
採用活動は、多くの企業にとって避けて通れない重要課題です。
どれほど優れた戦略や技術があっても、現場で活躍する人材がいなければ成果にはつながりません。
しかし現実には、「応募者が集まらない」「面接で見抜けない」「採用しても定着しない」といった悩みが後を絶ちません。
そんな中、本書『改訂版 良い人材を見抜く採用面接ポイント』は、10年にわたり支持され続けてきた“採用の実務書”を、最新の採用環境に合わせてアップデートした一冊です。
本書では、著者が20年間で1万人以上の面接に携わった経験をもとに、応募者の本質を見抜くための考え方や技術を体系的に解説しています。
特に、志望動機や自己PRなど、表面的な言葉に左右されず、その背景にある価値観や行動特性を読み解くための深掘りの仕方は、多くの採用担当者がつまずきやすいポイントを丁寧にカバーしています。
また今回は、オンライン面接やAI面接、WEB履歴書など、現代特有の選考環境に対応した内容が盛り込まれ、これからの採用現場に欠かせない視点も追加されています。
さらに本書の特徴は「選考の技術」だけではなく、「応募者から選ばれる企業になるための視点」が示されている点です。
良い人材ほど複数の企業を比較し、自分の未来を託せる組織かどうか厳しく見極めています。
だからこそ企業側も、自社の魅力を伝える力や、内定後のフォロー、新入社員を戦力化する仕組みが欠かせません。
本書を読むことで、採用は“点”ではなく“線”として捉えるべきだという視点が自然と身につきます。
採用に関わるすべての人にとって、実務で直ちに役立つ一冊といえるでしょう。
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書籍『改訂版 良い人材を見抜く採用面接ポイント』の書評

採用の現場では、「人を見抜く難しさ」に多くの企業が直面しています。応募者は面接の前に十分な準備をしており、自分を良く見せる“面接用の答え”を持って臨んできます。一方で企業には時間も人員も限りがあるため、応募者と話せるのは多くて数十分。この短い時間で「自社で活躍するのは誰か」を見抜くことは簡単ではありません。
そんな現場のリアルな悩みに向き合い、採用担当者の“見る目”を磨くための技術を、丁寧かつ体系的に解説しているのが谷所健一郎氏の『改訂版 良い人材を見抜く採用面接ポイント』です。初版から10年以上が経ち、オンライン面接やWEB履歴書、AI面接といった採用手法の変化にも対応すべく刷新された本書は、人事初心者から現場の面接官、企業経営者まで幅広く役立つ「採用実務の教科書」といえます。
ここでは本書を理解するために押さえるべき4つの視点を、以下の構成で紹介していきます。
- 著者:谷所 健一郎のプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
- 人気の理由と魅力
これらを踏まえると、「なぜこの本が長く読み継がれているのか」「ほかの採用本とどこが違うのか」が自然に見えてきます。
著者:谷所 健一郎のプロフィール
谷所健一郎氏は、長年にわたり「人材」に向き合い続けてきた、日本でも数少ない“採用とキャリアの両側面に精通した実務家”です。人材ビジネスの世界には、コンサルタントや評論家のように理論を語る人は多く存在しますが、谷所氏の特徴は、20年以上という時間をかけて、実際の応募者と企業に向き合いながら経験を積み上げてきた点にあります。これは、人の内面や行動特性を見抜くには非常に重要で、理論だけでは絶対に到達できない深い洞察力を生み出します。
学生時代から国際的な環境で学び、大学卒業後は大手企業へ入社。その後、複数の企業で営業・企画・人事と幅広い領域の仕事に取り組みました。特に人事部門では、新卒・中途採用の両方に深く携わり、最終的には人事責任者として採用戦略の立案から面接官育成まで担う立場に就いています。採用現場では、のべ1万人以上の応募者を面接し、何百回という企業説明会や選考会を運営してきました。この経験によって、単に「人を評価する」だけではなく、応募者の心理の変化、企業の採用力の弱点、採用ミスマッチが生まれる構造など、採用全体を俯瞰できる人材へと成長していきました。
さらに重要なのは、企業側だけではなく、求職者側支援にも長年関わってきた点です。求職者に面接指導を行ったり、キャリア相談に乗ったり、転職活動をサポートしたりするなかで、応募者がどんな準備をし、どのような“面接の演出”を行うのかを深く理解するようになりました。つまり谷所氏は、企業の採用担当として「見極める側」を長く経験し、キャリア指導者として「評価される側」も熟知している、非常に珍しいタイプの専門家なのです。両者を知ることで、人材の本質的な姿を見極めるために必要な視点が洗練されていきました。
独立後は、自身の会社を設立し、企業の採用コンサルティング、面接官トレーニング、評価制度の設計、キャリア支援、人材育成など、企業の組織力向上に関わる幅広い業務を行っています。また、多くの著書を執筆し、テレビ・ラジオなどのメディア出演、自治体や企業での講演も積極的に行ってきました。こうした活動のすべてが、「企業の採用を成功させ、求職者の未来をより良くする」という一貫した目的のもとに展開されています。
採用における専門家の成熟度は「観察力」「質問力」「構造化された判断基準」の3つで決まります。
谷所氏はこの3要素をすべて高い水準で備えており、特に“行動特性(コンピテンシー)の見抜き方”に関する洞察は、長年の実務経験がある人にしか身につかない領域です。
本書の要約
『改訂版 良い人材を見抜く採用面接ポイント』は、一見すると「面接テクニックを紹介する本」のように見えます。しかし実際に読み進めると、この本の本質はもっと広く深いものであり、採用活動全体を再設計するための包括的な実務書であることに気づきます。採用は面接だけではなく、採用体制の構築、応募者の集め方、書類の読み取り、面接官のスキル、オンライン面接への対応、内定辞退防止、入社後フォローまで、すべてのプロセスが連動して成功につながるものだからです。
本書はこの“採用の全体像”を9章構成で体系的に整理しています。冒頭の章では、採用の成功は「採用体制そのものの質」と密接につながっているという、もっとも重要な前提から話が始まります。どんなに優れた面接官がいても、そもそも採用基準が不明確であったり、採用担当同士で判断基準がバラバラだったりすると、採用ミスマッチは必ず発生します。採用活動の成否は「個人のスキル」ではなく「組織の仕組み」で決まるという考え方が軸にあります。
