
部下に任せたいのに、結局自分で抱え込んでしまう。『できるリーダーは、「これ」しかやらない』は、リーダーがもっと頑張るのではなく、頑張る場所を変えることで部下が動きやすくなる関わり方を考える本です。
この記事では、任せることと放任の違い、現場リーダーの悩みに沿った構成、読んで印象に残った点や注意点を整理します。読み進めることで、この本が今の自分の課題に合うか、購入前に判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『できるリーダーは、「これ」しかやらない』は、仕事を抱え込みがちなリーダーが「自分で頑張る」状態から抜け出し、部下が自分で動きやすくなる任せ方を学ぶための本です。単に仕事を振る方法ではなく、任せることを放任や丸投げにしないための考え方、部下の成熟度に応じた関わり方、チーム全体を動かす視点まで扱っています。
向いている人
向いているのは、部下に任せたいのに細かく指示してしまう人、自分がやったほうが早いと考えて仕事を抱えがちな人です。特に、プレイヤーとして成果を出してきた一方で、リーダーとして部下の主体性をどう引き出せばよいか悩んでいる人には合いやすい内容です。
また、初めて部下を持った管理職や、若手・中堅・ベテランなど相手に応じた接し方を整理したい人にも向いています。本書は、任せる覚悟、信頼関係、やる気の引き出し方、チームづくり、意思決定まで広く扱うため、リーダーとしての関わり方全体を見直したい人に役立ちます。
向いていない人
一方で、すぐ使える声かけフレーズだけを知りたい人や、短時間で読める極端に絞られたノウハウ集を期待している人には、少し広く感じられるかもしれません。タイトルから「これだけやれば全部解決する」という印象を持つと、実際の内容とのズレが出やすいです。
また、リーダーシップ理論や組織論を学術的に深く学びたい人には、やや実務寄りの本です。現場の悩みに沿って読み進めるタイプのため、理論体系を細かく整理したい人は、別の専門書と組み合わせたほうがよいでしょう。
先に結論(買う価値はある?)
多忙な管理職やプレイングリーダーが、自分の頑張り方を見直したいなら、読む価値はあります。理由は、本書が「部下が動かない原因」を部下の能力不足だけにせず、リーダーの任せ方、意味づけ、信頼関係、チームの仕組みまで含めて考え直せる構成になっているからです。
特に大事なのは、「任せる」と「放任」を分けて考えられるようになる点です。部下に任せるのが怖い人ほど、読後に「何を手放し、どこに力を入れるべきか」を整理しやすくなります。部下をもっと動かしたいと感じているなら、まず自分の関わり方を点検する一冊として手に取る価値があります。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、リーダーの悩みを「能力不足」ではなく「頑張る場所のズレ」として捉え直していることです。本書は、部下の話を聞く時間がない、任せられない、細かく指示してしまうといった悩みに対して、リーダーがさらに頑張るのではなく、力を入れる場所を変える必要があると考えます。多忙な管理職やプレイングリーダーほど、自分で抱え込むことでかえって部下の主体性を奪ってしまう可能性がある、という問題意識が土台にあります。
2つ目のポイントは、「任せる」と「放任」を明確に分けていることです。本書で扱われる任せ方は、仕事を丸投げすることではありません。新人には丁寧に教えながら任せ、中堅には考える余地を渡し、ベテランには力を発揮できる関わり方を考えるなど、部下の成熟度や特性に応じた接し方が重視されています。任せる前に目的や期待する学びを考えることも、大事な前提になっています。
3つ目のポイントは、部下への仕事の渡し方だけでなく、チーム全体を動かす仕組みまで扱っていることです。本書は、信頼関係、やる気の引き出し方、ビジョン、評価指標、会話、意思決定、リーダーの孤独まで話を広げていきます。そのため、単なる依頼術の本というより、リーダーとしての関わり方全体を見直すためのマネジメント書として読めます。
著者が一番伝えたいこと
著者が一番伝えたいのは、リーダーの役割は「自分が全部やること」ではなく、部下が挑戦し、仕事を通じて成長を感じられる状態をつくることだといえます。本書は冒頭で、部下をワクワクさせているかという問いを置きます。ここでいうワクワクは、ただ楽しく働くことではなく、挑戦と成長実感がある状態です。
