
チームの成果が出ないとき、ついメンバーのやる気やリーダーの力量に原因を求めてしまうことがあります。『THE TEAM 5つの法則』は、そうしたチームの悩みを、目標・人員・意思疎通・意思決定・共感という構造から見直す本です。
この記事では、本書の要約だけでなく、章の流れ、読んで印象に残った点、実践に移すときの注意点まで整理します。チームづくりに悩む人が、購入前に自分の課題と本書の内容が合うかを判断しやすくなるように読み解いていきます。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『THE TEAM 5つの法則』は、チームづくりを「気合い」や「仲の良さ」ではなく、目標・人員・意思疎通・意思決定・共感の5つの構造から見直すための本です。チームワークを大切にしよう、という一般論で終わらず、自分たちのチームがどこで詰まっているのかを分解して考えられる点に役割があります。
向いている人
この本が向いているのは、チームを率いる管理職やリーダー、プロジェクトを動かす立場の人、組織づくりに悩む経営者や人事担当者です。特に、メンバーが主体的に動かない、会議が多いのに決まらない、目標が形だけになっている、チームの空気は悪くないのに成果につながらない、と感じている人には読みやすいテーマだと思います。
また、部活やコミュニティ、少人数のプロジェクトなど、会社以外のチーム運営にも応用しやすい内容です。本書は、チームの問題を個人の性格や熱量だけで片づけず、目的、メンバー構成、ルール、決め方、共感の仕組みから点検していきます。チーム全体を見直すための地図がほしい人に合う一冊です。
向いていない人
一方で、すぐ使える会議テンプレートや具体的な声かけ例だけを探している人には、少し抽象度が高く感じられるかもしれません。個人のモチベーションを上げる自己啓発本として読むよりも、チームや組織をどう設計するかを考える本として読んだほうが合っています。
また、「コミュニケーションは多いほど良い」「全員で話し合って決めるのが正しい」といった考えをそのまま肯定してほしい人には、やや引っかかる部分もありそうです。本書はそうした常識をいったん疑い、状況に応じたチーム運営を考える本だからです。
先に結論(買う価値はある?)
チーム運営に少しでも悩んでいるなら、読む価値はあります。理由は、チームの不調を「誰かが悪い」「やる気が足りない」で終わらせず、Aim、Boarding、Communication、Decision、Engagementという5つの観点から整理できるからです。
特に、リーダーのカリスマに頼らず、再現性のあるチームづくりを考えたい人には相性がいい本です。売上や時価総額の成果だけを前面に受け取るよりも、自分のチームを構造から見直すための思考フレームとして読むと、本書の価値がつかみやすくなります。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、チームづくりを精神論ではなく「設計」として捉えることです。チームがうまくいかない原因を、メンバーの性格やリーダーの熱量だけに求めるのではなく、目標・人員・意思疎通・意思決定・共感創造という5つの観点から分解して考えるのが本書の基本姿勢です。
2つ目は、良いチームに関する常識を一度疑うことです。目標を達成できるチーム、多様なメンバーがいるチーム、コミュニケーションが多いチーム、全員で話し合うチームが、必ずしもそのまま良いチームになるとは限りません。本書は、そうした一見正しそうな考えが、状況によってはチームの成果を妨げることもあると整理しています。
3つ目は、チームの成果は個人能力の単純な合計では決まらないということです。共通の目的があり、役割や意思決定の仕組みが合っていれば、個人では出せない成果につながる可能性があります。逆に、目的が曖昧だったり、ルールや責任範囲がずれていたりすると、力のあるメンバーがいてもチームとして機能しにくくなります。
著者が一番伝えたいこと
本書全体を貫いているのは、チームは偶然やカリスマだけで生まれるものではなく、構造として設計できるという主張です。著者は冒頭で、チームづくりは誰にとっても身近なテーマであるにもかかわらず、体系的に学ぶ機会が少ないという問題意識を置いています。そのため本書では、チームを感覚で語るのではなく、法則として理解し、再現性を持って使えるものにしようとしています。
