本選びの基準・比較 本の選び方

質問力の本の選び方|使う場面と質問の目的から一冊を絞る

質問力の本の選び方|使う場面と質問の目的から一冊を絞る

質問力を高める本を探すと、会話を深める質問、相手の本音や情報を引き出す質問、営業や会議で使う質問、考えを整理するための問いなど、同じ「質問」を扱っていても焦点の違う本が見つかります。タイトルだけでは似て見えるため、人気や知名度だけで選ぶと、今使いたい場面と内容がずれることがあります。

まず決めたいのは、質問で何を変えたいのかです。そのうえで、使う相手や場面、本が質問例や型を中心に扱うのか、問いの考え方まで掘り下げるのかを確認すると候補を絞りやすくなります。この記事では、聞き方の本との違いも整理しながら、質問力の本を購入前に比較する順序を具体的に紹介します。


もくじ
  1. 質問力の本は「質問で何を変えたいか」から選ぶ
  2. 使う場面が違えば、質問力本の優先順位も変わる
  3. 質問例を覚えたいのか、問いの考え方を学びたいのかを分ける
  4. 実在する質問力本を比べると、同じテーマでも焦点が違う
  5. 聞き方の本と質問力の本で迷うなら、主役がどちらかを見る
  6. 買う前に紹介文・目次・試し読みで3点を確かめる
  7. 迷ったら「目的→場面→学び方」の順で一冊へ絞る

質問力の本は「質問で何を変えたいか」から選ぶ

質問力の本は「質問で何を変えたいか」から選ぶ

質問力の本を比べるとき、最初に見るべきなのは「質問という技術を広く扱っているか」ではなく、その本が質問によって何を変えようとしているかです。同じように質問例や会話例が載っていても、相手から情報を得ることに重きを置く本、相手の考えを深める本、認識の食い違いを減らす本、自分自身への問いで思考を進める本では、読後に使える場面が変わります。

まず自分の目的を一つ決めると、タイトルや帯だけでは似て見える候補を外しやすくなります。目的が複数ある場合も、最初の一冊では「今いちばん困っている場面で使えるか」を優先すると比較しやすくなります。


相手から情報や本音を引き出したい

会話の途中で何を聞けばよいか分からない、相手の話をもう一段深く聞きたい、といった目的なら、質問の作り方だけでなく、相手の答えを受けて次の質問へつなぐ流れまで扱う本が候補になります。紹介文や目次では、「深掘り」「聞き出す」「インタビュー」「対話」などの語があるかだけでなく、それらにどの程度の章数が割かれているかまで確認します。

質問例が豊富でも、質問を投げる前後の聞き方や関係づくりをほとんど扱わない本もあります。自分が困っているのが「質問の言葉を思いつけないこと」なのか、「答えを受けて会話を深められないこと」なのかで、残す本は変わります。


相手の考えや気づきを深めたい

部下との1on1やコーチングのように、相手から情報を回収するより、相手自身に考えてもらうことが目的なら、質問の種類やフレーズだけでなく、「なぜその問いが相手の思考を進めるのか」まで説明する本が合いやすくなります。

この場合は、答えを早く得るための質問より、相手が自分で考え直したり、選択肢に気づいたりするための問いが中心かを見ます。営業や取材の質問術と似た語が出てきても、質問のゴールが違えば、同じ一冊を選ぶ必要はありません。


認識のズレや曖昧さを減らしたい

職場で「言った・言わない」が起きる、抽象的な言葉の受け取り方がずれる、相手の説明を具体化したい、といった目的なら、質問を会話の盛り上げ方ではなく、事実確認や認識合わせの方法として扱う本が候補になります。

このタイプでは、質問数の多さよりも、曖昧な発言をどう具体化するか、推測と事実をどう分けるか、確認の順序をどう考えるかが重要です。自分が求めているのが「話を広げる質問」ではなく「ズレを小さくする質問」なら、その目的を本の中心に置いているかを確認します。


