
部下を持った途端、どこまで教えるべきか、どこから任せるべきかで迷う人に、『リーダーの仮面』はプレーヤー視点を外すための視点を差し出します。見るべきものを「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」に絞る切り口が特徴です。
この書評では、その主張が冷たい管理論に見える部分も含めて、構成、読みどころ、実践のしやすさを整理します。読み進めることで、自分のマネジメント課題にこの本を当てるべきか判断しやすくなるはずです。
-
-
管理職になった人におすすめの本ランキング 3選!【2026年】
続きを見る
結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『リーダーの仮面』は、プレーヤーとして成果を出してきた人が、部下を持つ立場になったときに読む「役割転換」の本です。部下にどう好かれるか、どう気持ちよく働いてもらうかを中心に考えるのではなく、リーダーとして何を見るべきか、何を言わないべきかを整理するための一冊です。
本書の軸は、リーダーが見る対象を「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」に絞ることにあります。感情や思いつきで部下に関わるのではなく、チームの成果と部下の成長に必要な言動へ切り替える。その意味で、やさしい声かけ集というより、マネジャーとしての頭の使い方を整える本です。
向いている人
向いているのは、初めて部下やスタッフを持った人、またはプレーヤー時代の延長でマネジメントしてしまっていると感じる人です。特に、部下にどこまで口を出すべきか、どこから任せるべきかで迷っている人には、判断軸を作る助けになります。
また、部下に好かれたい気持ちと、成果を出さなければならない責任の間で揺れている人にも合います。細かく教えすぎる、背中を見せてついてこさせようとする、感情やモチベーションに踏み込みすぎる。そうした関わり方を見直し、リーダーとしての距離感を考えたい人に向いた本です。
向いていない人
一方で、共感的なコミュニケーションや傾聴、やさしい声かけの方法を中心に学びたい人には、少し合わない可能性があります。本書は、部下との関係をなごやかにするための本ではなく、成果と成長に必要な緊張感をどう保つかに重点を置いています。
また、マネジメントを人間関係の悩み相談として読みたい人には、言葉が強く感じられるかもしれません。「距離をとる」「プロセスを評価しない」「褒めることに依存しない」といった方向性が出てくるため、読む前にその前提は知っておいたほうがよいです。
先に結論(買う価値はある?)
管理職になったばかりの人、または部下との距離感に迷っている人なら、読む価値はあります。理由は、リーダーの悩みを「性格の問題」にせず、見るべきポイントを絞って整理してくれるからです。
ただし、部下に優しく寄り添う方法を学ぶ本として読むと、違和感が残るかもしれません。むしろ、チームの成果と部下の成長のために、リーダーとして何を引き受けるべきかを考えたい人に向いた本です。優しい上司でいることに限界を感じているなら、一度読んでおく価値があります。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、優秀なプレーヤーが、そのまま優秀なリーダーになるわけではないということです。自分で成果を出してきた人ほど、部下にも細かく教えたくなったり、自分の働き方を見せてついてこさせようとしたりしがちです。しかし本書では、そのどちらも部下の成長を止める可能性がある関わり方として扱われます。リーダーには、プレーヤー時代とは別の頭の使い方が必要だというのが、出発点です。
2つ目のポイントは、リーダーが見るべき対象を5つに絞ることです。本書は、部下の気持ちやモチベーション、細かな仕事の進め方まで何でも抱え込むのではなく、「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」という軸でマネジメントを整理します。部下を前にすると多くのことが気になってしまうからこそ、何に関わり、何をスルーするかを決める。この絞り込みが、本書の中心にあります。
3つ目のポイントは、リーダーの言動は小さく見えても、組織に大きな影響を与えるという考え方です。日々の声かけ、報告への返し方、評価の仕方、ルールの決め方が少しずつズレると、組織全体のズレにつながっていく。本書は、制度や理念だけでなく、リーダーの毎日の振る舞いこそがチームの成果や部下の成長を左右すると見ています。
著者が一番伝えたいこと