そのうえで、応募書類の見方については、履歴書や職務経歴書の項目ごとに、応募者がどんな意図を持って記入しているか、どこに矛盾が現れやすいか、どんな部分が“違和感のサイン”になるのかなどが、非常に細かいレベルで解説されています。書類選考は単なる情報確認ではなく、面接で深掘りすべきポイントを抽出する重要なプロセスであり、書類に現れる小さなミスや表現は、応募者の「性格」「誠実性」「事前準備の度合い」「仕事の進め方」などの本質につながっているという視点が示されます。
面接技術の章では、質問の作り方、信頼関係の築き方、応募者の発言の矛盾の見つけ方、深掘り質問の方法などが実例を交えて詳述されています。特に、「回答そのもの」ではなく「どうやってその結果に至ったか」という“プロセス”に焦点を当てる考え方は、本書の重要な特徴です。結果だけを見ると「優秀そう」に見えても、実際には周囲の助けのおかげだったり、偶然の要素が強かったりすることがあるため、プロセスの説明能力こそが応募者の実力を示す指標になるというわけです。
また、改訂版ではオンライン面接やAI面接にも多くのページが割かれています。これらの新しい手法では、対面で自然に拾える情報が大幅に減るため、観察ポイントを変える必要があります。著者はオンライン特有の「反応速度」「声の揺れ」「視線の動き」などの観点を示し、オンライン環境でも応募者の本質を的確に捉えるためのコツを提示しています。
本書の構成は“採用の確率論モデル”の考え方と一致しています。
採用は1つの要素で決まるのではなく、候補者の母集団形成 → 書類選考 → 面接 → 内定 → 入社 → 定着の各プロセスの精度の総和で決まるため、本書のように全工程を網羅する実務書は極めて価値が高いものです。
本書の目的
本書の目的は「良い人材を確実に見抜き、自社にマッチする人物を採用することで、企業の未来を守ること」に集約されます。採用活動は成果主義や数字管理と異なり、短期的な“成果”が見えにくい領域です。応募者が入社してすぐに結果を出すとは限らず、数ヶ月から数年経ってからようやく良し悪しが見えてくることも珍しくありません。つまり、採用は常に“未来への投資”であり、同時に“未来のリスク管理”でもあります。
著者はこの観点を非常に重視しており、採用ミスマッチが組織に与える影響を率直に語っています。採用に妥協すると、短期的には「人数が確保できた」という表面的な安心を得られるかもしれません。しかし長期的には、教育コストの浪費、職場の不均衡、不満の連鎖、離職率の上昇、残業増加、モチベーション低下など、組織全体に深刻な影響をもたらします。最終的には事業の継続そのものが脅かされるケースさえあります。
だからこそ本書では、応募者の回答をそのまま信じるのではなく、「なぜそうしたのか」「具体的にどう行動したのか」「その結果何が起きたのか」という“行動レベルの事実”を深掘りすることが重要だと説いています。このアプローチは、一般的に“行動面接”と呼ばれる手法と一致しており、応募者の本質を最も正確に捉える方法とされています。テンプレート化された志望動機や、ネットで調べた模範回答といった“飾られた情報”ではなく、その人の行動習慣や価値観が見えるからです。
さらに著者は、採用を成功させるには「選ぶ力」だけでは不十分であり、「選ばれる力」も必要だと指摘します。優秀な人材は複数の企業から内定を得る可能性が高く、必ずしも自社を選ぶとは限りません。企業は応募者から“選ばれる存在”にならなければ、どんなに面接技術を磨いても、魅力的な人材に出会うことすらできません。この“相互選択”の視点を持つことが、現代の採用において非常に重要なポイントとなっています。
現代の採用では“Employer Branding(企業としての魅力発信)”の重要性が高まっています。
本書の目的の本質は、採用のテクニックだけでなく、この「企業が選ばれる力」を高める視点を同時に育てる点にあります。
人気の理由と魅力
この本が10年以上にわたり読み継がれ、さらに改訂版として新しい価値を獲得している理由は、多くの採用本とは一線を画す“実践性”と“再現性”にあります。採用本には、理論を語るものや、抽象的な精神論に偏ったものも少なくありません。しかし本書は、現場で即実行できる具体的なポイントと、採用活動の本質に関わる深い洞察が両立している点が大きな特徴です。
まず、読者から高く評価されているのは、具体的な事例と観察ポイントの豊富さです。履歴書や職務経歴書の細部に隠れた応募者の“性格”や“仕事の姿勢”を読み取る方法は、経験豊富な人事担当者でない限り気づけないレベルの情報です。写真の印象、文字の丁寧さ、文章の癖、矛盾の出やすい箇所など、応募書類には驚くほど多くのサインが潜んでいます。これらを体系的に読み取れるようになることで、書類選考の精度は大幅に向上します。
また、面接テクニックの章では、応募者との信頼関係の作り方や、質問に対する深掘りの仕方、回答の矛盾の見抜き方など、実務で直ちに使える知識が整理されています。特に、「定番質問は応募者が回答を用意しすぎてしまうため、本質を見抜けない」という指摘は、採用現場でよく発生する失敗を正確に突いています。本書は、その代替となる質問や、質問を変形して本音にアクセスする方法まで丁寧に説明しているため、面接官のレベルが一気に引き上がる内容になっています。
さらに、改訂版で大きく強化されたオンライン面接・AI面接の章も魅力の一つです。コロナ以降、オンライン選考が当たり前になりましたが、オンラインには対面にない難しさが存在します。応募者の全身の動作を観察できなかったり、雑談の自然な雰囲気が生まれにくかったり、情報量がどうしても減ってしまいます。著者はこうしたオンライン特有の欠点を補うために、観察すべきポイントを明確に提示しており、多くの企業が感じていた“オンライン面接の不安”を解消する内容になっています。
本書の魅力を支えているもう一つの要素は、採用後のフォローまで視野に入れている点です。採用本のほとんどは内定までのプロセスしか扱いませんが、本書は内定辞退の心理的背景や、新入社員を戦力化するプロセスにも踏み込んでいます。採用は入口に過ぎず、目的は“活躍できる人材を組織に迎え入れ、定着させること”だからです。この“採用のゴール”まできちんと扱っているため、読者は採用活動全体を俯瞰する視点を手に入れることができます。
