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【書評】だから僕たちは、組織を変えていける|要約と感想、向いている人を整理

【書評】だから僕たちは、組織を変えていける|要約と感想、向いている人を整理

数字管理やKPIを追っているのに、チームの空気が重く、動き出す力が生まれない。『だから僕たちは、組織を変えていける』は、その違和感を個人の不満ではなく、時代の変化と組織モデルのズレから捉え直す本です。

この記事では、構成や実読で見えた価値、注意点、向いている読者像を整理します。心理的安全性やパーパス、自走する組織をどう読むべきかを確認しながら、購入前に自分に合う一冊か判断しやすくしていきます。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『だから僕たちは、組織を変えていける』は、数字や統制だけでは動かなくなった組織を、関係性・意味・内発的動機づけから立て直すための組織変革の本です。管理職だけに向けたリーダー論ではなく、現場の一人が自分の影響範囲から変化を始めるための視点も扱っています。


向いている人

この本が特に向いているのは、KPIや数字管理を続けているのに、チームの空気や主体性がよくならないと感じている人です。部下が自律的に動かない、会議で本音が出ない、パーパスや心理的安全性をどう現場につなげればいいかわからない、という悩みを持つ人には読みどころが多いはずです。

また、現場から組織を変えたい人にも合います。本書は、組織変革を経営者だけの仕事として扱わず、一人のメンバーでも変化の起点になれるという立場を取っています。大きな改革の前に、まず自分の影響が届く範囲から始めたい人に向いた一冊です。


向いていない人

一方で、すぐ使えるテンプレートやチェックリストだけを求める人には、少し遠回りに感じる可能性があります。本書は、明日の会議でそのまま使える話法だけを並べる本ではなく、組織観や人間観を問い直しながら、変革の土台をつくるタイプの本です。

また、時代背景や経営理論の説明を飛ばして、短期的なハウツーだけを知りたい人にもやや重く感じられるかもしれません。「やさしいチーム」や「幸せ視点」という言葉も、成果を軽視する話ではなく、知識社会で成果を生むために関係性や意味を重視する文脈で読む必要があります。


先に結論(買う価値はある?)

結論として、組織づくりやチーム運営に行き詰まりを感じているなら、読む価値は十分にあります。心理的安全性、パーパス、内発的動機づけ、自走する組織といった重要な論点を、個別のキーワードとしてではなく、「組織をどう変えていくか」という一つの流れの中で理解できるからです。

特に信頼できるのは、「自走する組織」を自由放任と混同していない点です。管理を弱めれば人が自然に動き出すわけではなく、自律と対話、それを支える仕組み、そして内側から動きたくなる動機づけが必要になる。本書はその前提を丁寧に押さえているため、単なる理想論で終わりにくい内容になっています。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

1つ目のポイントは、社会の変化と組織の変化に大きなズレがあるという問題意識です。本書は、産業革命から情報革命、さらにデジタルシフト・ソーシャルシフト・ライフシフトへと話を広げながら、工業社会に合っていた管理型の組織モデルが、知識社会では限界を迎えつつあると整理します。単に「今の職場が古い」と言うのではなく、社会構造と働く人の価値観が変わったからこそ、組織のあり方も変わる必要がある、という流れで説明されます。

2つ目のポイントは、これからの組織像として「学習する組織」「共感する組織」「自走する組織」を置いていることです。学習する組織は、短期の成果だけでなく環境から学び続ける組織。共感する組織は、顧客や社会との信頼を重視する組織。自走する組織は、社員が自ら考え、対話しながら価値を生む組織として描かれます。ここで大切なのは、自走が自由放任ではない点です。管理を弱めれば自然に人が動くのではなく、自律と対話を支える仕組みが必要だと本書は考えています。

3つ目のポイントは、組織変革を制度や号令だけでなく、関係性・意味・内発的動機づけから捉えていることです。第3章以降では、心理的安全性によって関係の質を変え、仕事の意味を共有することで思考の質を変え、内発的な動機づけによって行動の質を変えていく流れになっています。最後は、経営者や管理職だけでなく、現場の一人が自分の影響範囲から変化を始める話へつながります。