もうひとつ重要なのは、個の力を否定していない点です。むしろ、個人の力をより引き出すために、個と個をどうつなぐかを考える本だと言えます。チームの成果は、個人の能力を足し合わせるだけで決まるのではなく、目的の共有、役割分担、決め方、共感のつくり方によって変わる。この考え方が、本書の中心にあります。
読むと得られること
この本を読むと、チームの不調を漠然とした空気や人間関係の問題としてではなく、具体的な要素に分けて考えられるようになります。目標が曖昧なのか、メンバー構成に課題があるのか、ルールや権限が不明確なのか、意思決定が遅いのか、共感の対象がずれているのか。そうした見立てができるだけでも、チーム運営の見え方はかなり変わります。
特に役立つのは、会話の量や熱量を増やす前に、チームの構造を見直す視点です。コミュニケーションが多いのに前に進まないチーム、会議を重ねても決まらないチーム、メンバーが頑張っているのに成果につながらないチームほど、読む意味があります。読み終えたあとには、誰かの性格や気合いの問題にする前に、目標、メンバー、ルール、決め方、共感の仕組みを確認してみようと思えるはずです。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなりチーム運営のテクニックに入るのではなく、まず「なぜチームを法則として学ぶ必要があるのか」を置いてから、5つの観点でチームを分解していきます。序盤では、チームづくりが感覚や経験則で語られがちなことを問題にし、「良いチーム」と思われているものの中にも誤解があると示します。ここで読者の前提をいったん崩してから、本編の5法則へ進む構成です。
本編は、チームの土台から運営、意思決定、力の引き出し方へと進みます。まず目的を定め、次に誰と組むかを考え、そのうえで日々のコミュニケーションやルール、決め方を整える。最後に、メンバーが力を出しきるための共感やモチベーションへつなげる流れです。さらに特別収録では、チームが崩れる落とし穴も扱うため、「つくる」「動かす」「崩さない」までを一通り見渡せます。
大見出し目次(短い目次)
- はじめに 売上、時価総額を10倍にした「チームの法則」
- 第1章 Aim(目標設定)の法則“旗を立てろ!”
- 第2章 Boarding(人員選定)の法則“戦える仲間を選べ”
- 第3章 Communication(意思疎通)の法則“最高の空間をつくれ”
- 第4章 Decision(意思決定)の法則“進むべき道を示せ”
- 第5章 Engagement(共感創造)の法則“力を出しきれ”
- 特別収録 チームの落とし穴―あなたのチームは足し算か、掛け算か、割り算か?
- 最終章 私たちの運命を変えた「チームの法則」
- 終わりに チームから組織へ
各章の要点
序盤の導入部では、チームづくりを体系的に学ぶ機会が少ないという問題意識が示されます。ここで本書は、チームを感覚ではなく、再現性のある法則として扱う立場を明確にします。
第1章は、チームの目的を定める章です。共通の目的があるからこそチームになる、という土台を扱い、単なる数字や作業ではなく、何を目指すのかを問い直します。
第2章は、メンバー選びを扱う章です。チームは誰と組むかによって成果が変わるため、目的に合った人員構成を考える橋渡しの役割があります。
第3章は、日々の意思疎通を整える章です。コミュニケーションの量だけでなく、ルール、権限、責任範囲、評価、確認頻度といった運営の設計に踏み込みます。
第4章は、チームが前に進むための決め方を扱います。多数決、合議、独裁といった意思決定の違いを整理し、スピードと納得感をどう両立するかにつながる章です。
第5章は、メンバーが力を出しきるための共感やモチベーションを扱います。気合いや情熱だけで人を動かすのではなく、何に共感して動くのかを考える流れです。
特別収録と最終章では、チームが崩れる要因と、著者自身の実践に話が広がります。前半から後半までの法則を、実際のチーム変革へ接続する締め方になっています。
忙しい人が先に読むならここ
最初に読むなら、まず導入部です。本書が単なるチームワーク礼賛ではなく、チームへの誤解をほどき、法則として考え直す本だと分かるからです。ここを読んでおくと、後の5法則がなぜ必要なのかが理解しやすくなります。
