には遠回りに感じられるかもしれません。特に前半は概念や前提の整理が多く、便利な会話例を短時間で拾うタイプの本ではありません。
また、タイトルから「この1冊であらゆるコーチング理論を完全に網羅している本」と期待すると、少しずれが出そうです。読んだ印象としては、コーチ・エィの実務的なコーチング観を軸に、ビジネスやマネジメントの現場で使いやすいよう体系化した基本書です。プロコーチになるための詳細な訓練書というより、コーチングの考え方と実践の土台をつかむ本として読むほうが合っています。
一方で、この広さは弱点というより、読者層によって評価が分かれそうな点だと思います。部下育成や1on1に悩む管理職には全体像をつかむ助けになりますが、会話例だけを手早く知りたい人や、心理カウンセリング寄りの深い内面探求を期待する人には方向性が違うかもしれません。読み終えて残ったのは、コーチングを「優しく聞くこと」ではなく、「相手の目標達成と成長に継続的に関わること」として捉える視点でした。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書を読んだあとにまず変えたいのは、1on1や面談を「話を聞く時間」だけで終わらせないことです。大きな仕組みを作る前に、目標・目的・現状・行動を少し意識して対話するだけでも、コーチングの見え方は変わります。
- 次の1on1では、近況確認だけでなく「今どの目標に向かっているか」を確認する。
- 部下の目標を聞くときは、業績目標だけでなく「成長したい点」も一緒に聞く。
- 相手の話を聞く前に、今は助言すべき場面か、考えを引き出す場面かを見極める。
- 会話の中で、相手の意欲や業務への適応度がどの状態にあるかを観察する。
- 質問をする前に、その質問が目標達成にどうつながるかを一度考える。
- 良かった点を伝えるときは、結果だけでなく、変化や小さな成長も言葉にする。
- フィードバックをするときは、責めるのではなく、現状を客観視する材料として伝える。
- 次の行動を曖昧にせず、相手が何を試すのかを最後に一緒に確認する。
- 一度の面談で完結させず、次回に振り返る前提で話を終える。
最初から全部をやろうとすると、面談そのものが重くなります。まずは「目標を確認する」「小さな成長を伝える」のどちらか一つから始めるだけでも十分です。
1週間で試すならこうする
Day1:まず、直近の1on1や育成面談を思い出し、何のための対話だったかを振り返ります。目標達成、成長支援、状況確認のどこに寄っていたかを分けて見るだけで十分です。
Day2:次の面談前に、相手の目標と現状を自分なりに整理しておきます。ここでは結論を決めつけず、対話の中で確認したいことを明確にします。
Day3:面談では、相手がどこに向かっているのか、今どこで止まっているのかを中心に聞きます。質問の数を増やすより、目標と現状のズレを一緒に見る意識を持ちます。
Day4:相手に必要なものを、知識やスキル、行動、あり方のどれに近いかで考えてみます。うまく分類できなくても、相手を一面的に見ないための練習になります。
Day5:承認やフィードバックを使う場面を一つ選びます。結果だけでなく、行動の変化や小さな前進に触れることを意識します。
Day6:面談後に、話した内容が次の行動につながったかを確認します。行動が曖昧なまま終わった場合は、次回どこを明確にするかだけ決めておきます。
Day7:1週間を振り返り、コーチングが機能しやすい場面と、そうでない場面を整理します。相手の状態や緊急性によって、コーチング以外の関わりが必要な場面もあると捉えるのが現実的です。
つまずきやすい点と対策
最初につまずきやすいのは、コーチングを実践しようとして「とにかく質問を増やす」方向に寄ってしまうことです。本書では質問や傾聴は手段として扱われているため、質問の数を増やすだけでは目標達成支援にはつながりにくくなります。小さく始めるなら、質問を増やす前に「この対話で確認したい目標は何か」を一つ決めておくとよいでしょう。
次につまずきやすいのは、目標設定を業績や数値だけで終わらせてしまうことです。本書では、目標を目的や成長テーマと結びつけて考えるため、単に達成すべき数字を確認するだけでは浅くなります。まずは「その目標は何のために必要か」「本人にとってどんな成長につながるか」を一つ添えて聞くと、対話が広がりやすくなります。
また、承認やフィードバックを使おうとして、ほめるか注意するかの二択になってしまうこともあります。本書の流れで考えるなら、相手を気分よくさせるためだけでなく、目標に近づくための気づきを渡すことが大切です。小さく始めるなら、結果への評価ではなく、前回からの変化や行動の具体的な部分を一つ伝えるところから始めると無理がありません。
最後に、継続性を意識しようとして、毎回の面談で多くを確認しすぎることにも注意が必要です。目標、現状、ギャップ、行動をすべて深掘りしようとすると、対話が重くなります。まずは次回に振り返る行動を一つ決めるだけに絞ると、コーチングを単発の会話ではなく、継続的な支援として使いやすくなります。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』は、コーチングの原則・視点・プロセスを体系的に押さえる本です。『新 コーチングが人を活かす』は、具体的なスキルや日常対話での使い方を補う本として比べやすく、『増補改訂版 ヤフーの1on1』は、1on1の設計・運用に焦点を絞った本として違いが出ます。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本』 | 原則・視点・プロセスの体系理解 | コーチングを基礎から整理したい人 |
