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【書評】冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法|要約と感想

【書評】冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法|要約と感想

「会社がつまらない」「マネジャーがしんどい」「施策はあるのに組織が変わらない」。『冒険する組織のつくりかた』は、そうした違和感を個人のやる気不足ではなく、組織に染みついた「軍事的世界観」と働く人の価値観のズレから捉え直す本です。

この記事では、目標・チーム・会議・成長・組織という5つの視点と、実践編まで含む構成を手がかりに読み解きます。読み通す価値があるのか、どんな期待で読むと合いやすいのかを判断できるよう整理していきます。


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結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

『冒険する組織のつくりかた』は、会社やチームの停滞感を「制度の不備」や「個人のやる気不足」ではなく、組織に染みついた世界観のズレから捉え直すための組織づくり論です。軍隊型の管理・統制から、問いや対話、個人の探究を活かす冒険型の組織へ移行するための考え方と実践の見取り図が得られます。


向いている人

向いているのは、組織やチームをよくしたいのに、施策だけが増えて空回りしていると感じている人です。経営者、人事、組織開発担当者はもちろん、目標管理や会議運営、部下との関係にしんどさを抱えているミドルマネジャーにも合います。

また、「会社が嫌いなわけではないのに、会社にいる自分がしっくりこない」と感じている人にも読みやすい本です。本書は組織を一方的に悪者にするのではなく、人と組織のあいだにあるズレを見立て直すための視点をくれます。現場でモヤモヤしている人が、自分の違和感を責めずに整理する手がかりにもなります。


向いていない人

一方で、すぐ使えるテンプレートや短いチェックリストだけを求めている人には、少し重たく感じるかもしれません。448ページのボリュームがあり、扱う範囲も目標、チーム、会議、成長、組織変革まで広いため、短時間で答えだけを知りたい読書にはあまり向きません。

また、「冒険」という言葉から、楽しく自由な職場づくりの本を期待すると印象がずれる可能性があります。本書でいう冒険は、単なるワクワクではなく、不確実な状況のなかで問い続け、自己実現と組織の成果を両立しようとする考え方です。


先に結論(買う価値はある?)

組織のしんどさを、もう少し深いところから捉え直したい人には、読む価値があります。理由は、個別の施策やスキル以前に、組織を動かしている前提そのものを見直せるからです。

特に、心理的安全性や1on1を導入しても変化がない、会議が重い、目標に納得感がない、マネジャーとして役割を演じ続けるのがつらいと感じている人には、かなり相性がよいはずです。組織を「人を動かす装置」ではなく、「人と事業の可能性を広げる土壌」として見直したいなら、手元に置いてじっくり読む価値のある一冊です。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

1つ目のポイントは、会社やチームで起きる違和感を「世界観のズレ」として捉え直すことです。本書は、目標管理がつらい、会議が重い、心理的安全性や1on1を入れても変わらない、といった現場の問題を、個人の能力不足や制度の不備だけに回収しません。働く人の価値観が「会社中心」から「人生中心」へ移る一方で、組織側には古い軍隊的な前提が残っている。そのズレが、マネジャーのしんどさや現場の息苦しさにつながっていると整理します。

2つ目のポイントは、「軍事的世界観」から「冒険的世界観」への転換です。従来の組織には、戦略、指令、部隊、士気、制圧といった発想が深く入り込み、人を目標達成のための道具として扱いやすい構造がある。本書はそれを言葉遣いの問題として単純に否定するのではなく、組織を見る前提そのものを問い直します。これからの組織には、不確実な状況のなかで一人ひとりが目的を探り、仲間と新しい価値をつくっていく見方が必要だと示します。

3つ目のポイントは、抽象的な世界観の話を、職場で扱えるテーマに分解していることです。本書は、目標、チーム、会議、成長、組織という5つのレンズを軸に、理論編から実践編へ進みます。目標を指令ではなく問いとして設計すること、チームを機能の集合ではなく個性を活かし合う仲間として見ること、会議を伝達の場ではなく対話と価値創造の場として捉えることなど、日々のマネジメントに接続しやすい形で展開されます。


著者が一番伝えたいこと

著者が一番伝えたいのは、組織を変えるには制度や施策を足すだけでは足りず、その奥にある「ものの見方」そのものを変える必要がある、ということです。心理的安全性や1on1、MVVのような施策があっても、組織の前提が人を管理対象や戦力として見るままだと、職場のモヤモヤは残り続ける。だからこそ、本書は問題の根を「世界観のズレ」として捉えています。