著者が一番伝えたいこと

本書が一番伝えようとしているのは、組織は「統制」だけでは変えられず、人が学び、共感し、自ら動ける状態をつくることで変わっていく、ということです。冒頭では、社会は急速に変化しているのに、組織はその変化に追いついていないという問題が置かれます。そのうえで、知識社会にふさわしい組織をつくるには、数字や管理だけでなく、人の心、関係性、仕事の意味、やる気といった見えにくい要素に向き合う必要があると説かれます。

もうひとつ重要なのは、組織変革をトップだけの仕事にしていない点です。本書は、経営者、管理職、現場リーダー、ひとりのメンバーのいずれであっても、組織をよりよくする起点になれるという立場を取っています。大きな改革を待つのではなく、まず自分の届く範囲で関係性を変え、小さな成功を育て、影響の輪を広げていく。その姿勢が、本書全体を貫くメッセージです。


読むと得られること

この本を読むと、組織の問題を「制度が悪い」「上司が悪い」「部下が動かない」といった単純な見方だけで片づけず、関係性や意味づけ、動機づけの問題として見直せるようになります。数字を追っているのにチームが元気を失っている、会議で本音が出ない、部下が指示待ちになっているといった悩みに対して、どこから観察し、何を変えていけばよいかの見取り図が得られます。

特に得られるのは、「自分にも始められることがある」という感覚です。チームの関係性の質を観察する、心理的安全性を損なう不安や犯人探しに気づく、ミッションやパーパスが共有されているかを点検する、メンバーの「やらされ感」を仕事の意味や自律性から見直す。こうした小さな行動に落とし込めるため、組織変革を遠い話ではなく、自分の仕事の延長で考えやすくなります。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり組織変革の手順に入るのではなく、まず「なぜ今の組織に違和感が生まれるのか」を時代の変化から説明します。社会は大きく変わっているのに、組織の考え方は工業社会型の管理や統制に残っている。そのズレを押さえたうえで、これから目指す組織像を提示し、そこから心理的安全性、意味の共有、内発的動機づけへと進みます。

流れとしては、前半で「古い組織モデルの限界」と「新しい組織像」を理解し、中盤で「関係性・意味・やる気」を整える方法を学び、終盤で「自分の影響範囲からどう動くか」に戻ってくる構成です。理論を並べるだけではなく、違和感の正体を見つけて、最後に自分の行動へ接続する設計になっています。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1章 時代は変わった。組織はどうか? ~僕たちの違和感は、どこから来るのだろう
  • 第2章 これからの組織は、「統制」から「自走」へ ~僕たちが目指す、理想の組織とリーダー
  • 第3章 強がりの仮面を外そう ~安全な対話で、関係の質を変える
  • 第4章 チームを動かす、北極星を見つけよう ~意味の共有で、思考の質を変える
  • 第5章 アメとムチを捨て、好奇心を解き放とう ~内発的な動機づけで、行動の質を変える
  • 第6章 たった一人から、影響の輪は広がる ~だから僕たちは、組織を変えていける
  • 巻末付録 これから組織を変えていこうとする君たちへ


各章の要点

第1章は、組織への違和感を個人の不満ではなく、社会変化と組織モデルのズレとして捉える章です。産業史や情報革命をたどりながら、なぜ従来の管理型組織が今の働き方に合いにくくなっているのかを整理します。

第2章は、本書全体の土台になる章です。数字中心・統制中心の組織から、人間性や創造性を重視する組織へ移る必要性を示し、「学習」「共感」「自走」という3つの組織像を提示します。