そのため、本書の中心にあるのは「どうすれば部下が自分から動くか」という問いです。成果目標を伝えるだけでは不十分で、その仕事にどんな意味があり、何が得られるのかをリーダーが示す必要がある。さらに、部下の成長を止めないためには、自分の経験や正解を押しつけすぎず、相手が考え、決め、経験できる余地を渡すことが大切だと整理されています。
読むと得られること
この本を読むと、まず「任せられない理由」を部下のスキル不足だけにしない視点が得られます。自分が抱え込みすぎていないか、マイクロマネジメントになっていないか、部下との会話が業務指示と確認だけになっていないかを点検しやすくなります。部下が動かないと感じる前に、リーダー側の関わり方を見直すきっかけになります。
また、任せる前後に何を考えるべきかも整理できます。方針や目的を示すこと、部下に何を学んでほしいのかを考えること、相手の段階に合わせてティーチングやコーチングを使い分けることなど、実務に落とし込みやすい観点が多く含まれています。
読み終えたあとに残るのは、「部下にもっと頑張らせる」ではなく、「部下が動きたくなる条件を整える」という見方です。仕事を任せたいけれど不安がある人、自分でやったほうが早いと感じてしまう人にとって、リーダーとして何を手放し、どこに力を入れるべきかを考える一冊になります。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなり「任せ方のテクニック」から入るのではなく、まずリーダーが抱えがちな悩みを整理するところから始まります。部下の話を聞けない、任せられない、細かく指示してしまうといった問題を、リーダー個人の能力不足ではなく「力の入れどころ」のズレとして捉え直す構成です。
そこから、部下に経験を渡すための任せ方、信頼されるリーダーの関わり方、部下のやる気を引き出す方法へと進みます。後半では、個別の部下育成にとどまらず、チーム全体を動かす仕組み、リーダーの意思決定、孤独や不条理への向き合い方まで広がります。全体としては、「自分が頑張るリーダー」から「人とチームが動く状態をつくるリーダー」へ読者を導く流れです。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 リーダーの悩みは、「頑張るポイント」を変えるだけで解決する
- 第2章 できるリーダーの「部下を覚醒させる任せ方」
- 第3章 「この人と頑張りたい」と思われるリーダーになる
- 第4章 部下が「自分からやりたくなる」ように導く
- 第5章 一丸となって「戦えるチーム」の作り方
- 第6章 スパッ! と「決められる」リーダーになる
- 第7章 「リーダーの孤独」を感じた時こそ、勝負どころ
各章の要点
第1章は、リーダーが陥りやすい悩みをほどく入口です。時間がない、任せられない、指示しすぎるといった問題を、努力不足ではなく「どこに力を入れるか」の問題として整理します。
第2章は、本書の核である任せ方を扱う章です。任せる覚悟、部下に経験させること、新人への関わり方などが並び、「任せる」と「放任」の違いを理解する橋渡しになります。
第3章は、部下が「この人となら頑張りたい」と思えるリーダー像に進みます。信用と信頼、ほめ方、仕事の意味づけなど、任せる前後に必要な関係づくりを扱う章です。
第4章は、部下が自分から動きたくなる状態をつくる章です。Will-Can-Must、SMART、自己決定感、ティーチング、コーチングなど、相手の状態に合わせて育てる視点がまとまっています。
第5章は、個別の部下育成からチーム全体の設計へ広がります。ビジョン、会話量、評価指標、仕組みを整えることで、メンバーが動きやすい土台をつくる章です。
第6章は、リーダー自身の意思決定を扱います。迷わないための判断軸、課題の捉え方、リスクを抑えた実験など、任せる側のリーダーがぶれないための内容です。
第7章は、リーダーの孤独や不条理への向き合い方で締めくくられます。チームを動かす方法だけでなく、リーダー自身が折れずに立ち続けるための視点まで扱っているのが特徴です。
忙しい人が先に読むならここ
最初に読むなら、第1章で自分の悩みと本書の問題意識を確認するのがおすすめです。部下が動かない、任せられない、細かく指示してしまうという悩みを、部下側だけの問題にしない視点が得られます。