本書は冒頭で、若手社員、現場メンバー、ミドルマネジャー、経営者、人事担当者がそれぞれ抱える違和感を描きます。そのうえで、組織づくりはトップや人事だけの仕事ではなく、一人ひとりが身近な職場から始められる営みだと位置づけます。全員が自己実現をあきらめず、それでいて事業や組織の可能性も広げていく。そのための羅針盤として「冒険」という言葉が置かれています。


読むと得られること

この本を読むと、職場で感じていたモヤモヤを、より大きな構造として見直せるようになります。目標に納得感がない、会議が形骸化している、チームの一体感が弱い、マネジャーが役割を演じ続けて疲れている。そうした問題を、個別の不満ではなく、世界観・目標・チーム・会議・成長・組織のズレとして整理できるのが大きな収穫です。

また、読後には自分の職場で点検すべきポイントも見えてきます。チームで使っている言葉や前提を棚卸しする、現場目標を問いとして言語化し直す、会議を前提のすり合わせや価値創造の場として設計する、心理的安全性や1on1が形だけになっていないか見直す。すぐに全社変革まで進めなくても、半径の小さな職場から対話を始めるための視点が得られる本です。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり組織改善のテクニックに入るのではなく、まず「なぜ会社にいる自分がしっくりこないのか」という違和感を言語化するところから始まります。そこから、ビジネスや組織に染み込んだ軍隊的な前提を問い直し、個人の探究心や自己実現を包み込む「冒険的世界観」へと視点を移していく流れです。

前半の理論編では、目標・チーム・会議・成長・組織という5つのレンズを通じて、組織をどう見直すかを整理します。さらに、個人の多様な思いや組織の目的をどう整合させるかを扱い、抽象的な世界観の話を組織モデルや基本原則に落とし込んでいきます。

後半の実践編では、目標設定、チームづくり、対話の場づくり、学習文化、組織変革へとテーマが広がります。理論を学んで終わりではなく、「自分の職場ではどこにズレがあるのか」「どこから手をつけられるのか」を考えやすい構成です。


大見出し目次(短い目次)

[序論]“冒険する組織”とは何か?──「軍事的な世界観」からの脱却

[第I部 理論編]冒険する組織の考え方
・第1章 会社の「世界観」を変える──5つの冒険的レンズ
・第2章 自己実現をあきらめない「冒険の羅針盤」──新時代の組織モデル「CCM」
・第3章 冒険する組織をつくる「5つの基本原則」

[第II部 実践編]新時代の組織をつくる「20のカギ」
・第4章 冒険する「目標設定」のカギ
・第5章 冒険する「チームづくり」のカギ
・第6章 冒険する「対話の場づくり」のカギ
・第7章 冒険する「学習文化づくり」のカギ
・第8章 冒険する「組織変革」のカギ


各章の要点

導入部と序論では、会社にいる自分への違和感を出発点に、組織と個人のあいだにあるズレを整理します。ここで本書の中心概念である「軍事的世界観」と「冒険的世界観」の対比が示されるため、以降の章を読む土台になります。

第1章は、組織を見直すための基本レンズを示す章です。目標、チーム、会議、成長、組織という5つの切り口から、日々のマネジメントに潜む前提を問い直します。

第2章は、個人の自己実現と組織の目的をどうつなぐかを扱う、理論編の橋渡しになる章です。単に個人を組織に合わせるのではなく、多様な思惑を抱えたまま同じ船に乗るための考え方が整理されます。

第3章は、冒険する組織をつくるための基本原則を示す章です。ここまでの世界観と組織モデルを、目標設定、マネジメントチーム、会議、学習文化、変革姿勢へつなげていきます。

第4章から第6章は、職場で最も扱いやすい実践テーマです。目標を問いとして設計し直すこと、チームのらしさを言語化すること、会議を対話と価値創造の場に変えることが中心になります。

第7章と第8章では、学習文化と組織変革へ話が広がります。フィードバック、ナレッジマネジメント、危機感に頼らない変革、ミドルマネジャーの役割、採用や退職まで含めて、組織全体をどう変えていくかが扱われます。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
通読が難しい場合は、まず序論と第1章で全体の見取り図をつかみ、その後に自分の課題に近い実践章へ進む読み方が合います。

最初に読むなら、序論と第1章が優先です。ここを読むと、本書が「軍隊」から「冒険」へという表面的なスローガンではなく、目標・チーム・会議・成長・組織の前提を組み替える本だと分かります。

