
「どれだけ募集を出しても応募が集まらない」「やっと内定を出しても辞退されてしまう」「入社してもすぐに辞めてしまう」──そんな採用の悩みを抱えている企業は、今や珍しくありません。
少子高齢化と人材不足が同時に進む現代の日本では、採用市場は完全な売り手市場となり、企業はこれまで以上に厳しい競争にさらされています。
特に中小企業やベンチャー企業にとって、採用はまさに「椅子取りゲーム」のような状況です。
書籍『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』は、そうした採用難の時代において、知名度や資金力に恵まれていない企業が、どのようにして優秀な人材を獲得していけばよいのかを、体系的かつ実践的に解き明かした一冊です。
本書が最も重視しているのは、単に人を集めることでも、見極めることでもなく、最終的に「この会社で働きたい」と候補者が自ら決断できる状態をつくる“口説く力”です。
1,000社以上の採用支援実績を持つ人事コンサルタントが、心理学と現場経験をもとにまとめた本書は、採用のテクニックだけでなく、採用そのものに向き合う姿勢までを根本から問い直してくれます。
採用に行き詰まりを感じている人事担当者や経営者にとって、この一冊は、次の一手を考えるための確かな指針となるでしょう。
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- 書籍『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』の書評
- 本の内容(目次)
- 第1章 知名度のない会社でも、見違えるほど採用できるようになる
- 第2章 志望度で評価するのは超時代遅れ
- 第3章 ほしい人材を「集める」ための採用術
- 第4章 ほしい人材を「見抜く」ための採用術
- 第5章 ほしい人材を「口説く」ための大原則
- 第6章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(1) 候補者と信頼関係を築く
- 第7章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(2) 候補者の本心を徹底的に調べる
- 第8章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(3) 自分だけのキラートークを考える
- 第9章 ほしい人材を「口説く」ためのさらなるテクニック
- 第10章 内定辞退と早期退職を防ぐ準備のすべて
- 第11章 ほしい人材を獲得できる採用担当者の育て方
- 対象読者
- 本の感想・レビュー
- まとめ
書籍『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』の書評

採用に頭を抱える企業にとって、この一冊は「現場で使える理論」と「心理学にもとづいた具体策」が同時に手に入る実務書です。ここでは、執筆した二人の専門家のバックグラウンドから、この本の中身の概要、狙い、そして多くの読者に受け入れられている理由までを整理していきます。
以下のような切り口で全体像を眺めてみましょう。
- 著者:安藤健のプロフィール
- 著者:曽和利光のプロフィール
- 本書の要約
- 本書の目的
- 人気の理由と魅力
これらを順番に見ていくことで、「なぜこの本が、採用が難しい時代において実務家から頼りにされているのか」が立体的に見えてきます。
著者:安藤健のプロフィール
安藤健氏は、心理学を専門に学んだ後、人事・採用の実務に携わるようになった人事コンサルタントです。青山学院大学教育人間科学部心理学科を卒業し、2016年に株式会社人材研究所へ入社しました。現在は同社のシニアコンサルタントとして、採用設計、面接設計、教育研修、組織開発など幅広い分野で企業支援を行っています。
安藤氏の最大の特徴は、採用を「経験や勘」ではなく、「心理学の理論」で説明できる点にあります。たとえば、応募が集まらない理由、候補者が内定を辞退する理由、面接での評価がブレる理由などを、人の感情や認知の仕組みから分解して整理します。そのため、本書の中でも「自己効力感」「学習性無気力」などの専門用語が登場しますが、現場の出来事と結びつけながら平易に解説されています。
また、情報経営イノベーション専門職大学やデジタルハリウッド大学で、ビジネス心理学や人材マネジメントを教える教員としても活動しており、実務と教育の両面から人事分野に関わっています。さらに「人事心理塾」という人事向けの学習コミュニティも運営し、心理学を現場に実装する取り組みを続けています。
本書においては、「なぜ候補者の不安を正しく拾えないと辞退につながるのか」「なぜ同じ説明をしても人によって反応が異なるのか」といった点を、理論と実務の両側から説明しており、採用を“感情任せ”から“再現できる技術”へ引き上げる役割を担っています。
著者:曽和利光のプロフィール
曽和利光氏は、日本の採用・人事分野を代表する実務家の一人です。灘高校から京都大学教育学部教育心理学科へ進学し、卒業後は株式会社リクルートに入社しました。リクルートでは人事部に配属され、新卒・中途採用、研修、人事制度構築などを幅広く担当し、最終的には採用責任者であるゼネラルマネジャーにまで就任しています。