次に読むべきは第2章です。ここでは「任せる」と「放任」の違いが整理され、リーダーがどこまで関わり、どこから委ねるのかを考えやすくなります。読後の印象としても、この区別が本書の軸になっていました。
実践に移したい人は、第4章まで進むとよいです。部下の成熟度に応じたティーチングやコーチング、自己決定感を引き出す考え方が扱われるため、日々の接し方に落とし込みやすくなります。チーム全体の仕組みまで見直したい人は第5章、決断や孤独に悩んでいる人は第6章・第7章へ進むと、必要な部分から読みやすい構成です。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んでいて一番印象に残ったのは、この本が「リーダーはもっと頑張るべきだ」と押してくるのではなく、「その頑張り方は本当に部下のためになっているのか」と問い直してくるところです。多忙な管理職やプレイングリーダーほど、自分で抱え込むことで問題を解決しようとしがちですが、本書はそこに一度立ち止まる視点を与えてくれます。
特に、「任せる」を単なる仕事の割り振りとして扱っていない点が残りました。任せることと放任することを分け、部下の特性や成熟度に応じて関わり方を変えるという考え方が、全体を通して軸になっています。新人には不安を取り除く関わり方、中堅には考える余地を渡す関わり方、ベテランには力を発揮してもらう関わり方が必要になるため、「任せる」といっても一律ではないのだと分かります。
もう一つ印象的だったのは、本書が冒頭で置いている「部下が挑戦し、仕事を通じて成長を感じられているか」という問題意識です。成果目標を掲げるだけではなく、その仕事にどんな意味があり、何が得られるのかをリーダーが語る必要がある。この視点があることで、任せ方の本でありながら、単なる業務委任のテクニックにとどまらない読み味になっています。
すぐ試したくなったこと
読後にまず試したくなったのは、自分が抱え込んでいる仕事や役割を見直し、部下に経験として渡せるものを分けてみることです。ただ仕事を減らすために渡すのではなく、「この仕事を通じて何を学んでほしいのか」を考えてから任せる、という発想はすぐ実務に持ち込めそうだと感じました。
また、細かく指示する場面と、部下に考えさせる場面を切り分けることも試したくなります。本書は、マイクロマネジメントを避ける一方で、放任にも寄せないバランスを意識しています。新人には丁寧に関わり、中堅には考える力を伸ばすなど、相手の状態に合わせて任せ方を変える視点は、現場で使いやすいと感じました。
さらに、部下に対して業績目標だけを伝えるのではなく、その仕事にどんな意味があるのか、どんな成長につながるのかを言葉にすることも印象に残りました。著者自身の反省から出てきた論点として読めるため、単なる理想論ではなく、リーダーが日々の会話で見直せるポイントとして受け止めやすいです。
読んで気になった点
気になった点を挙げるなら、扱う範囲がかなり広いことです。任せ方から始まり、信頼関係、動機づけ、チームづくり、意思決定、リーダーの孤独まで進むため、部下への仕事の頼み方だけを知りたい人には、少し広く感じるかもしれません。ただ、この広さは弱点というより、本書が「任せ方」をリーダーのあり方全体につなげて考えているからだと思います。
もう一つは、公式の打ち出し方から受ける印象とのズレです。「メンバーが自ら動き出す」という言葉だけで読むと、すぐに部下が変わる即効テクニックを期待してしまうかもしれません。しかし実際には、リーダー自身の考え方や関わり方を変えていく本です。Will-Can-Must、SMART、GROWモデル、BSCなど実務に使いやすい枠組みも出てきますが、それらをそのまま当てはめれば解決するというより、現場に合わせて考えながら使う内容だと感じました。
「部下をワクワクさせる」という表現も、人によっては少し軽く聞こえる可能性があります。ただ、本書で扱われているのは、楽しい雰囲気づくりや甘やかしではありません。部下が挑戦し、成長を感じられるように、リーダーが何を任せ、何を語り、どう支えるかを考える本として読むと、かなり実務的なテーマとして受け止められます。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書を読んだあとは、いきなり大きな改革を始めるよりも、「自分が抱えすぎているもの」を見直すところから始めるのが現実的です。ポイントは、仕事を減らすために任せるのではなく、部下の経験や成長につながる形で渡すことです。