マネジャーやチームリーダーなら、第4章から第6章を先に参照すると実務に結びつけやすいはずです。目標設定、心理的安全性、チームアイデンティティ、会議、ファシリテーションといったテーマが並ぶため、日々の職場で何を見直すかが具体化しやすくなります。

人事・経営者・組織開発担当者なら、第2章と第8章を重視したいところです。第2章で個人と組織の整合を考える枠組みをつかみ、第8章で変革を危機感だけに頼らず、組織のズレや可能性から組み立てる視点を得られます。448ページの大部ですが、課題別に読む前提で設計されているため、最初からすべてを読み切ろうとしなくても使いやすい本です。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

読んでいていちばん残ったのは、本書が組織改善のノウハウ集というより、「なぜ会社にいる自分がしっくりこないのか」を根本から見直す本だったことです。目標管理がつらい、会議が重い、心理的安全性や1on1を入れても変わらない、マネジャーが役割を演じ続けて疲れてしまう。そうした違和感を、個人の能力不足や制度の不備だけに回収せず、「世界観のズレ」として捉えている点が印象的でした。

特に腑に落ちたのは、「軍事的世界観」から「冒険的世界観」へという大きな転換です。ビジネスや組織には、戦略、部隊、指令、士気といった軍事的な発想が深く入り込んでいる。本書はそれを単に悪い言葉遣いとして否定するのではなく、人や組織を目標達成のための道具として見やすくなる前提そのものを問い直しています。ここを読むと、組織の問題は表面の施策だけではなく、普段当たり前に使っている見方や言葉の奥にもあるのだと感じます。

もうひとつ印象に残ったのは、目標、チーム、会議、成長、組織という身近なテーマへ話が落ちていくところです。目標を行動を縛るものではなく問いとして捉えること、チームを機能の集まりではなく個性を活かし合う仲間として見ること、会議を伝達や決定だけでなく対話と価値創造の場に変えること。抽象的な世界観の話で終わらず、日々の職場で感じる違和感へ接続されているのが、本書の読みやすさにつながっていました。


すぐ試したくなったこと

まず試したくなったのは、自分のチームで普段使っている言葉を見直すことです。誰かを動かす、管理する、補充する、従わせるといった発想が、何気ない会話や目標の置き方に混ざっていないかを点検するだけでも、チームの空気の見え方は変わりそうです。

次に、目標を「守るべき指示」として伝えるのではなく、追いかけたくなる問いとして言語化できないかを考えたくなりました。数値目標そのものを否定するのではなく、そこに意味や問いを埋め込むという方向は、現場の納得感をつくるうえで実践しやすい入口だと感じます。

会議についても、すぐに見直せる余地が多いはずです。報告と意思決定だけで終わっている定例を、前提をすり合わせ、違和感を言葉にし、次の価値をつくる場にできないか。心理的安全性や1on1がうまく機能していないときも、施策そのものを増やす前に、そもそも人や組織をどんな世界観で見ているのかに戻る必要があると感じました。


読んで気になった点

気になった点としては、やはり分量と扱う範囲の広さがあります。448ページあり、目標設定、チームづくり、対話、学習文化、組織変革まで広く扱うため、短時間で使えるテンプレートだけを知りたい人には重く感じられるかもしれません。全体を一気に通読するより、まず理論編で考え方をつかみ、実践編は自分の課題に近い章から読むほうが合いそうです。

また、「冒険」という言葉から、軽やかで楽しい職場づくりを想像すると少し印象が違います。本書でいう冒険は、ワクワク感だけではなく、不確実な状況のなかで問い続け、自己実現と組織の成果を両立しようとする骨太な考え方です。気軽なチーム活性化の本というより、組織のOSや世界観までさかのぼって考える本として読むほうが、期待とのズレは少ないと思います。

「軍事的世界観」という表現も、戦略や目標管理そのものを否定する主張として受け取ると誤解しやすいところです。実際には、管理をやめる本というより、人を道具化しないために、管理・目標・会議・育成の前提をどう更新するかを考える本として読むほうがしっくりきました。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
ガイドさん
ガイドさん
最初から組織全体を変えようとしなくて大丈夫です。まずは、自分の半径5メートルで使っている言葉や会議の進め方を見直すだけでも、本書の使いどころはあります。


今日からできること

この本を読んだあとにまずやりたいのは、「自分の職場は軍事的か、冒険的か」と大きく判定することではありません。日々の小さな言葉や場面に、人を道具のように扱う発想が残っていないかを見直すことです。