本書を貫いている主張は、リーダーは「いい人」や「頼れる先輩」の延長で動くのではなく、役割としてマネジメントを引き受ける必要がある、ということです。リーダータイプの性格やカリスマ性がなくても、見るべきポイントを押さえればマネジメントはできる。反対に、どれだけ人間的な魅力があっても、部下の成長とチームの成果につながらない言動を続けていれば、リーダーとしては機能しにくいという立場です。
「リーダーの仮面」という言葉も、素の自分を偽るという意味ではなく、役割に集中するための道具として使われています。尊敬されたい、好かれたい、すごいと思われたいという気持ちをいったん横に置き、部下にとって本当に必要な関わり方を選ぶ。そのための判断軸として、5つのポイントが提示されています。
読むと得られること
この本を読むと、部下に対して何を言うべきか、何を言わないほうがよいかを考える視点が得られます。特に、初めて部下を持った人にとっては、つい細かく指導したくなる場面や、逆に嫌われたくなくて踏み込めない場面で、自分の役割を整理する助けになります。
また、部下との距離感を見直すきっかけにもなります。本書は、仲良くすることやモチベーションを上げることをマネジメントの中心に置いていません。むしろ、ルールを明確にし、位置関係を整え、結果をもとに次の行動を考え、成長につなげることを重視します。そのため、部下との関係が近すぎると感じている人や、優しく接しているのに育成がうまくいかないと感じている人には、視点の切り替えになりやすい内容です。
読後に残るのは、リーダーの言動を軽く扱ってはいけないという緊張感です。何気ないひと言や、曖昧なルール、感情的な関わり方が、部下の成長やチームの成果に影響する。そう考えると、マネジメントは性格の問題ではなく、日々の判断と行動を整える仕事なのだと見えてきます。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、最初からテクニックを並べるのではなく、「なぜプレーヤーとして優秀な人が、リーダーになるとつまずくのか」という問題提起から始まります。そこから、感情やモチベーションに頼るマネジメントをいったん脇に置き、リーダーとして見るべき対象を5つに絞っていく流れです。
前半では、組織の前提を整えるために「ルール」と「位置」を扱います。中盤では、組織の目的や評価に関わる「利益」と「結果」へ進み、後半では部下の「成長」とリーダーの責任に話がつながります。単なる精神論ではなく、リーダーの言動をどの順番で見直すかが組み立てられている構成です。
大見出し目次(短い目次)
はじめに なぜ、「リーダーの言動」が大事なのか?
序章 リーダーの仮面をかぶるための準備―「鎖覚」の話
第1章 安心して信号を渡らせよ―「ルール」の思考法
第2章 部下とは迷わず距離をとれ―「位置」の思考法
第3章 大きなマンモスを狩りに行かせる―「利益」の思考法
第4章 褒められて伸びるタイプを生み出すな―「結果」の思考法
第5章 先頭の鳥が群れを引っ張っていく―「成長」の思考法
終章 リーダーの素顔
各章の要点
序章では、リーダーが感情や思いつきに引っ張られず、マネジメントを役割として捉えるための準備が行われます。ここで、部下との関わりを「自分らしさ」ではなく「見るべき軸」で整える方向へ切り替わります。
第1章では、チームを動かす前提としてルールの重要性が扱われます。自由に任せることが必ずしも部下を楽にするわけではなく、誰が何をいつまでにやるのかを明確にすることが、組織の混乱を減らす出発点になります。
第2章では、リーダーと部下の位置関係がテーマになります。ここは本書の読みどころの一つで、友達のように近づきすぎるのではなく、責任者として未来を見て任せるための距離感が整理されます。
第3章では、個人の都合や感情ではなく、組織の利益を軸に判断する視点へ進みます。部下の言い分をそのまま受け取るのではなく、事実や数字をもとに判断する方向へ橋渡しする章です。
第4章では、評価や結果の扱いが中心になります。プロセスを褒めることや、よい返事に安心することではなく、結果をもとに次の目標を詰める考え方が示されます。マネジメントを具体的な成果へつなげる章です。
第5章では、部下の成長をどう生むかが扱われます。リーダーが先頭を走り続けるのではなく、部下が不足を埋めながら成長する場を作るという流れです。終章ではその先に、部下を見捨てない責任や、会社という場の意味へ話が広がります。
忙しい人が先に読むならここ
先に読むなら、まず導入部です。ここを読むと、本書が単なる管理職向けノウハウではなく、プレーヤーからマネジャーへ頭を切り替える本だと分かります。特に、優秀な人ほどリーダーとして失敗しやすいという前提は、その後の章を読むうえで重要です。
次に読むなら第2章です。部下との距離感、お願いではなく任せること、友達関係にならないことなど、現場で悩みやすいテーマが集まっています。ここは「優しい上司でいればよいのか」と迷っている人ほど、考える材料が多い章です。
