
会議で反応が薄い、部下の本音が見えない、話がどこか噛み合っていない。『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』は、そんな職場の「なんか変」を、すぐに「やる気がない」「分かっていない」と片づけず、観察と関係調整の入口として扱う本です。
この記事では、本書の要約、章立ての流れ、読んで印象に残った点、実践するときの注意点を整理します。自分の職場の悩みにどうつながるのか、購入前にどこを確認すればよいのかが分かるように読んでいきます。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『組織の違和感 結局、リーダーは何を変えればいいのか?』は、職場の小さな引っかかりを、感情論や好き嫌いで終わらせず、観察・自分理解・相手理解・組み合わせの視点から組織改善につなげる本です。部下を思い通りに動かすためのテクニック集というより、会議の反応の薄さ、会話の噛み合わなさ、チームの沈黙をどう見立てるかを考える一冊です。
向いている人
向いているのは、部下や同僚とのコミュニケーションに違和感を抱えている管理職やチームリーダーです。特に、会議で意見が出ない、返事が曖昧、部下の本音が見えないと感じながらも、踏み込み方がわからない人には読みどころがあります。
また、職場の問題を「やる気がない」「普通はこうするはず」と片づけがちな自分に気づいている人にも合います。本書は、相手を責める前に、自分が何を観察し、何を解釈しているのかを分けて見る方向へ導いてくれます。組織開発、対話、面談、フィードバックに関心があり、チームの関係性を少しずつ整えたい人にも向いています。
向いていない人
一方で、すぐ使える会話フレーズ集や、部下を思いどおりに動かすテクニックを期待している人には、少し遠回りに感じるかもしれません。本書は、短期的な処方せんだけを並べる本ではなく、職場で起きるズレをどう捉え直すかを考える本です。
また、タイプ診断だけで相手を分類したい人や、自分の解釈や振る舞いを見直すつもりがない人にも、あまり合わない可能性があります。診断やタイプ分けは出てきますが、人を固定的にラベリングするためではなく、相性理解や環境調整に使うためのものとして扱われています。
先に結論(買う価値はある?)
結論として、職場の小さな違和感を見過ごさず、チームを良くする入口に変えたい人には読む価値があります。理由は、本書が単なるコミュニケーション術ではなく、違和感を観察し、自分と相手の解釈の違いを知り、持ち味を組み合わせるところまで段階的に扱っているからです。
良い意味で、派手な改革論ではありません。むしろ、静かなチームや噛み合わない会話の奥にあるものを、決めつける前に見つめ直す本です。部下との関係に悩んでいる人、チームの空気に言葉にしづらい違和感がある人なら、読後に「まず観察してみよう」と思えるはずです。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
1つ目のポイントは、職場の違和感を「悪いもの」ではなく、問題が表面化する前のサインとして扱うことです。会議で反応が薄い、返事が曖昧、会話がどこか噛み合わない。そうした小さな引っかかりを放置すると、相手への決めつけや不信感が大きくなり、やがて組織のすれ違いにつながっていきます。
2つ目は、本音をそのままぶつけるのではなく、ジャッジする前の「気づき」を共有することです。本書は、率直に話すことを勧めながらも、悪口や決めつけを本音として出すことには慎重です。大切なのは、「相手が悪い」と決める前に、自分が何を見て、何を感じ、どう解釈したのかを分けて考えることです。
3つ目は、組織を個人の能力だけで見ないことです。本書は、万能なリーダーや完璧な人材を求めるのではなく、自分と相手の解釈のクセ、持ち味、相性を見ながら、どう組み合わせればチームが機能するかを考えていきます。人を評価する本というより、関係性と環境を調整するための本です。
著者が一番伝えたいこと
本書全体を貫いているのは、リーダーがまず変えるべきなのは「相手そのもの」ではなく、自分の観察の仕方、解釈の仕方、関係のつくり方だという主張です。職場では、素早く結論を出すことや、わかりやすく説明することが重視されがちです。しかし、その空気の中で、小さな疑問やもやもやが封じられ、気づかないうちに決めつけが増えていく。その状態を放置しないために、違和感を丁寧に扱う必要がある、という問題意識があります。
また、本書は「優秀なひとり」が組織を引っ張ればうまくいく、という見方から距離を取っています。人それぞれに異なる正しさや解釈があり、持ち味も違う。だからこそ、誰かを正しくない人として切り捨てるのではなく、それぞれの違いを見て、組織としてどう組み合わせるかが重要になります。違和感をなくすのではなく、違和感から関係を見直す本だと言えます。
