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【書評】離職防止の教科書―いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版

【書評】離職防止の教科書―いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版

給料を上げたのに辞める、負担を軽くしたのに離れていく。そんな部下の離職を「最近の若手はわからない」で済ませたくないとき、『離職防止の教科書』は、その理由を感覚ではなく4つの欲求と9タイプで見立て直そうとする本です。

この記事では、その整理が現場の迷いをどこまで言葉にしてくれるのかを、実務書としての使いやすさと引っかかる点の両方から見ていきます。読み終えるころには、自分の悩みにこの本が本当に噛み合うかを判断しやすくなるはずです。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本を書いた背景
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

この本は、部下が辞める理由を感覚や世代論で片づけず、心理的な要因と上司の対応に分けて整理し直すための実務書です。中心にあるのは、離職を「4つの欲求」で捉え、さらに年代・意欲・能力による違いまで踏まえて考える視点です。離職を防ぐために何を見直すべきかを、労働環境、人間関係、成長機会、やりがい、評価制度まで広げて考えたい人に向いています。


向いている人

向いているのは、部下の離職理由が見えにくく、関わり方を立て直したい現場の管理職です。給料を上げたのに辞める、配慮したのに辞める、昇進させたのに辞めるといった、表面だけでは説明しにくいケースに戸惑っている人には特に合います。

また、若手育成、叱り方、承認の仕方、成長機会の与え方をまとめて見直したい中間管理職にも使いやすい内容です。採用を強化しても定着しない状況に悩む経営者や人事担当にとっても、離職防止を人手不足対策の中心課題として考える入口になります。


向いていない人

一方で、労働法や人事制度の詳細、制度設計の実務だけを知りたい人には少し方向が違います。本書の主眼は、制度の細部よりも、部下の離職をどう理解し、上司としてどう向き合うかにあります。

もう一つ、4つの欲求や9タイプをそのまま人の固定的な分類として使いたい人にも、やや合いにくいかもしれません。これらは人を決めつけるためのものではなく、離職の背景を整理するための枠組みとして読むほうが生かしやすい本です。


先に結論(買う価値はある?)

結論から言えば、部下の離職を感覚ではなく構造で考えたい人には、買う価値があります。理由ははっきりしていて、離職理由を4つの心理に整理し、さらに年代や意欲・能力の違いまで踏まえて見立てられるからです。冒頭で現場の戸惑いを具体的に示し、そのあとに理論と対応へ進む流れも自然で、実務書として読み進めやすい構成になっています。

反対に、制度論だけを求めるなら優先順位は下がります。ただ、現場で起きる離職のわかりにくさをそのままにしたくないなら、有力な一冊です。部下との関係を感覚ではなく、構造で見直したい人には十分手に取る意味があります。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

第一に、本書は部下の離職を単純な給与不満や世代差だけで説明しません。離職は複数の心理的要因が積み重なって起こるものとして捉え、生存欲求、関係欲求、成長欲求、公欲という4つの欲求で整理していきます。序盤で、叱れない、昇進させたのに辞める、負担を軽くしたのに辞めるといった現場の戸惑いを並べているのも、離職の背景が表面からは見えにくいことを示すためです。

第二に、本書は「原因の理解」で終わらず、上司がどう対応すべきかまで落とし込んでいます。労働環境、人間関係、成長機会、仕事の意味づけといった論点をそれぞれの章で扱い、叱り方や認め方、仕事の任せ方、将来像の示し方まで視野に入れています。精神論ではなく、現場で見直すべき接点を増やしていくつくりです。

第三に、全員に同じ対策を当てはめない点もこの本の軸です。後半では、年代と意欲・能力の違いによって部下を9タイプに分け、離職の要因と対応を考える構成になっています。さらに終盤では、評価制度など会社側の課題と、上司自身が実践できるかどうかまで扱っていて、個人の関わり方だけに話を閉じていません。


著者が一番伝えたいこと

本書を通して一貫しているのは、部下は気まぐれに辞めるのではなく、満たされないニーズが積み重なった結果として離職を決意する、という見方です。だからこそ、上司に必要なのは「最近の若手はわからない」で終わることではなく、部下が何に不満や不安を抱いているのかを見立てる力だと本書は伝えています。

