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【書評】増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法|要約と感想

【書評】増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法|要約と感想

応募が来ない理由を募集手段や面接の工夫だけで考えていると、採用の不調はなかなか立て直せません。『増補改訂版 いい人財が集まる会社の採用の思考法』は、採用を人集めではなく経営課題として捉え直し、誰をどう採るかを順序立てて見直させる本です。

この記事では、本書が小手先の採用ノウハウ本とどこが違うのか、読んで何が残るのかを整理します。自社の採用を考え直したいときに読む価値がある本かどうかを、内容の重さや実務へのつながりも含めて判断しやすくしていきます。


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もくじ
  1. 結論|この本はどんな人に向いている?
  2. 要約|この本の内容を3分でつかむ
  3. 内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ
  4. 感想|読んで印象に残ったことと注意点
  5. 実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
  6. 比較|似ている本とどう違う?
  7. 著者はどんな人?|この本を書いた背景
  8. よくある質問(FAQ)
  9. まとめ|結局、この本を読む価値はある?

結論|この本はどんな人に向いている?

結論|この本はどんな人に向いている?

この本をひとことで言うと

この本は、採用を「人手補充の作業」ではなく、「誰を、何のために、どう迎えるか」を設計する経営課題として整理し直すための一冊です。特に、WHYから始めてWHO、WHAT、WHEN、HOWへと進む5ステップで、採用目的、人物像、提供価値、伝える順序、募集手段まで一貫して考えられるようにしている点が核になっています。目先の打ち手を増やす本というより、採用活動そのものの土台を立て直す本だと捉えるとわかりやすいです。


向いている人

向いているのは、まず採用がうまくいかない原因を、応募数や知名度だけで片づけたくない人です。応募が来ない、採用してもミスマッチが多い、辞退や早期離職が続くといった悩みを抱えながら、やり方以前に採用の前提を見直したい経営者や採用担当者には、かなり使いどころがあります。

また、採用基準を下げるべきか迷っている人にも相性がいいはずです。本書は「誰を採るか」をかなり重く扱っており、価値観や人物像の言語化、求職者への伝え方、選考プロセスの設計まで一本の流れで考えられるようになっています。採用を人事業務としてではなく、会社の未来を左右する仕事として捉えたい人ほど、読み進めやすい内容です。


向いていない人

逆に、すぐに使えるテンプレートや小手先のノウハウだけを短時間で拾いたい人には、少し合いにくいかもしれません。本書は「思考法」を軸にしているので、序盤から採用の意味や失敗の重さを整理する構成になっており、結論だけを急いで知りたい読者には回りくどく感じる可能性があります。

加えて、中小企業採用にかなり軸足を置いた内容なので、大企業の大量採用や制度設計を中心に学びたい人とは関心がずれやすいです。労務管理や法令実務を中心に知りたい場合も、求めている本とは少し違うでしょう。採用を競争として厳しく捉える語り口にも特徴があるため、その温度感が合うかどうかは読み手を選びます。


先に結論(買う価値はある?)

結論から言うと、採用を場当たり的に進めるのではなく、考え方から組み直したい人には買う価値があります。理由ははっきりしていて、本書は採用の失敗を単なる人手不足ではなく、組織風土や成長戦略に影響する問題として捉え、そのうえで採用基準、戦略設計、実務運用まで段階的に整理しているからです。

特に、無名だから集まらない、即戦力がほしい、採用してみないとわからない、といった発想から抜け出せていない場合は、読む意味が大きいはずです。採用をもっと本気で考えたいなら、手元に置いておく価値のある一冊です。




要約|この本の内容を3分でつかむ

要約|この本の内容を3分でつかむ

重要ポイント3つ

1つ目は、採用を欠員補充の実務ではなく、経営目標や組織風土に直結する経営課題として捉えていることです。序盤では、採用の失敗が応募不足だけで終わらず、事業の停滞や離職、組織の疲弊にまでつながるという見方が強く打ち出されます。採用を軽く扱うこと自体が、会社の未来を損ねるというのが本書の出発点です。

2つ目は、採用がうまくいかない原因を、知名度や条件といった外部要因だけで説明しないことです。本書は、片手間で進めている、他責になっている、求職者や市場を十分に理解していない、計画性がない、といった内側の問題を順番に整理していきます。そのうえで中盤では、「誰を採るか」を曖昧にしたまま手段から入る危うさを掘り下げ、採用基準と価値観の設計へと話を進めます。