自分の思考を深めたい

質問力の本には、相手への問いだけでなく、自分に問いを向けて考えを整理する内容を含むものもあります。アイデアを広げたい、問題の前提を問い直したい、行動を決める前に考えを深めたいという目的なら、対人会話だけを扱う本では足りないことがあります。

自問を重視する場合は、目次に「自分への質問」「問いを立てる」「思考」「問題設定」などの章があるか、その内容が付録的ではなく本の中心に近いかを見ます。相手との会話を改善したい人と、自分の考えを深めたい人では、同じ「質問力」という言葉でも選ぶ候補が変わります。


使う場面が違えば、質問力本の優先順位も変わる

使う場面が違えば、質問力本の優先順位も変わる

目的を決めたら、次はその質問をどこで使うかを確認します。質問の原則を広く扱う本でも、例の多くが営業や会議に偏っていれば、日常会話で使いたい人には距離があります。反対に、日常的な対話の例が中心の本では、商談や部下育成の具体的な進め方までは扱わないことがあります。


日常会話で使うなら、質問だけで会話を支配しない本かを見る

友人や家族、初対面の相手との会話では、質問を増やせば必ず話しやすくなるわけではありません。相手の答えに反応すること、自分のことも適度に話すこと、質問が尋問のようにならないことまで扱う本かを確認すると、実際の会話に当てはめやすくなります。

質問よりも「聞くこと」全般を改善したいなら、質問力本だけに絞らない方がよい場合もあります。聞く目的から本を比較したい場合は、聞き方の本の選び方の方が入口として合います。


営業・会議・報連相で使うなら、仕事の流れに質問が組み込まれているかを見る

仕事で使う質問は、相手から話を引き出すだけでなく、状況を確認する、課題を整理する、提案につなげる、認識をそろえるなど、目的が連続します。仕事向けの本を選ぶなら、単発の「使える質問集」だけでなく、自分が使う場面の前後まで説明されているかを見ます。

営業であればヒアリングから提案まで、会議であれば論点整理から意思決定まで、報連相であれば状況確認から次の行動まで、といった流れが自分の用途に近いほど、読後に使う場面を想像しやすくなります。


1on1や部下育成で使うなら、相手の自発性をどう扱うかを見る

1on1や部下育成では、上司が答えを得るだけではなく、相手が自分で考えたり、次の行動を決めたりすることが重要になる場面があります。そのため、質問例の数だけでなく、質問と相手の気づき・内省・自発性の関係を説明しているかが比較材料になります。

一方で、1on1全体の進め方や制度運用まで知りたいなら、質問力本より1on1そのものを扱う本の方が範囲は合いやすくなります。質問が主役なのか、面談運用が主役なのかを分けると、候補を混ぜずに済みます。


自分への問いとして使うなら、対人質問の本だけで決めない

問題整理や発想、自分の選択を考えるために質問を使いたいなら、「相手からどう答えを引き出すか」だけを扱う本は優先度が下がります。自分自身への問い、問いによる思考の深め方、前提の見直しなどを十分に扱うかを確認します。

同じ本の中に対人質問と自問の両方がある場合は、どちらが中心なのかを目次で見ます。自問が一章だけなのか、本全体を通じて問いと思考の関係を扱うのかで、選ぶ意味は変わります。


質問例を覚えたいのか、問いの考え方を学びたいのかを分ける

質問例を覚えたいのか、問いの考え方を学びたいのかを分ける

質問力本のもう一つの大きな違いは、読者に「すぐ使える言葉」を渡すのか、「状況に合わせて自分で問いを作る考え方」を渡すのかです。どちらが優れているという話ではなく、今の自分がどこで止まっているかで選択が変わります。


明日使う場面が決まっているなら、質問例や型が具体的な本

面談や商談が近い、会話中に質問が浮かばない、といった場合は、具体的な質問例や言い換え、場面別の型が多い本から始めると使い道を想像しやすくなります。このときは例の数だけでなく、自分の場面に近い例があるかを確認します。