| 『新 コーチングが人を活かす』 | 具体的スキルと日常対話 | 対話技術の入口を知りたい人 |
| 『増補改訂版 ヤフーの1on1』 | 1on1の運用・設計 | 上司と部下の面談に落とし込みたい人 |
『新 コーチングが人を活かす』との違い
本書は、コーチングを目標達成と成長支援のプロセスとして整理し、定義、PBPの視点、双方向・継続性・個別対応、目標設定や現状把握まで順に学ぶ構成です。一方で『新 コーチングが人を活かす』は、コーチングの具体的スキルや日常対話での使い方を補う本として違いがあります。
コーチングを初めて学び、まず全体像や考え方を押さえたい人には本書が合います。反対に、体系よりも会話の中でどう使うか、具体的な対話スキルの入口を知りたい人には『新 コーチングが人を活かす』が候補になります。
『増補改訂版 ヤフーの1on1』との違い
本書は、1on1にも役立ちますが、扱っている範囲はそれだけではありません。個人へのコーチングから、組織開発や対話文化づくりまで広げているため、コーチングそのものの理解を深める本です。一方で『増補改訂版 ヤフーの1on1』は、上司と部下の定期面談をどう設計し、運用するかに焦点を絞った本として比べやすいです。
1on1の前提となるコーチングの原則や目的を学びたい人には本書が向いています。すでに1on1を実施していて、面談の仕組みや運用面に落とし込みたい人には『増補改訂版 ヤフーの1on1』のほうが目的に合いやすいでしょう。
迷ったらどれを選ぶべき?
- コーチングの全体像を基礎から学びたい人:本書
- 対話スキルの入口を知りたい人:『新 コーチングが人を活かす』
- 1on1の設計や運用を具体化したい人:『増補改訂版 ヤフーの1on1』
本書を選ぶべきなのは、質問や傾聴の前に、何のために対話するのかを整理したい人です。1on1を形だけで終わらせたくない管理職や、社内コーチ・人材開発担当者のように、個人支援から組織への展開まで見通したい人に向いた一冊です。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
コーチ・エィは、システミック・コーチングによる対話型組織開発、コーチング人材育成、リーダーシップ開発・組織開発・調査研究を事業としている会社です。本書では「コーチ・エィ 著」として、コーチングを個人の対話スキルだけでなく、組織内の対話や人材開発にもつながるテーマとして扱っています。
鈴木義幸氏は、コーチ・エィの取締役会長/エグゼクティブコーチです。慶應義塾大学文学部人間関係学科社会学専攻を卒業し、ミドルテネシー州立大学大学院で臨床心理学を専攻しています。コーチ・トゥエンティワンの設立に携わり、2001年の株式会社コーチ・エィ設立時に取締役副社長、2007年に取締役社長、2018年に代表取締役社長、2025年より取締役会長を務めています。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書の信頼性は、コーチングを現場の対話スキルだけでなく、組織開発やリーダーシップ開発まで含めて扱える背景にあります。コーチ・エィは、対話型組織開発やコーチング人材育成、調査研究を事業としているため、本書でも個人へのコーチングだけでなく、組織全体への導入や効果測定の文脈まで広げて説明されています。
鈴木氏の経歴も、本書のテーマと直接つながっています。臨床心理学を学び、コーチ・エィの経営に長く関わり、エグゼクティブコーチとして経営者へのコーチング実績を持つ人物が監修しているため、目標達成、成長支援、経営層へのコーチング、組織内コミュニケーションといった本書の主要テーマに一貫性があります。
そのため本書は、単なる質問フレーズ集ではなく、コーチングの定義、コーチが持つべき視点、双方向・継続性・個別対応の原則、さらに組織開発への展開までを体系的に整理する本になっています。コーチングを「聞き方」だけでなく、人と組織の成長を支える対話プロセスとして理解したい読者にとって、著者・監修者の活動領域と本書の内容がかみ合っている一冊です。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
大枠を知りたいだけなら、要約だけでも本書の方向性はつかめます。コーチングを質問や傾聴の技術だけでなく、目標達成と成長支援のための対話プロセスとして扱う本だ、という判断はできます。
ただし、1on1や育成面談に活かしたい人は本文まで読んだほうがよいです。特に、目標の明確化、現状把握、ギャップの原因分析、相手の状態の見極めは、要約だけでは実践時の判断材料が不足しやすい部分です。
初心者でも読める?
初心者でも読めますが、軽い会話術の本として読むと少し重く感じるかもしれません。本書は、コーチングの定義から始まり、コーチが持つべき視点、3つの原則、実践プロセス、スキル、組織導入事例へと段階的に進みます。
コーチングを初めて体系的に学びたい人や、1on1・部下育成に課題を感じている人には読みやすい構成です。一方で、すぐに使える質問フレーズだけを探している人には、概念や原則の説明が多く感じられる可能性があります。
どこから読むべき?
