
研修をしても現場が変わらない、組織サーベイの悪化や離職・休職の増加に危機感があるのに、どこから動けばいいか分からない。『組織は変われるか』は、そうした悩みに対して、経営トップから始め、役員・部長・現場を対話でつなぐ組織開発の進め方を描く本です。
この記事では、本書の要約や章の流れ、読んで印象に残った点、向いている読者と注意点を整理します。購入前に、自分の課題に合う本か、実践に使える視点が得られそうかを判断しやすくなるはずです。
-
-
組織開発が学べるおすすめの本ランキング 14選!【2026年】
続きを見る
結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『組織は変われるか――経営トップから始まる「組織開発」』は、研修や現場任せの改善では組織が変わらないと感じている人に向けて、経営トップ・役員・部長・現場をつなぎながら、組織開発をどう進めるかを考えるための実践書です。
単に「対話が大事」「人を大切にしよう」と説く本ではありません。業績は好調でも、退職や休職、士気の低下、組織の一体感の弱まりが進むことがあるという問題意識から出発し、組織の変化を誰が本気で引き受けるのかまで踏み込んでいます。
向いている人
この本が特に向いているのは、研修を実施しても現場の行動が変わらないと感じている人事・人材開発担当者です。研修内容そのものよりも、上司との関係、部署の流儀、組織内の合意形成が実践を妨げるという視点があるため、「なぜ学びが職場に戻ると止まるのか」を考える手がかりになります。
また、組織開発を人事施策だけで終わらせたくない経営企画担当者や、経営トップ・役員・部長層を巻き込みたい社内の推進者にも合います。本書は、社内の有志である「事務局」が、社長、役員、部長と対話を重ねながら変革の機運をつくる流れで進むため、組織変革の順番を具体的にイメージしやすい構成です。
組織サーベイの悪化、離職・休職の増加、管理職の停滞感に危機感を持っている中堅層にも読みどころがあります。特に「このままでよいのか」と感じているものの、どこから動けばよいかわからない人には、自分の立ち位置を整理する本になりやすいでしょう。
向いていない人
一方で、短時間で使えるチェックリストや、すぐに成果が出る小技を求めている人には少し重く感じるかもしれません。組織開発を約1年規模のプロジェクトとして追体験するような内容なので、即効性のあるノウハウ集とは読み味が違います。
また、組織開発の学術的な定義や理論体系を網羅的に学びたい人にも、目的が少しずれる可能性があります。本書は理論を整理するための本というより、自社の文脈に照らして「自分たちにとっての組織開発とは何か」を考えるための本です。小規模なチーム改善だけを知りたい人にも、やや大きなテーマに感じられるかもしれません。
先に結論(買う価値はある?)
組織開発を社内で本気で進めたい人には、読む価値があります。理由は、組織が変わらない原因を個人の意欲不足にせず、経営トップ、各層の合意、現場の力学、そして当事者意識の問題として立体的に捉えているからです。
特に良いのは、「経営トップから始める」を単純なトップダウンではなく、「各層のコンセンサス」と「当事者主体」とセットで扱っている点です。研修を否定する本ではなく、研修だけでは変化が職場に定着しにくい理由を見える化してくれる本、と捉えると読みやすいでしょう。
組織を変える万能メソッドを期待するより、自社で何が止まっているのかを見直すために読む本です。人事・経営企画・管理職・社内有志として、組織課題を誰か任せにせず引き受けたい人には、かなり実用的な一冊になります。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目の重要ポイントは、組織の問題は業績が悪い会社だけに起こるものではない、という視点です。『組織は変われるか』は、事業が順調に見えていても、退職・休職の増加、士気の低下、一体感の弱まりが進むことがあるという問題意識から始まります。短期的には見過ごされやすい組織の疲弊を、長期的な競争力の問題として捉えている点が本書の出発点です。
2つ目は、研修だけでは組織は変わりにくいという現実です。研修で学んだことがあっても、職場に戻れば上司との関係、部署のやり方、組織内の合意形成が行動を左右します。本書は、変われない原因を個人の意欲不足だけにせず、職場で実践が止まる構造そのものに目を向けています。
3つ目は、組織開発には「経営トップから始める」「各層のコンセンサス」「当事者主体」という3つの原則が必要だということです。現場だけで対話を重ねても、経営への貢献とつながらなければ変革は広がりにくい。逆に、外部コンサルタントが前に出すぎても、自社の問題として根づきにくい。本書はその両方の限界を踏まえ、社内の推進役が経営トップ、役員、部長、現場をつないでいく流れを描いています。
著者が一番伝えたいこと