ただし、フレーズをそのまま覚えるだけでは、相手の返答が想定と違ったときに応用しにくいことがあります。例文中心の本を選ぶ場合も、「なぜその質問を使うのか」という説明があるかを見ると、丸暗記で終わりにくくなります。


場面が変わっても応用したいなら、問いを作る原理まで扱う本

営業だけ、1on1だけと用途を狭く決めず、さまざまな対話で質問を使いたいなら、良い質問の条件や問いを組み立てる考え方まで扱う本が候補になります。読むときの負荷は少し上がっても、自分で質問を作り替えるための判断材料を得やすくなります。

目次では「質問例○○選」といった章だけでなく、質問の目的、問いの分類、相手への影響、質問を作るプロセスなどの説明があるかを見ます。


両方ほしい場合は、本全体の配分を見る

多くの本は「型だけ」「考え方だけ」と完全には分かれません。原理を説明した後に例文を載せる本もあれば、具体例を中心にしながら背景の考え方を補う本もあります。そのため、二択のラベルを付けるより、自分が必要とする内容にどの程度のページが使われているかを見る方が確実です。

紹介文だけでは配分が分かりにくいときは、目次や試し読みで、最初の数章と後半の章が何を扱っているか確認します。


実在する質問力本を比べると、同じテーマでも焦点が違う

実在する質問力本を比べると、同じテーマでも焦点が違う

質問力という言葉が同じでも、出版社の紹介や目次を確認すると本ごとの中心はかなり異なります。ここでは順位を付けるのではなく、何を確認すれば候補差が見えるかを具体例で整理します。


『質問力』は、質問そのものを広く鍛える内容を確認しやすい

筑摩書房の『質問力』は、質問力のトレーニング、良い質問とは何か、相手に沿って会話を深める技法などを目次で確認できます。質問の基本を広く捉えながら、対話の中で質問をどう使うかを学びたい人が候補として比較しやすい一冊です。

一方、特定の仕事場面だけをすぐ改善したい人は、自分の場面に直接対応する章がどの程度あるかを別に確認した方がよいでしょう。


『「良い質問」をする技術』は、気づきを生む問いを重視するかで見る

ダイヤモンド社の『「良い質問」をする技術』は、質問の重要性や分類に加え、質問によるひらめきや自発的行動、自分への質問まで扱っています。単に情報を聞き出すだけでなく、相手や自分の考えを動かす問いに関心があるなら、候補に残す理由が明確になります。

反対に、特定の商談や報連相で使う定型的な質問をすぐ増やしたい場合は、場面別の具体例がどの程度あるかを見てから判断します。


仕事の具体場面で使うなら、仕事特化の章構成を確認する

KADOKAWAの『質問しだいで仕事がうまくいくって本当ですか?』は、営業、相手の本音を引き出す質問、プレゼン、切り返しなど、仕事の流れに沿った章構成を確認できます。質問を仕事成果へつなげたい人にとっては、場面との近さが選択条件になります。

日常会話や自問を中心に学びたい場合は、仕事場面の具体性が自分の目的と合うかを見ます。「仕事で使える」という理由だけで全員に同じ本が合うわけではありません。


特定の質問法を身につけたいなら、手法の狭さも強みになる

ダイヤモンド社の『「なぜ」と聞かない質問術』は、解釈のズレを取り去るための「事実質問術」を中心にしています。質問全般を広く学ぶより、曖昧な認識を具体化する方法を重点的に学びたい人には、このような特化型の本が候補になります。

逆に、雑談、1on1、自問など幅広い質問の使い方を一冊で見たいなら、特定手法への集中度が高すぎないかを確認する必要があります。専門性が高いことは長所にもなりますが、自分の目的とずれていれば優先度は下がります。


聞き方の本と質問力の本で迷うなら、主役がどちらかを見る

聞き方の本と質問力の本で迷うなら、主役がどちらかを見る

聞き方の本にも、質問や相槌、深掘りの方法が出てくることがあります。そのため「質問が載っているから質問力本」「傾聴が出てくるから聞き方本」と単純には分けられません。

