
「求人を出しても応募が来ない」「やっと採用できたのに、すぐに辞めてしまう」「そもそも何から手を付ければいいのかわからない」。
中小企業の多くが、いまこのような採用の悩みを抱えています。
インターネットで業界や会社の評判がすぐに調べられる時代になり、求職者は慎重になり、さらに独立志向の高まりや大企業による人材囲い込みも加速しています。
その結果、「人が集まらないのは仕方がない」と諦めてしまう企業も少なくありません。
しかし、書籍『採用がうまくいく会社がやっていること』では、その考え方に真っ向から疑問を投げかけます。
中小企業の採用が厳しくなっているのは事実ですが、「それでも、まだできることはたくさんある」と著者は断言しています。
社会保険労務士として数多くの中小企業を支援してきた実体験をもとに、求人、面接、内定、入社、定着まで、採用の全プロセスを一つひとつ丁寧に見直しながら、“今すぐ実践できる改善策”を具体的に示しているのが本書の大きな特徴です。
本書は、専門の採用担当者がいない企業や、はじめて人を雇う経営者、突然採用を任された管理職でも、無理なく取り組める実務書として構成されています。
採用を「運任せ」にせず、「仕組み」として整えていくことで、応募の質も定着率も確実に変わっていく。
その道筋を、初心者にもわかる言葉で示してくれる一冊が、『採用がうまくいく会社がやっていること』です。
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書籍『採用がうまくいく会社がやっていること』の書評

本書『採用がうまくいく会社がやっていること』は、“中小企業の採用が年々難しくなる時代において、何から手をつければよいか分からない企業へ向けた、実務の完全ガイド”と言える一冊です。
本書の特徴は、単にテクニックを紹介するだけではなく、採用市場の変化や求職者の心理を理解したうえで、中小企業が「勝てる採用」を作る具体策を体系的に示している点です。
この書評では、以下の5つの観点から本書の価値や本質を解説していきます。
- 著者:福留 文治のプロフィール
- 著者:児玉 里美のプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
これらを理解することで、「なぜこの本が多くの中小企業に支持されているのか」「どのように採用の悩みを解決してくれるのか」が見えてきます。
著者:福留 文治のプロフィール
福留文治氏は、社会保険労務士法人サフィールの共同代表として活動する、労務管理と採用支援の専門家です。社会保険労務士とは、企業と従業員との間に生じる労働問題や、雇用契約、社会保険手続きなどを法的にサポートする国家資格であり、福留氏はその中でも、より高度なトラブル解決が可能な「特定社会保険労務士」の資格を有しています。これは、残業代問題や解雇、ハラスメントといった深刻な労使トラブルが発生した際に、裁判に至る前段階での紛争解決に関わることができる専門性を意味します。
福留氏の最大の特徴は、資格を取得する前から実務の最前線に立ち続けてきた点にあります。もともと介護系の社会福祉法人で長年にわたり総務・人事業務に携わり、実際に求人募集、面接、労務管理、職員対応などを自ら経験してきました。そのため、机上の空論ではなく、現場で起きるリアルな問題を肌感覚で理解したうえで、理論と実務を結びつけた支援ができる人物です。社労士として独立してからも、数え切れないほどの労務相談と採用相談を受け続け、表に出にくい「採用がうまくいかない本当の理由」に向き合ってきました。
福留氏の支援スタイルで特に特徴的なのは、「言葉の設計」を極めて重視している点です。求人票に書く一文、面接で投げかける一言、内定通知の表現、こうした細かな言葉の積み重ねが、応募者の心理や行動に大きな影響を与えることを、現場の経験から痛感してきました。たとえば、残業について一言触れるにしても、「残業あり」と曖昧に書くのか、「月平均10時間程度で、繁忙期のみ20時間前後」と書くのかで、応募者の受け取り方はまったく異なります。本書の随所には、こうした「言葉ひとつで採用結果が変わる」という福留氏ならではの視点が色濃く反映されています。
また、福留氏は採用だけでなく、トラブル対応にも精通しているため、「採ってはいけない人物像」や「問題社員が生まれる採用の特徴」についても非常に現実的な判断基準を持っています。本書で繰り返し語られる「採用は入口だが、定着とトラブル防止まで見据えなければ意味がない」という思想は、こうした長年の労務トラブル対応の蓄積から生まれたものです。
福留文治さんの専門性は「法律に詳しい社労士」ではなく、「現場の失敗と成功を何度も見てきた実務型社労士」にあります。
その経験値そのものが、本書のリアリティを支えています。
著者:児玉 里美のプロフィール
児玉里美さんは、福留さんと同じく社会保険労務士として活動しながら、教育・育成・組織づくりの視点に強みを持つ専門家です。もともとは学習塾の講師として「人に教える」「人を伸ばす」仕事に関わってきた経歴があり、その後、社労士の道に進みました。この経歴は、本書における「入社後の育成」「定着支援」「価値観のすり合わせ」といったテーマに色濃く反映されています。
児玉さんが一貫して重視しているのは、「人事労務は感覚ではなく仕組みで回すもの」という考え方です。多くの中小企業では、採用や教育が属人化しやすく、「あの人だからうまく指導できた」「あの上司だから定着した」といった個人依存の状態に陥りがちです。しかしその状態は、担当者が変わった瞬間にすべてが崩れてしまう危うさを抱えています。児玉さんは、そうした不安定な状態から脱却し、「誰が担当しても一定の質で採用と育成ができる状態」をつくることを目指しています。
