
外国人を採用しようと思ったとき、在留資格の確認だけで足りるのか、雇用契約や社会保険、退職時の手続きまでどこまで見ておくべきか、迷う場面は多いはずです。『現場担当者が直面する疑問に回答! 外国人雇用の法務・労務・税務Q&A259』は、そうした実務を採用前から退職後まで一続きで捉え直せる一冊です。
この記事では、この本が法務・労務・税務を横断する実務書としてどこまで役立つのかを、構成や使い勝手、気になった点も含めて見ていきます。読み終えるころには、自分の業務に引き寄せて読む価値があるかどうかを判断しやすくなるはずです。
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結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと
『現場担当者が直面する疑問! 外国人雇用の法務・労務・税務Q&A259』は、外国人雇用で起こる論点を、在留資格だけでなく、雇用契約、社会保険、退職後の手続き、税務まで一連の実務として整理した本です。何か一つの制度だけを学ぶための本というより、受入れ前から雇用中、退職後まで「どこで何を確認すべきか」を見失わないための実務ガイドと考えるとわかりやすいです。Q&A形式なので、通読して全体像をつかむことも、必要な論点を逆引きすることもできます。
向いている人
まず合うのは、外国人採用をこれから本格化させる企業の人事・総務担当者です。何を確認し、どこで判断し、採用後に何を管理すべきかを一冊で整理したい場合に役立ちます。
次に向いているのは、在留資格だけでなく、雇用契約、社会保険、労務管理、退職後の対応まで含めて全体像を把握したい管理部門の担当者です。本書は、ホワイトカラー系とブルーカラー系の在留資格を分けて整理しつつ、特定技能や技能実習のような複雑な制度にも踏み込んでいるため、実務の抜け漏れを点検しやすい構成です。
また、在留資格関連業務に関わる行政書士など、現場の相談に応える立場の実務家にも向いています。個別論点を逆引きしやすく、相談対応の土台を広げたい人に使いやすい一冊です。
向いていない人
一方で、外国人雇用をめぐる社会的な議論や政策論を読みたい人には、少し方向が違います。この本の中心はあくまで企業実務なので、制度の背景を広く論じるより、現場でどう扱うかに重心があります。
読みやすい入門書や、物語のように流れで理解できる本を探している人にも、やや硬く感じられるはずです。税務も含まれていますが、位置づけとしては概要整理に近いため、税務だけを専門的に深く学びたい人は、別の本も必要になります。
先に結論(買う価値はある?)
結論から言えば、外国人雇用を部分ではなく全体で捉えたい人には、買う価値があります。理由は明確で、採用前の確認から在留資格、労務、退職後の手続き、税務までが一つの流れとして整理されており、実務の判断軸を整えやすいからです。
とくに、外国人雇用を例外対応ではなく、企業運営に組み込まれる実務として考えたい人には相性がいいはずです。逆に、読みやすさだけを優先する人には少し硬く感じられるかもしれませんが、現場で使う本として見るなら十分に意味のある一冊です。
要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ
本書の第一のポイントは、外国人雇用を在留資格の取得や更新だけの問題として扱っていないことです。受入れを検討する段階から、就労可否の確認、雇用契約、社会保険、退職後の手続き、税務までを一つの実務としてつなげて整理しています。外国人を雇う場面で何を確認すべきかを、点ではなく流れでつかめる構成です。
第二のポイントは、制度の違いを実務上の使い分けに落としていることです。専門的・技術的分野を中心とした在留資格と、特定技能・技能実習のような制度を分けて扱い、それぞれで注意すべき点を整理しています。とくにブルーカラー系の制度では、受入要件、支援、届出、離職時対応まで踏み込んでいるため、制度の複雑さを実務目線で追いやすくなっています。
第三のポイントは、Q&A形式による使いやすさです。全体を通して読むことで体系的な理解が得られる一方、必要な論点をその場で引き直せるつくりになっています。募集・採用、配置転換、安全衛生、社会保障協定、租税条約、納税管理人まで射程に入っており、現場で迷いやすい論点をひとまとめに見渡せるのが特徴です。
著者が一番伝えたいこと