読むと得られること
読むと得られるのは、職場のもやもやを感情論で終わらせないための視点です。部下の反応が薄いとき、会議で誰も話さないとき、相手の言葉に引っかかったときに、すぐ「やる気がない」「わかっていない」と判断するのではなく、一度観察して問い直す姿勢が身につきます。
また、自分の解釈のクセと相手の言動パターンを分けて考えられるようになるのも大きな収穫です。相手を変えようとする前に、自分がどんな前提で見ているのかを点検し、チームメンバーを優劣ではなく持ち味の組み合わせとして捉え直す。その視点があるだけで、面談、相談、雑談、フィードバックの受け止め方も変わってきます。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、職場で生まれる小さな違和感を出発点にして、最終的には組織の見方や関わり方を変えていく構成です。いきなり「こう話せばいい」「こう指導すればいい」と解決策へ飛ぶのではなく、まず違和感の正体を見つめ、自分の解釈のクセを知り、相手の言動パターンを理解し、そのうえでチームの組み合わせを考える流れになっています。
序盤は、会議で反応がない、部下の本音がわからない、言葉にしづらい空気があるといった現場の違和感を扱います。中盤では、その違和感を「自分」と「相手」の理解へ分解し、後半では面談・相談・雑談・対話、否定しない技術、会議の進め方など、実際の振る舞いに落とし込んでいきます。最後は、テクニックだけではなく、信頼関係や感謝、訂正し合える関係まで広げているのが特徴です。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 違和感とは何か?「決めつけ」が横行する現場で
- 第2章 違和感に気づくと「自分」がわかる まず、「自分を知る」
- 第3章 人間関係の違和感から「相性」を知る 次に、「相手を知る」
- 第4章 違和感を役立て最高の組織をつくる そのうえで、「組み合わせる」
- 第5章 違和感を乗り越えるための話し方・振る舞い方
- 第6章 「いてくれてありがとね」から始める組織改革
各章の要点
第1章では、職場の小さな違和感をどう観察するかが扱われます。単なる不満や好き嫌いではなく、問題が大きくなる前のサインとして違和感を見る章です。
第2章では、その違和感を通して自分を知る方向へ進みます。自分の本音や建前、解釈のクセを見つめることで、相手を変える前に自分の見方を点検する橋渡しになります。
第3章では、相手をどう見るかがテーマになります。相手の言動パターンや持ち味を知ることで、「合う・合わない」を感情だけで判断せず、相性として捉える視点が出てきます。
第4章では、自分と相手の理解を踏まえて、組織を組み合わせで考えます。個人を優劣で評価するより、異なる機能をどう噛み合わせるかに重心が移る章です。
第5章では、実際の話し方や振る舞い方に入ります。面談、相談、雑談、対話、フィードバック、否定しない技術など、違和感を現場で扱うための実践パートです。
第6章では、組織改革の土台として、信頼関係、健全に疑うこと、訂正し合える関係、感謝が扱われます。テクニックだけでなく、働く人の存在をどう受け止めるかまで広げている終盤です。
忙しい人が先に読むならここ
忙しい人が先に読むなら、まず第1章です。ここで、本書が扱う「違和感」が単なる気分や愚痴ではなく、組織の問題を早い段階で見つける入口だと分かります。特に、静かなチームや、本音をそのまま出すことへの注意点は、本書全体の読み方を決める重要な部分です。
次に読むなら第5章です。第1章で違和感の見方をつかんだうえで、実際にどう話すか、どう振る舞うかに進めます。面談や相談、雑談、フィードバック、会議の扱い方に関心がある人は、この章から実用面を拾いやすいはずです。
余裕があれば、第2章から第4章を続けて読むと理解が深まります。自分を知り、相手を知り、組み合わせるという本書の中心の流れが見えてくるためです。職場の違和感を「相手の問題」として終わらせず、関係性と環境を見直したい人ほど、この中盤が効いてきます。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
特に印象に残ったのは、職場の違和感を「早く消すべきノイズ」としてではなく、組織を見直す入口として扱っている点です。会議で反応が薄い、会話が噛み合わない、部下の本音が見えない。そうした場面は、忙しい職場では見過ごされがちですが、本書はそこにこそ組織のほころびが表れると捉えます。