本書に登場する、面接の流れをテンプレート化する考え方、共通の質問項目を用意する発想、内定から入社までのステップを明確に区切る方法、入社後のフォローを行動レベルまで落とし込む改善策などは、すべてこの「仕組み化」の思想に基づいています。採用とは感覚や相性で決めるものではなく、再現性のある工程として設計できるものである、というメッセージが本書全体を貫いています。
また児玉さんは、とくに若年層の定着や、家庭環境と仕事のバランスに強い関心を持っており、「親を味方につける」「価値観のすり合わせを初期段階で行う」といった独特の視点も本書の魅力となっています。これは、単に働き手を「労働力」として見るのではなく、「一人の人生を背負った存在」として捉える視点が背景にあります。
児玉里美さんの専門性は「採用の仕組み化」と「定着を前提とした人材育成」にあります。
本書の“細かすぎるほどの段取り”は、この思想から生まれています。
本書の要約
本書は、中小企業が直面する採用難という問題を、単なる景気の問題や人手不足として片付けるのではなく、「構造の問題」として捉え直し、その構造を一つずつ組み替えていく実務書です。単に「人が来ない」という事象だけを見るのではなく、「なぜ応募しないのか」「なぜ辞めてしまうのか」「なぜミスマッチが起こるのか」という原因を、採用前から入社後までの一連の流れの中で解説しています。
本書の構成は、採用活動を五つの段階に分けて整理しています。最初に扱われるのが、環境整備と企業の強みの整理です。次に、求人原稿や求人媒体を通じて母集団を形成する方法が語られます。三つ目の段階では、面接を通じた見極めの方法や、採るべきでない人の判断基準が示されます。四つ目は、内定から入社までの間に行うべきフォローや書面整備についてです。そして最後に、入社後すぐに行うべき定着支援や、早期離職を防ぐための具体策が紹介されます。
この流れは、採用を「求人→面接→内定」で終わらせず、「入口からその後の定着までを一つの長いプロセス」として捉えている点に大きな特徴があります。多くの企業は、「採用できたかどうか」だけを成果と見がちですが、本書では「定着して戦力になるかどうか」までを採用の成果と考えています。そのため、入社後の昼食の取り方や、給与日の声かけといった一見些細な行動にも意味が与えられています。
また、社会背景として「ネットで企業の悪い評判がすぐに広まる時代」「独立志向が高まり、会社に勤めない生き方が一般化した時代」「大企業が専門部署を持って人材を囲い込む時代」という三つの環境変化が繰り返し強調されています。こうした状況の中で、中小企業が何も工夫せずに採用できる時代は終わったという前提に立ち、本書は「では何を変えればよいのか」を順序立てて解説しています。
本書の目的
本書の最大の目的は、「採用の初心者でも、採用の全体像を理解し、今日から具体的な行動を起こせる状態になること」にあります。中小企業の多くでは、専任の人事担当者がいないケースが一般的で、経営者や現場の管理職が、本業の合間に採用を兼務しています。そのため、どうしても採用が後回しになり、求人票も過去の使い回し、面接も場当たり的になりがちです。
その結果として、応募が集まらない、採用できてもすぐ辞めてしまう、やっと入った人が思っていた人物と違う、といった問題が連鎖的に発生します。著者たちは、こうした状態を「採用の属人化と放置」が招いた構造的な問題だと捉えています。
本書は、この悪循環を断ち切るために、採用の各段階でやるべきことを細分化し、行動レベルにまで落とし込んでいます。たとえば、求人段階では「賃金」「労働時間」「休日」「作業環境」「人間関係」といった項目をどの順番で整えるべきか、面接では何をどう聞けばミスマッチが減るのか、内定後にはどのタイミングでどんな書類を交わすべきなのか。こうした「やるべきことの順序」が非常に分かりやすく整理されています。
また、本書は「一度にすべて完璧にやろう」とは求めていません。「できることから一つずつ実践する」というスタンスを貫いており、忙しい中小企業の現場でも無理なく導入できるよう配慮されています。採用を短期の成果で一喜一憂するのではなく、中長期で少しずつ体質改善していく、そのための羅針盤として機能する一冊です。
人気の理由と魅力
この本が多くの中小企業経営者や管理職に支持されている最大の理由は、「いま困っている問題に、そのまま使える答えが書かれている」点にあります。求人を出しても反応がない、採用担当になったが何から手をつけていいかわからない、採った人が思ったように動かない、初めて人を雇うのが怖い。こうした現場の悩みを、著者は抽象論ではなく具体例で一つずつ解きほぐしています。
また、本書は徹底して中小企業目線で書かれています。専任の人事部がない、予算も限られている、社長や管理職が通常業務の合間に採用を担当している。そうした前提を無視した理想論は一切なく、「それでもできる工夫」にフォーカスしています。だからこそ、読み終わった後に「これならうちでもできそうだ」と思える現実味があります。