そのために著者は、離職防止を単なるテクニック集としてではなく、人間理解に基づくマネジメントとして組み立てています。前半で離職の心理を整理し、中盤で欲求ごとの対応を示し、後半でタイプ別の見立てや会社の制度、上司自身の向き合い方へと進む流れからも、読者に渡したいのが「すぐ効く一手」だけではなく、離職を構造で考える視点そのものだとわかります。


読むと得られること

この本を読むと、部下の離職を結果だけで受け止めるのではなく、その手前にある背景を見ようとする視点が身につきます。給料を上げたのに辞める、配慮したのに辞めるといった納得しにくい出来事も、どの欲求が満たされていないのかという観点で考え直せるようになります。読みながら頭の中が整理される感覚があるのは、この本が一般論で流さず、見立ての枠組みをはっきり提示しているからです。

実務面で得られるのは、部下ごとに関わり方を変える発想です。残業や休日出勤の負荷、人間関係のこじれ、成長の手応え、仕事の意味づけ、評価の伝わり方など、見直すべき点がかなり具体的に見えてきます。読後は、自社や自チームの離職事例を振り返りながら、誰に何が不足していたのか、次にどこから手をつけるかを考えやすくなるはずです。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書は、いきなり対策集に入るのではなく、まず「なぜ部下は辞めるのか」を理解するところから始まります。冒頭で置かれるのは、叱れない、負担を軽くしたのに辞める、昇進させたのに辞めるといった、現場で起きがちなズレです。ここで読者の戸惑いを共有したうえで、離職を4つの欲求で整理し、その後に欲求ごとの対応、部下タイプごとの見立て、会社側の制度、最後は上司自身の実践へと進んでいきます。

この順番がうまいのは、離職を単なる気合いやテクニックの問題にせず、理解→対応→応用→実践という流れで読めるからです。前半で土台を作り、中盤で「待遇だけでは説明できない離職」に踏み込み、後半で個別対応と組織の課題まで広げるので、全体としてかなり一貫しています。読んでいて頭の中が整理されやすいのは、この設計の明快さによるところが大きいと思います。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1章 離職を決意する4つの心理的要因
  • 第2章 生存欲求――労働環境を整え、離職を防ぐ
  • 第3章 関係欲求――人間関係による離職を防ぐ
  • 第4章 成長欲求――意欲の高い部下の離職を防ぐ
  • 第5章 公欲――やりがいを持たせ離職を防ぐ
  • 第6章 年代別、意欲・能力別の離職の要因と対応
  • 第7章 離職を防ぐため会社に求められる対応
  • 第8章 部下と向き合う前に自分と向き合う


各章の要点

第1章は、この本全体の前提を置く章です。離職を単純な待遇や性格の問題としてではなく、心理的要因として考える視点が示され、ここが後続の章の橋渡しになっています。

第2章は、働く条件や将来の見え方が離職につながることを扱います。給料だけでなく、残業や休日出勤、上司の働き方が部下の将来像にどう映るかまで視野に入れているのがポイントです。

第3章は、人間関係による離職に踏み込みます。叱り方、怒りやすい状況、認め方、相談しづらさ、守るべき場面など、日常の接点に寄った話が多く、実務上の悩みに直結しやすい章です。

第4章は、成長実感や未来への希望をどう支えるかが中心です。仕事内容への納得感、成長機会、成熟度に応じた関わり方が扱われ、離職を防ぐうえでの「先の見え方」が重視されています。第3章と並んで、本書の実践面を支える中核といえます。

第5章は、仕事の意味ややりがいをどう伝えるかに話を進めます。ここで、条件や関係性だけでは足りない部分を補い、離職防止をより広く捉えています。

第6章は、それまでの整理を部下ごとの見立てに落とし込む章です。若手・中間・年長に加え、意欲や能力の違いを組み合わせて考えるため、全体の理論を現場へ接続する役割を担っています。

第7章は、上司個人の努力で終わらせず、評価制度など会社の仕組みに目を向ける章です。第8章ではさらに、自分自身が実践できるか、部下と本気で向き合えるかという内面の課題へ戻っていきます。