3つ目は、採用をWHYから組み立てる5ステップが中核になっていることです。何のために採用するのか、どんな人を採るのか、どんな価値を提供できるのかを先に定め、その後に伝える順序や募集手段へ落としていく流れになっています。終盤では、求人票、スカウトメール、面接、内定者フォローまでつながっており、考え方だけで終わらず実務まで一本で通しているのが特徴です。


著者が一番伝えたいこと

本書全体を貫いているのは、採用を「人数を埋める作業」として扱ってはいけない、という主張です。人手不足だから基準を下げる、採ってから育てればいい、まずは媒体を変えればいい、といった発想ではなく、そもそも自社にとってどんな人が必要で、なぜ採るのかを言語化することが先にある。そこを曖昧にしたまま進めると、ミスマッチが起き、結果として組織全体に負担が返ってくるという考え方です。

その意味で、本書は採用ノウハウ集というより、採用の意味を問い直す本といえます。序盤で危機感を示し、中盤で基準づくりに踏み込み、後半で5ステップと実務へつなげる構成も、その主張をぶらさず支えています。著者が一番伝えたいのは、いい人財を採るには手法の前に思考の順序を正さなければならない、という一点にあるはずです。


読むと得られること

読み終えたあとに得られるのは、採用活動をその場しのぎで進めないための整理軸です。何のために採るのか、誰を採るのか、求職者に何を渡せるのかを先に考えることで、求人票や説明会、面接、内定者フォローまでのつながりを見直しやすくなります。採用人数や期限、採用パイプラインのような実務にも落とし込めるので、考え方と現場運用の距離が遠すぎないのも利点です。

もうひとつ大きいのは、採用の見え方が変わることです。単に応募数を増やす話ではなく、会社の価値観や未来をどう形にするかという視点で採用を見直せるようになる。とくに、応募が来ない、辞退が多い、採用基準が曖昧なまま面接している、といった悩みを抱える人にとっては、やり方を増やす前に何を整えるべきかが見えてきます。すぐ使える小手先の技だけを求める人には重く感じるかもしれませんが、採用を立て直す土台をつくりたい人には、十分に得るものがある一冊です。


内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

内容の全体像|章(目次)の流れと読みどころ

全体の設計(章の流れをざっくり)

本書のつくりは、いきなりノウハウに入るのではなく、まず採用をどう捉えるかを立て直すところから始まります。序盤では、採用がうまくいかないことが人手不足にとどまらず、組織の疲弊や成長の停滞につながるという前提が置かれます。そのうえで、採用がうまくいかない会社に共通する思考のズレを整理し、「誰を採るのか」という基準づくりへ進みます。

中盤から後半にかけては、考え方を実務に落とし込む流れがかなり明確です。採用目的、採用人物像、入社する価値、伝えるタイミング、伝え方という順で設計し、そのあとにスカウト、面接、内定者フォローといった具体策へ接続していきます。危機認識から始まり、失敗要因の分解、基準づくり、戦略設計、実行へと進むので、読み手が途中で迷いにくい構成です。


大見出し目次(短い目次)

  • 第1章 採用をなめてはいけない──採用の失敗が与える影響とは?
  • 第2章 いい採用ができない会社の5つの理由
  • 第3章 いい採用を実現させるために案外やっていないこと
  • 第4章 採用戦略を5ステップで立てる
  • 第5章 いい採用を実現させる具体的なステップ


各章の要点

第1章は、採用を軽く見てはいけない理由を腹落ちさせる章です。人手不足や採用ミスが会社に与える影響を大きく捉え直し、以後の話を読む前提を整えます。ここで危機感を共有するからこそ、後の章が単なる手法論になりません。

第2章は、採用がうまくいかない会社の失敗パターンを整理する章です。片手間、他責、相手理解の不足、マーケット理解の不足、計画性の欠如といった論点が並び、問題を自社側から見直す橋渡しになっています。読む側にとっては、採用不調の原因を外に置かないための整理パートです。

第3章は、本書の中心のひとつである採用基準の章です。誰を採るのか、どこまで基準を下げるのか、何を見極めるべきかが掘り下げられます。価値観の一致や、入社後に伸ばせる能力とそうでないものを分けて考える視点が、中盤の土台になっています。

第4章は、採用戦略を組み立てる章です。ここで初めて、採用目的、人物像、提供価値、伝える順番、伝え方という流れが一つの設計としてまとまります。後ろの実務章を活かすための設計図に当たるので、全体の中でもかなり重要な位置です。