著者が一番伝えたいのは、組織開発は誰かに任せる施策ではなく、社内の当事者が引き受ける変革プロセスだということです。経営トップを動かすこと、役員層の合意をつくること、部長層を通じて現場の行動へつなげること。そのどれもが必要であり、どこか一箇所だけを変えれば済む話ではありません。
本書は、組織開発を万能の方法論として押し出すのではなく、むしろ変化が簡単には起きない現実を丁寧に扱っています。著者自身の失敗や転機を通じて、研修中心の限界、現場視点だけの限界、外部者主導の限界が示されるため、組織を変える前に何を見落としてはいけないのかが伝わってきます。
読むと得られること
この本を読むと、組織開発を「何か新しい施策を導入すること」ではなく、組織の中で誰と向き合い、どの順番で合意をつくり、どのように現場の変化へつなげるかというプロセスとして理解しやすくなります。第1章では事務局が課題を捉え直し、第2章で経営トップ、第3章で役員、第4章で部長と向き合い、終盤では自走する組織開発へ進んでいくため、組織変革の流れを追いながら読めます。
読後に変わるのは、研修がうまくいかない理由の見方です。受講者のやる気や理解度だけを見るのではなく、上司、部署、階層、合意形成、経営視点との接続まで含めて考える視点が得られます。人材開発や研修の担当者にとっては、施策の効果を現場にどうつなげるかを考え直すきっかけになるはずです。
また、経営企画や人事、事業部門で組織変革の推進役を担う人にとっては、自分たちが「事務局」として何をすべきかを整理する材料になります。最初に誰へ会いに行くのか、トップの本気をどう引き出すのか、役員や部長の葛藤をどう扱うのか。すぐ使えるチェックリストというより、自社の状況に合わせて考えるための実践的な土台が得られる本です。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、組織開発を「何を学ぶか」ではなく、「誰と向き合い、どの順番で組織を動かしていくか」という流れで読ませる構成です。最初に社内の推進役である事務局が、組織が変われない理由を捉え直し、次に経営トップ、役員、部長層へと対話の相手を広げていきます。最後は、自分たち自身が当事者として動き続けられるかに戻ってくるため、単なる組織論ではなく、約1年の変革プロジェクトを追体験するような読み味があります。
特徴的なのは、現場から盛り上げるだけでも、トップが号令をかけるだけでも足りないという前提です。研修と現場の断絶、経営視点の欠落、外部者主導の限界を順番に扱いながら、組織開発を「経営トップから始め、各層の合意をつくり、当事者主体で続ける」プロセスとして立体的に描いています。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 事務局はまず何をすべきか [組織コンサルタントとの対話]
- 第2章 経営トップはどうすれば本気になるか [社長との対話]
- 第3章 変革の機運はどうやってつくるか [役員との対話]
- 第4章 現場のアクションにいかにつなげるか [部長との対話]
- 第5章 組織開発はどうすれば自走するか [自分との対話]
各章の要点
第1章は、組織開発に入る前の土台づくりです。研修をしても現場が変わらない理由や、日本企業で階層と合意形成が強く働くことを踏まえ、事務局がどこから動くべきかを整理します。ここで示される三原則が、以降の章の判断軸になります。
第2章は、経営トップとの接続を扱う章です。現状認識、リスク、課題の本質、プロジェクト提案、トップの想いの発信へと進み、組織開発を現場の善意だけで終わらせず、経営課題として扱うための橋渡しになります。
第3章は、役員層を巻き込む段階です。役員一人ひとりの考えを探り、合宿などの場を通じて本音の対話を引き出し、変革への前向きな兆しと抵抗のサインを見ていきます。経営トップの想いを、組織全体に広げる前の重要な中継点です。
第4章は、部長層と現場への接続です。部長の現実や葛藤を理解したうえで、部下との対話や現場の変化を支援し、個別の動きを横に広げていく流れが扱われます。経営側の言葉を現場の行動へ変える章といえます。
第5章は、組織開発を一過性で終わらせないための章です。人は変化より現状を選びやすいという前提に立ち、感情の扱いや、社内で組織開発を担い続ける人材のあり方へ話が進みます。最後に「誰が当事者として引き受けるのか」という問いへ戻っていく構成です。
忙しい人が先に読むならここ
優先して読むなら、まず第1章です。ここでは、研修と現場がつながらない理由や、日本企業では各層の合意が重要になる理由が整理されます。本書全体の前提が集まっているため、ここを読まずに後半へ進むと、組織開発がなぜ大がかりな対話のプロセスになるのかが見えにくくなります。
次に読むなら第2章です。組織開発を現場だけの活動にせず、経営トップの本気とどう接続するかが扱われます。経営層に組織課題を提起したい人や、人事・経営企画の立場で変革を動かしたい人には、特に実用的な章です。