本書全体を通して伝わってくるのは、外国人雇用はもう例外的な対応ではなく、企業運営の中で正面から扱うべき実務だということです。冒頭では、日本人の人口減少と在留外国人・外国人労働者の増加を背景に、企業が外国人雇用を避けて通れない状況にあるという問題意識が置かれています。そのうえで、誠実な雇用管理を行うには、入管法だけでなく、労務や税務も切り離さず理解する必要があるという立場が一貫しています。
その考え方は構成にも表れています。受入れ前の法務から始めて、在留資格の違いを整理し、その後に労務と税務へ進む流れは、外国人雇用を部分最適ではなく全体最適で捉えるためのものです。制度を知るだけでなく、現場で何を見落としやすいかまで含めて考えることが、本書の中心的なメッセージだと言えます。
読むと得られること
この本を読むと、外国人雇用の実務をどこから確認すればよいのかが見えやすくなります。採用前に在留資格と業務内容の整合をどう見るか、雇用後に社保や労保をどう扱うか、退職後に何の手続きが残るのかといった論点が、ばらばらではなく一続きの業務として整理されるからです。外国人雇用の全体像を把握したい担当者にとっては、判断の基準を持ちやすくなるはずです。
読後には、実務の棚卸しにもつなげやすい内容です。受入れ前・雇用中・退職後のフローを見直す、在留資格ごとの職務内容を整理する、雇用契約や提出書類を点検する、特定技能や技能実習の受入体制を確認する、といった具体的な見直しの起点になります。気軽な入門書というより、現場で使いながら理解を深めていくタイプの本として読むと価値がわかりやすいです。
内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)
本書は、いきなり制度の細部に入るのではなく、まず「外国人を雇う前に何を確認するか」から始まります。そのうえで、在留資格をホワイトカラー系とブルーカラー系に分けて整理し、採用後に現場で必ず出てくる労務管理へ進み、最後に税務までつなげていく構成です。順番に読んでいくと、外国人雇用を点ではなく、受入れ前から退職後まで続く一連の企業実務として理解できるように組まれています。
この流れがうまいのは、制度だけで終わらず、実務の橋渡しが意識されているところです。序盤で就労可否や申請手続の基本線を押さえ、中盤で在留資格ごとの違いを理解し、その知識を後半の採用・雇用契約・社会保険・人事労務管理・退職後対応・税務へ接続していくので、読者が「結局、現場では何をするのか」を見失いにくくなっています。
大見出し目次(短い目次)
- 第1章 外国人雇用の法務 ~受入れ検討時~
- 第2章 外国人雇用の法務 ~ホワイトカラー系の在留資格~
- 第3章 外国人雇用の法務 ~ブルーカラー系の在留資格~
- 第4章 外国人雇用の労務 ~外国人雇用に関する諸手続き~
- 第5章 外国人雇用の税務
各章の要点
第1章は、受け入れる前と受け入れた直後に何を確認するかを整える章です。就労可否、必要な申請、雇用開始までの流れ、不法就労リスクまでが入り、全体の土台になります。後続の章を読む前の前提整理として機能しているので、ここを飛ばすと全体がつかみにくくなります。
第2章は、専門職や管理職などの在留資格を類型ごとに見ていく章です。制度の違いを知るための章であり、読み手に「誰を、どの資格で、どんな業務に就けるのか」という整理軸を与えます。第1章の総論を、個別の資格へ展開する役割です。
第3章は、現場系の制度を重点的に扱う章で、とくに特定技能と技能実習に厚みがあります。制度の違いだけでなく、受入企業の要件、支援、届出、離職対応まで並ぶため、本書の実務性がもっとも濃く出るパートです。ここが、入管実務と現場運用の橋渡しになっています。
第4章は、人事・総務の現場で実際に使う頻度が高そうな章です。募集、採用、契約、社会保険、労務管理、退職後手続までが一続きで整理され、在留資格の話を日常の雇用管理へ接続しています。外国人雇用を企業実務の全体で捉え直すという本書の意図が、もっともわかりやすく表れている章でもあります。
第5章は、税務の要点をまとめる章です。深掘りの専門書というより、居住者判定、所得税、住民税、租税条約、納税管理人といった論点を見落とさないための補完パートと考えると位置づけがつかみやすいです。法務と労務だけでは完結しないという本書全体の締めくくりになっています。
忙しい人が先に読むならここ
全部を順番に読む時間がないなら、最初に押さえたいのは第4章です。採用から退職後までの人事労務実務に直結していて、外国人雇用を日常業務としてどう扱うかが見えやすいからです。次に第1章を読むと、そもそも受入れ前に何を確認すべきだったのかが補強され、実務の流れが前から後ろまでつながります。