読んでいて腑に落ちたのは、違和感をそのまま感情の吐き出しにしないところです。第1章の「仕事に本音はいらない」という論点は、最初は少し強く感じます。ただ、読み進めると、ここで否定されているのは率直さではなく、相手をすでに裁いた後の言葉をぶつけることなのだと分かります。大事なのは、嫌い・わかっていない・普通ではないと決める前に、自分の中に生まれた小さな気づきを扱うことです。
もう一つ残ったのは、リーダーに万能さを求めない視点です。本書は、組織を個人の能力勝負としてではなく、異なる持ち味の組み合わせとして見ようとします。優秀な一人がすべてを解決するのではなく、それぞれの機能が噛み合うことでチームが動く。この考え方は、個人評価に寄りがちな職場の見方を少し緩めてくれるように感じました。
すぐ試したくなったこと
読んでまず試したくなったのは、違和感を感じた場面をすぐに結論へ飛ばさず、いったん観察として残すことです。相手の反応が薄いとき、すぐに「理解していない」「やる気がない」と決めるのではなく、自分は何を見たのか、そこから何を解釈したのかを分けて考える。それだけでも、職場での受け止め方は変わりそうです。
また、会議や面談で相手の反応に引っかかったとき、ジャッジ後の言葉ではなく、ジャッジ前の気づきを出してみたいと思いました。これは、単に優しく話すということではありません。相手を責める前に、こちらが何に戸惑ったのか、何を確認したいのかを共有することで、個人の不満をチームの課題として扱える可能性があるからです。
もう一つ実践したくなったのは、チームメンバーを優劣ではなく、持ち味や役割の組み合わせとして見ることです。自分でやったほうが早い、あの人は合わない、と判断する前に、その人の機能がどこで活きるのかを考える。本書の中盤以降の流れを読むと、組織を見る目を変えること自体が、リーダーにとって大きな実践なのだと感じます。
読んで気になった点
気になった点を挙げるなら、即効性のある会話フレーズ集を期待して読むと、少し距離を感じるかもしれないところです。本書は、面談、相談、雑談、対話、フィードバック、会議といった実務場面にも触れていますが、中心にあるのは「何を言えば相手が動くか」ではなく、「自分と相手の見方をどう整えるか」です。すぐに使える言い回しだけが欲しい人には、回り道に見える可能性があります。
もうひとつは、タイプや診断、ソーシャルスタイルが出てくる部分の受け止め方です。ここを人を分類する道具として読むと、本書の主旨とは少しずれてしまいます。むしろ、相手を固定的に決めつけるためではなく、相性や持ち味を見て、関係性を調整するための補助線として読む必要があります。
全体として、この本は「違和感をなくす本」ではなく、「違和感を雑に扱わないための本」だと感じました。自分の解釈や振る舞いを見直すことに関心がない場合は、少し読者を選ぶかもしれません。ただ、チームの空気は悪くないのに何か噛み合わない、部下の本音が見えない、でも誰かを悪者にしたいわけではない。そんな状態にいる人には、かなり深く届く内容だと思います。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
この本は、読んだその日から大きな改革を始めるというより、職場の見方を少し変えるところから使いやすい本です。まずは「決めつける前に観察する」ための小さな行動に落とし込むと、無理なく始められます。
- 会議で反応が薄いと感じたら、すぐ評価せず「見えた事実」と「自分の受け止め」を分けてメモする。
- 「普通はこう」「ちゃんとしてほしい」と思った場面を記録し、自分の解釈のクセを見直す。
- 部下や同僚の言動を評価する前に、その人なりに何を合理的だと感じているのかを考える。
- 面談や相談の前に、相手を変えたい点ではなく、自分が観察した違和感を短く整理しておく。
- フィードバックでは、相手の人格ではなく、出来事・違和感・自分の受け止めを分けて話す。
- チームメンバーを能力の高低だけで見ず、役割や持ち味の違いとして一度書き出してみる。
- 会議時間の短縮だけを成果にせず、話すべきズレや葛藤が残っていないかを確認する。
- 「困っている」と感じたら、失敗ではなく、決めつける前に立ち止まれているサインとして扱う。
最初の一歩としては、会議や面談で感じた違和感をメモするところから始めるのが現実的です。いきなり伝え方を変えるより、まず自分がどこで決めつけそうになるのかを知るほうが、本書の使い方に合っています。
1週間で試すならこうする
Day1は、職場で「なんか変」と感じた場面を1つだけ書き留めます。相手の意図を決めず、起きたことと自分の反応を分けることを意識します。