その後、ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスなどで人事責任者・組織開発責任者を歴任し、2011年に株式会社人材研究所を設立しました。現在は同社代表として、企業の採用戦略・人事制度設計・人材育成のコンサルティングを行っています。
曽和氏の最大の強みは、累計2万人以上を直接面接してきた圧倒的な現場経験です。書籍やセミナーで語られる内容の多くは、その膨大なケーススタディの中から抽出された「うまくいくパターン」と「失敗するパターン」を体系化したものです。本書の中で語られる「口説き方」や「辞退を防ぐ考え方」も、机上の理論ではなく、実際に何千回も繰り返された意思決定の現場から導き出されています。
さらに、大学の客員教授、日本ビジネス心理学会や採用力検定協会の理事も務めており、実務だけでなく教育・研究にも関与しています。多くの著書を通じて、人事・採用を経営課題として捉える視点を発信し続けている点も大きな特徴です。
本書の要約
本書は、採用活動を「集める」「見抜く」「口説く」という三つの工程に分解し、それぞれを一貫した流れとして設計し直す実践書です。現在の採用市場は、求職者側が圧倒的に有利な売り手市場となっており、企業は「選ぶ側」ではなく「選ばれる側」へと立場が完全に入れ替わっています。
このような環境の中で、多くの企業は、応募が来ない、面接してもピンとこない、内定を出しても辞退されるという三重苦に直面しています。本書は、その原因を個別のテクニック不足ではなく、採用プロセス全体の設計不全として捉え直します。
特に本書が重視しているのが「口説く力」です。ここでいう口説くとは、相手を無理に説得する行為ではなく、候補者が自分の意思で納得して決断できるように支援するプロセスを指します。そのために必要なのが、信頼関係の構築、本音のヒアリング、相手の心理状態に合わせたメッセージ設計という三つの段階です。
また本書は、内定を出すところで話を終わらせず、内定辞退や早期離職を防ぐためのリアリスティック・ジョブ・プレビューやオンボーディングの考え方まで踏み込んで解説しています。採用を単なる「人集め」ではなく、「長期的な戦力化の入り口」として捉えている点が特徴です。
本書の目的
本書の最大の目的は、採用に悩む企業や担当者の「どうせうちは無理だ」という諦めの感情を、論理と事例によって打ち砕くことにあります。採用活動がうまくいかない状態が続くと、人は自然と自己効力感を失い、何を提案されても「それは大企業だからできる」「予算がないから無理だ」と、できない理由ばかりを探してしまいます。
本書では、そうした学習性無気力の状態にある担当者に対して、同規模・同条件の企業でも採用に成功している事例が存在することを示し、成功と失敗を分ける要因が“規模”ではなく“考え方とやり方”にあることを伝えています。特に「口説く力」は、企業の知名度や広告費に依存せず、採用担当者自身が磨くことで成果を変えられる数少ない武器であると位置づけられています。
また、もう一つの大きな目的は、採用を「作業」ではなく「人の人生に深く関わる仕事」として捉え直すことです。内定を出すことがゴールではなく、入社後もその人が納得して働き続けられる状態をつくることまでを一連の採用として考える視点が、本書全体を貫いています。
人気の理由と魅力
本書が多くの人事担当者や経営者から支持されている理由の一つは、内容が極めて具体的で、実務にそのまま落とし込める点にあります。例えば、面接・面談・会食といった接点ごとの役割や時間配分、候補者が不安を感じたときの対話の組み立て方、ネガティブな疑問への向き合い方など、すぐに再現できるレベルまで言語化されています。
また、心理学の概念をそのまま説明するのではなく、恋愛や合コンといった誰でもイメージできる場面に置き換えて解説しているため、専門知識がない初心者でも直感的に理解しやすい構成になっています。「最初から志望動機を詰める面接は、会った瞬間に『私のどこが好き?』と聞くようなものだ」というたとえは、その象徴的な例です。
さらに、リソースに恵まれない中小企業やベンチャー企業でも実践可能な戦い方が示されている点も大きな魅力です。知名度や条件では勝てなくても、候補者との関係づくりや意思決定支援の質を高めることで、十分に勝負ができるというメッセージは、多くの現場にとって大きな希望になります。
本の内容(目次)

本書は、採用がうまくいかない企業がどこでつまずき、どこを立て直せば成果につながるのかを、段階的に理解できる構成になっています。全体は大きく、考え方の転換、集客と選考の設計、意思決定の後押し、そして定着と育成という流れで展開されていきます。
以下の章構成を追うことで、採用を点ではなく線で捉えられるようになるのが特徴です。
- 第1章 知名度のない会社でも、見違えるほど採用できるようになる
- 第2章 志望度で評価するのは超時代遅れ
- 第3章 ほしい人材を「集める」ための採用術
- 第4章 ほしい人材を「見抜く」ための採用術
- 第5章 ほしい人材を「口説く」ための大原則
- 第6章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(1)候補者と信頼関係を築く