忙しい人が先に読むならここ

全部を一気に読めないなら、最初に押さえたいのは第1章、第3章、第4章です。第1章で離職をどう捉える本なのかがわかり、第3章で日々の関わり方の問題が見え、第4章で「待遇が悪いわけではないのに辞める」理由に踏み込めます。この3つを先に読むだけでも、本書の核はかなりつかめます。

次に読むなら第6章です。4つの欲求だけだとまだ抽象的に感じる人でも、タイプ別の章に入ると、自分の部下をどの視点で見ればよいかが考えやすくなります。時間に余裕があるなら、そのあとに第7章と第8章まで読んで、個人の関わり方だけでなく、制度と実践の問題までつなげる読み方が合っています。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

いちばん印象に残ったのは、部下の離職を「最近の若手はわからない」で片づけない姿勢でした。給料を上げても辞める、負担を軽くしても辞める、昇進させても辞める。そうした、一見すると筋が通らないように見える出来事を、感情ではなく「離職の心理」から考えようとする出発点がとても誠実で、読みながら自然に引き込まれました。

特に腑に落ちたのは、離職の理由を4つの欲求で整理し、さらに年代や意欲・能力によって9つのタイプに分けて考えていく流れです。人間関係ややりがいといった言葉だけで終わらず、部下が何を満たされないと感じているのかを順序立てて見ていけるので、頭の中がかなり整理されました。冒頭で現場の戸惑いを具体的に示し、そのあとで理論と対応に入っていく構成もわかりやすく、実務書でありながら読みづらさを感じにくかったです。


すぐ試したくなったこと

読み終えてすぐに試したくなったのは、部下の離職や不満を、ひとまず4つの欲求のどこに当てはまるのかで見直してみることです。これまでだと「給与の問題かもしれない」「やる気の問題かもしれない」と単純に考えがちですが、本書を読むと、それだけでは見落としが多いのだと実感します。まず整理の軸を持つだけでも、関わり方の見直し方が変わりそうだと思えました。

もうひとつは、日々の接し方の中で、叱り方や認め方、成長機会の与え方、仕事の意味の伝え方を意識して見直すことです。よかったのは、離職防止を上司の気合いや根性の話にしていないところでした。関係のつくり方や仕事の渡し方まで含めて考えられるので、「何を変えればいいのか」がぼんやりしたまま終わらないのが、この本の実用性だと感じました。


読んで気になった点

一方で、少し気になったのは、4つの欲求や9タイプという整理がわかりやすいぶん、人によっては少しきれいに枠組み化しすぎているように感じるかもしれないところです。実際の職場では、ひとりの部下が複数の要因を抱えていることも多いはずなので、分類そのものを答えとして読むより、考えるための手がかりとして受け取るほうが合っていると思います。

もうひとつ、この本は制度や労務の細かい知識を深く掘り下げるタイプの本ではありません。評価制度にも触れていますが、中心にあるのはあくまで部下の離職をどう理解し、上司としてどう向き合うかです。そのぶん、制度論だけを求める読者には少し方向が違って見えるかもしれません。ただ、部下との関係を見直したい人にとっては、かなり実用的で、しかも考えさせられる一冊でした。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部やる必要はありません。まずは一つ、いちばん気になっている部下や場面に当てはめてみるだけでも十分です。

本書は、読んで納得して終わるより、現場の見え方を少しずつ変えていくことで効いてくる本です。特に始めやすいのは、離職や離職予兆を感覚で受け止めるのをやめて、要因を切り分けてみることだと思います。今日からできることとしては、次のようなものがあります。

  • 最近あった退職や「辞めそうだ」と感じた場面を一つ取り出し、生存・関係・成長・やりがいのどこが強く関わっていそうか整理する
  • 給与だけに目を向けず、残業や休日出勤、働き方の負担がないかを見直す
  • 自分の叱り方が強すぎないか、言い方や伝える場面を振り返る
  • 部下を認める言葉や感謝の言葉を、最近きちんと伝えられていたか確認する
  • 「相談しにくい空気」を自分が作っていないかを点検する
  • 成長機会を与えているつもりで終わらず、本人にとって意味のある機会になっているか考える
  • 任せている仕事に、役割や価値、先につながる意味づけがあるか見直す
  • 若手・中堅・年長者で同じ接し方をしていないかを振り返る
  • 問題を上司個人の関わり方だけで片づけず、評価制度や組織の課題として見る視点も持つ