続いて第4章を読むと、本書の厳しさと実用性が見えてきます。褒めることやプロセス評価への見方は、人によって引っかかりやすい部分ですが、結果を基準にするという本書の軸を理解するには重要です。時間があれば、第1章でルール設計を確認し、最後に第5章と終章を読むと、冷たい管理論ではなく部下の成長につながる考え方として整理しやすくなります。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んでいちばん残ったのは、この本が単なる「部下との接し方」の本ではなく、プレーヤーの頭からマネジャーの頭へ切り替えるための本だということです。部下に何を言うかだけでなく、何を言わないか、どこまで関わり、どこから任せるのか。その線引きを考えさせられる点が、特に印象に残りました。
本書の中心には、リーダーが見るべきものを「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の5つに絞る考え方があります。部下を前にすると、仕事の進め方、モチベーション、コミュニケーション、将来のことまで、つい多くのものが気になってしまいます。だからこそ、見るべきポイント以外はあえてスルーするという主張は、最初は少し強く感じましたが、読み進めるうちに本書全体の軸として納得感がありました。
もうひとつ残ったのは、「リーダーの仮面」という言葉の受け取り方です。最初は、冷たくなることや自分を偽ることのようにも見えますが、読み進めると少し違います。個人的な感情や、尊敬されたいという気持ちをいったん横に置き、リーダーという役割に必要な言動を選ぶための考え方として整理されていました。
すぐ試したくなったこと
すぐ試したくなったのは、自分の部下への関わり方を「5つの軸」で見直すことです。何かを伝える前に、それがルール、位置、利益、結果、成長のどれに関係しているのかを考えるだけでも、思いつきの発言は減らせそうだと感じました。
また、評価やフィードバックをするときに、印象やプロセスではなく結果に立ち返ることも試しやすいポイントです。部下の姿勢や頑張りを見ていると、つい言葉をかけたくなりますが、本書はそこに慎重です。何を褒め、何を評価し、何を次の目標につなげるのかを曖昧にしないことが、リーダー側の責任として示されています。
部下との距離感を点検することも、読後に残りました。近づくことがよい関係づくりだと思い込むと、言うべきことが言いにくくなります。本書は、上司と部下の間にある程度の緊張感を保つことを、冷たさではなく成長の条件として扱っているところが特徴的でした。
読んで気になった点
気になった点は、言葉の強さです。「距離をとる」「褒めることの弊害」「結果を見る」といった主張は、共感や傾聴を重視するマネジメントに慣れている人ほど、最初は引っかかると思います。私自身も、読み始めは冷たい管理論のように感じる部分がありました。
ただ、終盤まで読むと、本書が単に部下を突き放す本ではないことも分かります。部下の成長や、リーダーが人を見捨てない責任へ話がつながるため、強い表現だけを切り取ると誤解しやすい本です。読むときは、「部下に優しくしない本」ではなく、「リーダーとして役割を果たすために感情を横に置く本」と捉えたほうが理解しやすいです。
そのため、柔らかいリーダー論だけを求めている人や、人事制度の細かな設計方法を知りたい人には、少し期待と違うかもしれません。一方で、プレーヤーから管理職に変わったばかりで、部下との関わり方に迷っている人には、自分の言動を見直すきっかけになる一冊だと感じました。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書は、読んで終わるよりも、日々の言動を少しずつ点検することで価値が出る本です。今日から試すなら、まずは大きな制度変更ではなく、リーダー自身の声かけや判断の癖を見直すところから始めるのが現実的です。
- 部下に声をかける前に、それが「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」のどれに関係するかを確認する
- 思いつきで助言しそうになったら、今すぐ言う必要があることか、一度立ち止まる
- チーム内の曖昧な約束を、担当・内容・期限が分かる形に言い換える
- 報告、連絡、相談が混ざっていないかを確認し、それぞれの扱い方を分ける
- 部下との関係が友達のようになりすぎていないかを振り返る
- 評価やフィードバックをするとき、印象ではなく結果や事実を起点に話す
- 部下の言い訳や感情に引っ張られたとき、数字や事実に戻す
- 褒める前に、それが次の成長につながる言葉かを考える
- 自分が「よく思われたい」気持ちから発言していないかを確認する
特に始めやすいのは、声かけの前に一拍置くことです。部下のために言っているつもりの一言が、本当に成長につながるのかを確認するだけでも、本書の考え方を日常に移しやすくなります。