- 第7章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(2)候補者の本心を徹底的に調べる
- 第8章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(3)自分だけのキラートークを考える
- 第9章 ほしい人材を「口説く」ためのさらなるテクニック
- 第10章 内定辞退と早期退職を防ぐ準備のすべて
- 第11章 ほしい人材を獲得できる採用担当者の育て方
この構成を見ると分かる通り、前半では土台となる考え方と設計、後半では人の気持ちをどう支えるかと組織としての仕上げ方に重点が置かれています。
単なるノウハウ集ではなく、現場で実行し続けられる流れが意識された設計になっている点が、本書の大きな特徴です。
第1章 知名度のない会社でも、見違えるほど採用できるようになる
この章では、採用がうまくいかないと悩む企業の多くが、実は似たような壁にぶつかっていることが説明されています。応募が来ない、内定を出しても辞退される、良い人材が集まらないと感じている企業は少なくありませんが、それらの悩みは大きく三つの問題に集約されると示されています。
また、多くの企業が「採用は厳しい」と頭では理解していても、その厳しさに合わせて考え方そのものを切り替えられていない現実も指摘されています。今の採用市場は、企業側にとって完全に不利な「椅子取りゲーム」の状態であり、従来と同じやり方を続けていても結果が出ないのは当然だという前提がここで示されます。
さらに、成長している企業には共通して「採用力」「育成力」「配置力」という三つの力が備わっていることが語られています。その中でも最初の入口となる採用力は、「集める力」「見抜く力」「口説く力」の三つが掛け合わさって成り立つものだと説明され、現場のマネージャーにとっても、この口説く力が非常に重要であることが強調されています。
第2章 志望度で評価するのは超時代遅れ
この章では、多くの企業が無意識のうちに行っている「志望度で不合格にする判断」が、今の時代にまったく合っていないことが語られています。選考の早い段階で熱意の高さだけを基準に判断してしまうと、本来採れるはずだった優秀な人材を取り逃がしてしまう危険があると説明されています。
その分かりやすい例えとして、初対面の合コンで「私のどこが好き?」といきなり聞くようなものだ、という表現が用いられています。候補者はまだ企業のことを十分に理解していない段階であり、最初から高い志望度を示せないのはむしろ自然な状態だという考え方が示されます。
ここで強調されるのが、志望度は「最初から高いもの」ではなく、「採用担当者が高めていくもの」だという発想です。志望動機を聞くのは最終面接で十分であり、超人気企業であっても攻めの姿勢で採用に向き合っている現実や、内定辞退率が高いこと自体を過度に恐れる必要はないという考え方も紹介されています。
第3章 ほしい人材を「集める」ための採用術
この章では、そもそも応募が集まらないという悩みに対して、どのように考え方と設計を見直すべきかが説明されています。まず大切なのは、誰に向けて採用を行うのかというターゲットを明確にすることだとされています。漠然と「良い人がほしい」と考えるのではなく、現場の現実と理論の両面から求める人物像を整理していく必要があると示されています。
また、求める人材は一人に絞るのではなく、人材ポートフォリオとして複数のタイプを想定する考え方も紹介されています。これにより、条件に完全一致しない人材も採用の土俵に乗せることができ、結果としてより現実的に優秀な人材と出会える可能性が高まると説明されています。
さらに、リファラル採用やSNS活用、スカウト文といった具体的な集め方についても触れられており、特に「優秀な人材はどこにいるのか」という問いに対して、紹介や能動的なアプローチの重要性が示されています。単に応募を待つのではなく、こちらから出会いに行く姿勢が不可欠であることが、この章の中心的なメッセージです。
第4章 ほしい人材を「見抜く」ための採用術
この章では、面接という選考手法そのものが、必ずしも完璧なものではないという前提から話が進みます。自由に話すフリー面接は、一見すると相手の人柄が分かるように感じられますが、実際には無意識の思い込みや先入観の影響を強く受けやすいことが指摘されています。
ここで重要になるのが、アンコンシャス・バイアス、つまり無意識の偏見の存在です。人は自覚のないまま、見た目や話し方、過去の経験と結びついたイメージによって判断を歪めてしまいます。そのため、本書では面接をできるだけ「指定形」に近づけることで、評価のブレを小さくする重要性が語られています。
また、「迷ったら合格」という判断基準や、面接官は「事実」だけを信じるという姿勢の大切さも強調されています。志望度を確認する目的も、不合格にするためではなく、「どれだけ口説けばよいか」を見極めるためであると位置づけられています。
第5章 ほしい人材を「口説く」ための大原則
この章では、本書全体の中でも特に重要なテーマである「口説く」ことの本質が語られています。口説きの基本原則として示されているのが、「人を見て法を説け」という考え方です。これは、誰にでも同じ説明をするのではなく、相手ごとに伝え方を変える必要があるという意味です。