そのうえで、付録として用意された現状確認シート、面接チェックシート、質問一覧などのツールは、即座に現場で活用できる実務的な価値を持っています。特に中小企業では採用の仕組みが整っていない場合が多く、面接官が属人的な判断で採用を決めてしまいがちです。本書の付録は、こうした“属人化のリスク”を減らし、誰が面接しても一定の水準で評価できる体制をつくる助けとなります。
本書のアプローチは“構造化面接”と“コンピテンシー面接”の2つの考え方を土台にしています。
これは世界的にも最も信頼性が高い面接手法とされ、採用の質を安定させたい企業が導入するべき王道の方法です。
本書がプロの現場で支持される理由は、この科学的な手法を分かりやすい言葉で提供している点にあります。
本の内容(目次)

本書では、採用という一連の活動を、入り口から出口まで順序立てて理解できるように構成されています。各パートには明確な役割があり、採用の仕組みを整理しながら、自社に合う人材をどう見つけるかを“段階的に習得できる仕掛け”になっています。そのため、読み進めるだけで、どの場面で何を確認し、どのように判断すべきかが自然とつかめるようになっています。
内容は次のように章ごとに整理されており、全体像をつかむことで本書の狙いがより理解しやすくなります。
- 第1章 採用体制を検証する
- 第2章 応募書類の見極め方
- 第3章 面接の基本技術
- 第4章 オンライン面接を活用する
- 第5章 行動・態度から本質を見抜く
- 第6章 定番質問の見極めポイント
- 第7章 「能力・適性」を見抜く質問
- 第8章 内定辞退を防ぐ方法
- 第9章 新入社員を戦力にする方法
- 付録(現状確認シート/面接見極めポイント/面接チェックシート/質問一覧ほか)
それぞれのパートは、採用活動における“役割”が異なります。最初の部分では、組織として何を確認し、どのように準備すべきかが整理されています。次の段階では、応募者が提出する情報から判断する視点や、対話の中で見極めるための技術が並びます。その後のセクションでは、現代の採用環境に欠かせないオンライン形式への対応や、実際の行動やしぐさから読み取るための観察の視点が加わります。
さらに後半では、質問の組み立て方や、職種別の能力評価の観点、辞退を防ぐためのフォロー体制、新入社員を長期的に育成する方法まで扱われています。読み終えるころには、採用は面接だけで完結するものではなく、準備・対話・判断・フォローが一つの流れとしてつながっていることが理解できる構成になっています。
必要に応じて現場で使えるチェックシートや質問リストも用意されており、“読んで終わり”ではなく、すぐに実務へ反映できるよう工夫されている点も本書の大きな特徴です。
第1章 採用体制を検証する
採用の成功は、求人広告や面接テクニックよりも前に、“受け皿の構造”が整っているかどうかで大きく変わります。この章で強調されているのは、採用は「採って終わり」ではなく、企業が求職者へ向けて発信するメッセージ、採用プロセスの一貫性、求職者の特徴理解、そして自社に合う人材像の定義といった“根本構造”から見直す必要があるという点です。採用がうまくいかない企業の多くは、目に見える部分だけを改善しようとしますが、本書ではまず“採用体質の棚卸し”こそがスタートラインだと示しています。
また、学歴や企業名だけで候補者を判断しないこと、自社のコンピテンシー(行動特性)を把握すること、競合に勝てる強みを整理することなど、求職者とのマッチングを機能させるための基盤作りが細かく解説されています。加えて、応募が来るのを待つだけではなく、カジュアル面談を取り入れるなど積極的に候補者と接点を作る“攻めの採用”の重要性にも触れられています。これは、良い人材ほど慎重に企業を選ぶ現代の採用環境では必要不可欠な視点です。
さらに、採用基準のすり合わせや、採用してよい人・控えるべき人の整理など、採用担当者間の“意思統一”にも重点が置かれています。採用の判断基準が人によって異なると評価がぶれ、ミスマッチの原因になります。採用体制そのものを見直すことで、初めて“正しい見極め”が可能になる──本章はそれを明確に示したパートです。
採用体制は「面接以前の品質」を左右する最重要領域です。
土台が整っていない採用は、どれだけ優れた面接でも成功しません。
第2章 応募書類の見極め方
第2章では、応募書類を単なる情報の羅列ではなく、“行動特性の痕跡”として読み解く視点が示されています。履歴書では、住所欄の表記の丁寧さ、入学・卒業年度の整合性、写真の表情や眼力、志望動機の文章が企業に向けて書かれているか、など細かな点に応募者の性格や仕事姿勢が表れます。特に「使い回しの履歴書」や「オリジナル書式で整えた履歴書」は、それぞれ異なる意図を読み取る必要があると指摘されています。
エントリーシートでは、新卒特有の特徴として“自己PRが曖昧”“アルバイト経験のみを強調”“企業研究の浅さ”“思いだけが強く実態が伴っていない”など、準備不足あるいは理解不足が見抜ける要素が網羅されています。ここでは“なりたい自分”だけが語られ、実行力や行動の証拠がない場合、将来的なミスマッチにつながる可能性があることが具体的に説明されています。
職務経歴書については、文章量や構造から読み取れる“論理力”“仕事の一貫性”“経験の活かし方の視点”などが重要視されます。必要最低限しか書かれていない場合や、逆に長文で読みづらい場合、また派遣経験がひとまとめにされている場合など、応募者のキャリア理解や誠実さが露わになります。WEB履歴書では、入力の丁寧さ、文字数、レイアウトの工夫、入社可能時期など、オンライン特有の判断材料も記載されています。書類は“姿勢”が最も現れる場所であり、本章はその見抜き方を明快に整理しています。
書類選考は“最初の面接”です。
文面・構成・整合性のすべてが、応募者の行動特性を静かに語っています。
第3章 面接の基本技術
この章は、面接を構造的に理解し、正しく運用するための“基礎力の全体図”を提示しています。まず面接官の心得として、応募者の視点を理解し、上から目線にならず、対話を通じて信頼関係を構築する姿勢が重視されています。面接は評価の場であると同時に、企業が候補者から評価される場でもあるため、態度や雰囲気が結果に大きく影響することが示されています。