最後に第5章を読むと、本書の読後感が締まります。組織開発は、外部の専門家や一時的なプロジェクトに任せるだけでは続きにくい。本書が最終的に問いかけているのは、社内の誰が当事者として引き受けるのかという点です。時間が限られている人ほど、この3つの章を先に押さえると、本書の問題意識と実践価値をつかみやすくなります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んで一番印象に残ったのは、本書が組織開発をきれいな理想論として扱っていないところです。組織を変えるには対話が大事だ、現場の感情を大切にしよう、という話だけで終わらず、それが経営にどうつながるのか、誰が本気で引き受けるのかまで踏み込んでいます。読み終えてみると、組織開発の方法を知ったというより、自分たちはこの問題をどこまで自分ごとにできているのかを問われた感覚が残りました。
特に残ったのは、研修で学んだことと職場で実際に起きることのズレです。研修では前向きになっても、職場に戻ると上司との関係、部署の流儀、組織の和を優先する力学が働く。そのため、個人の意欲だけに期待しても行動は簡単には変わらない、という見方にはかなり現実感がありました。人材育成や研修に関わる人ほど、ここは身につまされる部分だと思います。
もう一つ印象的だったのは、著者が自分の成功談だけで押し切っていない点です。研修中心で進めた限界、現場視点だけで組織開発を進めた限界、外部者である自分が前に出すぎたことで自走しなかった反省が、全体の土台になっています。そこから「経営トップから始める」「各層のコンセンサス」「当事者主体」という原則が導かれているので、言葉だけが先に立っている感じがありませんでした。
すぐ試したくなったこと
読んでまず試したくなったのは、自社の問題を「業績」と「組織状態」に分けて見ることです。業績が出ていると、退職や休職、士気の低下、部門間の分断といった問題は後回しにされがちです。本書を読むと、事業が回っているから大丈夫と考えるのではなく、組織の疲弊がどこに出ているかを別の軸で確認したくなります。
次に試したくなるのは、研修後に現場で実践を阻んでいる要因を洗い出すことです。研修内容そのものの良し悪しだけでなく、上司との関係、部署の慣習、合意形成の空気がどう影響しているのかを見る。ここを確認しないまま研修を繰り返しても、同じところで止まってしまうのではないかと感じました。
また、組織開発を始める前に、誰と最初に対話すべきかを考える視点も実用的です。本書は、事務局、社長、役員、部長、そして自分へと対話の相手を移しながら話を進めます。その流れを読むと、組織開発は施策を並べる前に、誰の本音や本気を引き出す必要があるのかを見極める仕事なのだと分かります。
読んで気になった点
気になった点を挙げるなら、この本は万能のマニュアルとして読むと少し期待とズレるかもしれない、ということです。章立ては実践の流れに沿っていますが、組織開発の厳密な定義や理論体系を順番に学ぶ本ではありません。著者自身も、手順や手法を唯一の正解とは位置づけていないため、読者側が自社の状況に照らして考える余白が大きい本です。
そのため、すぐ使えるチェックリストや、短期間で成果を出すための手順だけを求める人には、やや遠回りに感じられる可能性があります。特に第2章以降は、経営トップ、役員、部長層との対話が軸になるため、社内の合意形成や経営層との接続に関心が薄い人には読みどころが絞りにくいかもしれません。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
この本は、読み終えて終わりにするよりも、自社の組織課題を見直すための問いとして使うと活きる本です。大きな変革プロジェクトをすぐ始める必要はなく、まずは「何が組織を動きにくくしているのか」を小さく確認するところから始めるのが現実的です。
- 業績の良し悪しと、職場の疲弊・不信・離職の兆候を分けて見直す。
- 研修後に現場で実践されていない行動がないか、具体的に一つ選んで確認する。
- その行動を止めている上司・部署の慣習・合意形成の空気を洗い出す。
- 組織開発を始めるなら、最初に経営トップへ何を伝えるべきかを考える。
- 経営層に話す前に、組織課題を「現場の不満」ではなく「経営上のリスク」として整理する。
- 役員や部長層が何に抵抗しそうか、立場ごとの葛藤を仮説として書き出す。
- 外部支援者に任せる部分と、社内の事務局が担う部分を分けて考える。
- 自社にとっての「組織開発」とは何かを、自分の言葉で短く定義してみる。
最初に取り組むなら、「研修をしても現場が変わらない理由」を一つのテーマにするのが扱いやすいはずです。そこには、本書が重視する階層、合意、当事者意識の問題が見えやすくなります。
1週間で試すならこうする
Day1は、自社で気になっている組織課題を一つに絞ります。離職、士気低下、部門間の分断、研修効果の低さなど、いま最も放置されやすいテーマを選びます。
Day2は、その課題を業績とは切り離して整理します。事業が回っているから大丈夫と考えず、組織の健全性としてどんなサインが出ているかを確認します。