さらに大きな魅力が、採用の話が「入口」で終わっていない点です。多くの採用本は、どうやって応募を集めるか、どうやって面接で見抜くかに焦点を当てますが、本書はその後の「入社後の定着」にまでしっかり踏み込んでいます。入社初日の過ごし方、最初の休み前の声かけ、期待値の調整、ハラスメント対策など、どれも「辞めさせないため」ではなく「安心して働けるため」の工夫として語られています。
そして実務面で非常に高く評価されているのが、特典の存在です。面接時のチェックシートや質問テンプレート、不採用通知の文例、身元保証人へのお礼文、持病に関する申告書など、すべてが実務でそのまま使える形で提供されています。単にノウハウを読むだけで終わらず、「実際に手を動かす」きっかけまで用意されている点が、実務書としての完成度を大きく引き上げています。
この本の人気の本質は「読んだ人が行動に移しやすい構造」にあります。
読み終えた瞬間から現場が動き出す本は、決して多くありません。
本の内容(目次)

本書は、採用活動を「思いつき」や「その場しのぎ」で進めるのではなく、入口から定着までを一つの流れとして体系的に設計することを大きな特徴としています。採用がうまくいかない企業の多くは、求人・面接・内定・入社後の対応がすべてバラバラに行われており、どこに問題があるのか自分たちでも分からなくなっています。本書ではその状態を抜本的に見直し、採用プロセス全体を「見える化」しながら改善していきます。
本の構成は次の5つの章に分かれており、それぞれが採用活動の重要な節目に対応しています。
- 第1章 小さな会社だからこそできる「採用の強み」と成功法則
- 第2章 求人~小さな会社でも応募が集まる方法
- 第3章 面接~採ってはいけない人を見極める方法
- 第4章 内定から入社直前まで~内定者に確実に入社してもらう方法
- 第5章 入社直後~貴重な人材が定着する方法
これらの章は、単なる知識の羅列ではなく、「なぜ人が来ないのか」「なぜ辞めるのか」「どうすれば改善できるのか」という流れで、初心者でも理解できるよう順序立てて設計されています。
ここからは、それぞれの章で扱われている内容を、実務の視点で詳しく見ていきます。
第1章 小さな会社だからこそできる「採用の強み」と成功法則
第1章では、「中小企業=採用が不利」という思い込みを一度リセットし、小さな会社だからこそ持っている採用上の強みを整理するところから話が始まります。多くの経営者は、大企業と比べて知名度や待遇面で劣っていると感じがちですが、本章では「中小企業だからこそ発揮できる採用活動そのものの強み」と「会社そのものが持つ強み」の両方が丁寧に説明されています。規模が小さいからこそ、意思決定が早く、現場と経営の距離が近く、柔軟な対応ができる点が、求職者にとっては大企業にはない魅力になることが示されています。
また、この章では、中小企業が採用で成功するために欠かせない三つの視点として、「環境を整える」「コストをかけすぎない」「価値観を共有する」という考え方が紹介されています。これは単なる理想論ではなく、実際の採用活動を現実に回していくうえでの“最低限の土台”として提示されています。職場環境が整っていなければ応募してもらえず、採用コストをかけすぎれば会社の体力を削り、価値観が合わなければ採用できても長続きしないという、極めて現実的な視点です。
さらに、専任の採用担当者がいない中小企業でも採用活動をスムーズに進める方法や、必ず採用ページを準備することの重要性もこの章で解説されています。求職者は今や、応募前にインターネットで会社を調べるのが当たり前の時代です。その中で、会社の考え方や雰囲気、働くイメージが伝わらない状態は、それだけで大きな機会損失になります。本章は、採用活動のスタート地点として「まず何から考え直すべきか」を明確にしてくれる内容になっています。
第2章 求人~小さな会社でも応募が集まる方法
第2章では、応募が来ない企業が抱える典型的な課題が明確に整理されています。著者は、応募が集まらない理由は大きく「会社に理由がある」ことを示し、求職者は求人票の“条件”だけでなく“安心材料”を求めていると説明します。検索性の高い職種名の付け方や、自社の強みの見つけ方など、求職者の視点を理解するための基本的な考え方が具体的に提示されており、求人票を改善する際の基礎が分かりやすく解説されています。
特に本章では「今すぐ整えるべき項目」として、給与・残業時間・休日数・作業環境・アクセス・人間関係の6つが具体的に取り上げられています。これらは求職者が応募前に必ず確認する項目であり、どれか一つでも不安があれば応募をためらう要因になります。たとえば、残業時間の実態を明確に記載する、休日は“メリットが感じられる”よう配置する、トイレや休憩スペースなど水回りを優先的に整えるなど、細かな要素が応募増加に直結すると解説されています。小さな会社でも改善可能な領域が多いことが、読者にも実感できる内容になっています。
後半では、求人媒体の使い方が詳しく紹介されています。ハローワークの特性、無料で使えるIndeedの活用法、人材紹介会社を使う際の注意点、社員紹介制度(リファラル採用)の設計など、それぞれの媒体が持つ強みと弱みを理解しながら使い分ける重要性が語られています。むやみに広告費を増やすのではなく、媒体ごとの特性に合わせて戦略的に活用することが、採用コストを最小限に抑えながら成果を最大化する鍵になります。
第3章 面接~採ってはいけない人を見極める方法