また、面接で重要な3つの見極めポイントや、面接官が備えるべき3つのスキル、確認すべき5つの質問など、面接の“型”が具体的に紹介されます。特に重要なのは、応募者の回答に対して「なぜ?」を丁寧に重ね、成果ではなくプロセスから行動特性を読み解くことです。応募者が準備した成功体験をそのまま受け取るのではなく、実際にその場で何を考え、どのように判断し、どう行動したのかを掘り下げることで、本質的な評価が可能になります。
さらに、マズローの欲求段階説やEQなど心理学的な要素を応用し、応募者の価値観やストレス耐性、感情の扱い方を判断する技術も扱われています。適性検査の役割や、アルバイト・パートの面接の違い、嘘を見抜く視点など、多岐にわたる面接実務の基礎が体系的にまとめられています。本章は面接官の“共通言語”を作り、属人化を防ぐための核となる内容です。
面接は“質問の場”ではなく、“行動の再現性を見抜く場”です。
深掘りの方向性が評価の精度を決めます。
第4章 オンライン面接を活用する
オンライン面接が一般化した現代において、本章は“画面越しの選考で何を失い、何を補うべきか”を明確に整理したパートです。まずオンライン特有の事前準備として、通信環境の確認、資料共有の方法、応募者との事前アナウンスなど、安定した面接のための基本が網羅されています。段取りが悪いと応募者の不安を増幅させ、企業の印象にも直結するため、対面以上に準備の精度が求められます。
面接の流れや、オンラインのメリット・デメリットも丁寧に説明されています。メリットとしては移動の負担が少ない、参加のハードルが下がるなどがありますが、デメリットとして非言語情報の欠落が大きく、雰囲気・表情・姿勢の変化などが読み取りにくくなることが指摘されています。そのため、オンラインでは言葉の一貫性、声の調子、思考の整理度など“画面越しでも判断できる情報”に注目する必要があります。
さらに、オンライン面接でも応募者の本質を引き出すための質問方法が紹介されており、対面とは異なる“距離感の作り方”が重要になります。また、AI面接についても取り上げられ、精度の向上が進む中でも微妙なニュアンスや社風との相性など、機械が苦手とする部分は必ず人間が判断すべきであると解説されています。
オンライン面接は“情報量が半減する選考”です。
だからこそ意図的な観察と質問が対面以上に重要になります。
第5章 行動・態度から本質を見抜く
この章は、応募者が最も“素”を見せるポイントを扱っており、行動観察の重要性を丁寧に解説しています。応募の段階から来社までの一連の動作には、無意識の習慣や性格が表れます。たとえば、メールの書き方、返信のスピード、来社時の表情、受付での振る舞いなどは、面接で見せる“準備された姿”とは異なり、応募者の自然な行動特性を捉える絶好の機会です。
控え室の態度や筆記試験の消しゴムの使い方、グループワークの立ち回り、挨拶・語調・視線の使い方など、小さな動作の中に“協調性”“丁寧さ”“主体性”“対人姿勢”といった性質が表れます。これらは嘘をつくことが難しいため、面接の会話よりも正確な情報を提供してくれることがあります。特に新卒採用では経験よりも行動特性が将来の成長を決めるため、この章の内容は極めて実務的です。
退室時の動作までを含めて観察することで、応募者がどのような価値観を持ち、どのような働き方をする傾向があるのかを立体的に理解できます。第一印象の重要性について触れたコラムもあり、短い時間でも観察すべきポイントが明確に整理されています。行動や態度は必ず“その人らしさ”を反映しており、本章はその見方を具体的に教えてくれる章です。
行動特性は“無意識の履歴書”です。
口で言う長所より、態度や動作に本当の姿が現れます。
第6章 定番質問の見極めポイント
本章では、多くの企業で使われている質問が、実は応募者の本質を捉えきれないことがある点を指摘しています。志望動機、自己PR、長所短所といった項目は、求職者が事前に準備する“定型回答”になりやすく、表面的な言葉だけ追っても実像がつかみにくい場面が少なくありません。特に「学生時代に頑張ったこと」「退職理由」などは、応募者が“企業が喜びそうな答え”を選ぶ傾向があるため、深掘りが必須となります。
そこで本章では、回答の裏側にある「考え方の癖」「価値観」「判断基準」を読み取るための視点を示しています。同じ質問でも、聞き方や追い方次第で得られる情報の質は大きく変わります。例えば長所・短所の項目では、単語そのものではなく“行動としてどう現れるか”を確認することで、実践での再現性を見抜きやすくなります。つまり、言葉の意味ではなく、行動の証拠が重要という考え方です。
また、よくある質問をただ使うのではなく、意図を変形させることで本質に迫る方法が紹介されています。たとえば「志望動機」を「当社でなければいけない理由」に置き換えることで、応募者の企業理解や意思の強さが明確になります。本章は、質問そのものではなく“質問の使い方”が選考の質を左右することを理解する上で非常に重要な部分です。
定番質問は“構造化面接”の弱点にもつながります。
構造化とは評価基準を統一する手法ですが、同じ質問に慣れた応募者は回答を最適化しやすくなるため、深掘りの設計が評価精度の鍵になります。
第7章 「能力・適性」を見抜く質問
第7章は、本書の中でも最も実務的な内容であり、職種別に“何をどのように聞けば能力が見抜けるのか”を体系化しています。事務職・営業職・販売職・技術職・製造職・管理職といった幅広い業務に対し、求められる職務能力を判断するための質問例が具体的に示されています。これにより、面接官の経験に左右されない“構造的な評価”が可能になります。
また、この章では想定外の質問を活用して応募者の思考パターンや柔軟性を判断する方法も取り上げられています。応募者は通常、準備した話をスムーズに語ることができますが、予期しない質問では瞬発的な思考力や価値観が露わになります。さらに、コミュニケーション能力、組織適応力、責任感、論理的思考力、ストレス耐性といった“共通して必要な能力”を見抜く視点も整理されています。
未経験職種への挑戦意欲を確かめる質問や、聞きにくい内容をどう扱うか、応募者から逆に質問された内容からどのように“温度感”を読み取るかなど、面接官が頭を悩ませる部分にも言及されています。さらに、コラムでは“社員を巻き込む”重要性が語られ、現場の意見を取り入れることで採用精度が高まることが示されています。本章は、実践でそのまま使える“採用の武器”が詰まった内容です。