Day3は、現場で変化を妨げている要因を書き出します。本人の意欲だけでなく、上司の意向、部署の流儀、合意形成の空気まで含めて見るのがポイントです。
Day4は、その課題を経営視点で言い換えます。現場の困りごととしてではなく、放置するとどんな競争力低下につながるのかを考えます。
Day5は、最初に対話すべき相手を決めます。いきなり広く巻き込むのではなく、経営トップ、役員、部長層のうち、どこから話を始めるべきかを見極めます。
Day6は、対話の目的を一つに絞ります。本音を聞きたいのか、リスク認識をそろえたいのか、組織開発プロジェクトの必要性を伝えたいのかを明確にします。
Day7は、ここまでの整理をもとに、小さな次の一歩を決めます。誰に、何を、どの順番で話すかを決めるだけでも、組織開発を自分たちの問題として引き受ける入口になります。
つまずきやすい点と対策
一つ目のつまずきは、「経営トップから始める」を単純なトップダウンの号令と受け取ってしまうことです。トップに言ってもらえば現場が動く、という形に寄せると、本書が重視している各層の合意や当事者主体が抜け落ちます。まずはトップに何を決めてもらうかではなく、トップの問題意識と現場の実感をどうつなぐかを小さく設計するのがよいでしょう。
二つ目は、研修やワークショップを増やすこと自体が組織開発だと考えてしまうことです。本書が問題にしているのは、研修で得た気づきが職場に戻ると実践されない構造です。新しい施策を足す前に、既存の研修や対話がなぜ現場で止まっているのかを一つだけ確認すると、打ち手が空回りしにくくなります。
三つ目は、外部支援者や一部の推進者が前に出すぎてしまうことです。専門家や熱心な事務局が動かし続けるほど、周囲は受け身になり、プロジェクトが自走しにくくなります。最初から大きく任せるのではなく、社内の誰が何を引き受けるのかを小さく分担し、当事者を少しずつ増やす形にすると続けやすくなります。
四つ目は、組織開発を万能の手順として扱ってしまうことです。本書は唯一の正解を提示する本ではなく、自社の文脈に照らして組織開発を考えるための本です。まずは本の流れをそのまま再現しようとするより、自社でいま必要な対話相手と課題の捉え直しを決めるところから始めるのが現実的です。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『組織は変われるか』は、組織開発を社内でどう動かすかに重心がある本です。似たテーマの本と比べると、理論を体系的に学ぶ本というより、経営トップ・役員・部長・現場をつなぐ推進プロセスを追う実践寄りの一冊として読みやすいです。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『組織は変われるか』 | 事務局が組織開発を進める実践プロセス | 社内で変革を推進したい人 |
| 『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる』 | 組織開発の定義・歴史・手法の基礎 | まず全体像を学びたい人 |
| 『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』 | 組織開発の理論的背景の深掘り | 理論まで掘り下げたい人 |
『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる』との違い
『組織は変われるか』は、組織開発の概念を一から整理する本というより、社内で変革を進める人が「誰と、どの順番で、何を対話するか」を考えるための本です。事務局、社長、役員、部長、自分へと対話相手が移っていく構成なので、理論を学ぶというより、組織開発プロジェクトの流れを追体験する読み方に向いています。
一方で『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる』は、組織開発の基礎・定義・歴史・理論を確認するための本として整理できます。組織開発という言葉自体をまず理解したい人には『入門 組織開発』が合い、自社で経営層や管理職を巻き込みながら動き出したい人には『組織は変われるか』のほうが使いやすいでしょう。
『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』との違い
『組織は変われるか』は、組織開発を実践する現場の順番や葛藤に焦点を置いています。研修だけでは現場が変わらない理由、経営視点と現場視点のズレ、外部者依存では自走しにくい問題など、推進者がぶつかりやすい論点を、事務局目線でたどれる点が特徴です。
一方で『組織開発の探究』は、組織開発の思想的源流、歴史、手法、企業事例を深く扱う本です。すぐに社内でどう動くかを考えたいなら『組織は変われるか』、組織開発という領域を理論や歴史の面から厚く理解したいなら『組織開発の探究』が合います。実践から入るか、深い理解から入るかで選び方が変わります。
迷ったらどれを選ぶべき?