そのうえで、自社が特定技能や技能実習を扱うなら第3章を優先すると効率がいいはずです。制度の複雑さが集中しているうえ、受入体制や届出など見落としやすい論点が多いからです。ホワイトカラー系の採用が中心なら第2章、税務まで含めて抜けをなくしたいなら最後に第5章へ進む読み方が自然です。つまり、急ぐ人ほど「労務で全体像をつかむ → 法務で前提を補う → 自社に関係する資格類型を深掘りする」という順番が合っています。
感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント
読んでまず強く残ったのは、この本が在留資格の解説だけで終わっていないことでした。採用前の確認、在留資格の手続き、雇用後の労務管理、退職時の対応、税務までがひとつながりで見えてきて、外国人雇用が一部の専門部署だけの仕事ではないことが自然に伝わってきます。制度の知識を足す本というより、企業の実務全体をどう捉え直すかを促す本として読めたのが印象的でした。
そう感じたのは、構成に無理がないからです。受入れ検討時の基本から入り、ホワイトカラー系とブルーカラー系の在留資格を分けて整理し、その後に労務や税務へ進んでいく流れがかなり実践的です。Q&A形式なので必要なところを引きやすいのに、通して読むと「外国人雇用は法務・労務・税務をまたいで考えないと実務にならない」という問題意識がしっかり残ります。
さらに良かったのは、細部への目配りです。特定技能や技能実習のような複雑な制度だけでなく、雇用契約、社会保険、退職後の手続きといった日常の人事実務に直結する論点まで並んでいるので、現場がどこで迷いやすいかをよくわかって作られていると感じました。読後に残るのは知識量そのものより、見落としやすい論点を先回りして確認する感覚です。
すぐ試したくなったこと
読み終えてすぐに試したいと思ったのは、自社の外国人採用フローを、採用前・採用後・退職後まで通して棚卸しすることです。というのも、本書は一つひとつの制度説明よりも、どこで確認が必要で、どこに抜け漏れが出やすいかを見えやすくしてくれるからです。読んでいるうちに、普段は別々に見ていた手続きや管理項目が、実は一本の線でつながっていることがよく分かりました。
もう一つ、在留資格と実際の職務内容が本当に合っているかを見直したくなりました。さらに、労働条件通知書、雇用契約、社会保険、外国人雇用状況届出といった運用手順も、担当部署ごとに分断せず確認したくなります。これは、本書が知識を増やすだけでなく、現場の判断軸を整える本として読めたからだと思います。
読んで気になった点
気になったのは、やはり読み物として気軽に進めるタイプの本ではないことです。Q&A形式で引きやすい反面、全体に実務書らしい硬さがあり、やさしく読める入門書を期待すると少し距離を感じるかもしれません。制度の背景をじっくり味わうというより、現場の疑問に応えるためのリファレンスとして読むほうがしっくりきます。
もう一点は、税務の扱いです。章として独立しているのは大きな強みですが、位置づけとしては概要整理に近いので、その分野を専門的に深掘りしたい人には少し物足りなさが残ると思います。加えて、刊行時期を考えると最新の制度確認は別途必要です。その留保を踏まえても、外国人雇用を部分ではなく全体として見渡したい人にとっては、十分に手元に置く意味のある本だと感じました。
実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

今日からできること
本書は通読して終えるより、実務の流れを自社に引きつけて点検するほど価値が出るタイプの一冊です。今日から動くなら、次のような形に落とし込むと使いやすいと思います。
- 自社の外国人雇用の流れを、受入れ前・雇用中・退職後の3段階に分けて書き出す
- いま雇用している、または採用予定の人材について、在留資格と実際の業務内容が対応しているかを見直す
- 雇用契約書、労働条件通知書、本人確認書類の保管状況を確認する
- 社会保険・労働保険の手続きで、誰が何を担当するかを社内で明確にする
- 特定技能や技能実習を扱う場合は、受入要件や届出体制を一覧で確認する
- 配置転換、残業、安全衛生、文化的・宗教的配慮など、日常運用で迷いそうな項目を洗い出す
- 退職時に必要な行政手続きや、退職後の対応を事前に整理しておく
- 税務について、居住者判定、租税条約、納税管理人の要否を確認する
- 社内で「外国人雇用は入管だけの仕事ではない」という共通認識を持てるよう、関係部署に共有する
1週間で試すならこうする