第3章では、中小企業が失敗しやすい「採ってはいけないケース」を明確に示し、それを避けるための判断基準が解説されています。著者は、中小企業にとって“問題社員を採用してしまうこと”は致命的な負担になると強調し、そのリスクを回避するために、面接は「能力」だけでなく「価値観」「姿勢」を丁寧に見るべきだと述べています。その判断材料として、応募者の“ポータブルスキル”(どんな職場でも通用する基礎力)を見極める視点が提示されています。
履歴書の確認ポイントとしては、応募者の過去を表面的に追うのではなく、「その経験から何を学び、どんな姿勢で働いてきたのか」を読み取ることが重要だと説明されています。また、面接官の態度が応募者の本音を引き出すうえで非常に重要であることも強調されています。威圧的な態度を取れば、応募者は本音を隠してしまい、結果としてミスマッチが生じやすくなります。一方で、適度な親しみやすさと誠実さを示すことで、応募者の本来の性質が見えやすくなると解説されています。
また、“聞きづらい質問”の聞き方が丁寧に紹介されているのも本章の特徴です。健康状態や家庭環境といったセンシティブな項目は、採用後の働き方に影響する重要な情報である一方、誤った聞き方をすると本人の尊厳を傷つけるリスクがあります。そこで著者は、「会社が安心して働いてもらうための確認であること」を前提にした伝え方を推奨し、相手に配慮しながら必要な情報を得るための姿勢を示しています。最後に、面接以外で応募者を見抜くポイントとして、身だしなみや提出物の扱い方など、面接室の外に現れる“ふるまい”の重要性も言及されています。
第4章 内定から入社直前まで~内定者に確実に入社してもらう方法
第4章は、内定後の辞退を防ぐための実務的なステップが体系的にまとめられています。著者は、内定辞退の多くは「企業側のフォロー不足」が原因であり、不安や疑問が放置されると求職者は別の選択肢を探し始めると説明します。雇用契約書・誓約書・身元保証書・健康状態の確認など、入社前の手続きは形式的なものではなく、入社後のトラブルを防ぐための“安心づくり”として極めて重要な意味を持ちます。これらの書類を適切にやり取りすることで、会社と本人の間に信頼関係を構築できます。
続いて、内定通知書と入社承諾書の役割についても解説されています。これらの文書は、採用条件を明確にし、双方の認識が一致していることを確認するためのものです。認識のズレを放置すると、入社後に「聞いていた話と違う」というギャップが生じ、早期離職につながるリスクがあります。また、入社前オリエンテーション(入社前面談)の重要性も強調されており、仕事内容の再確認だけでなく、会社の価値観や仕事の厳しさを率直に伝えておくことの大切さが語られています。
本章の最後では、不採用者への手紙を書くことの意義にも触れられています。これは単に礼儀の問題ではなく、企業の評判(採用ブランド)を高めるための重要な取り組みです。応募者は企業の対応をよく見ており、不採用であっても丁寧に扱われることで「いい会社だった」という印象を持ちます。こうした小さな積み重ねが、長期的に“選ばれる会社”をつくる土台になります。
第5章 入社直後~貴重な人材が定着する方法
第5章では、採用の最終目的である「定着」を確実にするための実践的な手法が紹介されています。特に印象的なのは“入社初日の昼食が重要”という一見ユニークな内容です。著者によれば、初日は不安でいっぱいの状態であり、誰がどんな雰囲気で迎え入れるかによって、その後の会社への信頼度が大きく変わります。また、入社後に価値観の再確認を行うことで、会社が大切にしている行動基準や働き方の姿勢を明確に共有し、ミスマッチの発生を防ぐ効果があります。
若手社員の定着に関しては、“親を味方につける”という視点が独特であり、実務的な内容になっています。若年層は悩みを家族に相談することが多く、親が会社に不信感を持っている場合、離職を後押ししてしまうケースが少なくありません。そのため、親が安心できる情報提供やコミュニケーションを意図的に行うことで、社員本人の不安が軽減され、結果として定着率が高まると解説されています。また、暗黙のルールを早めに伝える、休日の使い方や残業の扱いを明確にするなど、会社の“当たり前”を丁寧に言語化することも重要なポイントとして紹介されています。
後半では、早期離職の予防に関する具体策が整理されています。能力不足の場合の指導法、勤怠不良への初期対応、残業をさせない働き方の工夫、ハラスメントへの適切な対応などは、中小企業が日常的に直面しやすい課題です。また、給与支給日の10分面談も有効な手法として紹介されており、短い時間でも継続的にコミュニケーションを取ることで、潜在的な不満や不安を早期に把握し、離職を防ぐ効果があるとされています。
対象読者

本書は「採用に悩んでいるすべての中小企業」に向けて書かれた実務書ですが、特に強く響く読者層がいくつか明確に想定されています。採用がうまくいかない背景や立場は人それぞれ異なりますが、本書はその違いを前提にしながら、誰でも実行できる形に落とし込まれている点が大きな特徴です。
本書が特に役立つのは、次のような立場・状況にある人たちです。
- 求人を出しても応募が集まらず困っている経営者
- 採用担当を突然任された管理職
- 採用した社員のミスマッチや早期離職に悩んでいる人
- 初めて人を雇う個人事業主・小規模経営者
- 採用業務を体系的に学びたい中小企業の経営者・人事担当者
ここからは、それぞれの立場ごとに「なぜこの本が役立つのか」を、具体的な採用課題と照らし合わせながら解説していきます。
求人を出しても応募が集まらず困っている経営者