第5章は、実際の運用に落とし込む章です。認知の取り方、人数と期限の設定、シナリオ設計、エントリーシートの扱い、面接、内定者フォロー、行き詰まったときの立て直しまで含まれています。前章までで整えた考え方が、ここで初めて実務の形になります。


忙しい人が先に読むならここ

ガイドさん
ガイドさん
全部を通して読むのが理想ですが、時間がないなら「基準づくり」と「戦略設計」から入ると本書の核をつかみやすいです。

まず読むなら、第3章と第4章です。第3章では「誰を採るか」という基準の話が整理されており、第4章では採用目的から伝え方までの順番が設計されています。この2つを押さえると、本書が単なる採用ノウハウ本ではなく、採用の考え方そのものを組み直す本だと分かりやすくなります。

次に読むなら第5章です。ここでようやく、面接やスカウト、内定者フォローといった実務がどうつながるかが見えてきます。実際に手を動かしたい人は、先に第5章へ進みたくなるかもしれませんが、第3章と第4章を踏まえて読むほうが理解しやすいはずです。

時間に余裕があれば、最初に戻って第1章と第2章を読むのがよいと思います。序盤はやや重く感じる人もいるかもしれませんが、採用を人集めではなく経営課題として捉える前提をつくる役割があります。全体としては、序盤で問題意識を固め、中盤で設計し、終盤で実務に落とす流れがもっとも自然です。


感想|読んで印象に残ったことと注意点

感想|読んで印象に残ったことと注意点

特に印象に残ったポイント

いちばん強く残ったのは、この本が採用を単なる人集めの技術としてではなく、会社の未来そのものに関わる営みとして扱っていることでした。応募が来ない、即戦力が見つからない、といった表面的な悩みの話にとどまらず、採用の失敗が組織風土や業績にまで影響する問題として語られているので、読みながら自然と視点が引き上げられていきます。

特に印象深かったのは、「人手」ではなく「人財」を採るという姿勢です。人数を埋めることを優先すれば一時的には楽になるかもしれませんが、その判断が長い目で見て組織を疲弊させるという考え方には重みがありました。前半で採用への思い込みを崩し、中盤で「誰を採るか」に踏み込み、後半で採用の5ステップや面接、スカウト、内定者フォローへつないでいく流れもよくできていて、考え方と実務が一本の線でつながっているところにこの本の強さを感じました。


すぐ試したくなったこと

読後にすぐ見直したくなったのは、募集方法より先に、自社がなぜ採用するのか、どんな人物に来てほしいのかを言葉にできているかどうかです。本書は、やり方を増やす前に順番を整えることの大切さを繰り返し示していて、その考え方がとても腑に落ちました。うまくいかない採用を改善しようとすると、つい媒体や面接の技術に目が向きがちですが、その前の設計が曖昧なままでは結局ぶれてしまうのだと受け取りました。

もう一つ試したいと思えたのは、採用基準をスキルだけで考えず、価値観や人柄の観点でも整理することです。読み進めるうちに、採用とは選ぶ作業であると同時に、会社がどういう存在として選ばれるかを問われる場でもあるのだと見えてきました。認知から応募、選考、内定後のフォローまで一連の流れで見直す発想も、実務に移しやすい形で残りました。


読んで気になった点

一方で、読みやすさの面では人を選ぶところもあります。語り口はかなり断定的で、採用への向き合い方を厳しく問う場面も多いので、読む人によっては少し身構えるかもしれません。やさしく背中を押す本というより、考え方の甘さを正面から突いてくる本なので、その温度感に合うかどうかはありそうです

また、すぐ使えるテンプレートや即効性のある小ワザだけを期待すると、前半はやや重たく感じると思います。実際には、採用の意味を問い直し、基準を固め、戦略の順番を整えたうえで実務へ進む本なので、読む側にも少し考える力が求められます。ただ、その遠回りがあるからこそ、読み終えたあとには採用を人集めの作業としてではなく、会社の価値観と未来を形にする仕事として見直せる。その感触は、最後まで読んだからこそ残ったものでした。




実践編|この本を読んだあと、どう行動する?