- 社内で組織開発を進めたい人:『組織は変われるか』
- 組織開発の基礎を押さえたい人:『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる』
- 理論や歴史まで深く学びたい人:『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』
本書を選ぶべきなのは、組織開発を知識として学びたいだけでなく、自社でどう始めるかを考えたい人です。特に、研修をしても現場が変わらない、経営層を巻き込めない、事務局として何から動けばよいか分からないという悩みがあるなら、『組織は変われるか』は最初の一冊として使いやすいです。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
加藤雅則氏は、株式会社アクション・デザイン代表取締役。エグゼクティブ・コーチ、組織コンサルタントとして活動している人物です。慶應義塾大学経済学部を卒業後、日本興業銀行、環境教育NPO、事業投資育成会社などを経て現職に至っています。カリフォルニア大学バークレー校でMBAを取得し、2000年以来、上場企業を中心とした人材開発・組織開発に携わってきました。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書の信頼性は、加藤氏が組織開発を単なる研修論や制度論としてではなく、経営トップ、役員、部長、現場を巻き込む実務の流れとして扱っている点にあります。エグゼクティブ・コーチとして経営陣と向き合ってきた経験があるからこそ、組織開発を「現場を活性化する話」だけで終わらせず、経営課題と接続する視点が入っています。
また、本書では社内有志や事務局がどう動くかにも大きな比重が置かれています。上場企業を中心に人材開発・組織開発へ関わってきた経歴は、研修だけでは現場が変わりにくいこと、階層や合意形成が日本企業で大きな意味を持つこと、外部支援者任せでは自走しにくいことを語る背景になっています。万能な理論を提示するというより、組織開発を社内で始め、根づかせるための実務的な視点を持つ著者による一冊といえます。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
大枠を知りたいだけなら、要約でも「研修や制度だけでは組織は変わりにくい」「経営トップから始め、各層の合意をつくり、当事者主体で進める」という中心線はつかめます。購入前に自分に合う本か判断したい人も、まずは要約で十分です。
ただし、自社で組織開発を進めたい人は本文まで読んだほうがよいです。本書の価値は、事務局が社長、役員、部長、現場へと対話を広げていく流れを追える点にあります。実践に移すなら、順番や相手ごとの論点まで読む必要があります。
初心者でも読める?
組織開発の専門知識が十分になくても、問題意識に近いものがあれば読み進めやすい本です。特に、研修をしても現場が変わらない、組織サーベイの結果が悪い、経営層を巻き込めないといった悩みがある人には、内容を自社に引き寄せて理解しやすいでしょう。
一方で、組織開発の定義や理論を最初から体系的に教えてくれる入門書として読むと、少し戸惑うかもしれません。本書は厳密な用語解説よりも、組織変革の実践プロセスを追う構成です。初心者でも読めますが、理論を学ぶ本というより、現場で起きる組織の難しさを考える本として読むほうが合っています。
どこから読むべき?
基本的には通読向きです。第1章で事務局の立ち位置をつかみ、第2章で社長との対話、第3章で役員との対話、第4章で部長や現場への接続、第5章で自走化へ進むため、章の順番そのものが組織開発の流れになっています。
忙しい人は、まず第1章と第2章を読むと本書の核がつかみやすいです。研修と職場が分断される理由、最初に経営トップへどう向き合うかが見えるからです。すでに変革プロジェクトを動かしている人は、第3章以降で役員・部長・現場への広げ方を確認すると読みやすくなります。
読む前に注意点はある?