第3章は、組織変革の入口を関係性に置く章です。心理的安全性を扱いながら、本音で話せる場をどうつくるか、リーダーがどのような姿勢を取るべきかを考えていきます。

第4章は、仕事の意味を共有する章です。チームを動かすには指示や数字だけでは足りず、ミッションや価値観、自分にとっての仕事の意味が重要になることを整理します。

第5章は、行動の質を変える章です。人を外側から動かすのではなく、自律性・有能感・関係性を通じて、内側から動ける状態をつくる方向へ進みます。

第6章は、ここまでの理論を個人の行動へ戻す章です。大きな制度改革を待つのではなく、自分が影響を及ぼせる範囲から小さく始め、信頼と共感を広げていく流れへ接続します。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部読む時間がない人は、第2章から第5章を先に押さえると、本書の実践的な骨格をつかみやすいです。

最初に読むなら、第2章がおすすめです。ここで本書の中心にある「学習」「共感」「自走」という組織像が整理されるため、後半の心理的安全性、パーパス、内発的動機づけが何につながるのか理解しやすくなります。

次に読むなら、第3章と第5章です。数字管理やKPI管理だけではチームが動かないと感じている人にとって、関係性の質と動機づけをどう見直すかは、現場に引き寄せて読みやすい部分です。

前半の時代論は、本書の問題意識を深く理解するうえで重要です。ただし、すぐに明日の会議や1on1に活かしたい人は、第2章以降を先に読み、あとから第1章に戻る読み方でも十分に流れをつかめます。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

特に印象に残ったのは、組織を変えるという大きなテーマを、制度や号令ではなく「人と人の関係」から組み立て直している点です。タイトルだけだと、変革プロジェクトの進め方やリーダー向けノウハウの本にも見えますが、実際には「なぜ今の組織に違和感があるのか」「人が自ら動く組織はどう生まれるのか」を根本から問い直す本として読めました。

本書の中心には、工業社会型の管理・統制から、知識社会型の学習・共感・自走へ移るという視点があります。社会や働き方は大きく変化しているのに、組織の考え方だけが古い管理モデルに残っている。そのズレを、単なる職場の不満ではなく、時代変化と組織モデルの問題として説明しているところに説得力がありました。

もうひとつ残ったのは、「自走する組織」を自由放任と分けているところです。本書は、管理を弱めれば自然に人が動くとは言っていません。自走には、自律と対話が必要であり、その土台として心理的安全性、仕事の意味、内発的な動機づけが関わってくる。だからこそ、やさしいチームづくりも、仲良し組織をつくる話ではなく、価値を生むための組織開発として受け取れました。


すぐ試したくなったこと

すぐ試したくなったのは、チームを見る順番を変えることです。数字や結果を確認する前に、まず関係性の質がどうなっているかを見る。会議で本音が出ているか、失敗した人を責める空気になっていないか、安心して意見を言える状態があるか。そうした見えにくい土台を観察するだけでも、チームの課題の見え方は変わりそうです。

また、メンバーのやる気を「本人の性格」だけで片づけず、仕事の意味、自律性、関係性から見直す視点も実践しやすいと感じました。人が動かないときに、もっと指示を強めるのではなく、何のためにやるのかが共有されているか、自分で考える余地があるか、周囲との信頼があるかを点検する。これは管理職だけでなく、現場メンバーが自分の関わり方を見直すときにも使える考え方です。

終盤で扱われる、自分の影響範囲から小さく始めるという考え方も現実的です。組織全体を一気に変えるのは難しくても、自分の会議の進め方、問いかけ方、反対者との接点のつくり方なら変えられる。大きな改革を待つのではなく、小さな成功を積み上げる方向へ意識が向く点に、この本の実践価値があります。


読んで気になった点

気になった点は、扱うテーマの広さです。心理的安全性、パーパス、内発的動機づけ、学習する組織、自走する組織など、多くの論点が一冊に入っています。そのため、ひとつの技術を深く掘り下げたい人には、やや総合的に感じられるかもしれません。

また、人の感情や関係性を組織変革の中心に置くことに抵抗がある人には、少し距離が出そうです。本書は成果や数字を否定しているわけではありませんが、成果の前に関係性を見ようとする姿勢が強くあります。KPI設計や人事制度のテンプレートをすぐ欲しい人よりも、組織を見る目や、自分の中にある管理観・仕事観を問い直したい人に向いた本です。