今日から試すなら、次のような行動が入口になります。

  • チーム内でよく使う言葉をメモし、「指示」「管理」「詰める」「駆逐する」「補充する」のような発想が強く出ていないか見る
  • いま追っている目標について、「これは誰にとって、何を探究する問いなのか」を1文で言い換えてみる
  • 次の会議で、報告だけで終わらせず「そもそも何に違和感があるか」を話す時間を5分つくる
  • 心理的安全性や1on1がうまく機能していない場合、やり方より先に「人をどう見ているか」を問い直す
  • メンバーの問題を「能力不足」と決めつける前に、チーム側の前提や構造にズレがないか考える
  • 自分がマネジャーとして、自己犠牲的な調整役を演じすぎていないか点検する
  • 目標に違和感が出たとき、すぐ否定せず「チームで問い直す材料」として扱う
  • 会議後に「今日、新しい理解や価値は生まれたか」を振り返る

ポイントは、制度を一気に変えようとしないことです。本書が扱うのは組織の前提の組み替えですが、入口はかなり身近です。言葉、目標、会議、育成のどこか一つを選ぶだけでも、自分たちのものの見方が見えてきます。


1週間で試すならこうする

1週間で試すなら、テーマを「チームの目標と会議を、指令から問いへ近づける」に絞ると動きやすいです。

Day1:違和感を集める
まず、自分が職場で感じているモヤモヤを3つ書き出します。「会議が報告だけで終わる」「目標の意味が伝わっていない」「メンバーが本音を出しにくい」など、抽象的でもかまいません。

Day2:言葉を観察する
1日の会話やチャットを振り返り、命令・管理・競争・道具化に近い言い回しがないか見ます。ここでは誰かを責めず、職場に染みついた見方を観察する姿勢を保ちます。

Day3:目標を問いに言い換える
いまの数値目標や業務目標を一つ選び、「この目標を通じて、何を確かめたいのか」「誰にどんな価値をつくりたいのか」という問いに変換してみます。

Day4:会議に小さな対話を入れる
定例会議の中で、報告のあとに「前提がズレていそうな点はあるか」「いま解くべき問いは何か」を話す時間を入れます。長くなくてよく、5〜10分で十分です。

Day5:チームの見方を変える
メンバーを役割や機能だけで見ていないか振り返ります。得意不得意、関心、違和感の持ち方など、個性がチームにどう効いているかを考えます。

Day6:小さく振り返る
1週間の会議ややり取りを振り返り、「伝達で終わった場面」と「対話になった場面」を分けてみます。うまくいかなかった点も、改善の材料として扱います。

Day7:次の一手を決める
翌週に続ける行動を一つだけ選びます。目標の言い換えを続ける、会議の冒頭に問いを置く、1on1で前提のズレを聞くなど、小さく継続できる形にします。


つまずきやすい点と対策

つまずきやすいのは、「冒険」という言葉を、自由で楽しい組織づくりの合図として受け取ってしまうことです。本書の実践は、単に好きにやろうという話ではありません。不確実な状況で問いを持ち、対話を重ね、個人と事業と組織の整合を探る営みです。対策としては、「自由にする」ではなく「問いを共有する」「前提をそろえる」と言い換えて使うと、現場に落とし込みやすくなります。

もう一つの難所は、戦略や目標管理そのものを悪者にしてしまうことです。本書は、数値目標や管理を全否定する本ではなく、それらが人を道具化する方向に働いていないかを問い直す本として読むほうが実践につながります。目標をなくすのではなく、追いかけたくなる意味や問いを足す。そのほうが、現場でも受け入れやすいはずです。

また、448ページの厚みがあるため、全部を一気に実践しようとすると重く感じます。まずは、目標・チーム・会議・成長・組織のうち、いま一番困っている領域だけを選ぶのが現実的です。会議が停滞しているなら会議から、目標に納得感がないなら目標から始める。組織を変える第一歩は、大きな制度変更ではなく、日々のものの見方と言葉を少し変えることです。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』との違い

比較軸は、マネジメント実務に寄せるか、組織観そのものを問い直すかです。『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』は、エンパワメント型マネジメントや、チームが自走する仕組みに関心がある人に向いた本です。マネジャーとして、メンバーの力を引き出し、成果を出し続けるチームをどうつくるかを考えたいときに選びやすい一冊です。

一方で本書は、マネジメントのやり方だけでなく、人を目標達成の道具として見やすくなる組織の前提までさかのぼります。目標、チーム、会議、成長、組織変革を扱いながら、「なぜ施策を入れても職場が変わらないのか」「なぜ会社にいる自分がしっくりこないのか」を、世界観のズレとして捉え直す点が大きな違いです。