- 自分が抱え込んでいる業務を洗い出し、部下に経験として渡せそうなものを分ける。
- 任せる前に、その仕事を通じて部下に何を学んでほしいのかを一言で書き出す。
- 細かく指示している場面と、部下に考えさせられる場面を切り分ける。
- 業績目標だけでなく、その仕事がどんな成長につながるかを言葉にする。
- 新人・中堅・ベテランなど、相手の状態によって任せ方を変える意識を持つ。
- 部下との会話が業務確認だけになっていないかを振り返る。
- チームのビジョン、会話量、評価指標、仕組みがかみ合っているかを見直す。
- 迷ったときに立ち返る判断軸を、自分の中で短く整理しておく。
最初に取り組むなら、「任せる仕事を探す」よりも、「何を学んでほしいのかを考える」ことから始めるとよさそうです。そこが曖昧なままだと、任せたつもりが丸投げになりやすくなります。
1週間で試すならこうする
Day1は、自分が今抱えている業務や判断を紙に書き出します。その中から、部下に任せることで経験になりそうなものと、まだ自分が持つべきものを分けます。
Day2は、任せたい仕事ごとに「部下に何を学んでほしいか」を整理します。作業そのものではなく、判断力、段取り、顧客理解、チームへの関わりなど、得てほしい経験に目を向けます。
Day3は、任せる相手の状態を考えます。新人には不安を減らす関わり、中堅には考える余地を残す関わり、ベテランには力を引き出す関わりというように、同じ任せ方で済ませないことを意識します。
Day4は、仕事を渡すときの伝え方を見直します。やることだけでなく、目的や期待する成長、任せる理由を短く添えることで、単なる作業依頼になりにくくなります。
Day5は、細かく口を出しすぎていないかを確認します。すべてを任せきるのではなく、確認するポイントだけを決めて、部下が考える余白を残します。
Day6は、チーム単位での見直しに広げます。会話量、ビジョン、評価指標、役割分担が、部下の主体性を引き出す方向に向いているかを点検します。
Day7は、1週間で試したことを振り返ります。うまく任せられた点、放任に近づいた点、まだ自分が抱えている点を整理し、次に小さく変える行動を1つ決めます。
つまずきやすい点と対策
まず起こりやすいのは、「任せる」を仕事の丸投げにしてしまうことです。部下に経験を渡すつもりでも、目的や期待する学びを伝えないままだと、相手にはただ負担が増えたように映るかもしれません。小さく始めるなら、任せる前に「この仕事で何を経験してほしいのか」を一言だけ添えるところからで十分です。
次につまずきやすいのは、心配になって細かく指示しすぎることです。本書が注意しているように、マイクロマネジメントに寄りすぎると、部下が自分で考える余地を失いやすくなります。最初から完全に手放すのではなく、確認のタイミングだけ決めて、進め方には少し余白を残すと始めやすくなります。
もう一つは、相手に合わせず同じ任せ方をしてしまうことです。新人、中堅、ベテラン、年上部下では、不安の大きさも、任せられたときの受け止め方も変わります。最初は大きく分類するだけでもよいので、「丁寧に伴走する相手か」「考える余地を渡す相手か」「最高出力を引き出す相手か」を意識して関わると、放任にも過干渉にも寄りにくくなります。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
この本と近いテーマの本を比べると、違いは「何を起点にマネジメントを見直すか」にあります。本書は、部下に任せられず抱え込んでしまうリーダーに向けて、任せ方と頑張りどころを整理する本です。一方で、ほかの本はマネジャーへの意識転換や、挑戦しやすいチーム環境づくりに重心があります。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『できるリーダーは、「これ」しかやらない』 | 任せ方と頑張りどころ | 部下に任せられず抱え込む管理職 |
| 『リーダーの仮面』 | プレイヤーからマネジャーへの転換 | 距離感やルールを見直したい人 |
| 『心理的安全性のつくりかた』 | 挑戦しやすいチーム環境 | 意見が出る組織づくりを深めたい人 |
『リーダーの仮面』との違い
本書は、リーダーがすべてを抱え込む状態から抜け出し、部下に経験と成長機会を渡すための「任せ方」に焦点を置いています。序盤でリーダーの悩みを整理し、その後に任せる覚悟、信頼関係、部下の動機づけ、チームづくりへ広げていく流れです。『リーダーの仮面』は、プレイヤーからマネジャーへ切り替えるための考え方を、距離感・ルール・成長への向き合い方から整理する本として比べやすいです。