全体として、即効性のある処方箋というより、組織変革の前提を深く見直す一冊でした。読み終えたあとには、組織を変えることは大きな制度改革だけではなく、関係性を変え、意味を共有し、影響の輪を少しずつ広げることでもあるのだと残ります。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

ガイドさん
ガイドさん
最初から組織全体を変えようとしなくて大丈夫です。まずは、自分の影響が届く範囲で1つだけ試すのが現実的です。

本書を読んだあとにまずやりたいのは、「大きな改革」ではなく、職場の見え方と日々の関わり方を少し変えることです。組織を変える第一歩は、制度を動かすことだけではありません。関係性を見直し、意味を共有し、人が自ら動き出しやすい土壌をつくることから始められます。

今日からできる実践候補は、次のようなものです。

  • 職場で感じている違和感を、個人への不満ではなく「古い組織モデルとのズレ」として書き出す
  • 最近の会議を振り返り、議論ばかりで対話が足りなかった場面を1つ見つける
  • 1on1や雑談で、相手の意見をすぐ評価せず「何を大事にしているのか」を聞く
  • チームで追っている数字の裏にある「顧客・社会・社員にとっての意味」を言葉にしてみる
  • メンバーの「しなくちゃ」が強くなっている仕事を見つけ、「したい」に近づける要因を考える
  • 小さな意思決定を、可能な範囲でメンバーに任せる
  • 反対意見をすぐ説得しようとせず、まず不安や背景を聞く
  • 自分が強がっている場面を1つ認め、次の対話で少しだけ素の言葉を出す

大事なのは、心理的安全性やパーパスをきれいな言葉で掲げることではなく、日々の会話や判断に落とし込むことです。小さな行動でも、関係性の質を変える入口になります。


1週間で試すならこうする

1週間で試すなら、いきなりチーム全体を変えようとせず、「観察→対話→小さな実験」の順で進めるのがよさそうです。

Day1は、職場の違和感を3つ書き出します。「誰が悪いか」ではなく、「数字管理が強すぎる」「目的が共有されていない」「本音を言いにくい」など、組織の状態として整理します。

Day2は、チームの関係性を観察します。会議で発言する人が偏っていないか、反対意見が出たときに空気が固まらないか、失敗やミスが共有されているかを見ます。

Day3は、1人と短い対話をします。仕事の進捗だけでなく、「最近やりにくいことはあるか」「この仕事の意味をどう感じているか」を聞いてみます。

Day4は、チームの北極星を仮で言語化します。立派なミッションを作る必要はありません。「この仕事は誰のどんな価値につながっているのか」を一文にします。

Day5は、メンバーの自律性を少し広げます。手順を細かく指示する代わりに、目的と制約だけを共有し、やり方を一部任せてみます。

Day6は、小さな成功を拾います。発言が増えた、相談が早くなった、誰かが自分で動いたなど、変化の兆しを見つけて言葉にします。

Day7は、続けることを1つに絞ります。対話の時間を増やす、目的を共有する、任せ方を変えるなど、無理なく続けられる行動だけ残します。


つまずきやすい点と対策

つまずきやすいのは、「自走する組織」を自由放任と混同してしまうことです。管理を弱めるだけでは、人は急に動き出しません。自律には、目的の共有、対話の場、任せる範囲、支える仕組みが必要です。任せるときほど、放置ではなく「何のためにやるのか」と「困ったら相談できる状態」を整えることが大切です。

次に、「心理的安全性があればすべて解決する」と考えてしまう点にも注意が必要です。本書の流れでは、心理的安全性はゴールではなく、関係性を変える土壌です。そのうえで、仕事の意味を共有し、内発的な動機づけにつなげていく必要があります。

また、「幸せ視点」や「やさしいチーム」という言葉だけを切り取ると、成果を軽視する話に見えるかもしれません。けれど本書が扱っているのは、甘い職場づくりではなく、知識社会で成果を出すために人の創造性・関係性・内発性を重視するという転換です。数字を否定するのではなく、数字だけでは見えないものも扱う。ここを押さえると、実践が理想論に流れにくくなります。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理