次に優先したいのは第3章です。チームの問題は「もっと話せば解決する」と考えがちですが、本書はそこを単純には扱いません。ルールや権限、責任範囲、感情の扱いまで含めて意思疎通を考えるため、会議や日常のやり取りに課題を感じている人には特に実用性があります。
その次に第4章を読むと、チームが止まる原因を意思決定の面から見直せます。全員で話し合うことが常に正解ではない、という視点が出てくるため、会議が多いのに決まらないチームには読みどころが多い章です。
時間がさらに限られるなら、第1章と第5章を合わせて読むと、目的とモチベーションのつながりが見えます。何のために集まるのか、何に共感して力を出すのかを押さえることで、チームを構造から見直す本書の全体像がつかみやすくなります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
いちばん印象に残ったのは、チームの問題を「人の問題」ではなく「設計の問題」として見直しているところです。チームがうまくいかないとき、つい人間関係やリーダーの力量、メンバーのやる気に原因を求めたくなりますが、本書はそこから一歩引いて、目標・人員・意思疎通・意思決定・共感創造のどこにズレがあるのかを考えさせてくれます。
特に腑に落ちたのは、チームに関する「正しそうな常識」をあえて疑っている点です。目標を達成するチームが良い、多様なメンバーがいれば良い、コミュニケーションは多いほど良い、全員で話し合って決めるのが良い。こうした考えは一見まっとうに見えますが、本書ではそれらが状況によっては成果を妨げることもあると整理されています。
この視点が残ったのは、単に逆張りをしているわけではなく、チームを5つの法則に分けて順番に見ていく構成になっているからです。最初に目標と人員選定を置き、その後に意思疎通、意思決定、共感創造へ進む流れによって、チームづくりは雰囲気づくり以前に土台の設計が大きいのだと感じました。
すぐ試したくなったこと
読んですぐ試したくなったのは、自分のチームの課題を5つの観点に分けて見直すことです。チームの不調を「なんとなく空気が悪い」「会議が進まない」とまとめてしまうのではなく、目標が曖昧なのか、人員構成が合っていないのか、意思疎通のルールがずれているのか、と分けて考えたくなりました。
特に試したいと思えたのは、会議や連絡の量ではなく、ルールや責任範囲を見直すという視点です。コミュニケーションの問題は、話す回数を増やせば解決すると思いがちですが、本書を読むと、そもそも誰が何を決めるのか、どこまで責任を持つのか、何を評価するのかが曖昧なままでは、やりとりだけ増えても前に進みにくいと感じます。
もうひとつは、意思決定の方法を整理することです。話し合っているのに決まらないチームでは、全員で決めること自体が目的になっている場合があります。本書を読むと、独裁・多数決・合議を単純な善悪で見ず、チームの状況に合わせて選ぶ必要があるのだと考えやすくなります。
読んで気になった点
気になった点は、「コミュニケーションは少ない方が良い」や「正しい独裁」といった言葉が、文脈を外すと誤解されやすいことです。本書の主張は、会話を減らせばよい、強い人が一方的に決めればよい、という話ではありません。チームの目的や状況に合わせて、やりとりの設計や意思決定の形を選ぶべきだ、という読み方をする必要があります。
また、読者層によって評価が分かれそうだとも感じました。すぐに使える会話例や、人間関係の悩みに対する処方箋を期待して読むと、少し構造的に感じるかもしれません。本書は個別のトラブル解決集というより、チーム全体を診断するための地図に近い本です。
その意味では、読後に残るのは派手な感情ではなく、自分のチームを冷静に見直す視点です。誰か一人の性格や能力に原因を押しつけるのではなく、どの設計を見直せるのかを考える。その姿勢が、この本を読んで最も実用的に残った部分でした。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
『THE TEAM 5つの法則』は、読んで終わるよりも、自分のチームを点検するために使うと価値が出やすい本です。まずは大きな改革ではなく、今のチームを5つの観点で見直すところから始めるのが現実的です。
- チームの共通目的を一文で書き出し、全員が同じ意味で理解できるか確認する。