ここでは、「魔法の口説き文句」など存在せず、口説きには明確な三つの重要ステップがあることが示されています。また、面接でやってはいけないNG行動として、志望度を下げてしまう関わり方が具体的に指摘されています。さらに、内定後に口説き始めても遅く、最終面接の手前ですでに候補者は「同志」のような関係になっている必要があると説明されます。
最終的に究極の口説き文句として示されているのが、「とにかくあなたがいいんです」というメッセージです。条件や理屈ではなく、本人そのものを必要としているという姿勢を示すことで、初めて相手は安心して決断できると語られています。
人は論理で納得し、感情で決断します。
口説きとはその最後の背中押しです。
第6章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(1) 候補者と信頼関係を築く
この章では、口説きの第一段階として、候補者との信頼関係をどのように築いていくかが解説されています。人は、信頼できない相手から重要な決断を促されても、安心して選択することができません。そのため、口説きの出発点は、説明や条件提示ではなく、あくまで関係づくりから始まるとされています。
信頼関係は、一方的なアピールによって生まれるものではなく、自己開示の積み重ねによって形成されると語られています。浅い話題から始め、少しずつ個人的な考えや価値観に踏み込んでいくことで、候補者も安心して本音を語れるようになります。また、「どれだけ共通点を探せるか」が重要であり、人は共通点の多い相手に対して自然と警戒心が下がるという心理が活用されています。
さらに、面接・面談・会食といった各接点にはそれぞれ適した役割があることが示されており、短時間での評価、対話による理解、長時間の相互理解といった使い分けが信頼構築に大きく影響することが説明されています。また、オンラインでは信頼関係を築きにくいという現実的な注意点も示されています。
第7章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(2) 候補者の本心を徹底的に調べる
この章では、候補者の表面的な発言だけではなく、その奥にある本心をどのように引き出すかがテーマになっています。人は、追われるほど逃げたくなる心理を持っているため、強く迫るほど本音は隠れてしまうという前提が示されています。そのため、まずは相手の視点に立ち、無理に引き出そうとせずに寄り添う姿勢が必要だと説明されています。
ここで重視されているのが、「事実」よりも「気持ち」を聞くという考え方です。転職理由や志望動機について、表面的な理由をそのまま受け取るのではなく、その背景にある感情や価値観に目を向けることで、候補者が本当に何を不安に思い、何を望んでいるのかが見えてくるとされています。
また、本人に大きな影響を与えている人物の存在を探ることで、その人の意思決定のクセや行動原理が浮かび上がるとも述べられています。加えて、四つの意思決定スタイルという考え方が紹介され、押すべきタイプと引くべきタイプを見誤ると、関係性そのものが崩れてしまう危険があることも示されています。
第8章 ほしい人材を「口説く」ためのステップ(3) 自分だけのキラートークを考える
この章では、口説きの最終段階として、候補者の心に最も深く響く言葉の設計について解説されています。ここで特に強調されているのは、フォロートークは原則としてアドリブで行うものではなく、事前に準備しておくべきだという考え方です。
仕事の魅力を伝える際には、社会的意義、知的好奇心、成長できる実感という三つの視点から語ることが効果的だとされています。また、会社の魅力については、数字や制度だけで語るのではなく、象徴的なエピソードや社内で使われている独特な言葉を通じて伝えることが、候補者の理解と共感を深めると説明されています。
さらに、候補者が不安や懸念を表明した際の対応として、「認識と対策」「トレードオフ」「事実で否定」という三つの考え方が示されています。伝えたいメッセージをそのまま言うのではなく、相手の受け取り方を考えた変換が必要であることが、この章の重要なポイントです。
第9章 ほしい人材を「口説く」ためのさらなるテクニック
この章では、口説きを個人の力量だけに委ねるのではなく、組織全体で支えていくための考え方が示されています。相性の良いフォロー担当者をつけることや、採用は個人戦ではなく団体戦であるという意識が重要であることが語られています。
また、競合他社を批判することは、候補者の不安を減らすどころか、かえって判断を曇らせてしまう危険があると指摘されています。その代わりに、同じ道をたどってきた社員に実体験を語ってもらうことで、候補者は自分が入社後に歩む姿を具体的にイメージできるようになると説明されています。
さらに、口説く場所や座る位置といった一見些細に思える要素も、候補者の心理に少なからず影響を与えることが示されています。最終面接の合格をすぐに内定に直結させないことや、内定の重みを軽く扱わない姿勢の重要性も、この章で語られています。
第10章 内定辞退と早期退職を防ぐ準備のすべて