1週間で試すならこうする
Day1は、自分のマネジメントの癖を洗い出します。部下に対して、手取り足取り教えすぎていないか、逆に背中を見せるだけになっていないかを振り返ります。
Day2は、チーム内のルールを点検します。誰が見ても同じように理解できるルールになっているか、曖昧な空気や暗黙の了解に頼っていないかを確認します。
Day3は、部下との距離感を見直します。仲のよさを優先しすぎて、言い切るべき場面でお願い口調になっていないか、報告や相談の境界がぼやけていないかを見ます。
Day4は、利益や目的に立ち返ります。個人の希望や感情だけで判断していないか、チーム全体の成果にとって必要な判断になっているかを整理します。
Day5は、評価の基準を見直します。頑張りや印象ではなく、結果や事実をもとに次の目標を話せているかを確認します。
Day6は、部下の成長につながる行動を1つ決めます。説明して終わるのではなく、実際に行動してもらう機会をつくり、変わった気になるだけで終わらせないようにします。
Day7は、1週間の自分の言動を振り返ります。どの場面で感情に引っ張られたか、どの場面で「5つのポイント」に戻れたかを確認し、翌週も続ける行動を1つに絞ります。
つまずきやすい点と対策
つまずきやすいのは、「距離をとる」「褒めすぎない」「プロセスだけで評価しない」といった考え方を、冷たく接することだと受け取ってしまう点です。本書の実践で大切なのは、部下に無関心になることではなく、成長と成果に関係する部分へ集中することです。迷ったときは、今の関わりが部下の成長につながるのか、短期的に好かれるための言動になっていないかを確認するとよいでしょう。
もう一つの難所は、これまで優しく寄り添うことを大事にしてきた人ほど、言い切ることや距離を取ることに抵抗を感じやすい点です。その場合は、いきなり態度を大きく変える必要はありません。まずはルールの明確化や、結果をもとに次の行動を決めることなど、感情を挟みにくい部分から始めると取り入れやすくなります。
また、5つの軸を意識しすぎて、すべてを完璧に管理しようとするのも注意点です。本書が求めているのは、部下のすべてを見ることではなく、見るべきものを絞ることです。細かく手取り足取り教える方向に戻ってしまうと、プレーヤー時代の延長になりやすくなります。
読み終えたあとに使うなら、まずは「自分の言動のズレ」を見つける本として活用するのが現実的です。日々の声かけ、指示、評価、報告への反応を少しずつ整えることで、リーダーとしての役割を見直すきっかけになります。
比較|似ている本とどう違う?

『部下をもったらいちばん最初に読む本』との違い
『リーダーの仮面』は、プレーヤーから管理職へ頭を切り替えるために、リーダーの言動や判断軸を整える本です。比較軸は、読者層と学習段階です。『部下をもったらいちばん最初に読む本』も、初めて部下を持つ人に向いた本ですが、『リーダーの仮面』は特に「優秀なプレーヤーが、そのままリーダーとして失敗しやすい」という問題に重心があります。
本書では、リーダーが見るべきものを「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の5つに絞り、部下に寄り添いすぎることや、思いつきの声かけが成長を止める可能性まで踏み込んでいます。そのため、単に部下との接し方を知りたい人よりも、自分の中に残っているプレーヤー意識を外し、管理職としての軸を持ちたい人に合います。
一方で、『部下をもったらいちばん最初に読む本』は、管理職になりたての人が別のマネジメント体系から部下育成を補う本として選びやすい一冊です。まず幅広く部下育成の入口を押さえたいなら『部下をもったらいちばん最初に読む本』、リーダーとしての距離感や言動のズレを見直したいなら『リーダーの仮面』が向いています。
『とにかく仕組み化』との違い
『リーダーの仮面』は、まずリーダー本人の言動を変える本です。比較軸は、テーマと実用性です。『とにかく仕組み化』は同じ著者による識学系のマネジメント本ですが、リーダー個人の振る舞いから一歩進んで、属人性を減らす仕組みづくりへ論点を広げたい人に合います。
本書の中心は、部下に対して何を見るか、何を見ないかを決めることです。ルールを明確にする、位置関係を曖昧にしない、結果や数字に立ち返るといった内容は、日々の声かけや評価の仕方に直結します。読後にすぐ見直しやすいのは、自分の発言、報連相の扱い、部下との距離感です。
一方で『とにかく仕組み化』は、リーダーの言動やルール設定を、より広い組織運営の仕組みへつなげたい人に向いています。まず自分のマネジメントの癖を直したいなら『リーダーの仮面』、個人の努力に頼らないチーム運営まで広げたいなら『とにかく仕組み化』が選びやすいです。
迷ったらどれを選ぶべき?