Day2は、その違和感に対して自分がどんな解釈をしていたかを振り返ります。「やる気がない」「わかっていない」など、相手への評価に飛んでいないかを見る日です。
Day3は、相手側の合理性を考えてみます。自分には不自然に見えた言動でも、相手なりには何を守ろうとしていたのか、どんな事情がありそうかを整理します。
Day4は、チーム内の役割や持ち味を見直します。誰が優秀かではなく、誰がどんな機能を担っているかという視点で、メンバーの見え方を変えてみます。
Day5は、短い会話で違和感を小さく出してみます。責める言い方ではなく、「今の反応を見て少し確認したくなった」というように、観察と受け止めを分ける意識を持ちます。
Day6は、会議や雑談の場を振り返ります。話が早く終わったかどうかだけでなく、言えないまま残ったズレや、誰も触れなかった葛藤がなかったかを確認します。
Day7は、1週間で見えた自分のクセをまとめます。違和感を消すのではなく、どの場面で観察でき、どの場面で決めつけそうになったかを振り返るだけで十分です。
つまずきやすい点と対策
まずつまずきやすいのは、「違和感を大事にする」を、感じたことをそのまま言うことだと誤解してしまうことです。本書が勧めているのは、悪口や決めつけを出すことではなく、ジャッジする前の気づきを扱うことです。小さく始めるなら、「相手が悪い」ではなく「今、ここが分からなかった」と言い換えるところからで十分です。
次に起こりやすいのは、観察しようとしているのに、すぐ解釈へ飛んでしまうことです。部下の反応が薄いと、「理解していない」「やる気がない」と判断したくなります。そんなときは、まず「返事が短かった」「発言がなかった」など、見えた事実だけを取り出してから考えると、決めつけを避けやすくなります。
また、相手に確認しようとして、質問が詰問のようになってしまうこともあります。違和感を扱う目的は、相手を追い込むことではなく、解釈のズレを一緒に確かめることです。最初は大きな面談にせず、会話の中で「今の受け取り方を確認してもいい?」と軽く聞くくらいが現実的です。
最後に、持ち味を見ようとして、逆にタイプ分けで相手を固定してしまうことにも注意が必要です。本書の視点は、人をラベルで決めるためではなく、組み合わせを考えるためのものです。まずは「この人はこういう人」と断定するより、「この場面では何が活きているか」と見るほうが、小さく試しやすいはずです。
比較|似ている本とどう違う?

まず違いを一覧で整理
『組織の違和感』は、職場で生まれる小さな違和感を入口に、観察・解釈・組み合わせから組織を見直す本です。近いテーマの本と比べると、同じ著者の『職場で傷つく』は職場の「傷つき」から組織を考える本であり、『心理的安全性のつくりかた』は意見や違和感を言えるチームの土台づくりを補強する本として選びやすいです。
| 本 | 重心 | 向いている人 |
|---|---|---|
| 本書 | 小さな違和感を観察し組織改善へつなげる | 部下との対話やチームの沈黙に悩む人 |
| 『職場で傷つく』 | 職場の傷つきを起点に組織を見直す | 傷つきやしんどさを組織の問題として考えたい人 |
| 『心理的安全性のつくりかた』 | 意見や違和感を言える土台を実践面から考える | チームづくりを心理的安全性の観点で補強したい人 |
『職場で傷つく』との違い
本書は、まだはっきり問題として見えていない「なんか変」を扱う本です。会議の沈黙や会話のズレ、部下の反応の薄さを、決めつける前に観察し、自分と相手の解釈の違い、持ち味の組み合わせへ進んでいきます。一方で『職場で傷つく』は、同じ著者による組織開発書でも、職場で起きる「傷つき」を起点に組織を見直す本です。
職場の中で、まだ言語化しきれない違和感をどう扱うか知りたいなら『組織の違和感』が合います。すでに傷つきやしんどさとして表れている問題を、個人の弱さではなく組織の側から考えたいなら『職場で傷つく』を選ぶとつながりやすいです。
『心理的安全性のつくりかた』との違い
本書は、心理的安全性に近いテーマを含みながらも、中心に置いている言葉は「違和感」「観察」「解釈のクセ」「持ち味」「組み合わせ」です。職場で意見が出ない、何も言わない状態を「問題なし」と見なさず、その手前にある空気や決めつけを丁寧に見ていきます。一方で『心理的安全性のつくりかた』は、意見や違和感を言えるチームづくりを、心理的安全性の観点から実践的に補強したいときに選びやすい本です。
自分や相手の解釈のクセまで戻って、チームの見方を変えたいなら『組織の違和感』が向いています。すでに心理的安全性というテーマに関心があり、違和感や意見を扱えるチームづくりを具体的に補いたいなら『心理的安全性のつくりかた』が合います。
迷ったらどれを選ぶべき?