この章では、内定後から入社後にかけて起こりやすい問題にどのように備えるべきかが解説されています。内定ブルーと呼ばれる心理状態は、内定者が期待と不安の間で揺れ動く、ごく自然な反応であると説明されています。この不安にどう向き合うかが、辞退や早期退職の分かれ道になるとされています。
その対策として、継続的に会える口実を残しておくことや、内定者イベントの座席配置といった細かな配慮の重要性が語られています。また、入社動機を語ってもらうことで、本人の中で「なぜこの会社を選んだのか」という理由を再確認させ、迷いを減らす工夫も紹介されています。
さらに、「こんなはずじゃなかった」というギャップを防ぐためのリアリスティック・ジョブ・プレビューの考え方や、入社後三か月が定着の最大の山場であることも強調されています。採用は内定を出した時点で終わるのではなく、入社後まで続くプロセスであるという視点が、この章の核となっています。
第11章 ほしい人材を獲得できる採用担当者の育て方
最終章では、採用担当者自身をどのように育てていくべきかが語られています。採用担当者には、候補者の人生に影響を与えてしまうことへの恐怖と向き合う覚悟が必要であり、その責任の重さから逃げない姿勢が求められると述べられています。
また、自分の中に「どうせうちなんて」という諦めの感情が生まれていないかを常に問い直すことの重要性も強調されています。この諦めが態度や言葉ににじみ出ると、それは必ず候補者に伝わってしまい、結果として選ばれない会社になってしまうと説明されています。
さらに、若手とベテランではそれぞれ異なる強みを持っており、口説きにおいても得意分野が違うことが指摘されています。ロールプレイングだけではなく、実際の現場での実践を通じて試行錯誤を重ねることが、最も確実な成長につながると締めくくられています。
対象読者

本書は、採用市場が激化する中で「これまでのやり方が通用しなくなった」と感じている人にこそ強く響く内容で構成されています。単なる理論書ではなく、現場でそのまま使える考え方と視点が中心になっているため、立場や経験年数を問わず実践に落とし込みやすいのが特徴です。
特に次のような立場の方に向けた内容となっています。
- 中小企業の人事・採用担当者
- ベンチャー企業の経営者・役員
- 新任の採用担当者
- 現場で面接を担当するマネージャー
- 内定辞退・早期離職に悩んでいる企業
これらの立場に共通しているのは、「人を採る責任」と「会社の未来に関わる決断」を日々迫られているという点です。
本書は、その重圧の中で迷いながらも前に進もうとする実務担当者を支える視点で書かれています。
中小企業の人事・採用担当者
大手企業のように知名度や広告費に頼れない中小企業の人事・採用担当者にとって、本書の内容は非常に現実的で実践向きです。応募が集まらない、優秀な人材ほど他社に流れてしまうといった状況は、努力不足ではなく「勝ち方の前提」が合っていないことが原因であると本書は示しています。条件やブランドで勝てない企業でも、関わり方次第で選ばれる側に回れるという考え方は、大きな救いになります。
特に「集める・見抜く・口説く」という三つの力を分解して考える設計思想は、限られたリソースで成果を出さなければならない中小企業の人事担当者にとって、そのまま業務改善に直結します。感覚や根性論ではなく、再現性のある採用の仕組みを学べる点で、本書は中小企業の人事担当者に極めて相性の良い一冊です。
ベンチャー企業の経営者・役員
急成長を目指すベンチャー企業にとって、人材採用は経営そのものと直結する重要テーマです。本書は、単なる人員補充としての採用ではなく、「誰と会社の未来をつくるのか」という経営判断として採用を捉える視点を与えてくれます。特に、候補者とともに入社動機を醸成するという考え方は、ビジョンや想いを重視するベンチャー経営と非常に親和性が高い内容です。
また、志望度が低い人材を最初から排除しないという思想は、ポテンシャル人材を育てながら成長していくベンチャーにとって極めて重要です。条件だけでなく「この人と一緒にやりたいか」という視点で人材を見極め、口説いていく姿勢は、組織の熱量そのものを高めることにもつながります。
新任の採用担当者
採用業務を初めて任された新任担当者は、何が正解で何が間違いなのか分からないまま、いきなり結果を求められることが少なくありません。本書は、採用を一連の流れとして構造的に整理しているため、「今どの段階で、何をすべきなのか」を迷わず理解できるようになります。
特に、志望度は最初から高いものではなく、プロセスの中で高めていくものだという考え方は、初心者にとって大きな安心材料になります。経験や勘に頼らず、理論と順序に従って採用を進められる点で、本書は新任担当者の「教科書」として非常に適しています。
現場で面接を担当するマネージャー
現場マネージャーは、実務の視点で候補者を評価できる一方で、無意識の思い込みや第一印象に影響されやすい立場でもあります。本書では、面接におけるアンコンシャス・バイアスや、自由すぎる質問が評価を歪めてしまう危険性について、具体的に言語化されています。これにより、「なぜ面接が当たらないのか」という疑問に、理論的な答えを持てるようになります。