- 今の課題をAim、Boarding、Communication、Decision、Engagementに分けて整理する。
- 会議が多いわりに前進していないテーマを1つ選び、決まらない理由を考える。
- 「誰が決めるのか」が曖昧な仕事を洗い出し、権限の所在を確認する。
- メンバーの責任範囲がぼやけている業務を1つ選び、どこまで担うかを言語化する。
- 評価されている行動と、本当に増やしたい行動がズレていないか見直す。
- チーム内で「どうせ」「しょせん」「やっぱり」が出ていないか振り返る。
- メンバーが何に共感して動いているのか、数字以外の動機を考えてみる。
- 社会的手抜きや同調バイアスが起きていそうな場面を1つ探す。
最初からすべてを変えようとすると重くなります。まずは「目的が曖昧なのか」「決め方が曖昧なのか」のどちらか一つを確認するだけでも、チームの見え方は変わります。
1週間で試すならこうする
Day1は、チームの現状を5つの法則に沿ってざっくり棚卸しします。成果が出ていない原因を、個人のやる気ではなく、目標・人員・意思疎通・意思決定・共感のどこにあるか仮置きします。
Day2は、Aimを確認します。チームの目的や目標を短く書き出し、それが作業や数字だけになっていないかを見直します。
Day3は、Boardingの視点でメンバー構成を見ます。誰がいるかだけでなく、今の目的に対して役割や強みの組み合わせが合っているかを考えます。
Day4は、Communicationを点検します。会話量を増やす前に、ルール、責任範囲、評価対象、確認頻度が曖昧になっていないかを見ます。
Day5は、Decisionを扱います。今止まっている案件を一つ選び、独裁、多数決、合議のどの決め方になっているのか、そしてその方法が適切かを確認します。
Day6は、Engagementを見直します。メンバーが何に共感して力を出しているのか、数字や指示だけで動かそうとしていないかを振り返ります。
Day7は、1週間で見えた課題を一つに絞ります。全部を直すのではなく、翌週に試す小さな改善を一つだけ決めると続けやすくなります。
つまずきやすい点と対策
1つ目のつまずきは、5つの法則を一気に全部直そうとすることです。チームの課題を分解しようとすると、目標もメンバーもルールも決め方も気になってしまいます。最初は最も詰まりを感じている場面を一つ選び、そこがAimなのかDecisionなのかを見立てるだけに絞ると始めやすくなります。
2つ目は、Communicationを「会話を減らすこと」と誤解することです。本書で重要なのは、話す量そのものよりも、ルールや権限、責任範囲が整っているかという視点です。いきなり会議を減らすのではなく、まずは会議で決めること、誰が決めること、確認すべきことを分けるところから始めるとズレにくくなります。
3つ目は、Decisionを強いリーダーの独断として受け取ってしまうことです。決め方を見直す目的は、誰かが一方的に進めることではなく、チームが前に進める状態をつくることです。まずは一つの案件だけを選び、「これは合議で決めるべきか、誰かが決めるべきか」を明確にする程度から試すのが安全です。
4つ目は、モチベーションを結局は気合いで扱ってしまうことです。共感創造を実践するなら、熱く語る前に、メンバーが何に納得し、何に意味を感じているのかを確認する必要があります。数字や目標を伝えるだけでなく、その目標がチームにとってどんな意味を持つのかを短く言語化するところから始めるとよいです。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『THE TEAM 5つの法則』は、チームづくり全体を5つの法則で広く整理する本です。似たテーマの本と比べると、心理的安全性だけに絞るのではなく、目標、人員、意思疎通、意思決定、共感創造まで含めて、チームを総合的に見直す点に特徴があります。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 『THE TEAM 5つの法則』 | チーム全体を5つの法則で診断する | チーム運営を構造から見直したい人 |
| 『チームが機能するとはどういうことか』 | 心理的安全性やチーミングを深掘りする | チームが学習しながら実行する理論を知りたい人 |