大事なのは、離職理由を一つに決めつけないことです。本書のよさは、部下との関わりを「気合い」ではなく、見直せる項目に分けて考えられるところにあります。


1週間で試すならこうする

1週間で試すなら、最初の3日で状況整理、後半の4日で接し方の微調整に入る流れが無理なく続けやすいです。

Day1 は、最近の離職や離職予兆を一つだけ選びます。まずは「なぜ辞めるのか分からない」という状態をそのままにせず、4つの心理軸のどこに近いかを考える日です。
Day2 は、その相手の年代と、意欲・能力の状態を見直します。一律に見るのではなく、相手によって主な要因が違うという前提に立つことが大切です。
Day3 は、労働環境を確認します。残業、休日出勤、上司の働き方が、相手にどんな未来として映っているかを考えます。

Day4 は、人間関係の点検です。叱り方、言い方、相談しやすさ、認め方に問題がなかったかを振り返ります。
Day5 は、成長の視点を入れます。今の仕事に納得感があるか、成長機会があるか、将来につながる実感が持てるかを見ます。
Day6 は、仕事の意味づけを見直します。感謝ややりがい、何のために働くのかが見えにくくなっていないかを考える日です。
Day7 は、個人対応だけでは足りない点を整理します。評価制度や組織の運用の問題があるなら、そこを切り分けて次の課題にします。

この流れなら、読んだ内容をそのまま現場に持ち込みやすくなります。いきなり完璧な対策を打つより、見立ての精度を少し上げることのほうが、この本の使い方として自然です。


つまずきやすい点と対策

最初につまずきやすいのは、4つの欲求や9タイプをそのまま「答え」だと思ってしまうことです。この本の整理はわかりやすい反面、きれいに当てはめようとしすぎると現実の複雑さを見落とします。対策は、分類で決めるのではなく、関わり方を考えるための仮説として使うことです。

次に起こりやすいのは、制度の問題と上司の関わり方の問題を切り離しすぎることです。読んでいると接し方の見直しに意識が向きますが、評価制度や働き方の構造が影響している場合もあります。部下個人だけを見るのではなく、職場全体の条件にも目を向けると使い方が安定します。

もう一つは、やることを増やしすぎることです。叱り方、承認、傾聴、成長機会、意味づけと論点が広いので、全部を一度に直したくなります。ただ、この本は少数の項目を選んで実践するほうが生きる本です。まずは一人の部下に対して、一つの関わり方を変えるところから始めるのが現実的です。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』との違い

結論から言うと、『離職防止の教科書』は離職の全体像を見立てる本で、『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!は対話の実践に焦点を絞った本として捉えると違いがわかりやすいです。比較の軸でいえば、テーマと実用性の出方が違います。

『離職防止の教科書』は、部下が辞める背景を4つの心理軸で整理し、さらに9タイプに分けて考えていく構成です。労働環境、人間関係、成長、やりがい、会社制度、上司自身の姿勢まで射程が広く、離職をどう理解するかという土台づくりに強みがあります。それに対して『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』は、1on1という対話の場に絞って補完しやすい本として位置づけられます。

向いている人も少し違います。離職の理由が見えず、まず全体を整理したい人には『離職防止の教科書』が合います。すでに課題意識はあって、面談や対話の質を具体的に改善したい人なら、『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』のほうが入りやすいはずです。


『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』との違い

こちらは、読者層とテーマの深さの違いが大きいです。『離職防止の教科書』は若手に限らず、若手・中間・年長まで含めた離職全般を扱いますが、『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのかは、若手育成の難しさを中心に読む本として位置づけられています。

『離職防止の教科書』では、若手の離職も扱いますが、それを人間関係や成長欲求だけに限定せず、労働環境ややりがい、制度まで含めて見ています。さらに、年代と意欲・能力の違いをかけ合わせた9タイプで部下を見ていくため、若手だけでなく中堅や年長者の定着にも目配りがあります。一方で『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』は、若手育成の難しさを「ゆるい職場」やキャリア安全性の観点から補強しやすい本です。

向いている人で分けるなら、職場全体の離職と定着を考えたい管理職や人事には『離職防止の教科書』が向いています。若手育成にテーマを絞って、今の若手が置かれている環境や難しさを深く考えたい人には、『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか』のほうが合いやすいでしょう。


迷ったらどれを選ぶべき?