また、現場マネージャーは評価者であると同時に、候補者を「口説く」立場でもあるという考え方が本書では強調されています。仕事内容をリアルに語れる存在だからこそ、候補者の不安を和らげ、納得感のある意思決定を支援できるという役割が期待されています。面接官としての精度と、口説き手としての影響力を同時に高めたいマネージャーにとって、本書は非常に実践的な指南書になります。
内定辞退・早期離職に悩んでいる企業
内定辞退や早期離職は、採用が「決まった後」に起こる問題だと思われがちですが、本書ではその原因が採用プロセスの初期段階にあると明確に示されています。候補者の不安を十分に引き出せていないまま進んでしまうと、内定後に迷いが噴き出しやすくなり、結果として辞退や早期退職につながるという構造が、心理の流れとして説明されています。
また、本書では「内定ブルー」や「リアリスティック・ジョブ・プレビュー」といった考え方を通じて、辞退や離職を防ぐための具体的な準備も扱われています。良い面だけでなく現実も含めて伝えることで、入社後のギャップを減らすという発想は、感覚論ではなく再現性のある対策として整理されています。辞退や離職を“運”や“若者気質”のせいにせず、構造的に防ぎたい企業にとって、本書は極めて相性のよい一冊です。
本の感想・レビュー

「志望度で落とす採用」がいかに時代遅れかを痛感した
正直に言うと、私はこれまで「志望度が低そうな人は最初から採らない方がいい」と考えていました。面接で強い志望動機を語れない候補者を見ると、「うちには合わないのではないか」「内定を出しても辞退されるのではないか」と、不安が先に立ってしまっていたのです。それが普通の判断だと思っていました。
しかし本書の「志望度で評価するのは超時代遅れ」という章を読んだとき、その考え方が採用難時代には通用しないことを突きつけられました。志望度は最初から完成しているものではなく、採用担当者が関わる中で高めていくものだという考え方は、これまでの自分の判断基準を根底から覆すものでした。志望動機を最終面接で聞けばいいという話も、妙に現実味があり、納得感がありました。
読み終えたあと、自分はこれまで「安心したいから志望度を見ていたのではないか」と気づかされました。採用の主体は企業側ではなく、候補者との関係性の中にあるという視点を、強く意識するようになりました。
「口説く力」は才能ではなく“設計できる技術”だと分かった
私はこれまで、「口説くのがうまい人は、生まれつきトークがうまい人だ」と思い込んでいました。論理よりも勢いや感情で動かせる人にしかできない特殊なスキルのように感じていたのです。そのため、口説きに対してどこか苦手意識もありました。
ところが本書では、口説きは「信頼関係づくり」「本心の把握」「伝え方の設計」という段階的なプロセスで構成されていることが丁寧に語られていました。魔法の言葉など存在せず、相手を知り、準備し、言葉を選び抜いた結果として口説きが成立する、という考え方に触れたとき、口説くことへの見え方が大きく変わりました。
無名企業・中小企業こそ真価を発揮する採用戦略だと感じた
知名度がない企業は、どれだけ工夫しても限界があるのではないか。これは多くの人が一度は抱く感覚だと思います。私自身も、採用がうまくいかない原因を、会社の規模やブランド力のせいにしてしまっていました。
しかし本書は、その考え方に真正面から異を唱えます。むしろ知名度がない企業こそ、目の前の候補者一人ひとりに深く向き合い、本気で口説くことで逆転のチャンスが生まれるのだと語られていました。ジャイアント・キリングという言葉が象徴するように、不利な立場にあるからこそ、やるべき採用の形があるのだと伝わってきました。
読み終えたとき、「うちは無名だから」という言い訳は、実は行動しないための逃げ道だったのではないかと感じました。本書は、その逃げ道を静かに、しかし確実に塞いでくる一冊でした。
「面接=見抜く場」という思い込みが完全に崩れた
私はずっと、面接とは相手を評価し、見抜くための場だと疑いもなく信じてきました。質問の切れ味や回答のうまさを基準にして、合否を判断することに何の違和感も持っていなかったのです。
ところが本書では、面接は決して最良の選考手法ではなく、フリー形式の面接ほどバイアスに支配されやすいと明言されていました。さらに、「事実しか信じるな」「迷ったら合格」という考え方を読んだとき、これまで自分がどれほど印象や思い込みで判断していたのかを思い知らされました。
面接とは見抜く場である以前に、理解し合い、意思決定を支援する場でもあるのだと認識が変わりました。評価者としての自分の立ち位置を、初めて相対化できた感覚がありました。
採用活動はマーケティングと恋愛の要素が極めて近いと実感した
この本を読んでいて、何度も頭に浮かんだのが「採用って、こんなにも人の感情を扱う仕事だったのか」という感覚でした。条件や待遇、仕事内容だけを伝えれば人が来ると、どこかで思い込んでいた自分に気づかされました。
本書では、候補者との信頼関係を築くプロセスが、恋愛の関係づくりと重ねて語られています。いきなり深い話をすれば引かれてしまうこと、少しずつ自己開示を重ねていくこと、共通点を探すことの重要性などが、非常に現実的な言葉で描かれていました。採用を制度や作業として見ていた自分の視点が、そこから少しずつ「人と人の関係」に戻っていく感覚がありました。