応募が集まらない経営者の多くは、「うちは条件が悪いから仕方がない」「業界的に人が来ないのは当たり前」と考えがちですが、本書はその思い込みそのものを見直すところから始まります。ネットで簡単に企業情報や業界事情が調べられる今、求職者は給与や仕事の内容だけでなく、「この会社で本当に安心して働けるか」という視点で応募を判断しています。本書では、応募が集まらない本当の理由は“不人気”ではなく、“不安が消えていないこと”にあると明確に示されています。
経営者にとって本書がふさわしい最大の理由は、「経営目線」で採用全体を立て直せる点にあります。給与、労働時間、休日、作業環境、人間関係といった項目はすべて経営判断で改善できる領域であり、本書はそれを「今すぐできる順番」で整理しています。広告費や運だけに頼らず、自社の環境を整えることで採用力を高められるという現実的な道筋を示してくれる点で、経営者にとって極めて実用性の高い一冊といえます。
採用担当を突然任された管理職
突然「次の採用を任せる」と言われても、多くの管理職は何から手を付けていいのか分からず、過去のやり方を見よう見まねで繰り返すことになりがちです。本書は、そうした“採用の素人”の立場を前提に、求人の考え方から面接、内定、入社までの流れを一つのプロセスとして丁寧に整理しています。採用を「経験」や「勘」に頼るのではなく、「手順」として理解できる構成になっているため、初めての担当でも迷わず行動できるようになります。
管理職にとって本書がふさわしい理由は、採用を現場と切り離さずに考えられる点にあります。履歴書を見る視点、面接での態度、本音を引き出す聞き方、聞きづらい質問の扱い方などは、すべて現場感覚と直結する内容です。部下を評価する力と、採用で人を見極める力は本質的に共通しており、その橋渡しをしてくれる点で、本書は管理職にとって極めて実践的な指南書となります。
採用した社員のミスマッチや早期離職に悩んでいる人
「人は採れたのに続かない」という問題は、採用以上に深刻な経営課題です。時間もコストもかけて採用した人材が短期間で辞めてしまえば、現場の士気も下がり、次の採用にも悪影響が出ます。本書は、早期離職の原因を「本人の資質」だけに求めるのではなく、採用前後の情報の伝え方やフォロー体制に原因があるケースが非常に多いことを、具体例を交えて示しています。
本書がこの悩みを持つ人にふさわしいのは、ミスマッチや離職を「防げる問題」として扱っている点です。面接での価値観のすり合わせ、内定後のフォロー、入社直後の受け入れ方、暗黙のルールの共有、期待値の調整といった工程を一つひとつ整えることで、離職は大幅に減らせるという考え方が一貫しています。採用を「ゴール」ではなく「定着のスタート」と捉え直せる点が、大きな学びになります。
初めて人を雇う個人事業主・小規模経営者
初めて人を雇う場合、多くの人が「雇用契約とは何か」「何を確認しておくべきか」「どこまで踏み込んで聞いていいのか」といった基本的な部分で不安を抱えます。本書は、そうした不安を前提に、雇用契約書、誓約書、身元保証、健康状態の確認、入社前面談など、初めての採用で必ず必要になる実務を一つひとつ丁寧に解説しています。専門用語が並ぶのではなく、「なぜそれが必要なのか」という理由から説明されているため、初心者でも理解しやすい構成です。
この立場の人に本書がふさわしい最大の理由は、「最初の一人で失敗しないための設計図」になっている点です。最初の採用でトラブルを抱えてしまうと、その後の経営そのものに大きな影響が出ます。本書は、トラブルが起こりやすいポイントをあらかじめ可視化し、“起こる前に防ぐ”ための考え方と行動を示しています。経験がなくても、正しい順番で準備できる安心感が、この層にとって非常に大きな価値となります。
採用業務を体系的に学びたい中小企業の経営者・人事担当者
これまで何度か採用を経験してきたものの、「本当にこのやり方で合っているのか」「場当たり的になっていないか」と疑問を持っている経営者や人事担当者にとって、本書は採用を“理論と実務”の両面から整理し直せる一冊です。求人、面接、内定、入社、定着という流れが、一連の仕組みとしてどのようにつながっているのかが、目次構成そのものから明確に示されています。
この層に本書がふさわしいのは、単なるテクニック集ではなく、「採用の全体設計」を学べる点にあります。採ってはいけない人の考え方、聞きづらい質問の扱い方、不採用者への対応、入社後の面談など、実務経験がある人ほど見落としがちなポイントが丁寧に言語化されています。採用を人事業務の一部ではなく、経営戦略の一部として捉え直したい人にとって、本書は非常に再現性の高い指針になります。
本の感想・レビュー

採用できない背景が整理されて腑に落ちた
正直に言って、これまで私は「今はどこも人手不足だから仕方がない」と思い込んでいました。有効求人倍率や人口減少のニュースを見ては、努力しても状況は変わらないのではないかという諦めがどこかにありました。しかし本書の「はじめに」を読んだ瞬間、その考え方が一気に覆されました。採用が厳しくなっている背景は、単なる数字の問題ではなく、業界や会社の実情がネットを通じて求職者に知られてしまっていることや、独立志向の高まり、企業ごとの採用への熱意の差といった、複数の要因が重なっていることが丁寧に整理されていたからです。
特に印象に残ったのは、「中小企業だから応募がないのではなく、会社や業界の実情を知られているから応募されない」という指摘でした。これまで私は、規模や知名度のせいにして自分たちを納得させていた部分があったのですが、本書を読んでからは、求人を出す以前の姿勢そのものが問われているのだと感じるようになりました。自社の魅力を伝えることばかり考えていた私にとって、「求職者の不安をどう消すか」という視点は非常に新鮮でした。