そのため、すぐにチームを自走させるマネジメントの要点を知りたいなら『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』が合います。心理的安全性や1on1、目標管理などが形だけになっている背景まで見直したいなら、本書のほうが向いています。


『リーダーの仮面』との違い

比較軸は、マネジャーの役割を明確にするか、リーダーを演じるしんどさまで扱うかです。『リーダーの仮面』は、マネジャーとしての役割や部下との距離感をはっきりさせたい人に合う本です。リーダーとして何を担い、どこまで踏み込むべきかを整理したい読者には、選びやすいテーマです。

一方で本書は、マネジャーが役割を演じ続けて疲れてしまう背景にも目を向けます。会社や組織に染み込んだ軍隊的な前提のなかで、マネジャーが自己犠牲的な調整役になりやすいことを問題にし、自然体でいられるマネジメントや、個人の自己実現をあきらめない組織づくりへ話を広げていきます。

マネジャーとしての振る舞いを明確にしたいなら『リーダーの仮面』が合います。管理職の役割をこなすだけでなく、「なぜ自分はこんなに演じている感じがするのか」「どうすれば自分を押し殺さずにチームをつくれるのか」まで考えたいなら、本書を選ぶ価値があります。


迷ったらどれを選ぶべき?

迷ったら、いま抱えている悩みの深さで選ぶのが分かりやすいです。チームを自走させる仕組みや、マネジャーとしての成果の出し方を知りたいなら『Googleで学んだ 圧倒的成果を出し続けるマネジャーの最優先事項』。管理職としての役割や距離感を明確にしたいなら『リーダーの仮面』が向いています。

本書を選ぶべきなのは、施策やスキルの前に、組織のものの見方そのものを見直したい人です。目標管理が重い、会議が停滞している、心理的安全性や1on1が機能しない、会社にいる自分がしっくりこない。そうした違和感を、個人の努力不足ではなく、人と組織の世界観のズレとして捉え直したいなら、本書がもっとも合います。

実用性だけで選ぶなら、他の2冊のほうが目的に直結する場面もあります。ただ、職場の違和感を根本から見立て直し、目標・チーム・会議・成長・組織変革をまとめて考えたいなら、『冒険する組織のつくりかた』は読む価値のある一冊です。


著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

安斎勇樹氏は、株式会社MIMIGURI代表取締役Co-CEO。1985年生まれ、東京都出身です。東京大学工学部を卒業後、東京大学大学院学際情報学府博士課程を修了し、博士(学際情報学)を取得しています。組織づくりを得意領域とする経営コンサルティングファームMIMIGURIを創業し、350社以上の組織づくり支援実績が紹介されています。東京大学大学院 情報学環 客員研究員でもあり、主な著書・共著に『問いのデザイン』『問いかけの作法』『パラドックス思考』『チームレジリエンス』などがあります。


著者の経験が本書にどう活きているか

本書の信頼性は、安斎氏が組織論を単なる理論としてではなく、研究と実務の両側から扱ってきた点にあります。学際情報学の博士号を持ち、大学院の客員研究員としても活動する一方で、MIMIGURIでは企業の組織づくり支援に携わってきました。そのため本書では、目標、チーム、会議、成長、組織変革といったテーマが、抽象的な理念だけでなく、職場で起きる具体的なズレや停滞感に接続されています。

また、安斎氏のこれまでの著作には「問い」「対話」「チーム」「レジリエンス」といった、本書の中心テーマと重なる領域が含まれています。本書で扱われる「軍事的世界観」から「冒険的世界観」への転換も、組織を管理の対象としてだけ見るのではなく、人の探究や自己実現を含めて捉え直す議論です。経営者、人事担当者、マネジャーだけでなく、会社にいる自分に違和感を抱く読者にも届きやすいのは、安斎氏の専門領域と活動経験が、本書の問題意識に直接つながっているからです。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、「本書が何を主張しているか」を知りたいだけなら、要約でも大枠はつかめます。中心にあるのは、会社やチームに残る管理・統制中心の見方を見直し、個人の探究心や自己実現を組織の力に変えていくという考え方です。

ただし、自分の職場に当てはめて考えたい人には、要約だけでは足りません。目標、チーム、会議、成長、組織という5つのレンズを通して読むことで、「なぜ施策があるのに変わらないのか」「どこから手をつければいいのか」が見えやすくなります。


初心者でも読める?