| 『心理的安全性のつくりかた』 | 日本の組織で心理的安全性を実践する | 対人関係や職場の安心感を具体的に整えたい人 |
『チームが機能するとはどういうことか』との違い
『THE TEAM 5つの法則』は、チームをつくるための要素を、目標設定、人員選定、意思疎通、意思決定、共感創造に分けて整理します。チームが機能しない原因を、心理的安全性だけでなく、目的の曖昧さ、メンバー構成、決め方、エンゲージメントまで含めて見直す本です。一方で『チームが機能するとはどういうことか』は、心理的安全性やチーミングを研究ベースで深く学びたいときに合います。
チームづくりを初めて体系的に整理したい人や、自分のチームのどこに問題があるのか広く診断したい人には『THE TEAM 5つの法則』が向いています。チームが学習しながら実行するとはどういうことか、心理的安全性を理論面から掘り下げたい人には『チームが機能するとはどういうことか』が合います。
『心理的安全性のつくりかた』との違い
『THE TEAM 5つの法則』は、チームづくりを大きな設計として捉える本です。Communicationの章では心理的安全性にも触れますが、それだけを扱うのではなく、目標や人員選定、意思決定、共感創造とつなげて考えます。一方で『心理的安全性のつくりかた』は、日本の組織で心理的安全性を実践する方法を補う本として使いやすい一冊です。
チームの不調を幅広く分解し、どこから見直すべきかを知りたい人には『THE TEAM 5つの法則』が向いています。すでに課題が対人関係や発言しやすさにあると分かっていて、心理的安全性をより実践寄りに学びたい人には『心理的安全性のつくりかた』が合います。
迷ったらどれを選ぶべき?
- チーム全体の不調を整理したい:『THE TEAM 5つの法則』
- チーム学習やチーミングを深く知りたい:『チームが機能するとはどういうことか』
- 心理的安全性を職場で実践したい:『心理的安全性のつくりかた』
最初の一冊として選ぶなら、『THE TEAM 5つの法則』は入り口にしやすい本です。チームの問題を誰か一人の能力や性格に寄せず、目標、人員、意思疎通、意思決定、共感創造に分けて見られるようになるためです。チーム全体の見取り図を先に持ち、その後で心理的安全性やチーミングを深掘りすると、関連本も読みやすくなります。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
麻野耕司氏は、『THE TEAM 5つの法則』の著者です。1979年兵庫県生まれ、2003年に慶應義塾大学法学部を卒業し、同年リンクアンドモチベーションに入社しています。刊行当時はリンクアンドモチベーション取締役、ヴォーカーズ取締役副社長などの肩書きが紹介されており、現在はナレッジワークのCEO、元リンクアンドモチベーションとして紹介されています。
著者の経験が本書にどう活きているか
『THE TEAM 5つの法則』は、チームを精神論や経験則ではなく、目標設定、人員選定、意思疎通、意思決定、共感創造という5つの法則で捉え直す本です。麻野氏が組織人事コンサルティングに関わってきたこと、また組織改善クラウドの立ち上げに関わってきたことは、チームや組織を「人の相性」だけではなく、構造や仕組みから考える本書の内容と接点があります。
本書では、著者自身のチーム変革経験も扱われています。ただし、その経験は単なる成功談としてではなく、チームづくりを再現性のある法則として整理するための背景として位置づけられています。リーダー個人の情熱や才能だけに頼るのではなく、チームの設計と運用を見直すという本書の方向性は、著者の組織人事領域での実務経験と結びついています。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
大枠を知りたいだけなら、要約でもある程度はつかめます。『THE TEAM 5つの法則』は、チームづくりをAim、Boarding、Communication、Decision、Engagementの5つに分けて考える本なので、全体像や購入判断だけなら要点整理でも役立ちます。
ただし、実際に自分のチームを見直したい人は、本文まで読んだほうがよいです。特に、コミュニケーション量、意思決定、モチベーションの扱いは誤解されやすい論点なので、見出しだけで判断せず、章の流れの中で理解したほうが安全です。
初心者でも読める?