判断しやすいのは、本全体の主役を見ることです。相手を受け止める姿勢、相槌、沈黙、共感、聞く関係性などを含めて「聞くこと」を広く改善するなら聞き方本が中心です。良い問いの作り方、質問の種類、質問で相手や自分の思考を進めることが中心なら、質問力本として比較する方が自然です。

すでに「質問の仕方を学びたい」と決まっているなら、聞き方全般へ戻る必要はありません。一方、「質問だけでなく、そもそも相手の話を受け止められるようになりたい」と感じるなら、聞き方の本の選び方から候補範囲を広げる方が合います。


買う前に紹介文・目次・試し読みで3点を確かめる

買う前に紹介文・目次・試し読みで3点を確かめる

質問力本は、タイトルに「質問」「問い」「聞く」と書かれているだけでは、自分に必要な内容が中心か判断できません。最終候補が数冊まで絞れたら、購入前に出版社の紹介文、目次、試し読みを同じ順序で確認します。


1.質問で何を実現する本なのか

最初に、出版社の紹介文で「この本は質問によって何を変える本なのか」を一文で言えるか確認します。情報を引き出す、相手の思考を深める、認識をそろえる、仕事を進める、自分の考えを深めるなど、中心目的が自分と合っていれば残します。

目的が複数書かれている場合は、目次で本当に大きな比重があるものを見ます。帯や紹介文に一度出てくるだけの用途を、本全体の中心だと判断しないことが大切です。


2.自分が使う場面に十分な具体例があるか

次に、日常会話、商談、会議、1on1、部下育成、取材、自問など、自分が質問を使う場面に近い章や例があるかを確認します。場面が合えば、読んだ後に何を試すかまで想像しやすくなります。

ただし、場面の一致だけで決める必要はありません。応用力を重視するなら、特定場面の例が少なくても、質問を作る原理が十分に説明されている本を残せます。


3.自分が必要とする学び方になっているか

最後に、質問例・テンプレート・会話例が多いのか、問いの原理や分類を説明するのか、ワークで練習するのかを見ます。すぐ使いたい人と、時間をかけて応用できる質問力を身につけたい人では、同じ内容でも読みやすさの意味が変わります。

候補が二冊残ったら、「今の自分に足りないのは、使える言葉か、問いを作る考え方か」と考えると最後の比較がしやすくなります。


迷ったら「目的→場面→学び方」の順で一冊へ絞る

迷ったら「目的→場面→学び方」の順で一冊へ絞る

質問力の本を選ぶときは、最初から評判や冊数で比べるより、まず質問で何を変えたいかを決めます。次に、その質問を誰とのどんな場面で使うかを絞り、最後に質問例や型をすぐ使いたいのか、問いを作る考え方まで学びたいのかを確認します。

  1. 質問で実現したいことを一つ決める
  2. 実際に使う相手・場面を決める
  3. 候補本の紹介文と目次で中心内容を確認する
  4. 質問例・型・原理・ワークのどれに比重があるかを見る
  5. 試し読みがあれば、自分が実際に使えそうかを確かめる

この順で見れば、「質問力について書かれているから」という理由だけで候補を残さずに済みます。日常会話で相手から話を引き出したい人、仕事で認識のズレを減らしたい人、1on1で相手の思考を促したい人、自分への問いを深めたい人では、合う本の中心が違います。

最後に「この本を選ぶのは、今の自分が○○の場面で、○○のための質問を身につけたいから」と説明できれば、人気順とは別に、自分の条件で一冊を選べる状態になっています。


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兼松 学

書評サイト「本のものさし」運営者。ビジネス書・実用書を中心に年間約80冊を読み、採用・面接・人材育成に約9年携わった実務経験も踏まえて執筆しています。実際に読んだ本の要点だけでなく、向いている人や類書との違いまで整理し、自分に合う一冊を選ぶための判断材料を届けることを大切にしています。

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