迷ったら、いま抱えている悩みで選ぶのが分かりやすいです。部下に嫌われたくなくて言うべきことを飲み込んでしまう、面倒見はよいのにチームが育たない、評価や距離感に迷うという悩みなら、『リーダーの仮面』が最も合います。リーダーに必要なのはカリスマ性ではなく、役割として必要な言動を選ぶことだと整理してくれるからです。
| 悩み・目的 | 選びやすい本 |
|---|---|
| 管理職としての頭の切り替えをしたい | 『リーダーの仮面』 |
| 初めて部下を持つ不安を広く整理したい | 『部下をもったらいちばん最初に読む本』 |
| 属人性を減らす仕組みづくりへ進みたい | 『とにかく仕組み化』 |
『リーダーの仮面』は、やさしい上司になる方法を学ぶ本というより、部下の成長とチーム成果のために、あえて見ないものを決める本です。共感型のマネジメントだけを学びたい人には強く感じる部分がありますが、管理職1年目やプレーヤー意識が抜けない人には、最初に軸を作る一冊として使いやすい本です。
著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール
安藤広大氏は、株式会社識学の代表取締役社長です。2002年に早稲田大学を卒業後、NTTドコモなどを経て、プレイングマネジャーとしてチームの問題に直面していた時期に「識学」と出会ったと紹介されています。その後、2013年に独立し、2015年に株式会社識学を設立。著書として『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』が確認できます。
このテーマを書く理由
安藤氏がこのテーマを書く背景には、「識学」を軸にした組織マネジメントの活動があります。識学は、組織内で起こる誤解や錯覚がどのように発生し、どう解消できるかを扱う考え方です。本書の中心にも、リーダーの何気ない言動が組織のズレを生むという問題意識があります。
『リーダーの仮面』は、初めて部下を持つ若手リーダーや中間管理職に向けて、プレーヤーからマネジャーへ頭を切り替えるための本です。著者自身が、組織運営やマネジメントを扱う識学の事業を展開してきた立場にあるため、「リーダーの性格」ではなく「リーダーの役割」に焦点を当てた内容になっています。
この本が信頼できる理由
この本が信頼しやすいのは、リーダー論を精神論やカリスマ論だけで語っていない点です。安藤氏は、識学をもとに組織内の誤解や錯覚を扱ってきた人物であり、本書でもリーダーが見るべきポイントを「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の5つに整理しています。
また、本書は「優秀なプレーヤーが優秀なリーダーになるとは限らない」という実務上のつまずきから出発しています。部下に寄り添いすぎること、手取り足取り教えること、背中を見せるだけで済ませることを、いずれもリーダーの失敗につながりうるものとして扱っているのが特徴です。
過剰に理想的な上司像を描くのではなく、日々の声かけ、報連相、評価、距離感といった具体的な言動に落とし込んでいるため、管理職やチームリーダーが自分の行動を点検しやすい本になっています。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
ざっくり内容を知りたいだけなら、要約でも本書の中心にある「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」の5つの軸はつかめます。リーダーが何を見るべきか、何を見ないべきかを整理する本だと分かれば、全体像の理解には十分です。
ただし、実際に部下との距離感、声かけ、評価、報連相の扱い方を変えたいなら、本編まで読む価値があります。特に、優しさや寄り添いが必ずしも成長につながらないという主張は、要約だけだと冷たい管理論に見えやすい部分です。
初心者向け? 中級者向け?