気づけば、採用は情報提供ではなく「関係設計」なのだと受け止めるようになっていました。相手の感情の動きに向き合わずして志望度は上がらない、というメッセージが、静かに腹に落ちていった印象です。
内定辞退は防げる“構造的な問題”だと理解できた
内定辞退は、どうしても「相手の気まぐれ」や「縁がなかった」という言葉で片づけてしまいがちでした。努力したつもりでも辞退されると、もう打つ手がないような無力感だけが残ることもありました。
本書の第10章を読んで、内定辞退や早期退職は偶発的な出来事ではなく、プロセスの中に必ず兆しがあると語られていたことが強く印象に残っています。内定ブルーの存在、会える口実を残す意味、入社動機を繰り返し言語化する重要性、そして「こんなはずじゃなかった」を防ぐRJPの考え方。この一つひとつが、辞退や離職を“予測可能な現象”として捉え直させる内容でした。
読み終えたとき、内定辞退は運や相手の問題ではなく、企業側の関わり方が大きく影響しているのだと、はっきり認識が変わりました。採用は内定がゴールではなく、その後の時間まで含めて設計する仕事なのだと感じさせられました。
候補者の「不安」を聞き出せるかが勝敗を分けると感じた
私はこれまで、面接では「志望動機」や「やりたいこと」を中心に聞いてきました。不安については、聞いてはいけないもの、あるいは相手から自然に出てくるものだと、どこかで考えていたように思います。
しかし本書では、候補者が本音を吐露してくれるかどうかが、信頼関係の深さを測る重要な指標だと語られていました。事実よりも気持ちを聞き出す姿勢、追えば逃げる心理、全力で相手の視点に立つ姿勢など、候補者の内側に踏み込むための考え方が丁寧に積み重ねられています。
読み進めるほどに、「志望度を上げる」とは不安を消す作業でもあるのだと理解できるようになりました。不安に触れずに口説こうとしていた自分の姿勢は、どこか表面的だったのだと感じています。
採用は「作業」ではなく「人の人生に関わる仕事」だと再認識した
読み終えたあとに最も強く残ったのは、採用という仕事の重さでした。数字、充足率、スケジュール、面接回数など、いつの間にか採用を「業務」として処理する視点が中心になっていたことに気づかされました。
第11章で語られる「人生に影響を与えてしまうことへの恐怖心を乗り越えろ」という言葉は、とても静かでありながら重たいものでした。誰かの入社は、その人の人生の大きな分岐点であり、企業側の言葉や関わり方が、その決断に直接影響を与えるのだという当たり前の事実を、あらためて突きつけられた気がしました。
採用とは、単なる人員補充ではなく、一人の人生と向き合う行為である。その視点を取り戻させてくれる点で、この本は実務書であると同時に、採用担当者の姿勢そのものを問い直す一冊でもあると感じました。
まとめ

本記事では、『これで採用はうまくいく ほしい人材を集める・見抜く・口説くための技術』について、内容や魅力、活用のポイントを紹介してきました。採用が「椅子取りゲーム」と化している現代において、本書は単なるノウハウ本ではなく、採用そのものの考え方を根底から見直すきっかけを与えてくれる一冊です。
ここでは、特に読後に意識しておきたいポイントを整理して振り返ります。
- この本を読んで得られるメリット
- 読後の次のステップ
- 総括
それぞれ詳しく見ていきましょう。
この本を読んで得られるメリット
ここでは、本書を手に取ることで得られる代表的な利点を整理してみましょう。
採用がうまくいかない“本当の原因”を構造的に理解できる
多くの企業は、応募が来ない理由を「知名度が低いから」「条件が弱いから」と外部環境のせいにしがちです。しかし本書では、採用がうまくいかない原因は、その前段階の設計にあると明確に示されています。「集める」「見抜く」「口説く」という三つの要素のどこにズレが生じているのかを分解して考えられるようになるため、自社の課題を感覚ではなく構造として把握できるようになります。これにより、改善策も場当たり的なものではなく、狙いを定めた打ち手に変わっていきます。
条件や知名度に依存しない採用戦略が身につく
本書の最大の特徴の一つが、「口説く力」を採用成功の中心に置いている点です。給与やブランド力で勝てない企業でも、候補者との信頼関係の築き方や、不安の引き出し方、意思決定の支援の仕方次第で十分に勝負できるという考え方が、具体的な流れとして解説されています。これにより、採用を「スペック勝負」から「関係性と納得感の勝負」へと発想転換できるようになり、中小企業やベンチャー企業でも実現可能な戦い方が身につきます。
面接の精度が大きく向上し、ミスマッチを防げる
本書では、自由すぎる面接がいかに判断を誤らせるか、そして無意識の思い込み、いわゆるアンコンシャス・バイアスが採用判断をどれほど歪めるかが丁寧に解説されています。その上で、評価の精度を高めるための考え方や、事実ベースで判断する重要性が繰り返し示されています。これにより、面接が「感覚的な合否判定」から「再現性のある見極めの場」へと変わり、入社後のミスマッチや早期離職のリスクを大きく下げることができます。
内定辞退・早期離職を未然に防ぐ視点が手に入る