読む前に押さえておきたいのは、この本は即効性のあるマニュアルではないという点です。手順や考え方は具体的に描かれていますが、著者は本書の方法を唯一の正解とはしていません。自社の状況に照らしながら考える余白を持って読む必要があります。
また、「経営トップから始める」という副題から、トップダウンで組織を変える本だと受け取ると少しズレます。本書が重視しているのは、トップの本気を引き出し、役員や部長層をつなぎ、社内の当事者が動き続ける状態をつくることです。組織開発の理論史を学びたい人より、社内で変革を進める現実に向き合いたい人に向いた一冊です。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、組織問題を「業績とは別に見る視点」が得られることです。事業が回っていると、退職者や休職者の増加、士気の低下、経営への不信は後回しにされがちです。本書を読むと、好業績だから大丈夫ではなく、組織の疲弊を放置すること自体が長期的なリスクになると判断しやすくなります。
2つ目の価値は、研修や制度だけでは現場が変わりにくい理由を整理できることです。個人が学んでも、上司の意向、部署の流儀、階層関係、合意形成の力学が変わらなければ、行動は職場に戻った瞬間に止まりやすい。本書はその構造を、経営トップ、役員、部長、現場へと対話を広げる流れで見せてくれます。
3つ目の価値は、組織開発を社内の誰が引き受けるのかを考え直せることです。タイトルからはトップ主導の変革論に見えますが、読み進めると、社内の有志や事務局が当事者として動けるかが大きな論点になります。外部支援者任せにせず、自社の問題としてどう担うかを考える材料になります。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、研修をしても現場が変わらないと感じている人事・人材開発担当者、組織開発が人事施策止まりになっている経営企画担当者、経営トップや役員、部長層を巻き込みながら変革を進めたい社内の推進者です。組織サーベイの悪化、離職・休職の増加、管理職の停滞感に危機感を持っている中堅層にも向いています。
一方で、組織開発の定義や理論史を体系的に学びたい人、すぐ使えるチェックリストだけを求める人には、期待とズレる可能性があります。本書は即効マニュアルではなく、自社の文脈に照らして考える実践書です。「読めば組織がすぐ変わる」と期待するより、変化を起こす前に何を見落としてはいけないかを確認する本として読むほうが合っています。
読むならどう活かす?
まず持ち帰りたいのは、自社の「業績」と「組織状態」を分けて見る視点です。今日できる行動としては、直近の会議後に5分だけ、現場で先送りされている不安、不信、疲弊のサインを書き出してみるとよいです。数字上は問題が見えにくくても、組織の違和感は小さな言葉として出ていることがあります。
次に、研修後に実践を止めている要因を確認することです。本人の意欲不足と決めつける前に、上司、部署、合意形成、職場の暗黙ルールのどこに引っかかりがあるのかを見る。そこまで考えると、本書の「経営トップから始める」「各層のコンセンサス」「当事者主体」という三つの原則が、単なるスローガンではなく実務上の問いになります。
次に読むならこの本
- 『入門 組織開発 活き活きと働ける職場をつくる』:組織開発の定義・歴史・手法を基礎から補う一冊。
- 『組織開発の探究 理論に学び、実践に活かす』:本書では厳密に定義されない組織開発の理論的背景を深掘りする一冊。
- 『両利きの組織をつくる――大企業病を打破する「攻めと守りの経営」』:本書の組織開発論を、組織進化や両利きの経営の文脈へ広げる一冊。
組織開発が学べるおすすめ書籍

組織開発を学びたい人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
- 組織開発が学べるおすすめの本ランキング
- だから僕たちは、組織を変えていける
- 自律型組織をつくるマネジメント変革
- 冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法
- 組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?
- 人材開発・組織開発コンサルティング 人と組織の「課題解決」入門
- 組織開発の探究――理論に学び、実践に活かす
- 入門 組織開発~活き活きと働ける職場をつくる~
- いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方
- マンガでやさしくわかる組織開発
- 学習する組織 ― システム思考で未来を創造する
- ティール組織 入門[新訳イラスト版]――これからの人・組織・働き方の話をしよう
- ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現
- THE TEAM 5つの法則
- 組織は変われるか――経営トップから始まる「組織開発」