実践編|この本を読んだあと、どう行動する?
ガイドさん
ガイドさん
最初から全部やる必要はありません。まずは採用目的と採りたい人物像を言葉にするだけでも、本書の価値はかなり実感しやすいはずです。


今日からできること

本書は、読んで考え方が変わって終わる本ではなく、採用の順番を立て直すために使う本です。特に有効なのは、媒体選びや面接テクニックに飛びつく前に、自社の採用を土台から見直すことだと思います。今日から動くなら、次のような着手が現実的です。

  • いまの採用で何に困っているかを一つに絞って書き出す
  • 自社は何のために採用するのかを一文で言語化する
  • ほしい人物像を、スキルだけでなく価値観や人柄でも整理する
  • 「人手を埋めたい」だけの発想になっていないか見直す
  • 求職者に提供できる価値を、待遇以外も含めて洗い出す
  • 認知から応募、選考、内定、フォローまでの流れを紙に並べる
  • 面接で何を見極めたいのか、評価観点を先に決める
  • いま使っている募集手段が、採用目的と人物像に合っているか点検する

どれも派手な施策ではありませんが、本書の核はまさにそこにあります。やり方を増やすより先に、採用の考え方と順番を整えることが、結果として実務の精度を上げる近道になります。


1週間で試すならこうする

1週間で試すなら、重たい改革より「採用の土台を整える」流れが合っています。

  • Day1:採用目的を言語化し、何のために採るのかを明確にする
  • Day2:採りたい人物像を整理し、価値観や見極めたい点まで含めて言葉にする
  • Day3:自社が候補者に渡せる価値を書き出し、求人票や説明会で本当に伝えるべき内容を絞る
  • Day4:採用人数、期限、進捗の見方を決め、行き当たりばったりを防ぐ準備をする
  • Day5:求人票やスカウト文面を見直し、伝える順序が目的や人物像とずれていないか確認する
  • Day6:面接の質問と役割を整理し、見極めるだけでなく惹きつける場として設計し直す
  • Day7:内定後の連絡やフォローまで含めて全体を見返し、採用活動が一本の線でつながっているかを確認する


つまずきやすい点と対策

いちばんつまずきやすいのは、どうしても募集手段や面接の小技から入りたくなることです。本書はそこをあえて遠回りさせますが、その理由は明確で、採用目的や人物像が曖昧なままでは、どんな施策もぶれやすいからです。対策としては、まず「なぜ採るのか」と「誰を採るのか」だけに絞って考えるのがよいと思います。

次に引っかかりやすいのは、人物像をスキル中心で考えてしまうことです。本書では価値観や人柄の見極めを重視しているので、経験や即戦力性だけで整理すると、本来の使い方からずれてしまいます。対策は、必要な能力と、絶対に外したくない価値観を分けて書くことです。

もう一つは、すぐ使えるテンプレート集のように読もうとしてしまうことです。実際には、前半はかなり考えさせる内容で、ここを飛ばすと後半の実務も浅くなりやすいはずです。重たく感じたら、まず採用の5ステップの章を軸に読み、そのうえで面接やスカウト、内定者フォローに戻ると、全体のつながりをつかみやすくなります。


比較|似ている本とどう違う?

比較|似ている本とどう違う?

『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』との違い

結論から言うと、本書は「採用を立て直したい人」に向く一冊で、『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則は「採用を含めて人事と組織運営全体を整理したい人」に向く本です。比較の軸でいえば、いちばん大きい違いはテーマの広さと読者の目的にあります。

本書は、中小企業の採用不調をどう立て直すかに焦点が絞られています。採用を経営課題として捉え直し、採用目的、採用人物像、提供価値を言語化したうえで、面接やスカウト、内定者フォローまで落とし込んでいく構成です。これに対して『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』は、採用単体ではなく、人事と組織運営の原理原則まで視野を広げたい読者向けと整理できます。

向いている人も少し違います。いま目の前の採用課題に手をつけたいなら本書のほうが合いやすく、採用を入口にしつつ、組織全体の考え方まで一段引いて見たいなら『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』のほうがしっくり来るはずです。


『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』との違い

こちらはテーマの重なりが近いぶん、違いはよりはっきりしています。結論を先に言えば、本書は「採用全体を設計する本」で、『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術は「誰を選ぶか、どう見抜くか」をより深く考えたい人向けの本です。比較の軸では、深さの置きどころと実用範囲が異なります。

本書では、採用を募集手段や面接のテクニックから始めず、WHY・WHO・WHAT・WHEN・HOWの順で戦略を組み立てることが重視されています。そのうえで、求人票、スカウトメール、面接、オンライン面接、内定者フォローまで広く扱います。対して『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』は、比較候補として示されている通り、「誰を採るか」「どう見抜くか」の比重をさらに深めたい場合の対象です。

つまり、採用の全体設計に悩んでいる段階なら本書の守備範囲が広く、採用基準や見極めの精度をさらに上げたい段階なら『経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』のほうが目的に合いやすいでしょう。採用活動の入口から出口まで一本で整理したいか、見抜く力に絞って掘り下げたいかで選ぶと迷いにくいです。


迷ったらどれを選ぶべき?