基本的には、第1章から順に読むのが向いています。本書は、コーチングの定義と目標の重要性を確認したうえで、PBPの視点、双方向・継続性・個別対応の原則へ進み、その後に具体的なプロセスやスキルを扱う構成だからです。
忙しい人が先に読むなら、第1章と第4章を優先するとよいです。第1章で「コーチングとは何を支援するものか」をつかみ、第4章で目標の明確化、現状の明確化、ギャップの原因分析を読むと、1on1や面談に使うときの土台が見えやすくなります。スキルを確認したい人は、そのあと第5章に進むと流れが自然です。
読む前に注意点はある?
注意したいのは、「この1冊ですべてわかる」というタイトルを、あらゆる流派や理論を完全に網羅した本だと受け取らないことです。本書は、コーチ・エィの実務的なコーチング観を軸に、ビジネスやマネジメントの現場で使いやすい形に体系化した基本書として読むほうが合います。
また、即効性のある質問集や会話例だけを求める人には、少し期待とずれるかもしれません。定義、視点、原則、プロセス、組織への展開まで扱うため、読む範囲は広めです。ただ、その分、コーチングを単なるテクニックではなく、相手の目標達成と成長に継続的に関わるものとして理解したい人には、得られるものが大きい一冊です。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、コーチングを「聞き方」や「質問の技術」だけでなく、目標達成と成長支援の体系として捉え直せることです。傾聴、質問、承認、フィードバックは出てきますが、それらは目的ではなく手段として整理されています。1on1や部下育成を、雑談や相談対応で終わらせたくない人にとって、対話の目的を見直すきっかけになります。
2つ目の価値は、実務に持ち帰れる流れがあることです。本書は、定義から始まり、コーチが持つべき視点、3原則、目標の明確化、現状把握、ギャップ分析、スキル、事例へと進みます。いきなり会話例を覚えるのではなく、何を見て、どんな順番で関わるのかを整理できるため、面談の設計に使いやすい本です。
3つ目の価値は、個人の成長支援だけでなく、組織への広がりまで見えることです。新版では、エグゼクティブ・コーチングや組織開発、効果測定、1対1の面談へのシフトも扱われています。コーチングを個人スキルで終わらせず、対話文化や組織開発につなげて考えたい人には、この広がりが判断材料になります。
この本をおすすめできる人・合わない人
この本をおすすめできるのは、コーチングを基礎から体系的に学びたい人、1on1や部下育成に関わる管理職・リーダー、個人の成長支援だけでなく組織開発への広がりも知りたい人です。特に、目標設定や成長支援の会話に手応えがない人には、対話を成果や行動につなげる視点を得やすい内容です。
一方で、すぐ使える質問フレーズだけを短時間で拾いたい人には、少し重く感じる可能性があります。また、心理カウンセリング寄りの深い内面探求を期待する人も、方向性がやや違います。本書は、ビジネスやマネジメントの現場で、目標達成と成長にどう関わるかを学ぶ基本書として読むのが合っています。
読むならどう活かす?
読むなら、まず自分の1on1や面談の目的を見直すところから始めるのがよいです。今日できる一歩として、次の面談前に5分だけ、「この対話は相手の目標達成や成長支援につながっているか」を書き出してみると、本書の考え方を使いやすくなります。
そのうえで、面談中は「聞く」「質問する」だけに寄せすぎず、目標、現状、ギャップ、次の行動、振り返りの流れを意識するとよいでしょう。相手が必要としているものが、知識やスキルなのか、行動の後押しなのか、あり方への気づきなのかを分けて見ることも、本書から持ち帰りたい視点です。
次に読むならこの本
- 『新 コーチングが人を活かす』:コーチングの全体像を押さえたあと、具体的な対話スキルや日常での使い方を補いたいときに向く本です。
- 『増補改訂版 ヤフーの1on1』:本書で学んだコーチングの考え方を、上司と部下の定期面談の設計や運用に落とし込みたいときに読みたい本です。
- 『新 問いかけの作法』:コーチングの質問や対話の部分をさらに深め、1on1や会議で相手の思考を引き出す問いを学びたいときに役立つ本です。
部下育成について学べるおすすめ書籍

部下育成について学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
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- 新しい教え方の教科書 Z世代の部下を持ったら読む本
- 増補改訂版 フィードバック入門 部下が成果を出すための最も効果が高い育成の技術
- アドバイスしてはいけない 部下も組織も劇的にうまくいくコーチングの技術
- 新 コーチングが人を活かす
- 「任せて育つチーム」はどこが違うのか 科学的に正しい「勝てる営業」のつくり方
- 自分の頭で考えて動く部下の育て方 上司1年生の教科書
- Z世代・さとり世代の上司になったら読む本
- できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]
- Z世代に嫌われる上司 嫌われない上司
- はじめてのリーダーのための 実践! フィードバック
- 変革的コーチング 5つの基本手法と3つの脳内習慣
- この1冊ですべてわかる 新版 コーチングの基本