1週間で無理なく試すなら、制度を読むより先に、自社の実務を見える形にしていくのが現実的です。外国人雇用を部分ではなく全体で捉えるという本書の強みも、そのほうが生きます。
- Day1:現在の採用・雇用・退職対応の流れをざっくり図にする
- Day2:在留資格ごとに、任せている業務内容との対応表を作る
- Day3:雇用契約、本人確認書類、社保・労保の提出物を一覧化する
- Day4:特定技能や技能実習に関わる場合は、受入要件・支援義務・届出の担当を確認する
- Day5:現場で起こりやすい運用論点、たとえば残業、配置転換、教育言語、宗教配慮を整理する
- Day6:退職後の届出、社会保険料の払い戻し、脱退一時金などの流れを確認する
- Day7:税務論点を見直し、居住者判定や租税条約の確認が必要なケースを洗い出す
この順番がいいのは、いきなり制度を細かく覚えるより、自社で判断が必要になる場所が先に見えるからです。そうすると、本書を逆引きしながら使いやすくなります。
つまずきやすい点と対策
いちばんつまずきやすいのは、外国人雇用を在留資格の問題だけで見てしまうことだと思います。本書を読んで残るのは、採用前の確認、雇用後の労務管理、退職時の対応、税務までがひと続きだという感覚です。対策としては、入管、労務、税務を別々に考えず、ひとつの雇用フローとして並べ直すことが先になります。
もう一つは、制度が複雑な領域に引っぱられて、全体像を見失いやすい点です。特定技能や技能実習はとくに論点が多いため、関係する制度だけを深掘りしつつ、先に第1章と労務の章で土台を押さえる読み方が向いています。細部に入る前に、どの段階で何を確認する本なのかをつかんでおくと迷いにくくなります。
最後に、人を選ぶ点として、気軽に読む読み物ではなく、実務書らしい硬さがあります。しかも税務は概要を押さえる位置づけなので、その分野だけを深く知りたい人には少し物足りないかもしれません。だからこそ、最初から完読を目指すより、いまの課題に近い論点から使い始めるほうが、この本の良さを実感しやすいはずです。
比較|似ている本とどう違う?

『すぐに使える!事例でわかる!外国人実習・雇用実戦ガイド 第4版』との違い
結論からいうと、制度改正への追随を優先するなら『すぐに使える!事例でわかる!外国人実習・雇用実戦ガイド 第4版』、外国人雇用を受入前から退職後・税務まで一つの流れで整理したいなら本書、という選び分けになります。比較の軸は、主にテーマの広さと制度の新しさです。
本書の強みは、在留資格だけで話を終わらせず、募集・採用、雇用契約、社会保険、退職後対応、税務までを横断して見渡せるところにあります。しかも、ホワイトカラー系とブルーカラー系を分けて整理しているため、制度の違いを実務の流れに沿って把握しやすい構成です。一方で、『すぐに使える!事例でわかる!外国人実習・雇用実戦ガイド 第4版』は、後発で令和6年入管法改正や育成就労制度への対応が比較しやすい本として位置づけられています。つまり、本書は全体像と横断性に強く、比較本は制度改正への対応力に強みがある、と考えると分かりやすいです。
向いている人も少し違います。本書は、人事・総務・管理部門や周辺実務家が、外国人雇用を企業実務全体の中で整理したいときに向いています。対して比較本は、技能実習や育成就労制度まわりの実務を、より新しい制度動向も含めて追いたい人に合いやすい一冊です。
『小さな会社の外国人雇用 はじめに読む本』との違い
結論として、最初の一冊としてやさしく前提をつかみたいなら『小さな会社の外国人雇用 はじめに読む本』、実務の論点を広く具体的に引ける本を探しているなら本書が向いています。比較の軸は、読みやすさと読者層、そして実務の深さです。
本書はQ&A形式で引きやすい反面、全体としては実務書らしい硬さがあります。採用前の確認、在留資格、特定技能・技能実習、労務管理、退職、税務まで論点が細かく並んでいるので、現場で迷いやすい点を拾いやすい一方、気軽に読む入門書とは少し性格が違います。これに対して『小さな会社の外国人雇用 はじめに読む本』は、はじめて外国人雇用に触れる小規模事業者向けの入門書として比較しやすい本です。つまり、本書は「実務で困ったときに戻る本」、比較本は「まず全体の入口をつかむ本」と考えると位置づけの違いが見えます。
向いている人でいえば、本書は在留資格だけでなく労務や税務まで含めて全体像を整理したい人に合います。『小さな会社の外国人雇用 はじめに読む本』は、前提知識がまだ少なく、まずは外国人雇用の基本的な見取り図をつかみたい人に向いています。
迷ったらどれを選ぶべき?