職種別質問は“汎用評価”を避けるための必須ツールです。
業務特性に合わせた質問が、能力の再現性を正確に見抜きます。
第8章 内定辞退を防ぐ方法
この章は、採用の最終段階に潜む大きな課題“辞退”を防ぐために必要な視点がまとめられています。内定後の応募者は、企業への期待と不安が入り混じった状態にあり、その心理が丁寧に説明されています。辞退が起きる背景には、採用段階でのミスマッチや、企業側の説明不足、温度差の見落としなどがあり、応募者が「この会社に人生を預けても大丈夫か」と判断するプロセスが重視されています。
新卒採用では特にフォローの重要性が高く、自社理解を深める機会の提供や不安の解消が不可欠とされています。中途採用では、新しい環境に飛び込む不安や、前職との比較が辞退の要因になるため、仕事内容の具体的な説明、入社後のサポート、関係構築などが辞退予防に効果的だと説明されています。いずれも“選ばれる企業”としての視点が求められています。
さらに、採用段階で応募者が見せた言動に“偽り”がないかをチェックする重要性にも触れられています。もし採用側の説明に誤解を生む部分があれば、それも辞退や早期離職につながります。コラムでは内定辞退への企業の向き合い方にも言及され、辞退そのものを責めるのではなく“改善のヒント”として捉える姿勢が推奨されています。
内定辞退は“入社前の離職”です。
心理的フォローと情報の透明性が、辞退率を大きく左右します。
第9章 新入社員を戦力にする方法
第9章は、採用の最終目的である“早期戦力化”に焦点を当てています。良い人材を採用しても、育て方が適切でなければ戦力化せず離職のリスクが高まります。そのため、入社後のフォロー体制を整えることが最も効率的な投資であると説明されています。特にブラザー・シスター制度のような“伴走型の支援”は、新人の心理的安全性を保つ上で非常に効果的です。
また、新入社員に対して月1回の報告書を提出させる仕組みは、成長の進捗を可視化し、サポートすべきポイントを把握しやすくします。これは“育成の見える化”を実現する方法であり、本人の振り返りにもつながるため、習慣化すると大きな成長効果を生みます。キャリアシートの活用は、将来の方向性を明確にし、本人の意思と企業の育成方針を一致させるために役立ちます。
本章は、新入社員を育てることが組織全体の“強さ”につながるという視点を一貫して提示しています。採用と育成は切り離されたプロセスではなく、一連の流れであるという本書のメッセージを象徴する章と言えるでしょう。
早期戦力化は“仕組みの質”で決まります。
属人的な育成より、体系化されたフォローが離職率と成長速度を左右します。
付録
付録は、実務で即使えるツールが豊富にまとめられた“実践編”とも言えるパートです。現状確認シートは採用体制の弱点を洗い出すためのチェックリストであり、企業がどこでつまずいているのかを体系的に把握できます。採用活動の改善は、問題の正確な把握から始まるため、このシートの存在は非常に大きいと言えます。
面接見極めポイントやチェックシート(新卒・中途)は、面接官の判断基準を標準化し、属人化を防ぐための仕組みです。特に面接初心者や現場の管理職が面接を担当する場合、基準が曖昧だと評価がぶれやすいため、こうしたツールがあるだけで採用精度は劇的に向上します。また、中途と新卒で見るべき要点が異なる点も丁寧に整理されています。
さらに、掲載されている質問一覧は、採用現場で“そのまま使える”価値の高い資料です。定番質問から能力・適性を見抜く質問、状況別・職種別の質問まで網羅されており、面接設計の効率化に貢献します。採用における準備作業を短縮しつつ、評価の質を高めるためのツール群として非常に実用的な内容です。
付録は“採用の教科書の実務キット”です。
理論だけでなく、現場の精度を上げる具体的な武器が揃っています。
対象読者

本書は、採用という高度な業務に関わる人々が、より深く、より正確に人材を判断できるように作られています。特定の職種だけでなく、組織全体の成果に直結する役割を持つ立場の人に向けた内容が幅広く揃っています。そのため、読者は自分自身の役割や課題に照らし合わせながら、必要な知識を段階的に取り入れられる構成です。
以下のように、主に次の立場の方々が本書の活用を想定されています。
- 人事・採用担当者
- 面接を担当する管理職・リーダー
- 採用に課題を抱える中小企業の経営者
- 採用精度を上げたい中小企業の人事部
- ミスマッチや離職に悩む組織・チーム運営者
これらの立場に共通するのは、「より良い人材と出会い、定着してもらうにはどうすべきか」という悩みです。
本書は、その悩みに体系的に答えるために作られており、応募書類の読み取り方から、面接の質問技術、行動観察の視点、オンライン選考のポイント、内定辞退を防ぐ施策まで網羅しています。
立場ごとに異なる課題を整理しつつ、採用活動全体をレベルアップさせたい人に役立つ一冊です。
人事・採用担当者
人事や採用を担当する立場の人にとって、本書は“採用の全工程をひとつの流れとして捉える手がかり”になります。書類選考、面接、オンライン対応、辞退防止、入社後フォロー――これらをすべて分断せず一貫した仕組みとして扱う視点が示されており、日々の業務に直結する知識が整理されています。特に書類の読み取り方や、言葉の裏にある意図を見抜く方法など、実務者が最も悩みやすいポイントが体系的にまとめられているため、判断の精度が大きく向上します。
また、面接技術に関する解説は“模擬的な理論”ではなく、著者が1万人以上を対面してきた中で蓄積した本物の知見です。応募者の準備された回答に惑わされず、深掘りすべきポイントを選び取るための質問の組み立て方、態度や言動から読み取る情報、フィット感を見抜く方法など、人事が日々求められる高度な判断力を補強する内容になっています。
採用担当者は「事実を見抜く力」と「違和感を評価する力」が求められます。
本書はその両方の基礎を明確に言語化しています。
面接を担当する管理職・リーダー
現場の管理職やリーダーが面接に参加する際、課題になりやすいのが「判断基準が人によってバラバラになること」です。本書では、採用基準を揃えるために必要な視点や、面接官同士の意思統一の重要性が丁寧に解説されており、属人的な判断を減らすための土台をつくる助けになります。とくに“成果ではなくプロセスを見る”という視点は、普段のマネジメント経験が選考の判断に無意識に影響しがちな管理職にこそ役立ちます。