迷ったときは、いま何に困っているかで選ぶのがいちばん失敗しません。採用だけでなく人事・組織運営まで視野を広げたいなら『人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』、人を見る目や選ぶ技術を補強したいなら『経営×人材の超プロが教える人を選ぶ技術』が候補になります。

そのうえで、応募が来ない、採っても合わない、辞退が出る、採用基準を下げるべきか迷う、といった悩みをまとめて立て直したいなら、本書がもっとも選びやすい一冊です。採用を経営課題として捉え直し、考え方から実務まで順番に整えたい人には、本書が中心軸になります。


著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者はどんな人?|この本を書いた背景

著者プロフィール

酒井利昌は、株式会社アタックス・セールス・アソシエイツ取締役の採用コンサルタントです。学習塾の教室長、人材会社での法人営業兼キャリアアドバイザーを経て同社に入り、採用コンサルティング事業を立ち上げました。営業コンサルタントとしての顔も持ち、年間250回以上の現場支援・研修・セミナーに携わる人物として紹介されています。

坂本光司は、経営学者であり、元法政大学大学院教授、人を大切にする経営学会会長、徳島大学客員教授です。専門は中小企業経営論、地域経済論、地域産業論で、企業や各種組織を8000社以上訪問し、調査と助言を重ねてきたとされています。本書では監修という立場から関わっています。


このテーマを書く理由

本書の主題が「採用を経営課題として捉え直すこと」に置かれているのは、酒井利昌の経歴と強くつながっています。学習塾での現場経験、人材会社での法人営業とキャリア支援、さらに採用コンサルティング事業の立ち上げという流れをたどっており、人を集める実務だけでなく、企業側がどんな人を必要とし、どう見極め、どう活かすかという問題に一貫して向き合ってきたことがうかがえます。

そこに坂本光司の監修が加わることで、本書の視点は採用実務だけに閉じません。中小企業経営を専門とする立場が重なることで、採用を単なる人員補充ではなく、会社のあり方や成長に関わるテーマとして扱う土台がより明確になっています。


この本が信頼できる理由

この本の強みは、採用手法の断片的な紹介ではなく、採用目的、人物像、提供価値、選考プロセス、募集手段までを一つの流れで組み立てている点にあります。その設計は、採用コンサルティングを実務として扱ってきた酒井利昌の専門性と噛み合っています。

さらに、監修に坂本光司が入っていることで、中小企業経営の観点が補強されています。実務の細部だけでなく、なぜ採用が会社の質や将来を左右するのかという大きな視点まで押さえられているため、現場の手順書にも、抽象的な経営論にも寄りすぎていません。採用を実務と経営の両面から考えたい読者にとって、そのバランスが本書の信頼性につながっています。


よくある質問(FAQ)

よくある質問(FAQ)

要約だけ読めば十分?

結論から言うと、読む目的しだいです。本書が自分に合うかを判断したいだけなら、要点の把握でもかなり役立ちます。採用を経営課題として捉え直す本であり、欠員補充や手法選びの前に考えるべきことが何かは、要約でもつかめます。

ただし、実際に採用の進め方を立て直したいなら、要約だけでは足りません。本書の価値は、危機認識から失敗要因の分解に入り、そのうえで「誰を採るか」を定め、最後に5ステップと実務へ落としていく流れにあります。順番ごと読むことで、なぜ媒体や面接テクニックの前に整理が必要なのかが腑に落ちやすくなります。


初心者向け? 中級者向け?

結論としては、採用をこれから学ぶ人にも読めますが、特に合うのは「今のやり方に限界を感じている人」です。前提知識が多くない読者でも読める構成ですが、軽い入門書というより、考え方の土台から組み替える本に近いです。

そのため、テンプレートだけをすぐ欲しい初心者にはやや重く感じるかもしれません。一方で、応募不足やミスマッチ、辞退、早期離職などに悩んでいる中級者や実務担当者には、抽象論で終わらず、面接やスカウト、内定者フォローまでつながっている点が使いやすいはずです。


どこから読むべき?