初めて部下やスタッフを持つ人に向いた本です。リーダーシップを性格やカリスマ性ではなく、役割として捉える構成なので、マネジメント経験が浅い人でも読み始めやすい内容になっています。
一方で、すでに中間管理職として部下育成や評価に迷っている人にも役立ちます。やさしい声かけや共感的な関わり方を中心に学びたい人には強く感じる部分もありますが、成果と成長に向けて距離感を整えたい人には、実践の軸を作りやすい一冊です。
どこから読むべき?
基本的には、導入部から順番に読むのが分かりやすい構成です。プレーヤーとして優秀だった人がリーダーでつまずく理由を示し、その後に感情やモチベーションから距離を取る準備へ進むため、最初を飛ばすと本書の前提が弱くなります。
忙しい場合は、まず序章と第1章・第2章を優先するとよいです。序章で頭の切り替え方を押さえ、第1章でルール、第2章で部下との位置関係を確認すると、日々の声かけや任せ方を見直しやすくなります。評価や成長の扱いに悩んでいる人は、第4章・第5章も早めに読むとつながりが見えます。
忙しくても実践できる?
忙しくても実践しやすい本です。各章に行動へ落とし込むための項目があり、読んだ内容をそのまま日々のマネジメントに照らし合わせやすくなっています。
最初から全部を変える必要はありません。まずは、部下に対して言いすぎていること、逆に言うべきなのに避けていることを棚卸しするだけでも使えます。次に、「誰が、何を、いつまでにやるか」が曖昧になっていないか、部下との関係が友達化していないかを点検すると、本書の考え方を仕事に移しやすくなります。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
『リーダーの仮面』を読む価値は、プレーヤー視点からマネジャー視点へ切り替えるための軸が得られることです。部下にどう接するかだけでなく、何を言い、何を言わず、どこまで関わるかを考える本として読むと、実用性が見えてきます。
1つ目の価値は、リーダーが見るべき対象を「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」に絞れること。部下を前にすると、仕事の進め方、モチベーション、人間関係、将来のことまで気になりがちですが、本書は見るべきポイントを限定することで、リーダーの迷いを減らしてくれます。
2つ目の価値は、リーダーシップを性格やカリスマ性の問題にしていないことです。内向的でも、声が大きくなくても、役割としての振る舞いを整えればマネジメントはできる。初めて部下を持つ人にとって、この考え方はかなり心強いはずです。
3つ目の価値は、厳しさや距離感を「冷たい管理」ではなく、部下の成長とチーム成果に向けた責任として捉え直せることです。言葉ははっきりしていますが、終盤では部下を見捨てない姿勢にもつながっていくため、単なる強い上司論とは少し違います。
この本をおすすめできる人
この本は、初めて部下やスタッフを持った人、プレーヤーとして成果を出してきたものの管理職としての振る舞いに迷っている人に向いています。特に、部下に好かれたい気持ちと、成果に責任を持たなければならない立場の間で揺れている人には、判断の軸を作る助けになります。
一方で、やさしい声かけや共感的なコミュニケーションを中心に学びたい人には、主張が強く感じられるかもしれません。部下との距離感、評価、結果、成長をどう扱うかを整理したい人ほど、読む価値を感じやすい一冊です。
今すぐやること
今日やるなら、退勤前に10分だけ時間を取り、直近で部下にかけた言葉を3つ書き出してみてください。そして、それぞれが「ルール」「位置」「利益」「結果」「成長」のどれに関係していたかを確認します。
どれにも当てはまらない声かけが多いなら、思いつきや承認欲求から発言していた可能性があります。明日からは、部下に声をかける前に「これは5つのどれに関係するか」と一呼吸置くだけでも、リーダーとしての言動はかなり整いやすくなります。
次に読むならこの本
- 『数値化の鬼』:『リーダーの仮面』で扱った「結果」「成長」を、数字で不足を捉える思考へつなげたい人に向いています。
- 『とにかく仕組み化』:リーダー個人の言動だけでなく、問題を仕組みで解決する組織運営へ広げたい人に合います。
- 『部下をもったらいちばん最初に読む本』:初めて部下を持った人が、より部下育成やリードマネジメント寄りの実践を補いたいときに読みやすい候補です。
管理職になった人が読むべきおすすめ書籍

初めて管理職になった人におすすめの書籍です。
本の「内容・感想」を紹介しています。