迷ったら、まず自分が知りたいのが「離職の全体像」なのか、「対話の方法」なのか、「若手育成の背景」なのかで選ぶのがいちばんわかりやすいです。全体を広く見たいなら『離職防止の教科書』、1on1の実践を深めたいなら『離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』、若手育成に絞って考えたいなら『なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』が自然です。

とくに「部下がなぜ辞めるのか分からない」「給料を上げても、負担を減らしても、なぜか辞める」という戸惑いが出発点にあるなら、『離職防止の教科書』から入る意味は大きいです。対話も若手育成も大事ですが、その前に離職をどう見立てるかが整理されていないと、現場の打ち手がばらけやすいからです。まずは全体像をつかみ、その後に必要に応じて1on1や若手育成にテーマを絞っていく選び方が、もっとも無理がありません。


著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

藤田耕司は、経営心理士、公認会計士、税理士として活動する実務家です。1978年生まれで、2002年に早稲田大学商学部を卒業し、2004年に公認会計士試験に合格。同年に有限責任監査法人トーマツへ入所しています。2015年には一般社団法人日本経営心理士協会を設立し、代表理事に就任しました。著書には『リーダーのための経営心理学』があり、心理と数字の両面から経営改善に取り組んできた人物です。


このテーマを書く理由

本書のテーマと著者の経歴はかなり自然につながっています。離職防止は、人の気持ちだけを見ても、制度や経営数字だけを見ても十分に扱いにくいテーマです。著者は、経営心理士として人の心理を扱いながら、公認会計士・税理士として経営の数字も見てきた立場にあります。そのため、部下の離職を感情論や一般論で片づけず、心理的要因と実務上の打ち手を結びつけて整理しようとする本書の方向性には、著者の専門性がそのまま反映されています。

さらに、著者はのべ1200件超の経営改善に携わってきました。本書が、単に理論を説明するだけでなく、現場の戸惑いから入り、上司の関わり方、部下の見立て、会社の制度、実践の継続まで話を広げているのは、この実務経験が背景にあるからだと理解しやすい構成です。


この本が信頼できる理由

この本が信頼しやすいのは、著者が一つの立場だけで離職を語っていないからです。心理面の理解だけでなく、経営改善の現場を見てきた経験があり、しかも本書では離職を単一原因で説明せず、労働環境、人間関係、成長機会、やりがい、評価制度まで視野を広げています。テーマの扱い方が広すぎず狭すぎず、実務で起きる複雑さを前提にしている点は大きいです。

また、本書の構成自体も信頼感につながっています。冒頭で現場の困りごとを示し、そこから4つの欲求、9タイプ、会社側の対応、上司自身の実践へと進む流れになっており、理論だけでも体験談だけでも終わっていません。離職防止という難しいテーマを、現場で使える形に整理していることが、この本を手に取る理由になっています。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、離職防止の考え方をざっくりつかむだけなら要約でも入口にはなります。ただし、この本の価値は「4つの欲求」という枠組みだけでなく、それを人間関係、成長機会、やりがい、評価制度、部下タイプ別の見立てにどうつなげるかにあるので、実際に使いたいなら本文まで読んだほうがいいです。

特に、「給料を上げたのに辞める」「配慮したのに辞める」といったわかりにくい離職理由に悩んでいる人は、要約だけでは足りません。構造を理解したうえで、自分の現場に置き換えるところまで読んでこそ、本書の実用性が出てきます。


初心者向け? 中級者向け?