- 職場の小さな違和感を扱いたい人:本書
- 職場の傷つきを組織の問題として考えたい人:『職場で傷つく』
- 意見を言えるチームづくりを補強したい人:『心理的安全性のつくりかた』
まず選ぶなら、部下との会話が噛み合わない、チームが静かすぎる、でも何を変えればいいかわからない人には『組織の違和感』が合います。違和感をなかったことにせず、感情論にも操作術にも寄せずに、観察と関係性の見直しから始めたい人に向いた一冊です。
著者はどんな人?|この本の信頼性を確認する

著者プロフィール
勅使川原真衣氏は、組織開発コンサルタントです。1982年横浜生まれで、東京大学大学院教育学研究科修士課程を修了。ボストン・コンサルティング・グループ、ヘイグループでの勤務を経て、2017年に組織開発を専門として独立しています。著書には『働くということ 「能力主義」を超えて』『職場で傷つく』『「働く」を問い直す』などがあります。
著者の経験が本書にどう活きているか
本書のテーマである「組織の違和感」は、著者の専門領域である組織開発と深くつながっています。勅使川原氏は、個人の能力だけで組織を見るのではなく、「関係性」という切り口から組織をより良くする提案を行ってきた人物です。
その背景があるため、本書も「リーダー個人がもっと強くなる」「部下をうまく動かす」といった方向には寄りすぎません。職場の小さな違和感を観察し、自分と相手の解釈の違いを見つめ、持ち味の組み合わせから組織を機能させるという流れになっています。組織の問題を個人の性格や能力だけに還元しない点に、著者の経験と専門性が反映されています。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
本の大枠を知りたいだけなら、要約でも十分に雰囲気はつかめます。『組織の違和感』は、職場の小さな違和感を観察し、自分と相手の解釈の違いを知り、持ち味の組み合わせから組織を見直す本です。購入判断の段階なら、この軸が自分の悩みに合うかを確認できればまず足ります。
ただし、実際に職場で使いたいなら本文まで読んだほうがいいです。特に「本音を言う」のではなく「ジャッジ前の気づきを出す」という考え方は、要約だけだと誤解しやすい部分です。違和感を感情の吐き出しではなく、観察と対話の入口として扱うには、前半の考え方と後半の振る舞い方をつなげて読む必要があります。
初心者でも読める?
組織開発やマネジメントの専門知識がなくても、職場での会話の噛み合わなさや、チームの沈黙に心当たりがある人なら読みやすい本です。会議で反応が薄い、部下の本音が見えない、何か変だが言葉にできないといった場面から話が始まるため、入り口はかなり身近です。
一方で、単純な会話術だけを期待すると少し難しく感じるかもしれません。本書は、話し方の型だけでなく、自分の解釈のクセ、相手の言動パターン、持ち味の組み合わせまで扱います。初心者でも読めますが、「すぐ答えをもらう本」ではなく、職場の見方を少しずつ変える本として読むほうが合っています。
どこから読むべき?