迷ったときは、いま自分が欲しいものが「全体像」「最新制度への追随」「入門のしやすさ」のどれかで選ぶのがいちばん失敗しにくいです。外国人雇用を部分ではなく全体として見渡したいなら本書、育成就労制度など改正後の動きまで意識したいなら『すぐに使える!事例でわかる!外国人実習・雇用実戦ガイド 第4版』、まず読みやすさを優先したいなら『小さな会社の外国人雇用 はじめに読む本』が候補になります。
本書は、単なる在留資格の解説にとどまらず、企業の実務全体の中で外国人雇用を捉え直せるのが大きな特徴です。そのぶん、読みやすさだけで選ぶ本ではありませんが、採用から退職後までの判断軸をまとめて持ちたい人には、いちばん土台になりやすい一冊です。
著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール
本書は、外国人雇用を法務・労務・税務の横断テーマとして扱うために、複数の専門家が関わっている点に特徴があります。公開されている執筆陣・関係者を見るだけでも、入管実務、人事労務、会計税務のそれぞれに軸足を持つ顔ぶれがそろっています。
前川研吾は、RSM汐留パートナーズのファウンダー&CEOです。新日本監査法人で監査やIPO支援、M&A関連支援に携わり、2008年に汐留パートナーズグループを設立しています。公認会計士(日米)・税理士・行政書士・EMBAという肩書きからも、会計・税務・法務をまたぐ視点を持つ人物だと分かります。
景井俊丞は行政書士です。建設業などの許認可業務に加え、申請取次行政書士として外国人の在留資格申請を年間300件以上担当した経歴があります。外国人雇用の入り口となる在留資格の実務に強みを持つ人です。
高橋圭佑は、RSM汐留パートナーズのパートナーです。人事・労務コンサルティングの経験を経て、社会保険労務士・行政書士として人事労務と企業法務の領域を扱っています。雇用後の運用まで視野に入れた立場がうかがえます。
関口智史は、RSM汐留パートナーズのパートナーで、社会保険労務士です。上場会社、IPO準備会社、外資系企業向けの人事労務コンサルティング実績を持ち、制度だけでなく企業運用の現場に近い経験を積んでいます。
土屋明誠は、RSM汐留パートナーズ税理士法人のパートナーです。監査法人やPwC Hong Kong/Chinaなどを経て、外資系企業向けの会計税務・人事労務サービスに従事してきました。公認会計士(日米)・税理士として、国際的な税務の視点を補っています。
山村一郎は、RSM汐留パートナーズのゼネラルマネージャーです。KPMG税理士法人、税理士法人トーマツなどを経て、外資系・日系グローバル企業向けの税務コンサルティングやアウトソーシングに携わってきました。米国税理士としての専門性もあります。
このテーマを書く理由
外国人雇用は、在留資格だけ確認して終わるテーマではありません。受入れ前の可否判断、採用後の労務管理、退職時の手続き、さらに税務までつながっているため、単独の専門分野だけでは全体を整理しきれません。本書がこうした全体像を重視しているのは、執筆陣の専門領域そのものが、入管実務、人事労務、会計税務にまたがっているからです。
とくに本書は、ホワイトカラー系とブルーカラー系の在留資格を分け、そのうえで労務や税務へ進む構成を取っています。この流れは、在留資格申請に強い行政書士、人事労務を扱う社会保険労務士、国際税務を含む会計税務の専門家が、それぞれの視点を持ち寄っているからこそ成立していると見てよいでしょう。共同で関わる意味は、外国人雇用を部分最適ではなく、企業実務全体として扱える点にあります。
この本が信頼できる理由
本書が信頼できる理由は、外国人雇用で実際に分断されやすい論点を、最初から横断して整理しようとしている点にあります。入管法務だけ、労務だけ、税務だけの本ではなく、受入れ前から退職後までを一つの流れとして扱っているのは、執筆陣の専門性がそのまま本の設計に反映されているからです。
また、対象読者が企業の人事・総務担当者や在留資格関連業務に携わる実務家に置かれていることも大きいです。現場で生じる疑問をQ&Aで引ける形にしつつ、通読すれば全体像もつかめるようにしているため、机上の解説だけでなく、実務で使うことを前提に組み立てられていると判断できます。
よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?
結論からいえば、全体像をつかみたいだけなら要約でも役立ちます。ただし、この本の価値は、外国人雇用を採用前の確認、在留資格、雇用後の労務管理、退職、税務まで一続きで見渡せる点にあるので、自社の実務に落とし込むなら本文まで見たほうが判断しやすくなります。
逆に、いま現場で具体的な疑問がある人には、要約だけでは足りません。本書はQ&A形式で必要な論点を引ける構成なので、気になっている場面に対応する章を直接開く読み方が向いています。
初心者向け? 中級者向け?