採用がうまくいかない理由を一つひとつ分解して説明してもらえたことで、漠然とした不安が具体的な課題へと変わっていく感覚がありました。「何が原因なのか分からない」という状態が一番つらいのだと、改めて気づかされましたし、原因が分かれば打ち手も見えてくるのだと感じました。
中小企業の現実をここまで正直に書いた本は珍しい
この本を読んで感じたのは、良いことばかりを並べるのではなく、中小企業の厳しさを真正面から描いている点でした。大企業が専門部署を使って人材を囲い込んでいること、知名度のある企業ほど必死に人を集めていることなど、普段なかなか表に出ない現実が率直に書かれていて、読んでいてごまかしのない印象を受けました。
採用への「熱意」に大きな差があるという指摘も、胸に刺さる部分でした。危機感を持って本気で取り組んでいる会社と、何となく後回しにしている会社では、結果が大きく変わってしまうという事実は、「分かっているつもり」になっていた自分への警鐘のように感じました。忙しさを理由にして、採用を本気で仕組みにしてこなかった姿勢を、静かに突きつけられた気がします。
読後に残ったのは、不安よりも現実を受け止めたうえで前に進めばいい、という感覚でした。厳しい状況を悲観的に煽るのではなく、「それでも、できることはたくさんある」と断言している点が、この本の誠実さであり、救いでもあると感じました。
求人原稿の見直しポイントが明確になった
私はこれまで、求人原稿は「条件を並べるもの」だと思ってきました。給与、休日、仕事内容を書けば、それで十分だと考えていたのです。しかし第2章を読み進めるうちに、自分の考えがいかに一方通行だったかを思い知らされました。本書では、応募が集まる求人の条件として、給与、労働時間、休日数、作業環境、アクセス、人間関係まで細かく分けて説明されています。
特に心に残ったのは、「まずは労働環境を整えることから」という考え方でした。求人原稿の文章だけを工夫すれば応募が増えるのではなく、その裏側にある職場の実態が伴っていなければ意味がないという指摘は、とても重く感じました。また、「求職者目線に徹することで反応がよくなる」という部分では、自分がこれまで会社目線だけで原稿を書いていたことを強く自覚しました。
この章を読み終えたとき、求人原稿は会社の都合を押し付けるものではなく、働く側の不安や疑問に答えるためのものなのだと思えるようになりました。原稿の書き方一つで、応募してもらえるか、最初から敬遠されるかが決まってしまうという現実を、初めて本気で受け止めた気がします。
面接のやり方が“感覚”から“仕組み”に変わった
これまでの面接を振り返ると、正直なところ「印象が良いかどうか」で判断していた部分が大きかったと思います。話しやすい人、受け答えの雰囲気が良い人に自然と好印象を持ち、それが評価に直結していました。しかし本書の第3章を読んで、そのやり方がいかに危ういものだったかを痛感しました。
履歴書で必ず確認すべきポイントや、ポータブルスキルを見るという考え方、そして質問の仕方によって応募者の本音を引き出す方法など、面接を「仕組み」として設計する重要性が具体的に示されています。特に、「聞きづらい質問をどう聞くか」というテーマは、避けてきた部分だっただけに印象に残りました。ここを曖昧にしたまま採用してしまうことが、後のミスマッチにつながるのだと納得しました。
面接は「話してみての感触」で決めるものではなく、事前に準備された基準や質問によって、冷静に見極めていく場なのだと思えるようになりました。
「採ってはいけない人」の基準がはっきりした
これまで私は、「どんな人を採りたいか」ばかりを考えてきました。しかし本書では、「中小企業が採用してはいけないケース」が明確に示されており、その視点がとても新鮮でした。採用において最も避けなければならないのは、大きなリスクを抱え込んでしまうことなのだと、強く意識させられました。
採ってはいけない人の特徴が具体的に示されていることで、今まで自分が曖昧な基準のまま判断していたことにも気づかされました。「何となく大丈夫そう」という判断が、後々どれほど大きな負担になるかを思うと、この基準を知れたことは非常に大きな収穫でした。
採用とは、人を迎え入れるだけの行為ではなく、会社の未来を左右する選択なのだと、改めて実感しました。「採らないという判断」が、実は組織を守るための重要な戦略でもあるという考え方は、これまで持っていなかった視点でした。
内定後フォローの重要性に気づかされた
正直に言うと、私はこれまで内定を出した時点で「ひと安心」してしまうタイプでした。内定を承諾してもらえたら、それで採用は終わりだと思い込んでいたのです。しかし第4章を読んで、その考えが非常に危ういものだったことに気づかされました。雇用契約書、誓約書、身元保証書、健康状態の確認、内定通知書や入社承諾書、さらには入社前面談まで、著者が示している入社直前のフォローは、想像していた以上に細かく、そして実務的でした。
特に印象に残ったのは「内定者に確実に入社してもらう」という視点です。内定はゴールではなく、あくまでスタート地点に立つための通過点にすぎないという考え方が、はっきりと伝わってきました。書類のやり取りや事前説明が形式的なものではなく、内定者の不安を減らし、気持ちを固めるための大切なプロセスであることを、この章を通して初めて実感しました。