部下に任せたいのに自分でやってしまう、細かく指示しすぎる、相手の成熟度に合わせた任せ方が分からないという悩みなら、本書のほうが入りやすいでしょう。プレイヤー時代の感覚を引きずっていて、まずマネジャーとしての立ち位置や部下との距離感を見直したい人には、『リーダーの仮面』が合いやすいです。
『心理的安全性のつくりかた』との違い
本書は、部下が自ら動きやすくなるために、リーダーが何を任せ、何を語り、どう支えるかを実務寄りに整理しています。Will-Can-Must、SMART、GROWモデル、BSCなどの枠組みも出てきますが、中心はあくまで多忙なリーダーが現場でどう関わるかです。『心理的安全性のつくりかた』は、部下が挑戦し、意見を出しやすいチーム環境づくりを理論と実践面から補う本として位置づけられます。
すぐに見直したい課題が「任せ方」「抱え込み」「部下への仕事の渡し方」にあるなら、本書が向いています。チーム内で意見が出にくい、挑戦が生まれにくい、安心して発言できる場をどうつくるかを深めたいなら、『心理的安全性のつくりかた』のほうが目的に合いやすいでしょう。
迷ったらどれを選ぶべき?
- 部下に任せられず抱え込んでいる:本書
- プレイヤー感覚から抜け出したい:『リーダーの仮面』
- 挑戦や発言が生まれるチームをつくりたい:『心理的安全性のつくりかた』
本書を選ぶべきなのは、「自分がもっと頑張ればいい」と考えがちなリーダーです。仕事を手放すことを単なる省力化ではなく、部下の成長機会として捉え直したい人には、最初の一冊として使いやすい内容です。特に、忙しさの中で部下との関わり方が業務指示や確認に偏っている人ほど、本書の「頑張る場所を変える」という視点が役に立ちます。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
伊庭正康氏は、1969年京都府生まれ。1991年にリクルートグループへ入社し、営業部長、株式会社フロムエーキャリア代表取締役などを歴任しています。2011年には企業研修を提供する株式会社らしさラボを設立。PHP研究所の書籍ページでは、株式会社らしさラボ代表取締役、営業コンサルタントとして紹介されています。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書のテーマである「任せ方」や「部下育成」は、伊庭氏の営業組織でのマネジメント経験、企業研修の活動とつながっています。リクルートグループで営業部長や関連会社代表を務めた経歴があり、現場のリーダーが抱えやすい悩みを扱う背景があります。
本書が単なる理想論ではなく、部下に任せられない不安、プレイングリーダーの抱え込み、チームづくり、意思決定まで広く扱っているのは、著者の実務経験と研修領域の接点があるためです。個人の経験に基づくマネジメント論として読みつつ、現場の悩みを整理する本として活用しやすい一冊です。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
本の大枠を知りたいだけなら、要約だけでも「自分で抱え込むリーダーが、任せ方を見直す本」だという全体像はつかめます。購入前に、自分の悩みと合うかを判断したい場合も、任せること、部下の主体性、チームづくりまで扱う本だと分かれば十分な判断材料になります。
ただし、実際に部下への関わり方を変えたい人は、本文まで読んだほうがよい本です。特に「任せる」と「放任」の違い、部下の成熟度に応じた接し方、マイクロマネジメントを避ける考え方は、要約だけでは行動に落とし込みにくい部分です。
初心者でも読める?
初めて部下を持つ人や、リーダー経験が浅い人でも読みやすい内容です。序盤では、部下の話を聞く時間がない、任せられない、叱り方が難しい、年上部下への接し方に悩むといった現場の悩みから入るため、専門知識がなくても自分ごととして読み始めやすい構成になっています。
一方で、チームのビジョン、評価指標、意思決定、リーダーの孤独まで話題が広がるため、すぐ使える一問一答だけを期待すると少し幅広く感じるかもしれません。部下育成やチーム運営をこれから学びたい人には、まず気になる章から読むほうが入りやすいでしょう。
どこから読むべき?