『だから僕たちは、組織を変えていける』は、統制型の組織から自走する組織へ移るために、関係性・意味・内発的動機づけを整理する本です。似たテーマの本でも、組織観を広く問い直す本なのか、現場導入の入口を学ぶ本なのかで選び方が変わります。

重心 向いている人
『だから僕たちは、組織を変えていける』 統制から自走への変革 チームの空気や自律性を変えたい人
冒険する組織のつくりかた 古い組織観から新しい組織観への更新 マネジメント思想から捉え直したい人
『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』 組織開発の基本と実践事例 関係性や対話を現場に入れたい人


『冒険する組織のつくりかた』との違い

本書は、数字や統制を中心にした組織から、人が学び、共感し、自ら動く組織へどう移るかを扱います。心理的安全性、仕事の意味、内発的動機づけをつなげながら、現場の一人から影響の輪を広げていく流れが中心です。一方で『冒険する組織のつくりかた』は、旧来型の組織観そのものを問い直し、「軍事的世界観」から「冒険」へと組織の見方を更新する本として整理できます。

チームの中で本音が出ない、部下が自律的に動かない、関係性から組織を変えたいと感じているなら本書が合います。組織を動かす前提となる世界観や、マネジメントの見方をより広く捉え直したいなら『冒険する組織のつくりかた』が合います。


『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』との違い

本書は、組織開発の技術だけに絞るのではなく、社会変化、組織モデル、心理的安全性、意味の共有、やる気の仕組みまでをまとめて扱います。そのため、ひとつの手法を深掘りするというより、組織を変えるための見取り図を広く得られる本です。一方で『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』は、組織開発の基本と実践事例を押さえ、本書の関係性や対話の論点を現場導入の面から補う本です。

まず「なぜ今の組織がうまく動かないのか」を理解し、自分の管理観や仕事観も含めて見直したい人には本書が向いています。組織開発という言葉や進め方を、より入門的に学び、具体的な事例から現場での始め方を考えたい人には『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』が合います。


迷ったらどれを選ぶべき?

本書を選ぶべきなのは、制度や号令だけでは組織は変わらないと感じている人です。成果や数字を否定するのではなく、その前に関係性を整え、仕事の意味を共有し、メンバーが自ら動ける土台をつくる。その流れを一冊でつかみたいなら、『だから僕たちは、組織を変えていける』から読むのが自然です。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

斉藤徹氏は、起業家、経営者、大学教授として活動してきた人物です。ビジネス・ブレークスルー大学経営学部教授、株式会社hint代表、株式会社ループス・コミュニケーションズ代表として紹介されています。1985年に日本IBMへ入社し、1991年に独立してフレックスファームを創業。2005年にはループス・コミュニケーションズを創業した経歴があります。専門分野は組織論と起業論です。


著者の経験が本書にどう活きているか

本書の中心テーマは、古い統制型の組織から、学習し、共感し、自走する組織へどう変わっていくかです。斉藤氏が組織論と起業論を専門にしていることは、このテーマと直接つながっています。単にチーム運営のコツを述べるのではなく、社会変化、マネジメントモデル、心理的安全性、意味の共有、内発的動機づけを一つの流れで整理している点に、その専門領域が反映されています。

また、企業での勤務経験に加え、自ら会社を創業してきた経歴があるため、本書は理論だけに寄りすぎていません。経営者や管理職だけでなく、現場のリーダーや一人のメンバーも変化の起点になれるという本書の立場は、組織を外から論じるだけでなく、実際に組織をつくり動かしてきた背景と重なります。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

大枠を知るだけなら、要約でも「統制型の組織から自走型の組織へ」という中心テーマはつかめます。購入前に、自分の悩みと合うかを確認したい人も、まずは要約で十分判断しやすい本です。

ただし、実践に移したい人は本文まで読んだほうがよいです。本書の価値は、心理的安全性、仕事の意味、内発的動機づけ、影響の輪といった論点が、段階的につながっていくところにあります。単なる結論だけではなく、「なぜ関係性から始めるのか」を理解してこそ使いやすくなります。


初心者でも読める?