結論としては、初心者でも入りやすい一方で、現場経験のある中級者ほど使いどころが見えやすい本です。理由は、冒頭で現場の戸惑いから始まるため読みやすく、理論も4つの欲求と9タイプという形で整理されているからです。

ただし、内容は単なる入門書ではありません。人間関係、成長、やりがい、制度、上司自身の実践まで話が広がるので、部下を持っている人や、すでに育成や離職に悩んでいる人のほうが具体的に使いやすいと思います。


どこから読むべき?

全部読むのが理想ですが、急いでいるならまずは最初の理論整理の章、その次に人間関係の章、成長機会の章から入るのがよいです。ここを押さえると、本書がなぜ離職を単純な待遇不満で終わらせないのかがわかりやすくなります。

そのあとに、タイプ別の章へ進むと、自分の部下をどう見立てればいいかが具体化しやすくなります。最後に制度面と上司自身の実践を扱う終盤まで読むと、個人の接し方だけで終わらない本だと理解しやすいです。


忙しくても実践できる?

結論として、全部を一度にやろうとしなければ実践しやすい本です。大がかりな制度改革だけを求める本ではなく、残業や休日出勤、叱り方、認め方、成長機会の与え方など、日常の接点を見直すところから始められます。

向いているのは、まず一人の部下、一つの違和感に絞って考えるやり方です。最近の離職や離職予兆を4つの心理軸で見直すだけでも、この本の使い方としては十分意味があります。忙しい人ほど、全部を読むことより「いま起きていることをどう見立て直すか」に絞ると活かしやすいです。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

一つ目は、部下の離職を「待遇が悪いから」「最近の若手はわからないから」といった雑な理解で終わらせず、4つの心理軸で見立て直せることです。離職を感覚ではなく構造で考えられるようになるだけでも、この本を読む意味は十分あります。

二つ目は、部下を一律に見ない視点が手に入ることです。年代と意欲・能力の違いを踏まえて考える構成なので、同じ対応を全員に当てはめない発想が持てます。現場で迷いやすい人ほど、この整理は役に立つはずです。

三つ目は、上司の関わり方だけでなく、会社の制度や自分自身の姿勢まで視野を広げていることです。読む前は「離職防止のテクニック集」に見えても、実際にはもっと土台の見直しに近い本です。その一方で、制度や労務の細かい知識を得る本ではないので、そこは期待値を合わせて読む必要があります。


この本をおすすめできる人

おすすめできるのは、部下の離職に直面して「何がいけなかったのか」「どう向き合えばよかったのか」を本気で考えたい上司や管理職です。特に、給料を上げたのに辞める、配慮したのに辞める、昇進させたのに辞めるといった、説明しにくい離職に戸惑っている人には合います。

あわせて、採用より先に定着を考えたい経営者や人事担当にも向いています。逆に、労務や制度設計の細部だけを深く知りたい人には、少し方向が違います。


今すぐやること

ガイドさん
ガイドさん
まずは一人の部下、一つの違和感だけで十分です。全部を変えようとせず、小さく始めるほうがこの本は生きます。

今日やるなら、終業前の15分で「いま気になっている部下を一人選び、その人の不満や違和感を4つの欲求のどこに当てはまりそうかメモに書く」ことです。給与や性格の問題と決めつけず、残業、人間関係、成長実感、仕事の意味づけのどこが弱いかを一度棚卸しするだけで、次に何を変えるべきかが見えやすくなります。


次に読むならこの本

離職率ゼロ!部下が辞めない1on1ミーティング!』:本書で広く扱う離職防止を、上司と部下の定期対話という具体場面に絞って深められます。

なぜ「若手を育てる」のは今、こんなに難しいのか “ゆるい職場”時代の人材育成の科学』:若手育成の難しさを、時代背景や育成環境の変化から補強できます。

『リーダーのための経営心理学―人を動かし導く50の心の性質』:本書の土台にある心理アプローチを、より広いリーダーシップの文脈で確認できます。





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カネマツ

年間約80冊の実用書・ビジネス書を読み、自己啓発、仕事術、採用・面接、人材育成、マーケティング分野を中心にレビューしています。採用や人材育成の実務経験をもとに、要約だけでなく、向いている人、実用性、類書との違いまで整理して紹介しています。記事は実読を前提に、必要に応じて出版社公式情報や改訂版情報も確認しながら執筆しています。

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