内定辞退や早期退職は、採用が終わった後に突然起こる問題のように見えますが、本書ではその原因が採用プロセスの途中にすでに埋め込まれていることが示されています。候補者の不安をどの段階で引き出すのか、どのように現実を伝えるのかといった細かな設計が、最終的な定着率を大きく左右します。この視点を持つことで、採用を「決めるところまで」ではなく、「定着するところまで」見据えた取り組みに変えられるようになります。
読後の次のステップ
本書を読み終えたとき、多くの読者は「なるほど」と納得するだけでなく、「では自社では何から変えるべきか」という具体的な行動イメージを持つはずです。ここで重要なのは、知識を得た段階で満足するのではなく、小さくても確実に現場へ反映させていくことです。
ここでは、読後すぐに取り組むべき実践的なステップを段階的に整理します。
step
1自社の採用プロセスを「集める・見抜く・口説く」で分解する
最初に行うべきことは、今の自社の採用活動を一気通貫で眺め直すことです。応募獲得から面接、内定、入社に至るまでの流れを、本書で示されている三要素に沿って整理することで、どこにズレや詰まりが起きているのかが見えるようになります。応募数が少ないのか、面接での見極めに問題があるのか、それとも内定後のフォローが弱いのか。ここを整理せずに新しい施策を打っても、また別の場所で同じ失敗を繰り返してしまいます。
step
2候補者との接点ごとに「口説きの設計」を見直す
次に取り組むべきなのが、候補者と企業が接触するすべての場面を見直すことです。面接、面談、会食、内定後のフォローなど、それぞれのタイミングで何を伝え、何を聞き出し、どのような感情を持って帰ってもらうのかを一つずつ再設計していきます。本書が強調しているのは、口説きは最後に一気にやるものではなく、選考の初期段階から積み重ねるものだという考え方です。この視点を取り入れるだけでも、候補者の志望度の上がり方は大きく変わっていきます。
step
3面接の評価基準と質問設計を言語化する
読後に必ず着手したいのが、面接のやり方の見直しです。本書で指摘されているように、面接は自由にやればやるほど、評価者の思い込みや印象に左右されやすくなります。だからこそ、何を基準に判断するのか、どんな事実を聞きたいのかを事前に言語化し、できるだけ共通化された質問設計へと近づけていく必要があります。この作業を行うことで、面接が「感想を言い合う場」から「事実をもとに判断する場」へと変わっていきます。
step
4内定後から入社までのフォロー体制を再構築する
本書を読んだ後、多くの企業が見落としていたことに気づくのが、内定後のフォローの重要性です。内定を出した時点で安心してしまい、その後の連絡や関わり方が場当たり的になってしまうと、候補者の不安はむしろ増幅していきます。内定者イベント、個別面談、既存社員との接点の作り方など、入社までの期間をどう設計するのかを改めて見直すことが、辞退や早期離職を防ぐうえで欠かせない次の一手になります。
step
5採用を「担当者任せ」から「組織の取り組み」へ移行する
最後に取り組むべきは、採用の属人化を解消することです。本書が繰り返し伝えているように、採用は一人の担当者だけで完結するものではありません。経営者、現場のマネージャー、既存社員がそれぞれの立場で役割を持ち、候補者と関わることで、志望度は大きく高まります。読後は、「誰がどの場面で口説くのか」「誰が不安を受け止めるのか」という役割分担を、組織として明確にしていくことが重要なステップになります。
総括
本書が一貫して伝えているのは、採用はもはや「待つもの」ではなく、「設計し、攻めていくもの」だという考え方です。売り手市場が常態化し、優秀な人材ほど複数の選択肢を持つ現代において、企業側が従来の感覚のまま採用を続けていては、思うような成果が出ないのは必然とも言えます。本書は、その現実を直視したうえで、ではどのように考え方を切り替え、何から変えていくべきなのかを、極めて現実的な視点から示しています。
特に印象的なのは、「集める・見抜く・口説く」という採用の三要素を明確に切り分け、それぞれを別の技術として鍛える必要があると示している点です。多くの企業は、この三つをごちゃ混ぜにしたまま採用に取り組んでしまい、「なぜうまくいかないのか分からない」状態に陥っています。本書はその混乱を整理し、課題の正体を構造として理解させてくれるため、改善の方向性が非常に明確になります。
また、本書が優れているのは、「口説く」という行為を精神論ではなく、心理学や実務経験に基づく再現性のある技術として扱っている点です。候補者の不安、迷い、意思決定のプロセスにどのように関わるべきかが、抽象論ではなく、現場の動きに落とし込める形で説明されています。これにより、採用は一部の経験豊富な担当者だけができる特殊技能ではなく、組織として磨いていけるスキルであることが、はっきりと見えるようになります。
採用は単なる人集めではなく、企業の未来と人の人生が交差する極めて重い仕事です。
その重みと責任を正面から引き受けたうえで、どうすれば双方にとって納得のいく選択ができるのか。
本書は、その問いに対して理論と実務の両面から誠実に答え続けている一冊です。
採用に迷い、悩み、立ち止まっているすべての企業にとって、再出発の指針となる存在だといえるでしょう。
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