組織論やマネジメントの専門知識がなくても読める内容です。チームの空気が重い、会議で本音が出ない、数字を追っているのに人が疲れている、といった違和感がある人なら入りやすいでしょう。

一方で、扱う範囲は広めです。心理的安全性、パーパス、内発的動機づけ、学習する組織など複数のテーマが出てくるため、ひとつの手法だけを短く学びたい人には少し総合的に感じられるかもしれません。


どこから読むべき?

基本的には通読向きです。1章で社会と組織のズレを整理し、2章で「学習する組織」「共感する組織」「自走する組織」を示したうえで、3章以降に関係性、意味、動機づけ、実践へ進むため、順番に読むと全体のつながりが見えやすくなります。

忙しい人は、まず2章で目指す組織像をつかみ、次に3章の心理的安全性、4章の仕事の意味、5章の内発的動機づけを読むとよいです。現場で小さく始めたい人は、最後に6章を読むと、影響が届く範囲から動く考え方に接続できます。


読む前に注意点はある?

本書は、すぐに使えるテンプレートだけを集めた本ではありません。組織を変える前に、自分たちの組織観や人間観を問い直す見取り図として読むほうが合っています。そのため、「明日の会議で使う一つの技法だけ知りたい」という期待だと、少し遠回りに感じる可能性があります。

また、「やさしいチーム」や「幸せ視点」を、甘い職場づくりや成果軽視の話として読むとズレます。本書でいう自走は、管理をやめるだけの自由放任ではなく、自律と対話、仕組み、動機づけが必要な状態です。心理的安全性も万能薬ではなく、関係性・意味・行動の質を変える流れの中で読むのが大切です。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、職場の違和感を個人の不満ではなく、時代変化と組織モデルのズレとして整理できることです。社会は変わっているのに、組織は古い統制モデルに残っているという問題意識から出発するため、「なぜ今の働き方が苦しいのか」を大きな視点で見直せます。管理職だけでなく、現場でモヤモヤを抱える人にも判断材料が残る一冊です。

2つ目の価値は、心理的安全性、パーパス、内発的動機づけをばらばらのキーワードではなく、組織を変える流れの中で理解できることです。本書は関係性、意味、行動の質へと段階的に話を進めるので、なぜ対話が必要なのか、なぜ仕事の意味を共有するのかがつながって見えます。チームづくりを表面的な施策で終わらせたくない人に向いています。

3つ目の価値は、「自走する組織」を自由放任として扱わないことです。管理を弱めれば人が自然に動くわけではなく、自律と対話、仕組み、動機づけが必要だと整理されています。数字を否定するのではなく、知識社会で成果を出すために人の創造性や関係性を重視する本として読めます。


この本をおすすめできる人・合わない人

おすすめできるのは、数字管理やKPI管理だけではチームが動かないと感じている管理職やリーダー、心理的安全性やパーパスを現場でどう扱えばよいか悩んでいる人です。権限が大きくなくても、影響の届く範囲から組織を少しずつ変えたい人にも合います。

合わない可能性があるのは、すぐ使える手順やテンプレートだけを短時間で知りたい人です。本書は産業史や社会変化から入り、組織観や人間観を問い直す構成なので、即効性だけを期待すると遠回りに感じるかもしれません。


読むならどう活かす?

ガイドさん
ガイドさん
全部を実践しようとしなくて大丈夫です。まずは、今の職場でいちばん小さく変えられる関係性から見るのが合っています。

読むなら、最初の一歩は「違和感の言語化」です。今日の会議後に、数字や結果だけでなく、発言しやすさ、対話の有無、目的の共有で気になった点を一つ書き出してみる。それだけでも、個人の不満として流していたものを、組織の構造や関係性の問題として見直しやすくなります。

次に、チームの北極星となる目的や価値観を確認する読み方が有効です。いきなり大きな改革を目指すより、会議や1on1で対話の場をつくり、メンバーの「しなくちゃ」を「したい」に変える要因を探すほうが、本書の考え方に沿っています。


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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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