基本は通読しやすい本です。リーダーの悩みを整理し、任せ方、信頼関係、部下の動機づけ、チームづくり、意思決定、リーダーの孤独へ進む流れになっているため、最初から読むと本書の問題意識をつかみやすくなります。
忙しい人は、第1章と第2章を先に読むのがよいでしょう。抱え込みや任せられなさの原因を確認したうえで、「任せる」を単なる仕事の振り分けではなく、部下の成長機会として捉え直せます。その後、部下との関係に悩むなら第3章・第4章、チーム全体を動かしたいなら第5章、判断や孤独に悩むなら第6章・第7章へ進むと読みやすいです。
読む前に注意点はある?
タイトルの「これしかやらない」を、リーダーが何もしなくてよいという意味で受け取らないほうがよいです。本書は仕事を極端に減らす本ではなく、リーダーが力を入れる場所を変え、部下が挑戦や成長を感じやすい状態をつくるための本です。
また、「任せる」を丸投げや放任と同じ意味で読むと、内容を誤解しやすくなります。新人には丁寧に教え、中堅には考える力を引き出し、ベテランには定期的な関わりを持つなど、相手に応じた関わり方が前提です。即効性のある小技だけを探すより、自分の頑張り方やチームへの関わり方を見直す本として読むほうが合っています。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、リーダーの悩みを「能力不足」ではなく「頑張る場所のズレ」として見直せることです。部下の話を聞く時間がない、任せられない、細かく指示しないと不安になるといった悩みを、リーダー個人の根性論にせず、力の入れどころとして整理してくれます。読むことで、「もっと頑張る」以外の選択肢を持ちやすくなります。
2つ目の価値は、「任せる」と「放任」を分けて考えられることです。本書は、仕事をただ渡せばよいとは考えていません。新人には不安を減らす関わりをし、中堅には考える余地を渡し、ベテランには力を引き出す接し方を考えるなど、相手に応じた任せ方を扱っています。任せたいけれど丸投げになりそうで怖い人には、判断の土台になります。
3つ目の価値は、部下育成だけでなく、チームづくりや意思決定、リーダーの孤独まで視野を広げていることです。単なる仕事の振り方ではなく、信頼関係、ビジョン、評価指標、会話量、判断軸まで含めて見直せます。管理職としてぶつかりやすいテーマを一通り点検したい人にとって、実務に持ち帰りやすい一冊です。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、多忙な管理職、初めて部下を持つリーダー、プレイングリーダー、部下に任せられず悩んでいる人です。特に「自分がやったほうが早い」と感じがちな人や、部下が自分から動かない原因を見直したい人には向いています。
一方で、組織論やリーダーシップ理論を体系的に深く学びたい人には、やや実務寄りに感じられるかもしれません。また、「これしかやらない」というタイトルから、すぐ使える最短テクニックだけを期待すると、扱う範囲の広さにズレを感じる可能性があります。仕事を減らす本ではなく、関わり方を変える本として読むのが合っています。
読むならどう活かす?
まず持ち帰りたいのは、部下との会話が業務指示と確認だけになっていないかを見直すことです。今日できる一歩として、会議後や面談前に5分だけ、自分が抱え込んでいる仕事と、部下に経験として渡せそうな仕事を書き出してみるとよいでしょう。
次に、任せる前に「何をやってほしいか」だけでなく、目的や期待する学びまで言葉にすることです。本書の読みどころは、任せることを放任にしない点にあります。細かく管理するのではなく、方針や意味づけを示したうえで、方法や実行の余地を部下に渡す視点を持ち帰ると使いやすくなります。
次に読むならこの本
- 『できるリーダーは、「これ」しかやらない[聞き方・話し方編]』:任せた後の聞き方、話し方、質問の仕方を深めたい人に向く一冊です。
- 『リーダーの仮面』:プレイヤーからマネジャーへの切り替えを、別のマネジメント思想から補いたい人に向いています。
- 『心理的安全性のつくりかた』:部下が挑戦し、意見を出しやすいチーム環境づくりを理論と実践面から補いたいときに読みたい本です。
部下育成について学べるおすすめ書籍

部下育成について学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
- 部下育成について学べるおすすめの本ランキング
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