さらに、応募者の緊張をほぐす声かけ、信頼関係の築き方、質問の変形による本音の引き出し方など、「現場ならではの受け答えが必要な場面」で使える実践的な技術が豊富に掲載されています。面接経験が少ない管理職でも、丁寧に手順を踏むことで一定の評価水準を保つことができるように設計されている点も大きな特徴です。
面接に参加する管理職は「評価者であり、将来の上司でもある」という二重の役割を持ちます。
本書はその視点を自然に育てる構成になっています。
採用に課題を抱える中小企業の経営者
中小企業の経営者にとって、採用ミスマッチは“経営そのものを揺るがす重大リスク”となります。本書では、採用が企業成長の根幹であること、妥協による採用が長期的に組織へ与える損失、そして良い人材を惹きつけるには企業側の魅力づくりが欠かせないことが、著者の経験に基づいて語られています。こうした視点は、日々経営判断を下す立場にとって非常に重要な指針になるはずです。
また、採用体制の見直し、求職者へのメッセージの出し方、他社との差別化、カジュアル面談など、限られたリソースの中でも実施できる具体的な取り組みが紹介されており、“仕組みの弱い企業でも再現できる”実務書としての価値を持っています。採用難の時代でも戦える企業体質をつくるための現実的な方法が詰まっています。
中小企業の採用は「母集団の量」よりも「仕組みの質」で決まります。
本書はその改善ポイントを網羅的に示しています。
採用精度を上げたい中小企業の人事部
規模の小さな企業ほど、採用プロセスが属人化しやすく、判断に一貫性が生まれにくい傾向があります。本書では、書類選考から面接、内定後のフォローまで統一した仕組みとして整えるための具体策が示されており、限られた人数で採用業務を担う人事部にとって、大きな支えとなる内容です。チェックシートや評価基準などの付録は、社内の基準統一に即効性をもたらします。
さらに、オンライン面接・AI面接という新しい選考方法への適応も詳しく説明されており、現代の採用環境に対応するための“抜け漏れのない準備”ができます。書類の読み取り方や質問設計のポイントも細かく整理されているため、経験の浅い担当者でも短期間で選考精度を高められます。
採用精度とは「判断の再現性」のことです。
本書は小規模組織でその再現性を高めるための土台づくりに特化しています。
ミスマッチや離職に悩む組織・チーム運営者
ミスマッチによる早期離職は、現場に最も大きな負担を与える問題です。本書はその原因が“採用段階での見極め不足”だけでなく、“応募者の理解不足”や“入社後の受け入れ体制の弱さ”にもあることを明らかにし、根本的な改善を促す内容になっています。チームを運営する立場から見ても、入社後の戦力化を見据えた採用の重要性が理解しやすくまとめられています。
また、第8章・第9章で語られる内定者フォローや新人の育成方法は、単なる採用テクニックにとどまらず、組織運営そのものに活かせる内容です。応募者の心理の変化や価値観の違いを踏まえたアプローチ方法が示されており、“採用=長期的な定着の起点”であることが自然と理解できます。人の入れ替わりに悩む現場にとって、問題の根源をつかむ上で有益な視点が得られます。
離職の多くは「採用段階の判断」と「受け入れ体制」の両方が原因です。
本書はその接続点にある課題を明確に示しています。
本の感想・レビュー

オンライン面接時代の“見抜く力”が身につく
オンライン面接に苦手意識があった私は、画面越しで応募者の雰囲気をつかみきれないことに不安を抱えていました。しかし、本書を読み進めるうちに、オンラインならではの観察ポイントや準備の整え方が丁寧に整理されていることに驚かされました。これまで曖昧だった自分の対応が、どこで改善できるのかがはっきり見えるようになりました。
特に、質問の組み立て方についての説明が印象に残りました。同じ問いでも、オンラインでは応募者の反応が画面上の情報に限られるため、質問の意図をより明確に伝える必要があるという視点は、これまで意識していなかった部分です。オンライン面接だからこそ必要な配慮や手順をきちんと理解できたことで、不安よりも自信が勝るようになりました。
応募書類の読み解き方が驚くほど具体的
応募書類を見ても、「これは良いのか悪いのか」が明確に判断できず、どこか感覚に頼ってしまうことが多くありました。そんな私にとって、本書で示される書類の見極めポイントは非常に実践的で、目の前の情報の捉え方を大きく変える内容でした。書かれている項目の細かな違いや記載の特徴にどんな意味があるのかが、具体的に説明されており、読みながら何度も深くうなずいてしまいました。
書類ごとに評価の視点が異なることを改めて理解できたことも大きな収穫でした。履歴書では応募者の基本的な姿勢が見え、エントリーシートでは思考の整理度や志望理由の正確さを把握でき、職務経歴書では経験の一貫性や自社との接点を確認できるといったように、それぞれの書類が持つ意味を再認識できました。今まで「書類は書類」とひとまとめにしていた自分の見方が、いかに浅かったのかを痛感しました。
読み終わったころには、書類選考が単なる事務作業ではなく、応募者を深く理解する入り口であることを強く実感しました。これまで見過ごしていたサインに気づけるようになり、面接に進んでからの質問の質も大きく変わりそうです。
面接官の基本姿勢が深く理解できる
面接官として経験を重ねてきたつもりでしたが、本書を読んで、自分の姿勢が思った以上に独りよがりだったのではないかと気づかされました。応募者との向き合い方や、面接官が持つべき心得が丁寧に整理されており、面接の技術以前に大切にすべきものが明確に示されています。読み進めながら、これまでの自分がいかに「評価する側」という意識だけで面接に臨んでいたかを反省しました。
特に、応募者の視点に立って対話を進めるという考え方は、私にとって大きな転換点でした。緊張しながら面接に臨む応募者に対し、必要以上に威圧的な雰囲気を与えてしまった経験があり、その原因が自分の姿勢にあったことを本書を通して理解しました。応募者との信頼関係を築く重要性が強調されている部分は、自分の面接スタイルを見直すきっかけとして非常に価値がありました。