また、不採用者にも手紙を書くという対応にも、強く心を動かされました。採用だけでなく、その過程に関わったすべての人への向き合い方が、会社の姿勢として表れていくのだと感じました。内定後のフォローは単なる事務作業ではなく、会社の信頼を積み上げる重要な工程なのだと、しっかり理解できた気がします。
採用は運ではなく戦略だと考えが変わった
これまで私は、採用にはどうしても「運」の要素があると思っていました。良い人が来るかどうかは、タイミングや偶然に左右される部分が大きい、と。けれども本書を最初から最後まで読み通して、その考え方が大きく揺らぎました。採用活動は、環境の整備、コストの考え方、価値観の共有といった複数の視点を積み重ねることで、再現性のあるものに近づいていくのだと感じたからです。
第1章で示されている「中小企業だからこそできる強み」や、第2章の求人設計、第3章の面接、第4章の内定後フォロー、第5章の定着までの流れが、一冊の中で一本の線としてつながっている構成を見たとき、採用とは場当たり的に行うものではなく、段階ごとに設計すべきプロセスなのだと、自然と理解することができました。
本気で採用に向き合うなら、思いつきではなく、順序立てて積み上げていく必要があるという考え方は、非常に現実的で説得力がありました。この本を読んでから、採用を「当たり外れの世界」ではなく、「積み重ねの結果」として捉え直せるようになった気がしています。
特典シートがそのまま社内ツールとして使える
本書の読者特典については、正直なところ「おまけ」程度に考えていました。しかし実際に内容を見ると、その認識は大きく変わりました。面接時の態度チェックシート、面接の流れや質問のテンプレート、身元保証人へのお礼文、不採用者への手紙の文例、持病の申告書まで、実務に直結する書式が一式そろっている点に、著者の実務家としての姿勢を強く感じました。
これらの特典は、単なる参考資料ではなく、すぐに現場で使える実践的なツールとして設計されている印象を受けました。採用に不慣れな人ほど、こうした「形」があるだけで、行動のハードルは大きく下がるのだと思います。本編の内容と連動しているため、なぜこの書式が必要なのかという意味まで理解できる点も、非常に親切だと感じました。
採用業務は、考え方と行動の両方がそろって初めて前に進むのだと、この特典を通じても強く実感しました。読んで終わりではなく、「そのまま使える形」で差し出してくれている点に、この本の実務書としての価値を感じています。
まとめ

本記事では、採用に悩む中小企業の実情と向き合いながら、書籍をベースに採用改善のヒントを整理してきました。
最後に、これまでの内容を読みやすく振り返るために、以下のポイントごとにまとめて紹介します。ブログ記事の締めくくりとして、これらを踏まえつつ、ぜひ自社での実践につなげてみてください。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
それぞれ詳しく見ていきましょう。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、本書を手に取ることで得られる代表的な利点を整理してみましょう。
採用がうまくいかない本当の原因が構造的に理解できる
多くの企業が「応募が来ない」「来ても良い人がいない」と悩んでいますが、本書ではその原因を単なる景気や人手不足の問題として片づけていません。業界のネガティブな情報が簡単に検索できる時代背景、求職者の不安心理、独立志向の高まりといった外部環境と、企業側の発信や採用姿勢のズレを重ね合わせて、採用不振の構造を丁寧に説明しています。そのため、表面的な対策ではなく、「なぜ今のやり方では成果が出ないのか」が腑に落ちる形で理解できるようになります。
求人・面接・定着までを一貫して見直せるようになる
本書の大きな特徴は、採用活動を「求人を出すところ」だけで終わらせていない点にあります。求人原稿の作成、媒体の使い分け、面接での見極め、内定後のフォロー、入社後の定着支援までを一連の流れとして捉え、それぞれの局面で何を意識すべきかが具体的に示されています。そのため、「応募は来たがミスマッチだった」「内定を出したのに辞退された」「すぐに辞めてしまった」といったバラバラな課題が、一本の線として整理され、根本から改善できる視点が身につきます。
採用担当がいなくても実務を進められる再現性が身につく
中小企業では、社長や現場の管理職が採用を兼務しているケースがほとんどです。本書では、専任の採用担当者がいない前提で、どうすれば採用活動を無理なく回せるのかが具体的に解説されています。面接の流れ、質問の考え方、見極めポイント、書類の整え方までが実務レベルで整理されているため、経験や勘に頼らず、誰が担当しても一定水準の採用ができる状態を目指せるようになります。属人性の高い採用業務を、会社の仕組みへと変えていける点も大きなメリットです。
法務・労務リスクを避けながら安心して採用できる
内定通知書、雇用契約書、誓約書、身元保証書、健康状態の確認など、本書では入社直前に必要な手続きについても丁寧に触れられています。これらは単なる事務作業ではなく、後々のトラブルを防ぐための重要な“予防策”でもあります。社会保険労務士として多くの企業支援を行ってきた著者ならではの視点で、採用時に起こりがちな法的・労務的なリスクを避けながら、安全に人を迎え入れるための実務知識が自然と身につく構成になっています。