チーム運営や組織づくりに関心があれば、初心者でも読める本です。チームを精神論ではなく、目標・メンバー・ルール・決め方・共感に分けて説明しているため、マネジメント経験が長くない人でも、自分の身近なチームに置き換えながら読みやすい構成になっています。
一方で、すぐ使える会話例やテンプレートだけを期待すると、少し抽象度が高く感じるかもしれません。経営学や心理学などの知見をもとにした考え方が出てくるため、「どう動くか」だけでなく「なぜそう考えるのか」まで読みたい人に向いています。
どこから読むべき?
基本的には、導入部から順番に読むのがおすすめです。本書は冒頭で、チームづくりが感覚や経験則で語られがちなことを問題にし、そのうえで5つの法則へ進む流れになっています。最初を押さえると、各章の意味がつかみやすくなります。
忙しい人は、まず導入部と第3章、第4章を優先するとよいです。導入部で本書の問題意識をつかみ、第3章でルールや意思疎通、第4章で意思決定の考え方を読むと、会議が多いのに決まらない、話しているのに前に進まないといった悩みに接続しやすくなります。
読む前に注意点はある?
注意したいのは、本書を万能マニュアルとして読まないことです。提示される5つの法則は、チームの問題を分解して見るための診断軸として使うと役立ちますが、どのチームにも同じ処方箋をそのまま当てはめる本ではありません。
また、「コミュニケーションは少ない方が良い」「正しい独裁」といった刺激的な論点は、文脈を外すと誤解しやすい部分です。すぐに使える人間関係の処方箋だけを求めている人よりも、チームの目的、ルール、決め方、共感のつくり方を見直したい人に向いています。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、チームの不調を「人の問題」だけで片づけず、設計の問題として見直せることです。目標、人員、意思疎通、意思決定、共感創造という5つの観点に分けて考えられるため、漠然とした違和感を整理しやすくなります。チームがまとまらない理由を、誰か一人の性格ややる気に押しつけずに見直せるのは大きな収穫です。
2つ目の価値は、チームに関する「正しそうな常識」を疑えることです。コミュニケーションは多いほどよい、みんなで話し合って決めるのがよい、多様性があればよい、といった考えも、状況によっては機能しない場合があります。本書を読むと、何を増やすかではなく、どのように設計するかを考えやすくなります。
3つ目の価値は、チームづくりをリーダーの才能や熱量だけに頼らない形で考えられることです。著者は、精神論や経験則ではなく、法則としてチームを捉える立場を取っています。そのため、管理職やリーダーだけでなく、プロジェクトメンバーや人事・組織開発に関わる人にとっても、自分の立場からチームをよくする視点を持ち帰れます。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、チームを率いる管理職やリーダー、組織づくりに悩む経営者・人事担当者、プロジェクトや部活、コミュニティを運営している人です。特に、会議は多いのに決まらない、目標が形だけになっている、メンバーが主体的に動かないと感じている人には、課題を分解する手がかりになります。
一方で、個人のモチベーションだけを高めたい人や、すぐ使える会話テンプレートを探している人には、少し遠回りに感じるかもしれません。本書は細かな手順集というより、チーム全体を診断し、設計し直すための思考フレームとして読むほうが合っています。
読むならどう活かす?
読むなら、まず自分のチームの課題を5つの観点に分けて書き出すところから始めるのがよいです。今日できる一歩としては、会議後に5分だけ時間を取り、問題が「目標」「人員」「意思疎通」「意思決定」「共感創造」のどこに近いのかを整理してみることです。
特に使いやすいのは、コミュニケーション量ではなく、ルール設定や責任範囲に目を向ける読み方です。会話を増やす前に、何を誰が決めるのか、どこまで責任を持つのか、何を評価するのかを見直すだけでも、チームを見る視点は変わります。
次に読むならこの本
- 『チームが機能するとはどういうことか』:チームが学習しながら実行する「チーミング」の理論を補える本です。
- 『心理的安全性のつくりかた』:Communication章の心理的安全性や対人関係の実践面をさらに補えます。
- 『すべての組織は変えられる』:本書のチーム論を、より大きな組織変革の文脈へ広げたい人に向いています。
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