また、回答の背景にあるプロセスに注目するべきという指摘も心に残りました。成果だけで判断してしまいがちな私にとって、その人の考え方や行動の根拠に視点を移すことは新鮮であり、採用の精度を高める上で欠かせない観点だと実感しました。
定番質問の「本質」が分かる
志望動機や自己PRなど、よくある質問は形式的になりがちで、応募者が準備してきた答えをそのまま受け取ってしまうことも多くありました。本書を読んで、その浅さに気づかされたのは自分自身です。どの質問にも固有の目的があり、答えの奥にある価値観や行動特性を読み取る必要があるという視点は、これまで私が見落としていたものでした。
特に、回答の内容そのものよりも「どう考え、どう行動してきたのか」を掘り下げる重要性が示されていた部分は印象的でした。私はどこか、応募者の答えの完成度で評価してしまう癖がありましたが、本書を通して、その姿勢が本質を取り逃がす危険性を理解しました。質問の意図を再構築し、応募者の経験に踏み込んでいく方法が明確に示されており、面接の進め方に新しい軸が生まれたように感じます。
職種別の質問例がそのまま使える
採用面接の準備で最も悩むのが「何を聞けば適性を判断できるのか」という点でしたが、本書を読み終えたとき、その悩みの大部分が解消されていました。職種ごとに必要な能力を見抜くための質問が整理されており、どれも具体的で、面接の場でそのまま使える内容になっています。幅広い職種に対応しているため、自社の採用に直結させやすい点がとても助かりました。
質問の羅列にとどまらず、その質問がどんな意図を持ち、どのような点を評価するのかが明確に示されていることで、面接の基準が安定します。私はこれまで質問の目的が曖昧なまま進めてしまう面接が少なくなく、応募者の答えをどう判断すればいいのか迷うこともありました。しかし、本書で示されている枠組みを知ったことで、評価の軸がブレない面接ができるという確かな手応えを感じています。
加えて、経験の浅い面接官でも一定のレベルで面接を実施できるようになる点にも価値を感じました。質問の意図が明確になれば、受け止める側の迷いも減り、応募者の強みや弱みをより適切に捉えられるようになります。本書は、採用活動の質を底上げする実務書として大きな力を持っていると実感しました。
AI面接との向き合い方が整理できる
AI面接の導入が広がり、自分の中でモヤモヤとした不安がありました。「どこまでAIに任せていいのか」「人の判断とどのように組み合わせるべきなのか」など、考えても答えが出ずに迷っていたのです。本書では、AI面接の精度が向上してきている現状をふまえつつ、人間が担うべき最終判断の重要性が明確に語られており、頭の中がすっと整理されました。技術への依存ではなく、役割を分けて活用する姿勢が必要だと理解でき、安心感が芽生えました。
特に心に残ったのは、AIでは読み取れない「微妙なニュアンス」や「組織との相性」を人間が捉えるべき領域として示していた点です。これを読んで、私はAI面接を脅威として見る必要はなく、むしろ人間の判断を補完する道具として向き合えばよいのだと前向きに考えられるようになりました。判断の軸をAIに奪われるのではなく、人間が最後に責任を持つという姿勢が、改めて大切だと感じました。
新人教育とのつながりがよく分かる
採用と新人教育は別ものだと思い込んでいた私は、本書を読み、新しい視点を得ました。採用段階でどのような人材を選ぶかが、その後の定着や育成にも直結するという説明には強い説得力がありました。特に、新人が職場で活躍できるようにするための取り組みが整理されている部分は、採用担当として知っておくべき知識が詰まっていると感じました。
また、新入社員の成長を支援する取り組みとして紹介されている制度や運用方法は、採用後のフォローも含めて企業がどのように人を育てるべきかを示しており、採用というプロセスが“未来の戦力を育てる入口”であることを実感しました。採用と育成の一貫性を意識しなければ、せっかく採用した人材が定着しないという問題が起きることにも改めて気づかされました。
読み終えた頃には、採用と育成が切り離せない関係であることを理解し、仕事の見え方そのものが変わりました。選考の段階からその後の活躍までを見据えて人を見る視点を持つことの大切さを強く感じています。
採用全体を最適化するヒントが満載
本書を通して最も感じたのは、採用を“点”で捉えるのではなく、“線”として捉える重要性でした。募集から面接、内定フォロー、新人の戦力化までがつながっているという視点が一貫して示されており、採用活動全体の流れを自分の中で整理することができました。特に、自社に合う人物像を明確化する視点や、応募者に選ばれる企業であるべきというメッセージは強く心に響きました。
また、採用プロセスを見直すためのポイントが散りばめられており、どの段階に課題がある企業でも役立つ内容だと感じます。採用担当者が抱えがちな「応募が集まらない」「定着しない」「面接で見抜けない」といった悩みを、それぞれのプロセスの中で紐解いてくれる構成になっており、読みながら自然と自社の採用活動を振り返ることができました。
まとめ

この記事の締めくくりとして、本書から得られる価値をあらためて整理しておきます。採用力を高めたい企業にとって、選考の基準が曖昧なままでは、どれだけ時間をかけても“良い出会い”にはつながりません。本書は、実務でそのまま使える知識と視点を体系的にまとめており、採用の場面で迷う瞬間を確実に減らしてくれる一冊です。
より理解しやすいように、このセクションで触れる内容を以下の3つに分けて紹介します。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
これらの視点を踏まえることで、本書がどのように採用活動へ貢献するのかがより鮮明になります。
読み終えたあとの行動計画が具体的に描けるようになれば、採用の質は必ず向上します。
そして、組織の未来を担う人材と出会うための“正しい準備”が整っていくはずです。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、本書を手に取ることで得られる代表的な利点を整理してみましょう。
採用全体を俯瞰できるようになる