採用に対する不安や苦手意識が大きく軽減される
採用に苦手意識を持つ経営者や管理職は非常に多く、「人を見る自信がない」「面接が怖い」と感じたまま担当しているケースも少なくありません。本書は、そうした心理的な不安にも寄り添いながら、応募者を見るポイントや質問の組み立て方を具体的に示しています。そのため、採用を“運任せの作業”ではなく、“設計できる業務”として捉え直すことができ、自信を持って応募者と向き合えるようになります。結果として、採用に振り回される状態から、主導権を持って進められる状態へと意識が変わっていきます。
読後の次のステップ
本書は読むだけでも採用に対する見方が大きく変わりますが、真の価値は「読んだ後に何を行動に移すか」で決まります。知識を得ただけでは採用は改善せず、実務に落とし込んで初めて成果につながります。
ここでは、本書を読み終えた直後から取り組むべき、現実的かつ効果の高い次のステップを段階的に紹介していきます。
step
1自社の採用活動を“現状棚卸し”から見直す
読後にまず取り組むべき最初の一歩は、現在の採用活動がどの段階で止まっているのかを冷静に整理することです。求人を出しているのに応募が来ないのか、面接までは進むが内定につながらないのか、入社後に定着しないのかによって、取り組むべき改善点は大きく変わります。本書で示されている各章の内容を照らし合わせながら、今の自社がどの位置にあるのかを明確にすることで、やるべき行動に優先順位が生まれます。
step
2求人情報と労働環境の“ズレ”を一つずつ修正する
次に取り組むべきなのは、求人情報に書いてある内容と、実際の職場環境との間にズレがないかを確認することです。給与、労働時間、休日、作業環境、人間関係といった要素は、すべて応募や定着に直結します。求職者は、入社後の安心感が持てない環境には応募しませんし、予想と現実のギャップが大きければ早期離職につながります。いきなりすべてを完璧に整えようとせず、現実的に改善できるところから少しずつ調整していくことが重要になります。
step
3面接のやり方を“選ぶ側”ではなく“見抜く側”へ切り替える
読後の次の行動として大切なのは、面接に対する考え方を見直すことです。これまで「人が足りないから誰でもいい」「感じが良ければ採用しよう」といった判断をしてきた場合、その姿勢そのものがミスマッチの原因になっている可能性があります。本書で示されている履歴書確認の視点、ポータブルスキルの見方、質問の投げ方を取り入れることで、表面的な印象ではなく、実務に耐えられる人材を見抜く面接へと転換することができます。
step
4内定後・入社後のフォロー体制を整える
読後にぜひ取り組んでほしいのが、内定後から入社後にかけてのフォロー体制の見直しです。多くの企業は「採用できた時点」で安心してしまいますが、本書が強調しているのは「定着して初めて採用が成功する」という考え方です。雇用契約の締結、入社前面談、初日の対応、価値観のすり合わせ、定期的な面談など、入社後にどれだけ安心感を与えられるかが、早期離職を防ぐ最大のポイントになります。ここを整えることで、採用コストの無駄も大きく減少していきます。
step
5採用を「一度きりの作業」から「継続業務」へ変える
最後のステップとして意識したいのが、採用を単発のイベントではなく、継続的に改善する業務へと位置づけ直すことです。本書に書かれている取り組みは、一度実施して終わりではなく、定期的な見直しによって効果が積み上がっていきます。採用市場や求職者の価値観は常に変化していくため、会社側もそれに合わせて微調整を加え続ける必要があります。この意識を持てるようになること自体が、本書を読んだ後に得られる大きな成長の一つです。
総括
『採用がうまくいく会社がやっていること』は、「人が集まらない」「採っても定着しない」という中小企業が直面しやすい悩みに対して、精神論ではなく、現場で実行できる具体策を積み重ねて示してくれる一冊です。ネットによる情報の可視化、独立志向の高まり、大企業による人材獲得競争といった厳しい時代背景を真正面から受け止めたうえで、それでも中小企業にできることは数多く残されているという現実的な希望を提示しています。
本書が優れているのは、採用を「求人を出して終わり」の作業ではなく、「募集・面接・内定・入社・定着」までを一つの流れとして捉え直している点にあります。どこか一つでも手を抜けば、そのしわ寄せは必ず別の段階に現れるという考え方が一貫しており、採用活動を部分最適ではなく全体最適で見直す視点が自然と身につく構成になっています。
また、専任の採用担当者がいない中小企業でも実践できる内容に絞られている点も、本書の大きな価値です。高額な広告や人材紹介に依存しなくても、環境の整え方や人との向き合い方を少しずつ修正することで、応募の質も定着率も変えていけるという現実的な道筋が示されています。採用が「特別な会社だけが成功するものではない」と実感できる点は、多くの経営者や管理職にとって大きな安心材料になるはずです。
採用の悩みは、経営課題の中でも特に孤独になりやすい問題です。
本書は、その孤独な模索に対して、「正しい方向に努力すれば、必ず少しずつ好転していく」という確かな手応えを与えてくれます。
人材に悩むすべての中小企業にとって、現状を立て直すための実践的な指針となる一冊であるといえるでしょう。
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