結論としては、完全な入門書というより、初心者後半から中級者向けの実務書です。Q&A形式なので論点を引きやすく、現場で迷いやすいポイントを探しやすい一方で、読み物としてやさしく導くタイプではなく、全体としては実務書らしい硬さがあります。
前提知識がまったくない人でも読めないわけではありませんが、外国人雇用をめぐる社会的な議論を知りたい人や、まずはやさしく全体をつかみたい人にはやや実務寄りに映るはずです。すでに採用や労務管理に関わり始めていて、何を確認すべきかの見取り図を持ちたい人には合っています。
どこから読むべき?
まず全体像をつかみたいなら、受入れ検討時の論点をまとめた序盤から入るのが自然です。ここで就労可否、必要手続、違法就労リスクなどの入口を押さえると、その後の章がつながって見えやすくなります。
読む目的がはっきりしているなら、特定技能や技能実習に関わる人はブルーカラー系の章から、人事・総務の運用を見直したい人は労務の章から入るのが効率的です。税務は基礎整理の位置づけなので、出国時対応や納税の論点を確認したいときに後から参照する読み方でも十分使えます。
忙しくても実践できる?
結論として、忙しくても実践にはつなげやすい本です。理由は、通読しなくても必要な論点を逆引きしやすく、読んだあとに取るべき行動が比較的はっきりしているからです。
たとえば、自社の外国人雇用フローを受入れ前・雇用中・退職後で棚卸しする、在留資格と職務内容の対応表を作る、雇用契約や社保・労保の提出物を一覧化するといった動きは、すぐ着手できます。全部を一度にやる本ではなく、今の業務で抜けやすい箇所を見つけて埋めていくための本として使うのが現実的です。
まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと
第一に、外国人雇用を在留資格だけの問題で終わらせず、法務・労務・税務を一続きの実務として整理できることです。採用前の確認から雇用後の管理、退職時の対応までがつながって見えるので、現場の判断が部分最適になりにくくなります。
第二に、困った場面で引ける実用性があることです。Q&A形式なので、特定技能や技能実習のような複雑な制度だけでなく、雇用契約、社会保険、退職後の手続きといった日常実務にもすぐ当たりをつけられます。
第三に、外国人雇用をこれからの企業運営に組み込む視点を持てることです。ただし、読みやすい入門書というよりは実務書であり、税務は概要整理にとどまるため、やさしい導入や個別論点の深掘りだけを求める人には向き不向きがあります。
この本をおすすめできる人
向いているのは、外国人採用や労務管理をこれから本格化させたい人事・総務担当者、在留資格だけでなく労務や税務まで含めて全体像を押さえたい実務家、そして特定技能・技能実習・雇用契約・社保を一冊で整理したい担当者です。反対に、やさしく読める入門書や社会的な論点の解説を求める人には、少し実務寄りに感じられるはずです。
今すぐやること
今日やるなら、退勤前に30分だけ取り、自社の外国人雇用フローを「受入れ前」「雇用中」「退職後」の3つに分けて紙かメモアプリに書き出してください。その横に、今ある書類と確認事項を思いつく範囲で並べるだけで十分です。
この一歩が有効なのは、本書の強みが実務を部分ではなく流れで捉え直せる点にあるからです。抜けている手続き、担当が曖昧な場面、在留資格と労務・税務のつながりが見えていない箇所が、そこで初めて具体的に見えてきます。
次に読むならこの本
『すぐに使える!事例でわかる!外国人実習・雇用実戦ガイド 第4版』:制度改正への追随を優先したいときに。育成就労制度や事例ベースの補強につなげやすい一冊です。
『小さな会社の外国人雇用 はじめに読む本』:本書が少し実務寄りに感じた人が、前提整理をやさしく固め直す補助線として向いています。
『改訂版 外国人・外資系企業の日本進出支援実務Q&A』:雇用実務から一歩進めて、外国人や外資系企業の進出支援まで視野を広げたい人に自然につながります。
- 出版社公式(作品ページ)
- 前川研吾氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 景井俊丞氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 高橋圭佑氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 関口智史氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 土屋明誠氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 山村一郎氏公式(プロフィール / 公式サイト / SNSなど)
- 書誌情報:NDLサーチ(書誌詳細)
外国人材の雇用について学べるおすすめ書籍

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本の「内容・感想」を紹介しています。
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