内容は、応募前の準備から書類の観察ポイント、面接技術、オンライン対応、行動観察、質問設計、辞退防止、入社後フォローに至るまで、採用ラインのすべてを一貫した流れとして理解できるよう構成されています。断片的なノウハウだけでは見えにくい採用の全体像がクリアになり、どこで何を改善すべきかが自然と整理されます。そのため、これまで慣習的に行っていた面接や書類選考にも明確な根拠を持てるようになり、再現性の高い選考プロセスが構築できます。
応募者を見極める視点が磨かれる
本書では、書類の細部に潜む違和感、回答のニュアンスに表れる価値観、行動や態度ににじむ本質など、応募者の“表情の裏側”にある情報を拾うための視点が丁寧に示されています。これにより、従来の「印象」や「感覚」に頼った選考から脱し、事実と観察に基づいた評価が可能になります。特に、応募者が用意してきた回答の表層ではなく、理由や背景を深掘りする手法は、入社後のミスマッチを予防する最重要の技術として機能します。
面接官としての判断軸ができる
面接の現場では、質問が浅くなる、応募者の話を深掘りできない、評価がブレる──といった問題が起こりがちです。本書では「どの場面で」「何を聞き」「どう解釈するか」という判断軸が体系化されているため、経験の浅い面接担当者でも迷いなく進められるようになります。人を見る力は、経験だけでは身につきにくいものですが、判断ポイントを言語化したフレームを使うことで、誰でも一定のレベルに到達できます。
採用後の定着率が向上する
多くの企業が見落としがちなのが、採用は入社で終わりではないという事実です。本書では、入社後のフォローや人材育成とのつながりにまで踏み込んで解説されています。特に、新入社員が早期に活躍するための仕組みや、心理的な不安を軽減する接し方など、実務に直結する視点が豊富です。採用後の支援まで含めて一連のプロセスとして捉えられるようになることで、長期的な定着と活躍を見据えた採用活動へと進化します。
採用を「点」ではなく「線」で捉えることは、組織心理学でも非常に重要とされる視点です。
本書が提示するプロセス思考は、企業文化との適合度(カルチャーフィット)を見抜くうえでも有効で、定着率に直結する質の高い選考を実現します。
読後の次のステップ
本書を読み終えた後に何をすべきかを明確にしておくことで、学んだ知識が一時的な理解で終わらず、実際の採用現場で生かされる「再現性の高い行動」に転換されていきます。
ここでは、読後に着手すると効果が最大化する具体的なステップを、段階的に整理して紹介します。
step
1面接フローと質問設計を見直す
読了後にまず取り組むべきは、既存の面接プロセスの棚卸しです。本書で示された見極めのポイントを日常業務に取り込むためには、質問項目の順番、深掘りの仕方、評価項目などを体系的に組み直す必要があります。特に、定番質問の意図を再定義することで、応募者の価値観や行動パターンがより鮮明に見えるようになり、判断のブレが減少します。面接官が誰でも同じ視点で候補者を評価できるようにする土台づくりが、このステップの目的です。
step
2面接官教育を実施し、組織全体で基準を揃える
採用の成否は、面接官のスキルに大きく依存します。本書で得た知見を共有し、管理職や現場リーダーを含む全面接官が同じ理解を持てる状態をつくることで、選考の質は飛躍的に向上します。ロールプレイングを取り入れた実践型の研修や、回答の深掘り訓練などを行うことで、面接官の力量差を縮小し、組織としての採用力を底上げできます。個々の感覚に頼らない“再現性のある面接”を実現するための重要なプロセスです。
step
3採用後フォローと定着施策を強化する
面接の改善と同時に取り組むべきなのが、採用後のサポート体制の見直しです。内定辞退の防止やオンボーディングの充実は、企業が持続的に成長するための欠かせない要素です。本書が示す仕組みを参考に、どのタイミングでフォローするのか、誰がどの情報を管理するのかを明確にすることで、ミスマッチによる早期離職を最小化できます。採用から現場定着までを一本の線として捉えることが、組織力を高めるうえでの鍵となります。
知識を“使える形”に変えるには、行動の順番と仕組み化が欠かせません。
本書の内容を現場に落とし込むことで、採用活動は属人的なものから戦略的プロセスへと進化します。
総括
本書は、採用の全体像を「体系的に理解し、実務に落とし込める形で身につけたい」と考える読者にとって、極めて実践的な指針となる内容です。採用体制の見直しから応募書類の精査、面接技術、オンライン対応、さらには内定後のフォローまでを一貫して示しているため、点ではなく線で採用を捉え直す視点が育まれます。また、著者自身の豊富な経験に基づくアドバイスが随所に盛り込まれており、机上の理論ではなく、今日から職場で使える“リアルな視点”を獲得できる点も魅力です。
特に、応募者の回答をそのまま信じるのではなく、背景や意図を深く掘り下げる姿勢が重要だと説いている点は、多くの企業で起こりがちなミスマッチの防止につながる核心部分といえます。人材を「コスト」ではなく「企業の未来を支える資源」と捉える姿勢も本書全体に一貫しており、採用活動そのものを経営戦略の一部として考える視野を得られます。採用の経験が浅い担当者にとっては基礎固めに、経験豊富な担当者にとっては再確認やアップデートに役立つでしょう。
また、AI面接やオンライン選考など、新しい採用手法に触れている点も本書を現代的な一冊にしています。従来の対面選考とは異なる観点が求められる場面においても、何を観察し、どこに注意を向けるべきかが丁寧に整理されているため、急速に変化する採用環境にも柔軟に適応できる力が養われます。採用プロセス全体における「人が判断する価値」の重要性を確認できる点も、多くの読者にとって大きな収穫となるはずです。
総じて、本書は“良い人材を選ぶ”ためだけの指南書ではなく、“企業が選ばれる存在になる”ための視点も同時に与えてくれるバランスの良い一冊です。
採用は単なる面接作業ではなく、企業と応募者の双方にとって未来を決める重大なプロセスであるという認識を深められます。
これから採用を強化したい組織にとって、実務と理論の双方からアプローチできる頼もしい伴走者のような存在になるでしょう。
採用面接の対策に関するおすすめ書籍

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本の「内容・感想」を紹介しています。
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