基本的には最初から読むのが向いています。第1章で違和感の意味を整理し、第2章で自分を知り、第3章で相手を見て、第4章で組み合わせを考え、第5章で話し方や振る舞い方に進む構成だからです。この順番で読むと、本書が単なるコミュニケーション術ではなく、関係性と環境の見方を変える本だと分かりやすくなります。
忙しい場合は、第1章と第5章を先に読むとつかみやすいです。第1章では「違和感をどう見るか」という土台が分かり、第5章では面談、相談、雑談、対話、否定しない技術など、現場での使い方に近い部分へ進めます。そのあとで第2章〜第4章を読むと、自分・相手・組み合わせという本書の中心が補強されます。
読む前に注意点はある?
読む前に押さえておきたいのは、本書が「相手を思い通りに動かす本」ではないことです。部下を変えるテクニックや、一問一答式のマネジメント術を求めていると、少し遠回りに感じる可能性があります。むしろ本書は、決めつける前に観察し、解釈の違いを見つめ、関係性や環境を見直すための本です。
また、「違和感を大事にする」を、感じたことをそのままぶつける意味に取らないほうがいいです。本書が重視しているのは、悪口や決めつけではなく、評価が固まりきる前の小さな気づきを扱うことです。心理的安全性に近い関心で読める一方、中心にあるのは「違和感」「観察」「解釈のクセ」「持ち味」「組み合わせ」という本書独自の流れです。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
1つ目の価値は、職場の「なんか変」を、放置するものではなく観察の入口として捉え直せることです。会議で反応が薄い、部下の本音が見えない、会話が噛み合わないといった場面を、すぐに相手の能力ややる気の問題にしない。その前に何が起きているのかを見る視点が得られるので、職場のモヤモヤを雑に処理しにくくなります。
2つ目の価値は、リーダーが変えるべきものを「部下」ではなく「自分の見方・聞き方・関係のつくり方」として整理できることです。本書は、強いリーダーが正解を示す本ではなく、自分の解釈のクセを知り、相手の持ち味や相性を見て、組み合わせを考える本です。部下を動かすテクニックよりも、関係性を整える土台がほしい人には読み応えがあります。
3つ目の価値は、「本音で話そう」だけでは解決しない職場の難しさを、実務に近い言葉でほどいてくれることです。本音をぶつけるのではなく、ジャッジする前の気づきや事実を場に出すという考え方は、面談や会議、フィードバックの見方を変えてくれます。職場の違和感を責める材料ではなく、チームの課題に変えるための手がかりとして使える点が、この本らしい強みです。
この本をおすすめできる人・合わない人
おすすめできるのは、部下やメンバーとの会話が噛み合わず、理由がつかめない管理職やリーダーです。会議で発言が出ない、面談で本音が見えない、チームの空気は悪くないのに何かが進まないと感じている人には、かなり具体的な判断材料になります。
また、組織開発やチームづくりに関わる人、心理的安全性や人的資本経営に関心がある人にも合います。個人の能力や性格だけで問題を片づけず、持ち味や関係性から組織を見たい人には、読みやすい入口になるはずです。
一方で、すぐ使える会話フレーズ集や、部下を思いどおりに動かす即効テクニックを期待するとズレやすいです。タイプ診断で相手を分類して終わりにしたい人、自分の解釈や振る舞いを見直すつもりがない人にも、少し遠回りに感じられるかもしれません。
読むならどう活かす?
読むなら、今日の会議後に5分だけ、違和感のあった場面をメモしてみるのが最初の一歩です。そのとき、「相手が悪い」「理解していない」と書くのではなく、自分が見た事実と、そこから生まれた解釈を分けて残すと、本書の考え方を使いやすくなります。
もう一つ持ち帰りたいのは、静かなチームをすぐに「問題なし」と判断しないことです。何も言わないことが不満のなさとは限らない、という前提で見るだけでも、面談や雑談、フィードバックの受け止め方は変わります。まずは、決めつける前に確認する姿勢を一つ増やすことが、この本の活かし方です。
次に読むならこの本
- 『職場で傷つく』:職場の傷つきをなかったことにしない組織開発を深掘りし、本書の違和感と接続して読める一冊です。
- 『働くということ 「能力主義」を超えて』:能力主義や個人評価に偏らない働き方の捉え方を補い、本書の組み合わせ論の背景理解に役立ちます。
- 『心理的安全性のつくりかた』:違和感や意見を扱えるチームづくりを、心理的安全性の観点から実践的に補強できます。
組織開発が学べるおすすめ書籍

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