いちばん自然なのは、第1章から順に読む方法です。本書は、まず採用を軽く見ないための前提を置き、次にうまくいかない理由を分解し、そのあとで基準づくり、戦略設計、実務へ進みます。全体のつながりを理解したいなら、この順番がいちばんぶれません。

一方で、すでに採用市場の厳しさや現場課題を強く実感しているなら、第3章か第4章から入る読み方も合います。特に、誰を採るかという基準づくりと、WHYから始まる5ステップは本書の中心です。そこを押さえたうえで第5章に進むと、求人票や面接、フォローの実務も使いやすくなります。


忙しくても実践できる?

結論として、忙しくても実践はできます。ただし、本書は短時間で使える小技集ではないので、全部を一度にやろうとすると重く感じやすいです。まずは採用の目的を一文で言葉にする、採りたい人物像を価値観まで含めて見直す、といった小さな整理から始めるのが現実的です。

本書が向いているのは、読むだけで終わらせず、採用導線を少しずつ見直したい人です。認知から応募、選考、内定、フォローまでを一気に変える必要はありません。最初の一歩として、面接で何を見極めるのかを揃えるだけでも、読後の使い方としては十分に意味があります。


まとめ|結局、この本を読む価値はある?

まとめ|結局、この本を読む価値はある?

この本の価値を3つで言うと

第一に、採用を「人集め」ではなく、会社の未来を左右する経営課題として捉え直せることです。本書は、人が足りないから採るという発想の危うさを崩し、採用の失敗が組織風土や業績にまで響くことを、かなりはっきり示してきます。

第二に、考え方と実務が分断されていないことです。WHY→WHO→WHAT→WHEN→HOWの順で採用を設計する流れが軸になっているので、採用目的、人物像、提供価値、伝える順序、募集手段までを一続きで整理できます。

第三に、抽象論だけで終わらないことです。求人票、スカウトメール、面接、内定者フォローまで落ちてくるので、読み終えたあとに「どこを直すか」が見えやすいです。逆に、すぐ使える小技だけを探す人には少し重たく感じるかもしれませんが、採用の土台から立て直したい人には、その重さ自体が価値になります。


この本をおすすめできる人

おすすめできるのは、応募が来ない、ミスマッチが多い、辞退や早期離職が続くといった悩みを抱え、やり方以前に考え方を立て直したい中小企業の経営者や採用担当者です。採用を媒体選びや面接の工夫だけで改善しようとして行き詰まっている人には、読む価値があります。

一方で、すぐ使えるテンプレートだけを求める人には遠回りに見えるかもしれません。本書は近道の本というより、採用の土台そのものを組み直す本です。


今すぐやること

ガイドさん
ガイドさん
最初から全部変える必要はありません。まずは採用の目的を一文で言葉にするだけでも、この本の使い方としては十分に良いスタートです。

今日やることは一つで十分です。就業後でも朝でもいいので、30分だけ取り、「自社は何のために採用するのか」を一文で書いてください。そのあと5分で、その一文が欠員補充の説明で終わっていないか見直す。ここが曖昧なままだと、人物像も提供価値も、募集手段もぶれやすいからです。


次に読むならこの本

人事と採用のセオリー 成長企業に共通する組織運営の原理と原則』:採用だけでなく、人事全体や組織運営の原理原則まで視野を広げて整理したい人に向いています。

経営×人材の超プロが教える 人を選ぶ技術』:本書で気になった「誰を採るか」「どう見抜くか」を、さらに深く掘り下げたい人向けです。

「本当にほしい人材」が集まる中途採用の定石』:中途採用に絞って、採用広報やスカウト、面接など運用面の精度を上げたい場合に相性がいい一冊です。




小さな会社の人材採用が学べるおすすめ書籍

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本の「内容・感想」を紹介しています。

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カネマツ

年間約80冊の実用書・ビジネス書を読み、自己啓発、仕事術、採用・面接、人材育成、マーケティング分野を中心にレビューしています。採用や人材育成の実務経験をもとに、要約だけでなく、向いている人、実用性、類書との違いまで整理して紹介しています。記事は実読を前提に、必要に応じて出版社公式情報や改訂版情報も確認しながら執筆しています。

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