組織開発やマネジメントの専門知識がなくても読めます。冒頭では「会社にいる自分がしっくりこない」という身近な違和感から話が始まるため、現場で働く人やマネジャーにも入りやすい構成です。

一方で、内容は軽いハウツー本ではありません。組織の思想や前提を掘り下げながら、目標設定、心理的安全性、会議、フィードバック、組織変革まで扱うため、短時間で答えだけ知りたい人には少し重く感じられる可能性があります。初心者でも読めますが、「なぜ施策が機能しないのか」を考えたい人向けです。


どこから読むべき?

まずは序論と第Ⅰ部を読むのがおすすめです。ここで、本書の核である「軍事的世界観」と「冒険的世界観」の違い、そして目標・チーム・会議・成長・組織をどう捉え直すかが整理されます。

そのあと、第Ⅱ部の実践編は自分の課題に近い章から読むと使いやすいです。目標設定に悩んでいるなら第4章、チームの関係性なら第5章、会議や対話なら第6章、育成や学習文化なら第7章、組織変革なら第8章という読み方ができます。448ページあるので、最初から通読にこだわりすぎないほうが続けやすい本です。


読む前に注意点はある?

注意したいのは、「冒険」という言葉から、自由で楽しい組織づくりの本だと期待しすぎないことです。本書で扱われる冒険は、不確実な状況で問いを持ち、対話を重ね、個人と組織と事業の整合を探っていく骨太な組織論です。

また、「軍事的世界観」という言葉は強いですが、戦略や目標、管理そのものを全否定する本ではありません。日々の言葉や目標設定、会議、育成の中に、人を道具のように扱う発想が残っていないかを見直す本です。すぐ使えるチェックリストだけを求めるより、自分の職場のものの見方を問い直すつもりで読むと、得られるものが大きくなります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

1つ目の価値は、会社やチームで感じる違和感を「自分の甘え」や「制度の不備」だけで片づけず、組織に染み込んだ世界観の問題として見直せることです。目標管理がつらい、会議が重い、1on1や心理的安全性が形だけになっていると感じる人には、問題の見立てを変える手がかりになります。

2つ目は、抽象的な組織論で終わらないことです。本書は、目標、チーム、会議、成長、組織変革という日々の仕事に近いテーマへ落とし込んでいるため、自分の職場のどこにズレがあるのかを考えやすい構成になっています。

3つ目は、「冒険」という言葉を、軽いワクワクではなく、問い続けながら人と事業の可能性を広げる考え方として扱っていることです。448ページと重さはありますが、その分、表面的な施策では変わらない組織の前提まで掘り下げて読めます。


この本をおすすめできる人・合わない人

おすすめできるのは、会社や組織に言葉にしにくい違和感がある人、マネジャーとして役割を演じることに疲れている人、組織変革や人事施策に手応えのなさを感じている人です。経営者や人事担当者だけでなく、現場で「このままでいいのか」と感じている人にも向いています。

一方で、明日すぐ使えるテンプレートだけを求めている人には、少し重く感じるかもしれません。448ページのボリュームがあり、考え方の前提から組み替えていく本だからです。また、「冒険」という言葉から、自由で楽しい組織づくりだけを期待するとズレやすいです。本書が扱うのは、不確実な状況で問いを持ち、対話を重ね、個人と事業と組織の整合を探っていく骨太な組織論です。


読むならどう活かす?

ガイドさん
ガイドさん
全部を一度に実践しようとしなくて大丈夫です。まずは、いつもの職場の言葉を1つ見直すだけでも十分な入口になります。

最初の一歩は、自分のチームで使われている言葉を見直すことです。今日の会議後に5分だけ、「指示」「統制」「人を道具のように扱う発想」に近い言葉や目標がなかったかを書き出してみると、本書の問題意識を現場に引き寄せやすくなります。

さらに余力があれば、1つの目標を「やらなければならない指令」ではなく、メンバーが追いかけたくなる問いに言い換えられないか考えてみるのがおすすめです。会議や1on1を変える前に、まず目標や言葉の前提を見直すと、本書の読みどころが実務につながりやすくなります。


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兼松 学

ビジネス書・実用書を中心に、年間約80冊を継続して読んでいます。採用・面接・人材育成に関わる実務経験をふまえ、実際に読んだ本をもとに要約・感想・比較レビューを執筆しています。本の内容だけでなく、向いている人、得られる学び、仕事や日常への活かし方まで伝わる記事を心がけています。

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